夢特典は皇帝竜の魔法?   作:流星群

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主人公の理性が吹き飛びます





夢の体温

 

 

リン、ルーシィ、ナツの3人と幽鬼の支配者(ファントムロード)の戦いはフィオーレ中の国民が見ていた。ある者は驚き、ある者は流石だと称賛した。

 

ラクサスの超難関S級クエスト達成のニュースに続くこの勝利は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の強さを王国に知らしめるのに十分だった。たった3人で王国屈指のギルドである幽鬼の支配者(ファントムロード)を壊滅させた事は王国中を揺るがした。

 

同時にナツやルーシィに対する幽鬼の支配者(ファントムロード)の悪行と卑劣さが表明された。兎に角、フィオーレ中の人間が妖精の尻尾(フェアリーテイル)の強さを思い知った瞬間だった。

 

 

そんな中、マグノリアの病院にもその中継は流れていた。

 

 

「ふん、勝ったか…」

 

 

病院で中継を見ていたラクサスはニヤリと笑い呟いた。リンの実力を確信していたラクサスにとってこの勝利は当然のものだったが、予想外の作戦で勝利したリンに、ラクサスはますます興味を持った。

 

 

「フィールド魔法か…、面白え魔法だ…」

 

 

リンの魔法を思い出してラクサスの口元が釣り上がる。

 

フィールド魔法。リンがS級でないナツとまだギルドに慣れたばかりの新人ルーシィの為にあんな魔法を用意していた。チームを組んでいる仲間に対して真摯なリン。

 

その一面を見たラクサスの感想は弱者をわざわざ気にかける事への苛立ちと、同時に自分専用のあのフィールド魔法を用意させればギルドを力で支配する事が現実的になる、と言う高ぶる思いもあった。

 

 

(ナツなんかに勿体ねえな)

 

 

中継をどう思い返してもリンの実力は圧倒的だった(実際は転生特典を開花させただけだが)。恐らく、突破力は自分と同じかそれ以上だ。

 

どう控え目に見てもナツのチームにいて良い実力ではなかった。

 

 

(奴は俺が管理する)

 

 

この中継でフェアリーテイルはファントムロードより遥かに強いフィオーレ1のギルドと知れ渡る事だろう。今こそ強いギルドを作るチャンスだった。これを機に新人であるリンを出しにして、ギルドを変える。逆らう奴は皆追い出すか、二度と逆らえねえように潰す。それが今のラクサスの考え方だった。

 

病院の別室ではレビィ達がリンとルーシィの大勝利を見て大喜びしていた。

 

 

ギルド内の勢力図が変わる緊張状態が今、始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

幽鬼の支配者(ファントムロード)が壊滅したマグノリアの郊外。

 

俺達3人の所にギルドにいた妖精の尻尾(フェアリーテイル)の面々が駆け寄ってきた。

 

 

「ナツー!!」

 

 

真っ先に猫のハッピーが泣きながら一直線に飛んできてナツに抱きついた。

 

 

「良かった〜、オイラ、ナツがジョゼに捕まってるの見て凄く心配したんだ〜」

 

「なっ、つ、捕まってねえし!!ルーシィがあいつらに捕まったって聞いてファントムに殴り込んだら、ルーシィがいなくてジョゼが攻撃してきたから、やられたふりをしていただけだし!!」

 

「いや、どう見てもヤバかっただろ。リンとルーシィに感謝しとけ」

 

「だー!!俺はやられてねえ!!やられてねえぞ!!」

 

「あははっ」

 

 

ハッピーの言葉にナツが言い訳してるが、俺の目にも明らかに捕まっていたように見えたので苦しいだろう。グレイをはじめとしたギルドの皆にもそう映ってたみたいで皆が笑っていた。ナツがギルドメンバーに心配されて囲まれていた。

 

…ナツの身体は敵の暴力で傷だらけだった。見るのも痛々しい。ガジルやジョゼから受けた傷は生々しかった。

 

俺はそっと離れた。ナツから見えない場所に移動して、そしてナツに回復魔法をかける。ナツの身体が青く光り、その傷が浅くなって行くと同時に雷が強く俺に振り注いだ。バチバチッと雷が俺の身体を削る。ナツの身体が回復していった。大分マシになった。これくらいでいいだろう。

 

 

「……」

 

 

ルーシィが俺の方を見ていた。俺は首を横に振った。

 

…あの時、ラクサスの言う通り、ジョゼを捕縛しておけばナツはやられずに済んだ。俺の甘さがナツを傷つけたのだ。だからこれはせめてもの罪滅ぼしだった。

 

だからルーシィは悪くない。

 

 

評議院が俺達を取り囲んだ。

 

俺とルーシィ、ナツは数日間の間、取り調べを受けたが、中継ラクリマのお陰でナツとルーシィは正当防衛が成立していた。

 

幽鬼の支配者(ファントムロード)ではジョゼが逮捕され、ギルドが解散となったらしい。

 

3日後、ようやく解放された。ルーシィとナツは無罪になったが、俺はそうも行かず、一応妖精の尻尾(フェアリーテイル)への残留は保証されたが、俺への罰は後で評議院が決めるらしい。

 

 

解放された日の夕方、傷の癒えない俺はアパートの自室に戻った。部屋の前を見ると1人立っていた。ルーシィだった。その手には救急箱があった。

 

 

「あ、リン」

 

「ルーシィ、ずっと待ってたのか?」

 

「あたり前よ、心配したんだから、リンだけずっと帰って来ないんだもん」

 

 

部屋の扉を開けるとルーシィも入って来た。ベッドに座ると彼女は隣に座って救急箱を開いた。

 

 

「ルーシィ…?」

 

「今手当てするから、じっとしていて」

 

 

そう言って、俺の手を取った。傷口に消毒液を塗って、包帯を巻いていく。

 

 

「手は終わりね。足見せて」

 

「平気だよ」

 

「嘘ね、見せて」

 

 

ルーシィは俺の下を捲った。彼女との距離が近くなる。

 

…こんなに可愛い娘が俺の手当てをしている。凄くいい匂いと優しい手の感触と温度が伝わって来る。

 

 

「やっぱり…、本当馬鹿ね。こんなに馬鹿やって…」

 

 

怒りながらも俺の手足を丁寧に消毒していく。

 

美しい顔が眼の前にある。思わずドキリとしてしまった俺は悪くないだろう。

 

ルーシィは真剣になって、俺を手当てしていた。

 

彼女の金髪が眼の前で動いていた。

 

 

(凄い可愛い…)

 

 

俺は手当てをするルーシィに見惚れていた。足に触れるルーシィの手の柔らかさが伝わる。優しい彼女の手つきに俺の心臓は高鳴っていた。

 

これはやはり夢なのだろうか。

 

 

「はい、足は終わり。次は顔ね。こっち向いて」

 

「……」

 

「リン…?」

 

 

ルーシィが俺の様子に気付いた。ルーシィと目が合い思わず逸らした。ルーシィの両手が俺の両頬に添えられる。彼女の方を無理やり向かされた。

 

 

「ちゃんとこっち向かなきゃ駄目でしょ」

 

 

姉に怒られるように俺はルーシィの方を向かされる。ルーシィは俺の頬に消毒液を塗った。俺の顔をじっと見つめたまま。

 

 

「傷がちょっと深いわね…、何とかして治さないと」

 

 

俺の頬に手を添えながら、ルーシィは俺の顔を覗き込んでいた。あまりにも綺麗な顔が近過ぎて心臓はバクバクと鳴っていた。

 

 

ルーシィが優しく包帯や絆創膏を貼っていく度に俺の顔の熱が上がっていくのを感じた。

 

 

「う〜ん、こんなもんかな、よし、出来たわよっ、てっ、顔真っ赤よ!どうしたのよ!」

 

 

初めてルーシィが慌てたように叫んだ。俺は恥ずかしくてそっぽを向いた。

 

 

「なんでも無いって、ありがとう、もう十分だから…」

 

「駄目よ。次、身体だから、服抜いで」

 

 

立ち上がろうとしたらルーシィに両肩に手を置かれて動けなくなった。

 

 

「服って…」

 

「上よ、早く」

 

 

逆らう事も出来ずに言われるがままに脱いだ。

 

 

「って、凄く良い身体じゃない…」

 

「そ、そう…?」

 

 

ルーシィが頬を赤らめた。俺は恥ずかし過ぎて、顔を逸らした。ルーシィは傷ついた俺の胸や腹に手を当てた。優しくてくすぐったい感触が俺をより興奮させる。

 

 

「待ってて、今あたしが消毒するから」

 

 

ルーシィは丁寧に液体を塗ってくれた。その手の柔らかさに劣情を持ってしまった俺はおかしくないだろう。慣れない手つきで包帯を巻いてくれた。

 

 

「出来たわよ」

 

「あ、ありがとう…」

 

 

服を直ぐに着た。俺は恥ずかし過ぎてルーシィの顔を見れなかった。

 

 

「ねえ、なんでこっち見ないの?顔見せなさいよ」

 

「えっ…、いや…」

 

「何よ、手当てしてあげたのにそんな態度ないでしょ〜」

 

 

ルーシィが顔を覗き込んで来る。俺は眼を逸らし続けた。身を乗り出してルーシィは俺の顔を見ようとする。

 

 

「もうっ、じれったいわね、こっち見なさい!!」

 

「あっ…」

 

 

ルーシィが俺の両頬に手を当てて強引に俺の顔をルーシィの方に向かせた。

 

 

「お礼は?」

 

「あ…ありがとう///」

 

「えっ…リン…?えっ…?」

 

 

ルーシィが俺の顔を見ていた。俺は耐えきれずに眼を泳がせたがルーシィの両手の感触に熱が収まらないばかりか、どんどん上がっていく。ルーシィも俺の顔の熱さに気付いた様子。

 

 

「る、ルーシィ、これ以上は無理」

 

「あ、ちょっと、待ちなさい!!こら、こっち向いて!!」

 

 

俺はルーシィの視線から逃れようと顔を背けるがルーシィの優しい手の感触で力が入らなかった。再び強引にルーシィの方を向かされる。

 

 

「ふふっ、逃さないから、リン」

 

「///」

 

「ねえ、リン…もしかして」

 

「///」

 

「リンったら…///」

 

 

ルーシィの表情が変わった。その顔が明るくなっていくのが分かった。頬が薄っすらと赤らみ、花が咲くような笑顔に変わっていく。

 

 

「リンっ、嬉しい…///」

 

「〜〜!!!」

 

「駄目…///こっち向いて、もっと見るの///」

 

 

そのままルーシィは俺の顔をじっと見つめた。俺の熱は下がらなかった。耳まで熱くなるのを感じた。

 

 

「可愛い…もっとあたしを見て…」

 

 

ルーシィからそう言われてますます顔の熱が上がる。どうにかなってしまいそうだ。

 

 

「ルーシィ…駄目…、は、離して」

 

「ねえリン、あたしの事どう見てるの?教えて…」

 

「…それは…///」

 

「リン…、言って…お願い」

 

 

ルーシィは離してくれなかった。こんな事あるのかな…?そうだ、あり得ない。こんな素敵な娘が俺を見つめてくれるなんて。きっとこれは夢なんだ。

 

 

ルーシィの顔を見ていた俺の理性が消えた。視界が変わった。

 

 

気がつくと俺はルーシィを抱きしめていた。彼女の柔らかい感触と体温が伝わってくる。

 

 

「好き、大好き…」

 

「ふふっ、リン…そっか…」

 

 

押さえつけていた心の声が漏れ出していく。俺はルーシィを思いっ切り抱きしめていた。彼女への想いが爆発していた。一度抱きしめたらもう離せなかった。

 

 

「そっか、やっぱりそうだったのね。もう、しょうがないわね。でも分かってたよ」

 

 

ルーシィはそう言いながらも、優しく抱き返してくれた。優しい感触が背中に伝わって来る。

 

 

「夢なら覚めなければ良いのに…」

 

「夢じゃないよ」

 

 

そんなルーシィの言葉に俺は思うがままに彼女を抱きしめるのであった。

 

 

 

その翌日、俺は腕の中で眠っているルーシィを見た。

 

 

 

 

 

 

評議院からの懲罰はS級クエストの無償での働きだった。俺はS級ではないのだが、問題ないだろと押し付けられた。

 

マグノリアの街を出て、空を飛ぼうとする。

 

 

「よう、リン」

 

 

後ろから声をかけられた。振り返るとラクサスが立っていた。

 

 

「ラクサスさん、怪我治ったんですか?」

 

「とっくに治ったに決まってるだろ、これから評議院の尻拭いか?」

 

「そんな所です」

 

「へっ、そんなゴミみてえなもん押し付けられやがって。奴らの力量不足が目に見えてるじゃねえか。自分達で対処できないクエストをお前に押し付けてんだ。さっさと片付けてギルドに来い」

 

「はい、速攻で終わらせてきます」

 

「そのいきだ。ファントムロードの件は一応認めてやる、てめえならS級だろうが、その辺の依頼は出来るはずだ、ギルドで待ってる」

 

 

そう言うと雷となって飛んで行ってしまった。

 

 

飛行魔法でマグノリアを飛び立とうとすると後ろから走って来る音がした。

 

 

「待って、あたしも行く」

 

 

なんとルーシィがついてきていた。

 

 

「一緒に行こ♪」

 

「良いのか、報酬ないぞ。エルザ達と一緒の依頼に行った方が良いんじゃないか?」

 

「次のクエストもリンと受けるから良いの」

 

 

そう言うと俺に掴まった。飛行魔法を発動する。俺とルーシィの身体が浮き上がる。

 

 

「わあ…」

 

 

感動しているルーシィの顔を見てると評議院の罰クエスト如きなんでもないように思えた。

 

大空の下で俺はこれから彼女を護れるようにもっと強くなる事を決意した。

 

 

 

 






ルーシィは自分を信じてナツを救うという救世主のような大役を任せてくれただけでなく、自分専用の場を作って敵と戦わせてくれた主人公が自分を好きで今まで尽くしてくれていた事を知って凄く嬉しく思ってます。

彼女は自分を愛してくれる仲間に飢えていたので主人公の好意が彼女の精神的な余裕を作っています。

ずっと護ってくれて、その理由が自分への愛だと知ってルーシィから主人公への愛はとても大きくなったと思います。
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