テイルズオブベルセリア 〜"災禍"の乙女を救う"大空"〜 作:raphel
とあることがきっかけでテイルズオブベルセリアの主人公ーーベルベットへの愛が止まらなくなり、小説活動復帰の先駆けとしてこの小説を投稿しました。
亀更新になるかもしれますが、頑張って投稿できるよう頑張って行きますので、応援よろしくお願いしますm(_ _)m
第1話 出会い
イタリア最強のマフィアーー『ボンゴレファミリー』の次期ボス候補である茶髪の少年--ツナこと『沢田綱吉』は、10年後の未来の世界でのパラレルワールドにいる自身と知識を共有できる能力を持つ『白蘭』率いる『ミルフィオーレファミリー』との戦いを終え、タイムマシンで仲間達と共に平和な過去の世界へと帰った……
……
……
……
……
……
……
……
……帰った筈なのだが……
「…………ここ何処ーーーーーー!!? って言うか、周り俺以外誰もいないんですけどーーーーー!!?」
ツナは気が付くと見知らぬ森の中におり、その場には彼以外誰もいなかった。
そのことに気付いた彼はただ驚きの叫びをあげるしか無かった。
「うう……やっと平和な過去の世界に帰れると思ったのに、何で俺だけこんな場所にいるんだよ〜……リボーン……獄寺くーん……山本〜……皆〜……誰か〜……」
ツナは若干泣きそうになりながらも、ここが何処なのか、そして仲間達の安否を確認する為、森の中を歩き回っていると……
きゃあああああああッ!!!
「ッ! 今のは、人の声!? あっちの方からだ!」
何処からか悲鳴のような声が聞こえ、ツナは彼の中に流れる『ボンゴレの血(ブラッド・オブ・ボンゴレ)』による『超直感』で感じた気配の方へと駆け出した……
「ブオオオオオオオッ!!!」
「いやああああああッ!! こっちに来ないで〜〜〜!!」
長い黒髪を2つに分けて三つ編みにし、琥珀色の瞳をした1人の幼い少女が猪の姿をした魔物ーー『ウリボア』に追いかけ回されていた。
彼女の名は『ベルベット・クラウ』
『アバル』と言う辺境の村に、姉の『セリカ』と弟の『ライフィセット』、そして姉セリカの夫で義兄の『アーサー』と共に暮らしている少女だ。
ベルベットは病弱である弟のライフィセットにいつか釣りを教えられる様、その練習として岬に遊びに来ていたのだが思うような成果が出ず、日も暮れて来たので家に帰ろうとしたタイミングで運悪くウリボアに遭遇してしまい、現在の状況に至る。
必死にウリボアから逃げるベルベットだったが……
「ッ! そんな!?」
逃げ続けて行く内に行き止まりへと辿り着いてしまうのだった。
慌てるベルベットにウリボアがじわじわと近づいて来る。
「ブルルル……ッ!!」
「あ……う……いや……こ、来ないで……」
まだ幼いベルベットにとってウリボアは恐怖の対象でしか無く、追い詰められた彼女は涙を浮かべながら怯え、ウリボアに来ないよう懇願するが、偶然とは言え見つけた獲物を見逃すような慈悲を魔物のウリボアが持っている訳も無く……
「ブオオオオオオオッ!!!」
「きゃあああああああッ!! !」
ウリボアは情け容赦無くベルベットに向かって突進し、ベルベットも迫り来るウリボアに対して悲鳴を上げ、死を覚悟した……その時!
「危ない!」
「きゃあッ!?」
「ブオオッ!?」
横から割り込んで来た何者かがベルベットを抱き抱えて横に回避したことで直撃を免れ、逆に突進して来たウリボアは進路上にあった岩壁に思いっきり衝突して倒れ込んだ。
窮地のベルベットを救ったのは……
「ふう〜、危なかった……君、怪我は無い!? 大丈夫!?」
「え……? う、うん……///」
「ほっ、良かった〜……」
茶髪の少年ーーツナであった。
ベルベットの悲鳴を聞いて急いで駆け付けた彼は、間一髪彼女を助けることができたのだ。
そしてベルベットの無事を確認したツナはひと安心するが……ベルベットの方は異性であるツナに女の子の憧れである"お姫様抱っこ"をされてるからか、頬を赤らめて内心ドギマギしていた。
「えっと、その……助けてくれて、ありがとう……///」
「どういたしまして♪」
「あうう……///」
ベルベットは恥じらいながらも助けてくれたツナにお礼を言うと、ツナの方は優しい笑みで返すものなので、彼女の顔がますます赤くなって行くタイミングで……
「ブオオオ……ッ!」
「あ! ウリボアが起きちゃった!?」
「げっ、あの猪、さっきの衝突で気絶して無かったのか……」
先程岩壁に衝突して倒れてたウリボアが起き上がり、ツナとベルベットを睨みつけながら攻撃体勢に入っていた。
それを見たツナは……
「はあ〜……このまま逃げても埒があかないし、もう戦うしか無いか……あの猪は俺が何とかするから、君は少し離れてて」
「え!? お兄ちゃん、ウリボアと戦うの!?」
ウリボア相手に戦うことを決め、抱き抱えていたベルベットを降ろすと、彼女に少し離れるように言うが、ベルベットはツナがウリボアと戦う気でいることに驚いていた。
彼女の目からしたら、ツナが魔物であるウリボアと戦えるような強い人間に見えないのだろう……だが、それはあくまでツナのことを知らない人間から見た評価である。
「あはは……まあ言いたいことはわかるけど、ここは任せて」
ツナはベルベットの自身に対する評価を超直感で理解しつつ、苦笑しながらあるもの……27と書かれた毛糸の手袋と丸薬が入ったケースをポケットから取り出した。
(え? 毛糸の手袋と飴玉?)
ツナが取り出した一見武器に見えないそれらにベルベットが疑問符を浮かべているのを他所に、ツナは手袋を両手に装備し、ケースから丸薬を出すと、それを口に入れた……その時、ツナの額に濁りや汚れがない綺麗に澄んだ橙色の炎ーー『大空の炎』が灯された。
「あの猪は俺が死ぬ気で倒す……!」
「え……ええええッ!?」
ツナが両手に装備した毛糸の手袋は手の甲にボンゴレの紋章が刻まれたクリスタルが付いた黒い鋼鉄製のグローブーー『X(イクス)グローブVer.V.R(バージョン・ボンゴレリング)』へと変わり、瞳の色も彼の髪の色と同じだった茶色の瞳が全てを見透かすような橙色の瞳に変化した。
さらにはツナ自身の雰囲気も先程の気弱で優しそうな少年だとは思えない、鋭い眼光で凄まじい威圧感を放つ歴戦の猛者(もさ)のような雰囲気へと変わっていた。
これがツナが先程服用した丸薬ーー『死ぬ気丸』で彼自身の静かなる闘志を引き出し、それによって肉体のリミッターを解除した戦闘形態ーー『超(ハイパー)死ぬ気モード』である。
過去の世界に帰る前であれば、"ある技"の調整に必要なコンタクトディスプレイとヘッドホン、そして彼の匣(ボックス)兵器の『天空ライオンVer.V(レオネ・ディ・チエーリ バージョン・ボンゴレ)』こと『ナッツ』があったのだが、それらは全て10年後の未来の世界で手に入れたもので、過去の世界に持って行く訳にはいかないので現在は無い……しかし、それらが無くても未来の世界での白蘭達ミルフィオーレファミリーとの戦いで強くなったツナがウリボア相手に負ける筈が無いのは明白である。
ベルベットはいきなり雰囲気が変わったツナを見て、当然驚きの声をあげるが……
(か……かっこいい……///)
ハイパー化したツナは俗に言うイケメンで、今の彼のクールで凛々しい様はベルベットの心を掴んだ様で、ベルベットはそんなツナに思わず見惚れてしまうが、すぐさまあることに気付く。
「……って、お兄ちゃん!? 頭、燃えてるよ!? 早く消さないと!」
「心配するな。この炎は俺自身の意志で燃やすこともできるが、逆に燃やさないようにすることもできる。ほら、実際に触って熱くないだろ?」
「え、ええと……あ、本当だ! 全然熱くない! すごいね!///」
「フッ……」
ベルベットはツナの額に灯されている大空の炎を見て、最初はその炎が彼の頭を燃やしていると勘違いするが、ツナにそう説明されて額の炎に触ってみると全く熱さを感じないことに驚きと興奮の声をあげ、目をキラキラと輝かせていた。
そんな可愛いらしいベルベットにツナは目を細め、優しい笑みを浮かべながら彼女を見ていると……
「……ッ!///」
「? どうした? 顔が赤い様だが……」
「えっ!? な、何でもないよ!///」
「そ、そうか、なら良いが……」
ツナの綺麗な笑みに見惚れたベルベットが再び顔を真っ赤にし、それを怪訝に思ったツナが心配して声をかけるが、ベルベットは無理矢理誤魔化すのだった。
2人がそんなやり取りをしていると……
「ブオオオオオオオッ!!!」
「ッ! ウリボアが来た!」
「離れていろ」
「う、うん! (だ、大丈夫かな……?)」
先程までハイパー化したツナを野生の本能から警戒していたウリボアが痺れを切らしたのか、2人に向かって突進して来た。
それを見たツナはベルベットに離れるよう言い、ベルベットもその指示に従ってツナから離れ、近くにあった木陰に隠れながら心配そうにツナを見ていた。
すぐそこまで迫って来たウリボアに対し、ツナは左手を前に出して構えると、大きな激突音が響くが……
「ブオオッ!?」
「……どうした? それで全力か?」
「え……ええええッ!? うそ〜ッ!?」
ツナは自身より巨体なウリボアの突進を物ともせず、左手だけで受け止めてみせ、木陰からその様子を見ていたベルベットを驚かせるのだった。
突進を受け止められたウリボアは足に力を入れ、ツナを押し出そうとするが……ツナは全く微動だにせずに立っていた。
ツナがウリボアの突進を片手だけで受け止めて微動だにしない理由は、かつて10年後の世界のミルフィオーレファミリーのメローネ基地で戦った『一番槍(アラッタッコ)』の異名と、ミルフィオーレ随一の突破力を持つ突撃兵ーー『デンドロ・キラム』の『雷槍(ランチャ・エレットリカ)』を正面から受け止めた時と全く同じで、ハイパー化したツナ自身の腕力と脚力もあるが、右手のグローブから薄く放出され、目視さえ難しい柔の炎が支えとなっているのだ。
そのことを対峙しているウリボアは勿論、その様子を木陰から見ているベルベットも気付いてはいない。
「お前相手に時間をかけている暇は無い……一気に決める!」
そう言って、ツナは右手のXグローブの炎を柔の炎から剛の炎へと変えると……
「ふんっ!」
「ブオオオッ!?」
鋭く重い拳撃を繰り出し、ウリボアを大きく殴り飛ばす。
「まだだ!」
さらにツナは両手のXグローブの炎を逆噴射し、その炎の逆噴射による高速移動で殴り飛ばしたウリボアの元へ一気に接近すると……
「はあああああッ!!」
「ブオオオッ!?」
高速移動を駆使した空中での激しい拳撃や蹴撃によるラッシュ攻撃を繰り出し、ウリボアにさらなるダメージを与える。
「す、すごい……!///」
ウリボアを圧倒するツナの戦いっぷりを木陰から見ていたベルベットは、先程彼の額の炎を触った時よりもキラキラと輝いた目をしながら見惚れていた。
そして……
「これで終わりだ! X(イクス)バースト!!」
「ブオオオオオオオオオオオッ!!?」
ツナはトドメとばかりに拳撃と共に球状の炎をウリボアに撃ち込み、ウリボアは撃ち込まれた炎の爆発により遠くへと吹き飛び、何処かの地面に墜落して行くのだった。
ウリボアを退けたツナはXグローブの炎を逆噴射し、空中から木陰にいたベルベットの元へと一瞬で移動し、いきなりツナが目の前に現れたことにベルベットは思わずびっくりするのだった。
「きゃっ!? び、びっくりした……///」
「驚かせてすまない。改めて聞くが、怪我はないか?」
「うん! 助けてくれてありがとう、お兄ちゃん!」
「気にするな。そう言えば、自己紹介がまだだったな。俺は沢田綱吉、ツナって呼んでくれ。呼び捨てでも構わない」
「あたし、ベルベット! ベルベット・クラウだよ! よろしくね、ツナ」
「ああ、よろしくなベルベット」
ツナとベルベットが互いに自己紹介したところで、ツナはベルベットに聞きたいことを質問する。
「ベルベット、1つ聞きたいことがあるんだが……ここは何処なんだ?」
「え? ここはアバル村の近くの森だよ?」
「アバル村? 聞いたことが無いな……」
「そうなの? えっと……ツナは旅の人なの?」
「いや、そう言う訳じゃないんだが……信じられないかもしれないが、気が付いたらこの森にいたんだ。元いた場所への帰り方もわからない上、ここが何処なのかもわからなくて困ってたところで、ベルベットの悲鳴を聞いて駆け付けた訳だ」
「そうだったんだ……あ! だったら、アーサー義兄さんに相談してみようよ!」
「アーサー?」
「あたしのお姉ちゃんの旦那さんなの! アーサー義兄さんはお姉ちゃんやあたし達と出会う前は、いろんなところを旅してたみたいだから、ツナが帰りたいところ知ってるかも! ウリボアから助けてくれたお礼もしたいから、あたしの家においでよ!」
「お礼なんて気にしなくても……でも、そうだな。少しでも手掛かりが欲しいし、お言葉に甘えるとしよう」
「本当!? やった〜!///」
ベルベットはツナが自身の提案を承諾し、家に来てくれることに喜びを露わにしながら彼に抱き付いた。
どうやらベルベットはツナに"一目惚れ"した様で、幼いとは言え完全に恋する乙女だ。
だが、肝心のツナはと言うと……
「おっと……(これは、懐かれたのかな……?)」
ベルベットが抱き付いて来たことに少し驚くも、彼女が自分に対して恋している等微塵も気付いておらず、無邪気な歳下の子に懐かれたと思っているのだった(笑)
超直感ーー歴代ボンゴレボスの血を引く者だけが持つ、常人の域を遥かに超えた直感力。
人の感情を感じ取ることは勿論、相手の些細な筋肉の動きや思考を視ることで相手の次の行動を読み取るなど、予知に近い直感を感じ取ることができる、いくら観察眼を鍛えても決して辿り着くことはない、ある意味"異能"に近いものと言っていいだろう。
しかし、超直感を持ってしても読み取ることができない感情がある。
それは……自分に向けられる異性に対する感情。
そういう方面に関しては、超直感は全く働かない……そう、全く!
だが、今はそれで問題ない……ツナはこの後ベルベットの"爆弾発言"によって、彼女が自身に向けている好意を知ることになる……同時に"ある人物"の怒りを買ってしまい、一悶着を起こす羽目になるが(苦笑)
「はやく! はやくあたしの家に行こう!///」
「あ、ああ……」
ツナが鈍感であること等露も知らないベルベットは、無邪気にはしゃぎながら彼の手を引いて歩こうとするが……彼女はあることを思い出し、すぐに立ち止まってしまった。
「? どうした?」
「ど、どうしよう……ウリボアから逃げてたから、忘れてたけど……いつも帰ってる道とは違う道に来ちゃったから、ここからどうやって帰ったらいいのかわかんない……」
「……そ、そうか……」
「ど、どうしよう……うう……うわあああああんッ!!!」
どうやらベルベットはウリボアから必死に逃げるあまり、知らない道に迷い込んでしまった様で、ここからどうやって帰るのかがわからない彼女は泣き出してしまうのだった。
「……大丈夫だ」
「ひっく、ぐすっ……ふえ?///」
そんなベルベットにツナは苦笑しながら、彼女の頭に優しく手を置き、撫で始める。
「道がわからなくても、家の形はわかるだろ? それを探せば良いさ」
「で、でも……もうすぐ日が暮れちゃうし、暗い森の中で家を探すなんて……///」
「問題ない。"空"から探すだけだ」
「え? 空から? どうやっ「すまない、抱えるぞ」ひゃあっ!?///」
空からベルベットの家を探すと言うツナの発言に、ベルベットはどう言うことか聞こうとするが、ツナはその疑問に答えること無く、ベルベットに断りを入れてから彼女を片手で抱き抱えた。
(ふえええええッ!? つ、ツナの……ツナの顔が近いよ〜〜ッ!?///)
ハイパー化したツナの綺麗な顔が至近距離にあることに、ベルベットは湯気が立つほどに顔を真っ赤にしていた。
「よし……今から飛ぶから、しっかり掴まっていろ」
「え? 飛ぶって……きゃああッ!?///」
ツナはベルベットを抱き抱えていないもう片方の手ーーXグローブから炎を逆噴射しながら上空へ飛び、ツナに抱き抱えられているベルベットは急に上昇する感覚に驚くあまり、咄嗟にツナの首に腕を回してしがみ付く。
ある程度の高さまで上昇したツナはその場で停止し、彼にしがみ付いていたベルベットはそれに気付き、恐る恐る目を開くと……
「え……ええええッ!? 空に浮いてるーーー!?」
先程まで森の中にいた筈なのに、いつの間にか空中にいることにベルベットは驚きの声をあげるが、すぐさま目をキラキラと輝かせ、興奮し始める。
「すごい! すごい! 本当に空飛んでる! ツナって、空まで飛べるんだね! 本当にすごい!///」
「ほ、褒めてくれるのは嬉しいが、あまりはしゃぐと落ちるぞ? それで、ここからベルベットの家は見えるか?」
「ちょっと待ってね。ええと……あ! あった! あれがあたしの家だよ!」
ベルベットが指差す方には、確かに家らしき木製の建物があった。
「よし、あの家に向かって飛ぶからしっかり掴まってろよ」
「うん!///」
そう言われたベルベットは再びツナの首に腕を回してしがみ付き、それを確認したツナは再びXグローブの炎を逆噴射し、ベルベットの体に負荷をかけない程度のスピードで飛翔しながら彼女の家へと向かうのだった。
これが後に"災禍の顕主"と呼ばれる乙女ーーベルベット・クラウ、そしてベルベットを"白銀の炎の聖隷"である少年と共に"真の意味"で救い出す"大空"の少年ーー沢田綱吉の出会いで、この時の2人は互いにかけがえのない存在になることをまだ知らない……
To Be Continue……
次回、ツナはクラウ家にお世話になりますが、ベルベットの爆弾発言により"お義兄さん"と一悶着起こします(笑)
ツナ「嫌な予感しかしねえーーー!?」