夢特典は皇帝竜の魔法?   作:流星群

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原作のファントム戦後の例のシーンです。






夢の内乱

 

 

評議院のクエストを終えた。

 

ギルドでは鉄の滅竜魔道士、ガジルに蜂の巣にされたギルドの復興が目指されていた。仮設カウンターとリクエストボードを使って仕事に励んでいた。

 

ルーシィはあの日以降、父親に話をつけて来た。心配だったので俺もついて行こうとしたが、「あたしを信じて」と言われたので家(ルーシィと同じアパート)で待っていたら、その日の夕方、ルーシィが俺の部屋に来て、「ただいま」と笑いかけて来た。

 

決着記念にその日は祝勝会として俺の部屋でエルザさん、ナツ、グレイ、ハッピー、レビィ、エルフマン、ミラジェーンさんを呼んで金額を気にせず料理を振る舞った。

 

ルーシィは仲間に囲まれてとても嬉しそうだった。「ファントムの時は格好よかった」とか「凄く素敵だったよ」と褒められていた。

 

彼女が皆に負い目を感じてしまうかと思ったけど、その心配はなさそうだった。エルザとレビィの両方からチームに誘われてるルーシィを見て俺は安心した。

 

 

皆が大活躍したルーシィを褒め讃えてる間、俺はミラジェーンさんと片付けをしていた。明らかに俺より料理の上手なミラジェーンさんに「リンは料理上手だったのね」と言われて、ちょっと嬉しかった。「ミラジェーンさんには全然かないません」と言ったら「ふふっ、女としてまだ負けるわけにはいかないわよ」と笑って返された。

 

 

 

 

 

 

その翌日だった。ギルドの再建中にその陰で俺はエルフマンと話していた。

 

 

「全身接収(テイクオーバー)?」

 

「ああ、リンの漢気を見て思ったんだ。俺もギルドや姉ちゃんを護れるように強い漢でありたい!!」

 

「…調べたけど、意識が持ってかれる危険があるって?暴走するかもしれない力を使いこなすって事か」

 

「ああ、だから1人じゃ無理だ。だから漢としての頼みだ。リン、協力してくれ!!」

 

 

エルフマンは俺に両手を合わせた。

 

 

「良いぜ、前にエルフマンに修行に付き合って貰ったからな。貸し借りゼロで行こうぜ」

 

「リン、なんてお前は良い漢なんだ!!」

 

 

エルフマンと手を握り合った。決まりだ。

 

 

ギルドの陰から皆の所に戻ろうとする。何かを蹴り飛ばす音がした。

 

 

「もういっぺん言ってみろ!!」

 

 

エルザの怒声が聞こえてきた。気になって陰からエルフマンと2人で覗いた。

 

 

エルザの方を見ると、彼女の前にラクサスが座っていた。

 

 

「この際だ、はっきり言ってやる、弱い奴はギルドに必要ねえ」

 

 

ラクサスが見下しと真剣さが半々の声で言った。そしてチームシャドウギアの方を向いた。

 

 

「おめえだよ、おめえ、3体1でファントムの滅竜魔道士如きにボコられて新人2人に助けられたんだって?情けねえなあ。つうか誰だお前ら、名前知らねえや」

 

「ちょっと!!あたしそんなつもりじゃ!!」

 

 

レビィが馬鹿にされた事により、ルーシィがたまらず叫んだ。

 

 

「おいおい、ルーシィだったか?怒る事はねえだろ?俺はただ実力不足を指摘してるだけだぜ。俺はお前を認めてんだよ、中継見たからな、あいつの下にいれば化けるじゃねえか、なんなら俺のチームに入れてやっても良いぜ」

 

「ふざけるな!!ルーシィは俺のチームだ!!お前なんかに渡さねえ!!」

 

 

ラクサスのルーシィへの勧誘にキレたナツが立ち上がった。ラクサスは眼を細める。

 

 

「ほう、まだギルドにいたのか。ナツ。敵に捕まった役立たずが…、お前、1人で殴り込んでジョゼに捕まってルーシィとリンに助けられたんだって?ひでえやられようだ。本当に情けねえ。よくチームのリーダー面出来るもんだ」

 

「ぐぬぬ…、ラクサス!!俺と勝負しろ!!」

 

  

そう言いながらラクサスに殴りかかるナツだが、ラクサスの雷による瞬間移動で躱される。

 

 

「俺の動きも捉えられねえようだな、よくリンとチームを組めたものだ、ま、ガルナ島に行った時は活躍を奪われるから置いて行った見てえだがな。あいつ俺だけ置いてかれたって1人で悔しがってたぜ、俺が声かけなかったら今頃闇堕ちして闇ギルドにいたかもな」

 

「くっ…俺は、そんなつもりじゃ…」

 

「ラクサス!!もう終わった事なの!!戦いに参加しなかった貴方にもマスターはお咎め無しって言ってるのよ!!」

 

「はっ、当然だ。俺には関係ねえからな、俺の知らねえ所で殴り込みに行って、負けそうになったら助けてくれだなんてそれは違うだろ。自分達で売った喧嘩ぐらい自力で片付けろ」

 

 

そう言うと、ギルドメンバーに背を向けた。

 

 

「俺がマスターになったら先ずはこのギルドを変える!!弱いままの奴は徹底的に排除する!!フェアリーテイルはそうでなければならねえ!!誰にも舐められねえ最強ギルドを作る!!」

 

 

ラクサスはそう言うとこっち、すなわち俺の方を見た。

 

 

「リン、いつまで隠れてるんだ出てこい」

 

「あ、はい…」

 

 

逆らう事も出来ずに俺は陰から出た。ラクサスは1枚の紙を見せつけた。

 

 

「お前の為に用意したS級クエストだ。行くぞ」

 

「待て、ラクサス!!何のつもりだ!!リンは俺のチームだ!!」

 

「そうだ、勝手に連れて行くな。リンはS級じゃない」

 

 

ナツとエルザがラクサスに食ってかかる。

しかしラクサスは振り返りもせずに返した。

 

 

「この際だ、リンは俺が引き取る。ナツのチームにいたらこいつの才能は腐る。それだけは許しておけねえ、それにナツ、てめえはこいつを置いて行ったんだ。つまり捨てたんだろ?だったらチームを名乗る資格はねえ。代わりに俺が有効活用してやるよ、俺ならこいつの力を120%引き出せる。この才能の塊を磨かねえなんてあり得ねえ。俺が研磨してやるよ。ルーシィ、お前はどうだ?」

 

「あ、あたし…?」

 

「駄目だよルーちゃん!!ラクサスに惑わされないで!!」

 

 

レビィがルーシィを引き留めた。俺はどうして良いのか分からなかった。このままだと俺の立場も危うい。取り敢えず別の方向に話を持って行く。

 

 

「ラクサスさん、俺、実は次のクエストはルーシィと一緒に行くって決めてるんです」

 

「はっ、ルーシィに骨抜きにされたのか?それともその女がいねえと本来の力が出せねえってのか?違えだろ!?中継見てた。てめえはまだ魔力頼りで体術がなってねえ、少し慣れただけだ。これからてめえが戦う敵はジョゼみてえに身体がヌルい奴ばかりじゃねえ。鍛え直してやる。先輩である俺の言う事を聞け」

 

 

そう言うと再び振り返った。

 

 

「ルーシィ、俺は何時でも待ってる。こいつと同じ土俵に立ち上げれば一緒に連れてってやるからよ。話は終わりだ。行くぞリン。このギルドは弱え、俺とお前で強くしなくちゃならねえんだよ、街の郊外で待ってる。ちゃんと来いよ」

 

 

そのまま雷となって行った。ルーシィが俺に近づいた。

 

 

「リン…」

 

 

少し不安そうな声で俺の手を握る。

 

 

「ルーシィ、今日は無理だな、ごめんな、こんな問題がギルドにあったなんて知らなかった。俺達は新人である以上、面倒を見てくれる先輩が必要だ」

 

「そうだけど…、でも…!!」

 

 

納得いかないだろう彼女に近づき手を握り、ルーシィの耳元でそっと囁く。

 

 

「実はガルナ島にナツとルーシィが一緒に行ってる間にラクサスさんが俺をクエストに誘ったんだ。それで俺、強くなったんだ、だから無下には出来ない」

 

「なっ、リン、お前…!!」

 

 

聞こえていたのかナツが声をあげた。俺は首を横に振る。他のギルドメンバーやマスターにバレちゃいけない。ルーシィは黙っていたが、やがて首を縦に振った。

 

 

「…そうだったんだ…、そっか、そんな事があったんだ。あの時の凄い魔力はそう言う事だったの…、うん、分かった。でもリン…」

 

 

ルーシィは俺の両手を取った。そして上目遣いで俺を見上げる。

 

 

「お願い、リンはリンのままでいて。ラクサスに染まらないで、あたしリンが離れるの嫌だから」

 

「分かってるよ。俺は俺だ。ラクサスさんじゃない」

 

「絶対忘れないで!!」

 

「大丈夫、自分を失ったりしないさ。ごめんなルーシィ、次こそ一緒に行こう、今はギルドの問題がある…、俺が解決する。そしたらまたチームを組もう」

 

「本当に!?何があっても絶対だから!!」

 

「ああ、絶対だ。行ってくる。エルフマン、明日の夜まで待っててくれ。依頼が分からないけど直ぐに終わらせる」

 

「おう、気をつけろよ。ちゃんと無事に帰って来い。それでこそ漢だ!!」

 

「リン、お前、ラクサスに加担するのか…」

 

 

エルザさんが厳しい表情で俺を見る。俺は首を横に振る。

 

 

「入ったばかりですけど、俺は皆の良さを知ってます。だからこのギルドに壊れて欲しくありません。皆に笑っていて欲しいと心の底から思ってます」

 

「そうか、なら良いが…、ラクサスに呑まれるな。良いな?」

 

「はい…!!」

 

 

時間だ。そろそろ行かねばならない。

 

 

「ごめんなさい皆さん、それじゃ行ってきます。蒼光(ブルー・レイ)!!」

 

 

ルーシィやエルザさん、そして皆の顔を見て少し迷ったが、取り敢えず今回はラクサスについて行く事にした。

 

まだ俺達は新人だ。学ぶ事が沢山ある以上、先輩が必要だ。ラクサスの雷に追いつけるように蒼光となって移動する。

 

 

まもなく街の郊外に来た。ラクサスが立っている。その隣に降り立つ。

 

 

「遅れてすみません」

 

「話はつけたか。雑魚の言うことなんか本気にするな。ギルドは強くあるべきだ。そうだろう?それにお前は魔道士としての素質がある。ルーシィと一緒に依頼に行きたければ仕事をさっさと終わらせて、あの娘をお前の手で鍛え上げるんだな。そうじゃねえとギルドの為にならねえんだよ」

 

「は、はい…!!」

 

 

暴論に見えなくもないが、筋は通ってる。俺が頑張れば済む話だ。

 

 

「ふん、まだ目に覚悟が足りねえ、良いか、ファントムの時は魔力で勝ってたから勝てたんだ。今のお前は真下にいる奴は勿論、2段下の奴にも苦戦するだろうよ。良いのか?魔力が高えのに肝心のところでやられてよう、んなわけねえだろ!?」

 

「と、当然です!!」

 

「そうだ、強くなれ、このギルドを鍛え上げろ。新人のお前が上にいけば行くほど周りの奴らは焦る。エルフマンとの会話が聞こえた。悪くねえ、あいつを覚醒させてみろ。丁度良い教訓だ。話が過ぎたな、行くぞ」

 

 

ラクサスが雷になり、俺も蒼光となりついて行く。

 

そうだ、まだ始まったばかりだ。俺はこれから伸びて行くんだ。そしてこのギルドを変えなければならない。

 

そして、ルーシィと2人で楽しく依頼に行ける日を勝ち取る。そう心に決めた俺は迷いを強引に消し去る。

 

 

(絶対に勝ち取る…!!)

 

 

そう胸に誓って俺は光となって空を突っ切るのだった。

 

 

 






新人なのにリンの手にギルドの命運がかかってる感じです…

ハードモードすぎるだろ…!!
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