やっぱりマグロを喰ってるようなのは   作:よよよーよ・だーだだ

1 / 1
 

「……戦いは、変わった」

 

 オリバー=オニール中尉がそう呟いたとおり、現代における“怪獣との戦い”は、かつての彼が知るそれとは大きく様変わりしていた。

 怪獣。人類の平和を脅かす奴らに対し、人類は勇気を振り絞り、英知を結集して立ち向かい、そして打ち倒す。それが国連配下の対怪獣特務戦闘軍:Gフォースの古参兵士であるオニール中尉が知る、“怪獣との戦い”という奴だった。

 つまるところ怪獣との戦いは飽く迄も『人類の戦い』であって、他者が介在する余地など無かったはずだ。ましてや人間と怪獣が手を取り合い、共闘するなど夢物語の絵空事のはず。

 けれど、戦いは変わった。オニール中尉は、傍らにいる“相棒”へ呼び掛けた。

 

「よしよし。今回も頼むぞ、“パッチ”」

 

 オニール中尉が撫でてやると、“パッチ”は心地良さそうに双眸を細め、喉をゴロゴロ鳴らして応えた。

 ……その身長は1.8m、全長はおおよそ3mほど。頑強な鱗で覆われた体表に、裂けた口からはワニのような牙がずらりと生え揃う。両手足からは鋭利なカギ爪が幾本も伸び、そして長く逞しい尾が鞭のようにしなる。まさに恐竜を思わせるシルエットであり、オニール中尉は“パッチ”を見る度に「『ジュラシックパーク』の肉食恐竜、ラプトルみたいだよな」と密かに思っている。

 

 だが違いもある。まず背中の背鰭。この怪獣の背中には、骨質の尖った背鰭が三列ずらりと生え揃っている。『ジュラシックパーク』のラプトルにこんな立派な背鰭はない。それに性質も大人しい。『ジュラシックパーク』の人食いラプトルどもと違って、こいつらはとてもよく人に馴れている。

 それに指先も器用だ。映画『ジュラシックパーク』のラプトルはドアを開けることが出来たが、実際のヴェロキラプトルの仲間は手の構造上ドアノブを回すことが出来なかった、とオニール中尉は恐竜図鑑で読んだことがある。

 けれど“パッチ”は違う。その気になればルービックキューブだって解くことが出来る。時折人間並み、ともすればそれ以上の賢さを発揮して驚かすことさえあるのだ。

 

 オニール中尉の相棒である“パッチ”は、恐竜ではない。

 〈タイタヌス=ZILLA(ジラ)〉と呼ばれる怪獣である。

 

 タイタヌス=ZILLA・パッチとオニール中尉たち、Gフォース=モナーク総合防除協同試験部隊〈ドラグーン〉が降り立ったのは中国、香港島の工場地帯。事前の怪獣警報により人払いは既に済まされている。よって今宵この街にはGフォースのドラグーン部隊を除き、他に人影は見当たらない。

 他には人っ子一人いない夜の工場地帯。隊員たちと共に周囲を慎重に索敵する中、オニール中尉は声を潜めて通信を飛ばした。

 

「こちら〈ドラグーン1〉……地上区画B棟を哨戒中だが、こちらの“パッチ”に“Roach(ローチ)”の反応はない。どうぞ」

 

 オニール中尉の呼びかけに、同時に降下していたGフォースの別動隊たちが返信した。

 

「〈ドラグーン2〉、こちら地上区画A棟……“フレックレス”は反応なし」

「〈ドラグーン3〉、こちら南部……同じく、こちらの“ローリー”も反応ありません」

「〈ドラグーン4〉、こちら地下区画……こっちの“ラッキー”が反応した。地下だ、近いぞ……!」

「……了解。ドラグーン1、これよりドラグーン4と合流する。ドラグーン2、3は地上で待機、高所を確保しろ」

了解(copy)……」

 

 指示を飛ばしたオニール中尉は、パッチと部下たちを引き連れてドラグーン4が探索している地下区画へと向かった。

 オニール中尉ひきいるドラグーン1小隊が、暗闇の工場地帯を慎重に進む。奥へ奥へと歩を進めてゆくうちに、オニール中尉は“パッチ”の様子がそわそわと落ち着かなくなるのに気がついた。すんすんと鼻を鳴らしながら、爪と牙をカチカチ打ち、鋭い目つきの視線がきょろきょろと浮足立つ。“獲物”が近いのだ、とオニール中尉は長年の付き合いから直感した。

 そしてまもなくドラグーン4と合流、タイタヌス=ZILLAの兄弟“パッチ”と“ラッキー”の誘導に従いながら階段を降り、地下へと進む。

 そして行き着いた先で目の当たりにしたものに、オニール中尉は愕然した。

 

「こりゃ“卵”か……!?」

 

 到達したのは、天井を食い破られた巨大工場の地下区画。その天井と壁面、見渡すかぎりに“卵”がびっしりと産みつけられていた。イクラやタラなどの魚卵に似たその卵はそれ自体が赤黒い輝きを灯しており、その一粒一粒の中で黒い怪物の幼生がぐるぐると蠢いていた。数は数え切れないが、おそらく数百は下らない。

 あまりのおぞましい光景に、小隊の誰かが半笑いで呟いた。

 

「こいつらすべて孵ったら、それこそ“怪獣黙示録”だな……」

 

 皮肉交じりの軽口だったが、誰一人笑えなかった。

 この卵の主について作戦上での符牒こそRoach(ゴキブリ)だったが、その正式な名前は〈タイタヌス=MUTO(ムートー)〉という。MUTOは生きているだけで電磁パルスをバラまき、人類文明に闇をもたらす危険な昆虫怪獣だ。成虫ともなればかの怪獣王ゴジラとも互角以上に渡り合える、『怪獣黙示録』の時代における恐るべき実力者としても知られている。

 その卵が数百匹。ぞっとしない話だった。

 呆気にとられていたオニール中尉だったがすぐさま冷静な職業軍人へと立ち返り、部下たちへ指示を下した。

 

「ドラグーン1、4、“ゴキブリ野郎”の卵を発見。数は少なく見積もっても数百、数え切れないほどだ。これより駆除を開始する」

「了解……」

 

 オニール中尉の指示の下でGフォースの兵士たちは作業を開始、息を潜めながら素早く爆薬をセットした。TNT換算数百キロ、この爆弾は電磁パルス対策を施した特殊な仕掛けだから、無数のMUTOが巣食うこの巣の中でも正常に起爆してくれるだろう。

 

「……“駆除剤”、セット完了しました、いつでも起爆できます」

「了解、引き揚げるぞ」

 

 オニール中尉の承認の下、すぐさま巣から退去しようとするドラグーン小隊。まさに、そのときのことだった。

 

 ゆらり、と黒い影が差し込んだ。

 

 思わず見上げたドラグーン小隊の一同は、ちょうど自分たちが巨大な“顔”と向き合っていることに気が付いた。

 ……背丈は50メートル以上、昆虫のような複眼に赤い光がぼんやりと灯り、蜘蛛のようなカギ爪の生えた長い手足が8本。電波を吸収する漆黒の巨体に、所々が滑らかに尖った鋭角なシルエットは、まるで最新鋭のステルス戦闘機のようだった。

 間違いない、MUTOの親玉だ。卵を産み終えたMUTOの母親は、巣のさらに奥に潜んでいたのだ。

 ……しまった。オニール中尉は叫んだ。

 

「接敵! 撤退、撤退しろ!!」

 

 迅速に動き出すドラグーン小隊の兵士たちだったが、MUTOはより素早かった。巨体に見合わぬスピードで両手のカギ爪を振り回し、チカチカとリズミカルに光らせながら地面へと叩きつける。

 途端に広まる、激烈な衝撃。着弾地点の傍にいた兵士の1人が、その衝撃で数メートルは吹っ飛ばされた。

 

「EMP攻撃か……っ!」

 

 MUTOの必殺技、EMP攻撃。体内器官が生み出した強烈な電磁パルスを局所的に凝縮し、獲物めがけて叩き込む。その出力はごく狭い範囲だが数万メガワット、MUTOはこれで瞬間的にプラズマを生成して獲物を“チン”し、ドロドロに溶かして捕食するのだ。

 大怪獣のMUTOはこの非人道極まりないEMP攻撃を、足元の人間たち目掛けて次々と繰り出していった。

 

「かわせっ!」

「発光パターンに注意しろ!」

「電磁パルスが来るぞっ……!」

 

 ドラグーン小隊の兵士たちは互いに声を掛け合いながら、必死に逃げ惑っていた。

 けれどMUTOの攻撃も執拗で、兵士たちも上階へ這い上がることがなかなか出来ずにいる。ここはいわば蟻地獄の底、このままではオニール中尉たちドラグーン小隊は逃げ場もないまま、虫けらのように叩き潰されてしまうだろう。

 

「くそっ……!」

 

 MUTOの容赦ない攻撃から身を躱しながら、オニール中尉は横目で“駆除剤”を見た。駆除剤、爆薬のカウントは停まっていない、きっとMUTOの親は、オニール中尉たちの狙いに気づいていない。いざとなれば死なば諸共、巻き添えだ。親は死なないかもしれないが、少なくとも“繁殖”は食い止められる。

 

 そう諦めかけたとき、鋭い雄叫びの二重奏が響き渡った。

 

 オニール中尉が振り返るとタイタヌス=ZILLAの兄弟、“パッチ”と“ラッキー”がMUTOへと飛びついていた。二頭揃ってMUTOの赤い複眼に爪と牙を立て、MUTOの顔面を掻きむしっていた。

 クロースラッシャーによる乱れひっかき。

 巨体で勝るはずのMUTOだが、狭い巣穴に籠っていたのが却って仇となり上手く動けず、タイタヌス=ZILLAの兄弟を振り落とせない。

 

「~~~~~~ッッ!!」

 

 たまらず唸り声を上げて巣穴を這い出てゆく、MUTOの親。

 この隙に、オニール中尉は生き残った部下たちへ声をかけた。

 

「今の内に撤退だ! 急げ、爆発するぞ!!」

 

 すぐさま態勢を立て直したドラグーン小隊の兵士たちは、オニール中尉の号令の下でMUTOの巣穴を後にする。

 その背後で彼らの設置した“駆除剤”、TNT換算数百キロの特製爆弾が刻一刻と爆破までのカウントを続けていた……。

 

 

 他方、地上へ逃げ出したMUTO、および“パッチ”と“ローリー”は熾烈な戦いを繰り広げていた。

 タイタヌス=ZILLAの兄弟をなんとか顔から振り落としたMUTOは、怒りに任せて両手のカギ爪を振りまわしていた。その巻き添えで工場の建屋が倒壊し、放置された重機が引っ繰り返る。

 “パッチ”と“ラッキー”、タイタヌス=ZILLAの兄弟は互いに声を掛け合いながら敏捷に駆け回り、MUTOの攻撃の隙間隙間を掻い潜って攪乱、工場の外へと陽動してゆく。

 そこへさらに、地上で待機していたドラグーン2と3が加勢した。

 

「パッチとラッキー、そしてRoachの親を確認!」

「フレックレス、ローリーも加勢する!」

 

 途端、外で待機していたタイタヌス=ZILLAの兄弟、“フレックレス”と“ローリー”が血気盛んに吼えながら、MUTOの首元へと食らいついた。

 巨体のMUTOにとってはタイタヌス=ZILLAの幼生などネズミのようなものだが、たとえネズミでも急所を狙われれば致命的だ。苛立ったように吼えながら、振るい落とそうと暴れ続けるMUTO。けれど“フレックレス”と“ローリー”も勇猛果敢に攻撃を仕掛け、なかなか振り払えない。

 そして今度は“パッチ”と“ラッキー”までもが攻撃を加えた。途端にMUTOはガクンと膝をつく。“パッチ”と“ラッキー”はMUTOの足の腱へと噛みつき、爪を立てたのだ。アキレス腱を切られてその場に崩れ落ちるMUTOに、四体のタイタヌス=ZILLAは一斉に躍りかかった。

 その光景を見ながら、地上へ戻ったオニール中尉が仲間のGフォース兵士たちに呼びかける。

 

蜥蜴ども(Lizards)にばっかり好いカッコさせるな! 援護するぞ!」

「了解、こちら“ロジャー”、ミサイル攻撃の許可を」

「同じく“アニータ”、こちらも援護する」

「無制限使用許可だッ、全弾、ありったけぶちこめえ!!」

「了解!」

 

 地上で待機していたGフォースの兵士たちが、手にしたメーサーライフルで一斉攻撃を仕掛けた。さらに空中で待機していたガンシップ“ロジャー”と“アニータ”も全火力でもって一斉に集中砲火を加える。

 Gフォースの標準装備である電子小銃、メーサーライフル。単体での火力としてはいささか心許ないものではあるが、弱ったところを狙うなら話は別だ。闇夜の工場でメーサーの雷撃が迸り、MUTOの全身を焼いてゆく。

 苦痛にまみれた悲鳴をあげるMUTO、その断末魔も間もないかと思われた。

 

 だが、そこへ舞い降りる、新たな影がもう一体。

 

 ……現れたのはもう一体のMUTO。ステルス機のような姿は先ほどから戦っている個体とよく似ていたが、こちらはもう少し小柄で身長は30メートル程度、さらに腕2本に代わり巨大な翼がある。翼をはためかせながら地表に降り立つ、二体目のMUTO。

 新たな敵の出現に、オニール中尉は歯噛みした。

 

「しまった、()()()かっ……!」

 

 MUTOは雌雄で()()()を作る怪獣として知られる。大柄で膂力に優れる雌と、一回り小柄だが翼で飛行可能な雄。迂闊だった。雌のMUTOと接敵、いいや卵を見つけた時点で雄のMUTOの存在は予測しておくべきだった。

 けれどオニール中尉たちGフォースに悔やんでいる時間はない。新たに参戦したMUTOの雄は、嬲り殺しにされていた雌を労わるように寄り添うと、今度は怒りの雄叫びを上げてGフォースへと襲い掛かった。

 吹き荒れる暴風、揺れ動く地鳴り。

 翼をはためかせて強風を巻き起こす雄と、巨体に任せたパワープレイでごり押してゆく雌。

 タイタヌス=ZILLAの四兄弟とGフォースによる巧みな連係プレーも、巨大怪獣の夫婦二体による同時攻撃を相手にしてはいささか力不足が否めない。タイタヌス=ZILLAもGフォースも、どちらも怪獣夫婦の足元を逃げ惑うしかない。あっという間に形勢を逆転されてしまう。

 大怪獣MUTOの猛威に仲間たちが蹂躙されるその最中、オニール中尉は無線へと怒鳴った。

 

「くそっ、うちの“ポンゴ”はまだかっ!?」

 

 そう叫んだ時、“変化”は起こった。

 まず起こったのは、路面への巨大な亀裂。まるで絹でも裂くかのように、頑強なアスファルトに裂け目が走る。続いてマンホールの蓋が吹き飛び、引っ繰り返る。まるで下水道内部の圧力が破裂したかのように。

 砕け飛ぶ路面、崩れ落ちる工場の建屋。その地底から這い出たのは……

 

「〈GODZILLA(ゴジラ)〉……!」

 

 地中から立ち上がる姿、見上げてわかるその巨体。

 ……身長50メートル、体重は1万トン。スマートだが筋肉質な身体つきと、俊敏な動きに特化した流線型の体躯。まるで怪獣世界におけるオリンピックの、一流アスリート選手のようだ。子供である“パッチ”や“ラッキー”、“ローリー”たちと比べても、その精悍な逞しさは歴然である。

 タイタイヌス=ZILLAたちの親であるゴジラの一種、通称〈エメゴジ〉だ。エメゴジが咆哮を上げた。

 

「――――――――ッッ!!!!」

 

 エメゴジによる号令、アルファコール。

 その勇猛な声を聴いた途端、タイタヌス=ZILLAの兄弟たちはより一層発奮し、挫けかけた意気を取り戻してMUTOの()()()へ襲い掛かった。

 無論、MUTOも負けてはいない。雄MUTOは翼をはためかせて飛び上がり、雌MUTOは威嚇の雄叫びを挙げて突進、二体同時にエメゴジへと組み打つ。

 MUTO二体による、空と地上からの同時攻撃。その牙を、爪を、エメゴジは身のこなし一つで躱し、いなし、弾き返してゆく。腕も足も尾も使わず、俊敏な回避運動だけで二体のMUTOの攻撃を捌ききる。

 エメゴジが、唸る。

 

「グルルル……ッ!」

 

 まるで空気そのものが唸ったかのような、まさに大迫力の咆哮だ。それは仲間であるオニール中尉ですら思わず身を竦めてしまうほど凄絶だった。

 一見すると細身で華奢に見えるエメゴジだったが、その膂力は桁違いのものだった。頭上から飛び掛かった雄MUTOは大あごで噛みついて受け止め、雌MUTOは顔面へのハイキックで蹴散らしノックダウンさせる。

 

「~~~~~~~~ッ!!」

 

 翼へ喰らいつかれた雄MUTOは自由になろうと藻掻いていたが、エメゴジの怪力を前にしては到底逃れられず、そのまま幾度も叩きつけられる羽目に陥った。

 地面へ、工場の建屋へ、そして再び地面へ。エメゴジが雄MUTOを叩きつける都度、一帯に衝撃の波紋が広がってゆく。

 散々叩きのめされた雄MUTOがほどよく弱ったところで、エメゴジはいよいよ仕留めにかかった。小柄な雄MUTOを逞しい脚で踏みつけ、足蹴にして、全体重でもって抑えつけながら噛みついた。

 ステーキナイフよりも凶悪な牙が無数にぎらつく大顎:スパイクジョーで、雄MUTOの首筋へ深々と食らいつく。

 

「ぴ、ピギゅ、ぃッ……!」

 

 その光景は、肉食獣が獲物にトドメを刺す瞬間に似ていた。

 頚椎を噛み砕かれて雄MUTOが悲鳴を上げたが、エメゴジは気にも留めない。エメゴジが顎へ力を込める都度に、雄MUTOの外骨格がメキメキバキバキと音を立てて挽き潰されてゆき、そして、

 

「……ッ!」

 

 ぐしゃっ、ぼきっ。

 硬いものと柔らかいものが同時に潰れるような音が響くと同時、雄MUTOの首と胴体は泣き別れになった。エメゴジによって首根っこを喰い千切られてしまったのだ。

 かくして雄MUTOは絶命した。

 雄MUTOを斃したエメゴジだったが、休んでいる暇はない。続けて、ノックダウンから立ち直った雌MUTOが、咆哮を挙げながらエメゴジへと襲い掛かる。()()()を殺され、雌MUTOは怒りに燃えていた。

 エメゴジも負けていない。咥えたままだった雄MUTOの生首を放り捨てると雄叫びを轟かせ、迫る雌MUTOを真正面から迎え撃った。

 

 ズズウン、一帯に激震が走る。

 

 始まる第二ラウンド、今度の対戦カードはエメゴジと雌MUTOだ。今度こそ真っ向勝負、エメゴジと雌MUTOの二大怪獣は互いに突進し、そして真正面から組み打った。

 ぎりぎりみちみちと互い両者の筋肉がはち切れんばかりに躍動し、巨大怪獣たちの足と足が互いに地面へめり込んでゆく。真正面からのパワーは互角、あとは根性、ひいては精神力の差。

 

 そして勝ったのは、エメゴジだった。

 

 押し負けた雌MUTOはエメゴジの両手で担ぎ上げられて、そのまま思いきり投げ飛ばされる。エメゴジの投げ技はまるでジュードー、数万トンにも及ぶはずのMUTOの巨体がふわりと宙へ舞い上がる。そして投げ飛ばされた先は、先ほど這い出たばかりの地下工場の巣穴だ。

 雌MUTOは悲鳴を上げながら、もといた地下の巣穴へと放り込まれてしまう。

 

「~~~~~~~~……ッ!」

 

 墜落と同時、盛大に巻き上がる噴煙。なおも這い上がろうとする雌MUTO。

 だが、エメゴジは決して許さない。やがて背鰭を光らせ始める。

 

 ――ブゥゥン……ブゥゥン……ブゥゥン……!

 

 暗闇をリズミカルに照らしはじめる、背鰭の光。空気を揺るがす、地鳴りのようなハムの低周音。それはまるで、発電機のトランスフォーマーが起動するときの光景にも似ていた。

 エメゴジが背負う光の律動は、興奮する脈拍のように早まってゆく。

 

 ブゥン、ブゥンッ、ブゥンッ……ッッ!!!!

 

 そして、背鰭の光とリズムと地響きが、それらすべてが極限に達すると同時。

 エメゴジはその()()()を開き、体内にみなぎるエネルギーの迸りを解き放った。

 

 闇夜を照らす、鮮緑の閃光。

 エメゴジ必殺、放射火炎(パワー・ブレス)だ。

 

「……ッ!?」

 

 巣穴をよじ登ってきた雌MUTOは、エメゴジによる放射火炎を顔面から受けることになった。

 エメゴジによる止め処ない灼熱の猛火がMUTOを襲い、上半身を、そして総身を覆ってゆく。体中を焼かれた雌MUTOはここでも押し負けた。

 そして再び、地の底へ。

 全身炎の塊と化した雌MUTOは絶叫を挙げながら、自らが卵を産み付けた巣穴、工場の地下スペースへと転げ落ちてゆく。

 その光景を見届けながら、オニール中尉が叫んだ。

 

「今だっ、起爆しろっ!!」

 

 オニール中尉の命令に従い、兵士の一人が遠隔操作で爆薬の起爆スイッチを押した。地下に設置された爆薬が、一斉に爆発した。

 

 ドォォ――――ン……!!

 

 大地を揺るがすほどの轟音と共に、特大の爆風が盛大に舞い上がる。工場地下に設置されたTNT換算数百キロの爆薬、その恐るべき破壊力で地下の空間が震え、工場地帯全域が揺れた。

 その衝撃波は地上にも伝わり、建物の窓ガラスが次々と粉々に砕け散った。降り注ぐ瓦礫と破片を前に、ドラグーン小隊の兵士たちは咄嗟に身を庇う。

 爆破の余韻が収まり煙が晴れたところで、オニール中尉はすぐさま動き出した。

 

「状況、状況は……っ!?」

 

 一帯を覆い尽くすほどの粉塵が晴れると、現れたのは無数の瓦礫と巨大なクレーター。きっと土台部分が破壊されたためだろう、MUTOの巣と化していた工場は完膚なきまでに破壊されていた。産みつけられていたMUTOの卵もひとつ残らず焼かれ、生まれる前に死に絶えている。

 

「やったか……!?」

「いや、まだだ。卵は死んだが、親がまだだ」

 

 全てが終わったかのような静けさだったが、オニール中尉は厳しい目で瓦礫の山を見つめていた。部下たちも息を呑み、その動きを見守っている。

 突然、地面が震え始めた。

 

「来るぞ、準備しろ!」

 

 少佐の声が響き渡る。タイタヌス=ZILLAの兄弟たちも鋭い目つきで瓦礫を見つめ、身構える。

 途端、瓦礫の山の中から黒くて巨大なカギ爪が現れた。

 

「~~~~~~ッッ!……」

 

 地獄のような呻き声と共に、雌MUTOの巨体がゆっくりと姿を現した。MUTOは瀕死の状態にありながらも、まだ息絶えてはいなかった。全身はすっかり焼け焦げ、片目は完全に潰れていたが、その赤い複眼にはなおも怒りと憎しみの炎が宿っていた。

 

「バケモノめ……!」

 

 オニール中尉は冷静に指示を飛ばした。

 

「全員、総攻撃だ! リザードたち、頼むぞ!」

 

 エメゴジは一瞬の躊躇もなく、MUTOに向かって猛然と突進した。タイタヌス=ZILLAの兄弟たちもその後に続き、MUTOに襲いかかる。エメゴジの巨体が地面を踏みしめる度に、大地が揺れ動く。

 雌MUTOは最後の力を振り絞り、エメゴジに向かって爪を振り下ろそうとする。しかし、エメゴジはその攻撃を容易く躱し、逆に自らの爪でMUTOの胸を切り裂いた。

 

 鋼鉄のアンカーにも似た、重くて強烈なエメゴジのカギ爪。

 凝縮されたメガトン級の一撃が、雌MUTOの内臓を抉り取る。

 

 胸元を抉られた雌MUTOは苦しそうに喘ぎながらも、最後の力を振り絞り、エメゴジとタイタヌス=ZILLAたちへと襲い掛かった。

 しかし、勝負はもはや既に決したようなものだった。エメゴジは強力な顎でMUTOの首に噛みつき、そのまま投げ飛ばした。

 オニール中尉は再度命令を下した。

 

「全火力を集中しろっ!!」

 

 Gフォースの兵士たちは一斉にメーサーライフルを発射した。MUTOは激しく身をよじりながら、苦しげな叫び声を上げる。

 その瞬間、エメゴジが再び咆哮を上げた。

 その轟音はまるで大地そのものが唸っているかのようだった。エメゴジはゆっくりとMUTOの方へ歩み寄り、その巨体を覆う筋肉が力強く動いた。MUTOは全身を焼かれながらもエメゴジの接近に気づき、最後の力を振り絞って立ち上がろうとした。

 

 しかし、エメゴジはその動きを見逃さなかった。

 

 エメゴジの背鰭が再び光を帯び、エネルギーが集中する。次の瞬間、エメゴジの口から放射火炎が迸り、MUTOの全身を包み込んだ。怯んだ雌MUTOの絶叫が、夜空に響き渡る。

 その一瞬の隙を突き、エメゴジは再びその顎を開いて雌MUTOの喉元へと食らいつき、地面に押さえつけた。全身を幾度も焼かれ、すっかり弱った雌MUTOは抵抗すらままならない。

 

 そしてエメゴジは、渾身のメガトンキックで思いきり雌MUTOを蹴りつけた。

 

 エメゴジの顎と体重、そして脚力の相乗効果は、まるで地獄の断頭台のようだった。

 雌MUTOの哀れな悲鳴と共に、肉と甲殻が引き千切られる音が響く。焼かれて脆くなった雌MUTOの体では、エメゴジのダブル必殺技の前に耐え様がない。MUTOの首が噛み切られて吹っ飛んでゆき、こちらも胴体から泣き別れとなった。

 頭を失った数万トンの巨体が倒れ、大地震のような衝撃が響き渡った。雌MUTOの体が完全に力を失い、その目からも生命の光が消えてゆく。

 その様子を見届けながら、オニール中尉は呟いた。

 

「……状況、終了だ」

 

 雌MUTO、殲滅。それを確認したところで、オニール中尉はようやく一息つくことができた。

 疲労と安堵が一気に押し寄せる中、隣にすり寄る者がいた。相棒のタイタヌス=ZILLA、パッチだ。パッチはまるで甘えるかのようにゴロゴロと喉を鳴らしながら、オニール中尉へ頭を擦り寄せてくる。

 

「ありがとな、パッチ」

 

 少佐は、パッチの頭を優しく撫でてやる。

 パッチだけじゃない。ラッキー、ローリー、フレックレス……他のタイタヌス=ZILLAもまた一様に、相棒のドラグーン小隊の兵士たちから褒めてもらいたがっていた。

 戦いのときは勇猛果敢な猟犬であるタイタヌス=ZILLAだが、ひとたび戦いを離れれば、その気質はとても人懐っこいものだ。獰猛な怪獣に懐かれて、最初の頃こそおっかなびっくりに接していたGフォースの兵士たち。しかし、なんだかんだで慣れてしまえば平気なもので、近頃はむしろ可愛いとすら思えるようになっていた。

 

 やがて差し込む眩しい陽光。オニール中尉が気づいたときには、既に夜が明けていた。

 共に戦ったタイタヌス=ZILLAの兄弟を労ってやったあと、オニール中尉たちドラグーン小隊は今度は頭上のエメゴジの方へと振り返った。身長50メートルのエメゴジは、工場地帯の瓦礫の山に立ちながら足元の人間たちを見下ろしている。

 エメゴジの目線は爬虫類ではあるが、そこに籠められたものはなんだか穏やかなものであるかのようにオニール中尉には思えた。

 やがてエメゴジは朝焼けの輝きを背に、誇らしげに咆哮を上げた。

 

 

「――――――――ッッ……!!!!」

 

 

 長らく響くエメゴジの雄叫び、戦勝を告げる勝鬨(かちどき)の声だ。

 ドラグーン小隊の兵士たちも、タイタヌス=ZILLAの兄弟たちも併せて歓声を上げた。怪獣王の勝利により、香港の街は再び平和を取り戻したのだ。共に勝利を祝う人間とゴジラたち、その姿はまさに人類と怪獣が共闘して得た勝利の象徴だった。

 その光景を前にしながら、オニール中尉は再び呟いた。

 

「……戦いは、変わった」

 

 けれど、どこか晴れやかで好い気分だと、今のオニール中尉には思えたのだ。

 

 

「『エメゴジはゴジラではない』って、どーゆーことですかアッッ!?」

 

 そう開口一番に声を荒げる白衣の女性は〈アンナ=チャールトン〉。モナークの科学者である。

 対するは、豪華な執務机に座る壮年の男性、招かれざる来訪者の登場にコップを片手に動きを止める。彼は特務研究機関モナークの分科会であるゴジラ学会の事務局長で、此処はその局長室。事務局長はとりあえず苦みの強いコーヒーを啜ってから、突然の来訪者の姿をチラリと流し見する。

 ……うちの職員である。自分たちモナークの研究員でもある。チャールトン博士が胸元に垂らしたIDカードがそれを証明していた。

 ……ああ、厄介だな、とうっすら思いながら事務局長は答えた。

 

「そうは言ってもチャールトン博士、『ミサイルで倒される』となるとやはりゴジラとは言い難いのでは……」

 

 気性の荒い馬を宥めるように、事務局長は慎重に言葉を選んだ。しかし、チャールトン博士の怒りは治まる事を知らなかった。

 

「ミサイル攻撃でノックダウンされたゴジラなら他にもいますっ、第一そのような事項が学問上の分類に何か関係があるというのですかっ!?」

「そりゃまあ、そう、だが……」

 

 まるでオフィス丸ごと吹っ飛ばしてしまいそうな剣幕のチャールトン博士を前に、事務局長は目線を泳がせながら答えた。

 

「君の専攻である怪獣エメゴジ、つまりタイタヌス=ZILLA(ジラ)について、今度の学会で『その分類をゴジラ類からリドサウルス類へ改める』ということで決まったんだよ。まあ、セリザワ=スケールについては変更はないから、今より格が落ちるということではないよ」

「そういうことを言ってるんじゃアありませんッ!!」

 

 チャールトン博士は、バンと両手で執務室の机を叩いて距離を詰める。

 

「エメゴジだって立派なゴジラでしょうが! 身長50メートル以上の巨体、三列の背鰭、直立した二足歩行の姿、放射能を帯びた特殊な体質……彼らだって、いいや彼らこそゴジラと呼ばれるに値しますっ!」

「し、しかしだね……」

 

 懸命に自説を主張するチャールトン博士に対し、事務局長はたじたじになりつつ渋るのだった。

 

「ゴジラと言えばもともとの原種は『古代恐竜が核実験で変異したもの』だろう? それに引き換えタイタヌス=ZILLAはどう見ても、ただの走り回る巨大なイグアナでは……?」

 

 事務局長の考える一般的な正論は、チャールトン博士の耳には届かない。チャールトン博士は再度、両手を机に叩き付ける。

 

「エメゴジはイグアナじゃありません、ワニをベースにした新種のキメラ爬虫類ですっ!」」

「いや、そんなの些細なことじゃ……」

「それに『ゴジラは古代恐竜が変異したもの』というのは、すべてのゴジラに当てはまるわけじゃあないでしょうが。それを言うなら本来はペルム紀の古代生物だったレジェゴジや、深海生物から進化したシン・ゴジラ、それに植物由来のゴジラ=アースはどーなるんですかっ」

「レジェゴジはともかく、シン・ゴジラやゴジラ=アースについては『本来のゴジラではない』という意見もあるがね……」

「そんなの、ただの権威主義者な懐古厨どもの世迷い言でしょぉーがァっ!」

 

 喧々諤々、二進も三進もいかぬ言い争い。焦れた様子のチャールトン博士はとうとう「とにかく!」と机に掌を再三叩きつけながら声を張り上げた。

 

「巷の無責任なゴジラオタクどもがなにをどうほざいてるか知りませんけどねっ、そんなものに(おもね)るだなんてことは愚劣な大衆迎合です、学問への冒涜ですっ、理性に対する反知性ですっ、史学、生物学、文化社会学、ありとあらゆる科学の敗北ですっ、そんなのは真理を探求する研究機関のとるべき態度ではありません! エメゴジにまつわる学徒の一人、いやこの世界で怪獣たちと平和共存を模索して生きる人間の一人として、厳重に抗議しますッッ!!」

 

 では、これにて失礼しますッ。

 言いたいことを言うだけ言ったあと、怒り肩を揺らしながらチャールトン博士はオフィスから出ていってしまったのだった。

 

「……ふう、やれやれ」

 

 事務局長が一息ついているあいだ、チャールトン博士と入れ替わるようにオフィスに入ってきたのは、事務局の秘書である。

 秘書はすれ違ったばかりのチャールトン博士の姿を横目でちらりと見たあと、事務局長へ小声で訊ねた。

 

「……あの、何かあったのですか? 部屋の外まで聞こえてくるような凄い剣幕でしたが……」

 

 気遣う秘書に、事務局長は額の汗を拭いながら答えた。

 

「彼女はアンナ=チャールトン博士、タイタヌス=ZILLAを本格的に飼育研究した最初の一人だ。ZILLAのことをゴジラの一種だと言い張って聞かんのだよ」

「ZILLAが、ゴジラの一種??」

 

 事務局長の言葉に、秘書は耳を疑った。なにが、何と同類だって?

 

「あの『ゴジラとは名ばかりなり』『マグロ喰ってるヤツ』で有名な強脚怪獣ZILLAのことですか?」

「ああ、そのマグロ喰ってるZILLAだ」

 

 脱力気味に首肯する事務局長へ、秘書はさらに聞き返す。

 

「ZILLAといえばたしかに最初の発見時はゴジラと()()されたとも聞きますし、系統的にも近縁とされていると聞いています。しかし怪獣研究が進んだ今では、あの怪獣をゴジラそのものだと認める者はいないはずです」

「それが……」

 

 と、至極言いにくそうな様子で、事務局長は答えた。

 

「『タイタヌス=ZILLA平和的共存新種説』、チャールトン博士の唱えた新説だ。いわく、『タイタヌス=ZILLAはゴジラの新種、我々人間と平和的共存が可能である』……とね」

「なるほど……珍説というかトンデモというか、彼女、なかなかの変わり者ですね……」

「まぁ、そう、だよなあ……」

 

 秘書官の率直な感想に、事務局長も賛同するように頷いた。

 

「言っておくが、チャールトン博士のことは認めているよ。彼女は真面目だし優秀だ。彼女のひたむきな研究が、タイタヌス=ZILLAの生態解明に一役買ったのは事実だからね」

 

 ZILLAという怪獣がこの世界で初めて発見されたのは怪獣大戦争よりも以前、オペレーション=エターナルライトでの戦線でのことだ。

 マンダ、ビオランテ、ゴロザウルス……ヨーロッパへ進出した怪獣軍団、その中で最も危険な脅威と見なされた存在こそが怪獣ZILLAであった。軍隊のミサイル集中砲火さえ容易く躱してしまう俊敏性、常に人間の作戦を裏をかき出し抜く狡猾な知能。これまでもない脅威に、Gフォースは散々翻弄されることになった。

 そして何より恐れられたのが、その繁殖力だ。ZILLAは無性生殖の体質を持ち、つがいでないたった一匹からでも無尽蔵に殖えることができた。もしもそのまま増殖を続けていたら計算上、たった一年で人類へ取って代わる新たなる支配者になり得ていたとさえ云われているという。

 フランスに出現したZILLAは瞬く間に数を増やし、さらに群れの力による巧みな連携プレーで人間たちを追い出してルーアンを占領、ひいてはフランス全土を自分たちのテリトリーとしてしまった。

 本物のゴジラとは違う方向性で制御不能だった、恐るべき怪獣ZILLA。オペレーション=エターナルライトにおけるGフォースとの死闘の末に制圧されたものの、その種は生き残り、現在は国際機関モナークの管理下におかれている。

 

「そのタイタヌス=ZILLAが今我々人間と共存できているのはチャールトン博士と、彼女のチームによる功績と言っていい。それはいいんだが……」

 

 そして事務局長は溜息を零しながら、ぼやいた。

 

「やっぱりマグロ喰ってるようなのは、ゴジラとは認めがたいんだよなあ……」

 

 

 まったく、屈辱の極みだ。

 事務局からの帰り道、わたし:アンナ=チャールトンは、胸の内に嵐のような不満を抱えながら自分の研究所へと急いでいた。今のわたしはまさに怒髪天、怒りが沸点を越えていた。あまりに怒りが収まらないので、あえてカツカツとヒールの音を打ち鳴らしながら歩く。

 

「まったく、なによっ……!」

 

 自分の研究が、モナークの上層部にこんなくだらない形で踏み躙られるとは想像もしていなかった。怪獣との共存、それに向けた研究の最先端であるはずのモナークともあろうものが、こんな愚劣な決定を下すなんて。怒りに満ちた脳内で、事務局長の言葉が何度も繰り返される。「ゴジラとは言い難い」ですって? エメゴジがゴジラでないなら、何がゴジラだというのか。

 エメゴジ、いやタイタヌス=ZILLAこそ立派なゴジラだ。彼らも、いいや人間世界の無理解に晒されている彼らこそ、わたしたちモナークが率先して尊重し擁護すべき存在ではないのか。それを『エメゴジはゴジラではない』ですって? まったくふざけたことを。

 

「ただいまッ!」

 

 バタンッ! 扉を開け閉めする音がいつもより大きく響いた気がしたが、そんなことはどうでもよかった。

 怒りに燃えるわたしが研究室に戻ると、そこで待っていたのはどこかとぼけた雰囲気のある男性科学者。

 彼は、鷹揚に手を振って応えた。

 

「やあ、おかえり、アンナ」

 

 瓶底眼鏡に温厚そうな目つき、いかにもオタクって雰囲気の彼の名前は〈ニック=タトポロス〉。モナークにおける同僚でわたしの共同研究者だ。なによ、この緊急事態にのほほんとコーヒーなんか飲んじゃって。

 そんなわたしの苛立ちを知ってか知らずか、普段通りの平穏な態度でニックは問いかけた。

 

「まあ、その様子じゃ聞くまでもなさそうだが……どうだった、例の“分類”の件?」

「ふん、最悪も最悪、最悪の中の最悪よっ!」

 

 わたしは頭が湯気が立ちそうな勢いでニックに答えた。

 

「なにが『マグロ喰ってる奴』よ、人間の方こそスシ・ブームでマグロを喰いすぎて絶滅寸前にまで追い込んでるくせに。ZILLAがマグロ喰ってる奴(ツナイーター)だというなら、人間の方こそツナイーターじゃないのかしらっ!?」

「うーん、そうかもしれないねぇ」

 

 冷めたコーヒーを啜りながら適当な相槌を打つニックに、わたしはなおも続けた。

 

「それに、マグロを喰ってる奴がダメというなら、出現する度に魚の不漁を起こしたという大戸島の呉爾羅(ごじら)こそどうなのよ。初代ゴジラこそまさに『マグロを喰ってる奴』じゃあないの? 迂闊にマグロマグロ馬鹿にすることは、マグロを食べているすべての生き物への侮辱よねっ」

「うーん、それは言い過ぎな気もするけど……」

 

 憤懣やる方ないわたしを話半分で相手にしつつ、ニックはゴソゴソと棚を漁りながら答えてくれた。

 

「まぁたしかに、エメゴジが他のゴジラたちとかなりイメージが違うのは事実だからねえ。リドサウルス自体は比較的タイタヌス=ゴジラの近縁と言われているし、セリザワ=スケールが下がらず、怪獣(Titan)のカテゴリから外されなかっただけでも相当譲歩していると思うよ」

「でも、でもっ……」

「ちなみに今回の決定に関しては、リドサウルス学界の研究者たちも反発しているらしいよ。『リドサウルスはそもそもゴジラと近縁などではない。ましてやエメゴジ()()()と一緒にするな』だとさ。だからリドサウルス研究者からも抗議の声が上がれば、ゴジラ学会もじきに……」

「なんか、()()()ですって!? ぬ、ぬ、ヌガァあ~~~~ッ!!」

 

 まったく、どいつもこいつもっ!!

 ブチキレそうになるわたしに対し、ニックはいつもどおりの穏やかな態度で「まあまあ」と宥めようとする。

 

「まぁそうやって怒るのもいいけど、そんなことよりエガートン=オーバリーの映画『KIRYU FINALWARS』がサブスク入りしたようだよ。これから観るけど、アンナも観るかい?」

「そんなことより、ですってえ?」

 

 へらへらしているニックに見ているうちに、わたしの中で怒りがますますぶり返してきた。

 ……一見すると冴えないオタク男にしか見えないニック=タトポロスであるが、こう見えて誰よりも優秀な学者である。『放射能汚染をはじめとする環境破壊による生物変異と生態系の変化』というテーマへずっと真摯に向き合ってきたし、そんなニックと共同研究者になることが出来た幸運については感謝してもしきれない。もしニックの知見がなければ、わたしのエメゴジ研究もきっとろくに進んでいなかったろう。

 

 ただ一方で、ニックは見た目どおりのオタク気質なところがある。

 たとえばエメゴジに出会う前、ニックは国連の原子力規制委員会に雇われていた。チェルノブイリでミミズを標本として研究していたことから、当時は『ミミズ野郎』なんて陰口を叩かれていたという。

 けれど、ニック当人はそのことを茶化されても平然としている。今わたしと共に手掛けているエメゴジ研究だって、周りからいくら馬鹿にされてもまるでヘラヘラと気にしない。それこそ傍から見ているわたしの方が苛立たしくなるほどに。

 良く言えば謙虚、悪く言えば無頓着。もっと認められていいはずなのだ、エメゴジも、そしてニック=タトポロスも。

 そんなニックの在り方が、わたしは心底不満だった。

 

「ニック、あなたがそんな弱腰でいい加減だから、周りからナメられるのよっ! ちょっとはあなたも怒るべきだわっ!」

「ま、そうかもねぇ……で、観るの? 観ないの?」

「……観る」

 

 ……あらかじめ断っておきたいのだが、別に映画が面白くて観るわけではない。オーバリーの映画は脚色も多いが、怪獣のディテールは徹底的に考証を重ねた上でとてもこだわって作られており、わたしたち怪獣研究者にとってもとても参考になるのである。

 

「アマプラで見る? それともネトフリ? ワーナーのサブスクにもあるっぽいけど」

「ネトフリで」

 

 そう、飽くまでも研究のためだ。わたしがオーバリーの映画を観るのは学術的な目的なのであって、別に特撮が見所とか怪獣の活躍がカッコいいとかそういうのではないのである、断じて。

 

「オッケー、じゃあつけるね」

「……そうね」

 

 そしてわたしとニックは二人並んでソファで映画鑑賞……もとい『映画文化を通じた、世間における怪獣のイメージについてのフィールドワーク』を始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 舞台はオーストラリア、シドニー。

 夜のハーバーは月明かりに照らされ、不気味な静寂に包まれていた。遠くで打ち寄せる波の音と、時折響く夜鳥の鳴き声だけが、この街が息づいていることを物語っていた。

 その静謐は、突如として破られた。

 轟音が大気を震わせ、地面を這うような振動が街全体を揺るがした。オペラハウスの特徴的な帆のような屋根が月光の下で不気味に揺らめく。恐怖に駆られた市民たちは、アパートの窓から、オフィスビルの隙間から、その光景をこっそりと覗き見ていた。

 

 そこに現れたのは、人類の英知の結晶。

 銀色に輝く巨大な機械の龍王。

 

 全長50メートル、総重量3万トン。両肩には最新鋭のミサイルランチャーを装備し、両腕には破壊力抜群のレールガンを搭載。全身に配された最新鋭の武装が月明かりを反射し、冷たく煌めいていた。

 

 その名は、人類最後の切り札――〈メカゴジラ機龍〉。

 

 

 それを目の当たりにしながら、漆黒のコートをまとった侵略者の司令官が歯噛みするように呟いた。

 

「メカゴジラ機龍め、オマエの強さを確かめさせてもらう……!」

 

 侵略者の司令官が装置を操作すると、シドニーの夜空に巨大な円盤が出現。その中心から眩いばかりのテレポート光線が照射される。光が収束すると、そこには巨大な影が立ち現れていた。

 

 フルCGで再構築された究極の生物兵器:ZILLA。

 

 侵略者によって改造された怪獣ZILLAは、赤く輝く瞳でメカゴジラ機龍を睨みつけ、轟音となって響き渡る咆哮を放った。その声は、シドニーの高層ビル群に反響し、不気味な余韻となって街中に漂う。

 対峙する二つの巨影。

 街全体が、その圧倒的な存在感の前で息を呑んでいた。

 

 膠着状態は、一瞬にして破られた。

 

 メカゴジラ機龍の口が大きく開き、内蔵された2連装メーサー砲から青白い稲妻が放たれる。数百万ワットの破壊エネルギーが、夜空を切り裂いた。

 だが、ZILLAの動きはそれを上回っていた。メーサー光線が閃く一瞬の隙をついて、洗練された肉体を持つZILLAは跳躍。鋭い爪と牙を剥き出しにしながら、メカゴジラ機龍に向かって襲いかかった。

 

 しかし——それは罠だった。

 

 メカゴジラ機龍は微動だにせず、むしろZILLAの攻撃を誘い込むかのように待ち構えていた。そして完璧なタイミングで、コークスクリューブローを繰り出す。

 鋼鉄の拳がZILLAの顎を捉えた瞬間、衝撃波が街中に響き渡った。ロケットブースターで加速された一撃は、ZILLAの巨体を軽々と弾き飛ばし、その姿はオペラハウスめがけて叩きつけられた。

 

「グァァァァァァ!!」

 

 悲鳴とも咆哮ともつかない叫び声が響き渡る中、メカゴジラ機龍の胸部装甲が大きく展開。内部に仕込まれた三連装メーサーキャノンが青白い光を放つ。

 轟音と共に放たれた光線は、ZILLAの身体を貫通。オペラハウスごと一帯は眩い光に包まれ、爆発の余波が港を震わせた。

 ……戦いは、わずか数秒で終わりを告げた。まさに、瞬殺である。

 その光景を目の当たりにし、侵略者の司令官は屈辱に悶え苦しんでいた。

 

「……~~~~~~ッッ!(声にならない呻き)」

 

 やけに子供じみた仕草でさんざん地団太を踏む侵略者の司令官。遣る方無い怒りをなんとか発散させたあと、やがて諦めたような様子で溜息をついた。

 

「やっぱり、マグロ喰ってるようなのはダメだな……次だ、次!」

 

 

 

 

 

 

「なんなのよ この映画はアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

 というか巷でやたらとマグロマグロ言われるの、この映画(FINALWARS)が元ネタかよ! 実際のエメゴジの食性はたしかに魚食だけど、別にマグロに限らないのに!!

 

「ひどい、酷すぎるわッ、エメゴジへの中傷よおっ!!」

「まあまあ。所詮、娯楽映画だし」

 

 そもそも『KIRYU FINALWARS』とは、何年か前に公開されたエガートン=オーバリーの特撮怪獣映画だ。

 アベンジャーズの完結編よろしく前後編の二部作で、主役は『怪獣黙示録』史上最大の武勲艦と讃えられる最強の対怪獣防衛兵器∶メカゴジラ機龍。ストーリーはメカゴジラ機龍の就役から始まり、『怪獣大戦争』の激戦を経て、最後の戦い:FINALWARSへと挑んでゆくという内容である。

 ……それはいいのだが。

 

「それにしたって史実考証がデタラメすぎるでしょっ! だいたい『怪獣黙示録の史実を基にした実録映画』って触れ込みだけど、ぜんぜん史実を再現なんかしてないじゃあないのっ! メカゴジラ機龍の完成はオペレーション=エターナルライトのあとだし、ZILLAが出現したのはオーストラリアじゃなくてフランスだしっ!!」

「まあまあ。別に記録映画じゃないんだし」

 

 実際のオペレーション=エターナルライト当時にはまだ計画段階で、下手すると建造すら始まっていなかったはずのメカゴジラ機龍が、なぜかオペレーション=エターナルライトに出撃するなんてのはまだまだ序の口。

 史実ではヨーロッパの解放戦線でしかなかったはずのオペレーション=エターナルライトがなぜか全世界規模になっているし、当時まだ存在が確認されていなかったはずの氷結怪獣シーモや暴君スカーキングまで暴れていたことになっているし、挙句の果てには『怪獣黙示録は実は宇宙からの侵略者による謀略だった!』なんていうブッとんだ超展開になり、主人公たちはメカゴジラ機龍の腕のドリルで天元突破、侵略者のマザーシップへと突貫してゆく始末。

 

「……でもまあ、いいじゃん」

 

 憤懣やるかたないわたしだけれど、ニックの方は至極楽しそうだった。

 

「『この戦いで試験運用されていたメカゴジラ機龍が、意図せずしてヒロインを助けてくれた』ってことにしておけば、後々で出会う場面の伏線になるし、その方がお話としてドラマチックで面白いじゃない。それに、オペレーション=エターナルライトを絡めたストーリーにすれば、マンダとかビオランテとかゴロザウルスとか怪獣も沢山出せるしね」

 

 むろんひたすら怪獣プロレスばっかりやっていては映画にならないので、ちゃんと人間ドラマパートもある。ヒロインはメカゴジラ機龍と共に戦い、『戦乙女(ヴァルキリー)』の異名をとったGフォースの女性軍人。この映画は、そんな彼女の一代記という側面もある。

 ……ちなみにこのヒロイン、実際にメカゴジラ機龍を運用していたGフォース特殊部隊の隊長がモデルらしいのだが、あまりにも無茶苦茶すぎて実在の人物とはとても思えなかった。なんでいきなり超能力に目覚めて、しかも侵略者の司令官とワイヤーアクションのカンフーで戦ってんのよ。おまけに侵略者の司令官の方もそれまで冷静沈着な態度だったかと思いきや、急に「鍛えているのは数学だけだと思ったか……ッ!?」なんて言いながら長身痩躯の筋骨隆々な肉体美を見せつけ始めるし。

 

「ツッコミどころを挙げてたらそれこそキリがないわっ、まったく! ぶつくさぶつくさ……」

 

 ひたすら不満を並べ立てるわたしだったが、その隣でニックが胡乱な目で見ているのに気が付いた。

 ……なによう、その生温かい目は。思いきり睨みつけてやるのだが、ニックは微笑みを堪え切れない様子で言うのだった。

 

「……とかなんとか言って、最後まで観てたくせにね。メカゴジラ機龍が『SAYONARA』ってヒロインにメッセージ残しながら最後の戦いへ挑むクライマックスなんて、おんおん号泣しながら観てたじゃない」

「あ、あれはズルよ! 演出が卑怯だわ! あんな展開されたら涙くらい流すのが人情でしょうが!!」

 

 ……なにを言い訳してるんだろう、わたしは。

 そんなわたしに、ニックは笑いかけた。

 

「……でも、面白かっただろ?」

「……うん」

 

 そうなのだ。『KIRYU FINALWARS』は面白い映画だった、それも小憎らしいほどに。

 最新鋭のVFX特撮がふんだんに用いられ、笑いあり、涙あり、派手なアクションにメロドラマもあり、ハチャメチャで、ワンダーで、とにかく馬鹿馬鹿しくて楽しいものをいっぱい詰め込んだエンタメ超大作。公開当時、『KIRYU FINALWARS』は世界的にメガヒットを飛ばしたと言われている……今にして思えば、内容があまりに荒唐無稽すぎて「ホントかあ?」と疑わないでもないのだが。

 そんなことを思わないでもないわたしに、ニックはニコニコ笑いながら言った。

 

「僕らが観てるのは教育テレビじゃない、万人向けの娯楽映画だろう? 面白い映画を見て、憂さを晴らして、楽しい時間を過ごす。それでいいんじゃあないかなあ」

「それは、そう、だけど……」

 

 それでも納得はいかないっ!

 そんなふうに言い返そうと思った時のこと、研究所備え付けの通信機がコールした。「僕が出るよ」とニックが席を立ち、通信機を手に取る。

 

「はいもしもし……ああ、オニールか」

 

 オリバー=オニール中尉、Gフォースの士官にしてニックの戦友だ。わたしが聞き耳を立てる中、ニックとオニール中尉の会話は続いた。

 

「ああ、定期検診で連れてきてくれたのかい、お疲れ様。今迎えるよ」

 

 手短に支度を整え、わたしとニックは研究所を出る。

 入口の収容スペースには、既にメンバーが到着していた。オニール中尉を筆頭とするドラグーン部隊、そのメンバーだ。

 そして、そのメンバーたちの中には、わたしが待ちかねていた“仔たち”もいた。

 

「久しぶりね、みんな!」

 

 ドラグーン小隊と並んで立っているのは我らがエメゴジを筆頭に、タイタヌス=ZILLAの子供たち。

 わたしの呼びかけに応えるように、タイタヌス=ZILLAの子供たちはそれぞれ喜び勇んで近づいてきた。わたしは彼らの頭をひとつずつ撫でながら、彼らを称えてあげる。

 

「パッチ、ラッキー、ローリー、フレックレス、よしよし、みんなよく来てくれたわね……!」

 

 一頭一頭に声をかけ、彼らの鱗と体を精一杯に撫で回してやると、タイタヌス=ZILLAたちはさらに甘えるように喉を鳴らしながら身をすり寄せてきた。タイタヌス=ZILLAたちは見た目は凶暴な怪獣だが、心根はとても優しく、甘えん坊で、人懐っこいのだ。

 

「…………。」

 

 そんな中、タイタヌス=ZILLAたちの親であるエメゴジが、急にその巨体を屈めてきた。周りの人や物を壊さないようゆっくりと、だけどどこか気の急いたような雰囲気も伴いながら、わたしの方へと近寄ってくる。

 その仕草から、わたしは即座に勘付いた。

 

「……ああ、ハグね」

 

 そう、ハグだ。

 わたしは両腕を思い切り広げ、エメゴジの巨大すぎる鼻先を全身全霊で受け止めてあげることにした。ちっぽけな人間でしかないわたしでは、身長50メートルのエメゴジのことを抱きすくめてあげることは出来ない。

 けれど、何かはしてあげたい。だからこれが精いっぱいのハグだった。

 

「エメゴジ、あなたもよ、本当によく頑張ったわ……!」

 

 だけどこんなものでも、エメゴジにとっては充分だったらしい。まるで子供たちのタイタヌス=ZILLAと同じようにゴロゴロと喉を鳴らしながら、わたしのハグを堪能しているようだった。

 ……まったく、こんなに大きくなっても甘えん坊なんだから。呆れ半分、だけど嬉しさ半分。わたしはエメゴジたちを出来るかぎり最大限にねぎらってあげることにした。

 

 ……怪獣と怪獣を戦わせる(Let Them Fight)、いわゆるLTF構想は怪獣黙示録の頃から立案されて様々な形が実践されてきた。

 この作戦もその一環だ。Gフォースとモナークの共同による総合防除試験作戦部隊:ドラグーン。怪獣の中でもひときわ知能が高いタイタヌス=ZILLAを上手くトレーニングし、人間社会に害をなす突然変異種たちを駆除してゆく。農業で行なわれている『アイガモ農法』と発想は一緒だ。怪獣でもって怪獣を制す、核爆弾や化学兵器を用いない怪獣退治というわけだ。

 そうこうしているうちに、傍で眺めていたニックがぼんやりと呟いた。

 

「こうしてエメゴジと戯れてる分には、この人も平和なんだけどねぇ……」

 

 なんか言った?

 

「いや、別に」




子供たちの名前は『101匹わんちゃん』から。あの映画、好きなんです。

次に読みたい奴

  • レジェゴジVSマイナスワン
  • GMKギドラは解釈違い!
  • 呟きSNSがX星人に侵略されてXになる話
  • 轟天号ちゃん擬人化概念VS平和おねえさん
  • 怪獣映画を撮ってたら異世界に拉致られた件
  • エイリアンVSプレデターおねえさん
  • スカーキング・イン・ヘル
  • おねショタガメラ
  • バトラちゃん委員長チョロイン妹キャラ概念
  • ポリコレ姫
  • 密漁ガイガン
  • ウルトラマンVSネガティブ外星人
  • 新人ボクっ娘ウルトラ戦士、地球に赴任す
  • しあわせな巨神世界
  • いいからラドンの続き書けよ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。