テイルズオブベルセリア 〜"災禍"の乙女を救う"大空"〜   作:raphel

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第3話 共鳴

ベルベットの爆弾発言がきっかけで乱心したアーサーの怒りを何とか鎮め、家に入れて貰えたツナは現在クラウ家の面々から謝罪されていた。

 

 

「さっきはうちの夫が大変ご迷惑をおかけしてしまって、本当にごめんなさい! ほら、アーサーもちゃんと謝って!」

 

「先程は取り乱して義妹の命の恩人である君に失礼な真似をしてしまって、申し訳なかった……!///」

 

「あ、いえ、俺はもう気にしてないので大丈夫です……あははは……」

 

 

セリカが最初にツナに迷惑をかけてしまったことを謝罪し、セリカに促されてアーサーも先程の騒動で乱心し、ベルベットの命の恩人であるツナに失礼なことをしてしまったことが余程恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にしながらツナに土下座で謝罪した。

 

先程の騒動で酷く疲れた様子のツナは苦笑しながら、アーサーに気にしてない旨を伝える。

 

一方でベルベットはと言うと……

 

 

「……あたしも、さっきはいきなりあんなこと言って、困らせちゃって……ごめんなさい……///」

 

 

流石に先程の騒動の原因が自分にあると思ったのか、しょんぼりした様子でツナに謝罪していた……椅子に座るツナの上に乗っかって抱き着き、彼の胸板に顔を埋めている形ではあるが(笑)

 

 

「あ、いや……大丈夫だよ。さっきは確かにびっくりしたけど……ベルベットの気持ちは、その……嬉しかったから……///」

 

「本当ッ!? じゃ、じゃあ、あたしをツナのお嫁さんに……///」

 

「いやいやいや! それとこれとじゃ話は違うからね!? って言うか、またアーサーさんに怒られるの俺は嫌だよ!?///」

 

「むー……ツナのケチ……///」

 

 

そんな可愛らしいやり取りをするツナとベルベットを見て、アーサーは苦笑し、セリカは微笑んでいた。

 

 

「やれやれ……ベルベットはすっかりツナヨシ君に惚れ込んだみたいだな……」

 

「ふふふ、そうね。ツナ君は優しくて良い子みたいだし、ベルベットはそう言うところに惹かれちゃったのかしら? あ、ただ……」

 

「ん? どうした?」

 

「ほら、さっきベルベットがツナ君に告白してた時に言ってたでしょ? "クールでかっこよくなる"って。あれはどう言う意味なのかしら? ツナ君に失礼だとは思うけど、とてもそんな感じには……」

 

 

セリカは先程のベルベットがツナへの告白時に言っていた"クールでかっこよくなる"と言う言葉に引っかかるものを感じており、彼女はツナに失礼なのは理解しているが、今の彼を見るとそれとは無縁のように見えてしまうのだった。

 

 

「ふむ、セリカの言うこともわからなくは無いが、人は見かけによらないものだ。それに……俺はベルベットのその言葉より前の発言であながち間違いでは無いような気はするがな」

 

「その前?」

 

「"ウリボアと戦ってた時なんか"ともベルベットは言っていただろ? その話が本当ならツナヨシ君には武術の心得があり、彼はウリボアと戦ってベルベットを助けたことになる……その時の姿がそう見えて、ベルベットはクールでカッコいいって言ったんじゃないか?」

 

「なるほど、それがそうなら人は見かけによらないわね」

 

「ああ。それに……」

 

「それに?」

 

「あ、いや、何でもない。ところでセリカ、そろそろ夕食の準備した方が良いんじゃないか?」

 

「あ、そうね、急いで夕食の準備に取り掛からないと」

 

 

アーサーにそう言われ、セリカは夕食の準備に取り掛かる為、調理場へと移動した……

 

 

 

 

Side アーサー

 

セリカが離れた後、俺はセリカが淹れてくれたコーヒーを飲みながらベルベットと会話しているツナヨシ君に視線を向ける。

 

彼は相変わらずベルベットにくっつかれていて、色々質問責めされている状況だった。

 

 

「ねえ、ツナってどんな女の子が好みなの?」

 

「え? そうだなぁ……優しくて明るい女の子かな? 後は料理ができる女の子とかが良いかな」

 

「うう、セリカ姉さんみたいな人が好みなんだ……ね、ねえ……ツナは好きな人、恋人はいたりする……?///」

 

「こ、恋人はいないけど……好きな女の子は、いるかな……///」

 

「(ガーンッ!?)そ、そうなんだ……あうう……」

 

 

どうやらツナヨシ君には恋仲では無いが好意を寄せている相手がいて、その相手はセリカに似たタイプの様だ……フッ、ツナヨシ君とは気が合いそうだ。

 

それを知ったベルベットはショックだった様で、少し泣きそうになりながら落ち込んでいた……無理もない、ベルベットにとってツナヨシ君は所謂"初恋の人"……そんな相手が他の女性に好意を寄せていたらショックに決まっている。

 

血が繋がっていないとは言え俺にとってベルベットは大事な義妹だ、出来ることなら可愛い義妹の初恋を叶えてやりたいが、ツナヨシ君の気持ちを無視する訳にもいかないし、はてさてどうしたものか……

 

俺がコーヒーを飲みながらそう考えていると、ベルベットが顔を俯かせながらツナヨシ君に話しかける。

 

 

「……ツナはその子と付き合ってる訳じゃないんだよね……?」

 

「え? う、うん。前にリボーン……俺の師匠みたいな奴にその子への告白を無理矢理させられたんだけど……俺にとっては"最悪な状況"でやらされたから、冗談だと思われて失敗したんだよなぁ……まあ、その後色々あって友達として仲良くはなったけど、下手したら一生友達止まりかも……」

 

「……ふーん……」

 

 

ツナヨシ君には師匠がいるのか……どうやらその師匠に無理矢理想い人への告白を強制させられ、彼の望まぬ形で行われたことから、想い人から冗談だと解釈されて失敗したらしい……不憫な……彼の師匠がどのような人物かは知らないが、過度に厳しい人物であるのは間違いない。

 

とは言え、そんな状況からその想い人と友人関係になれたのは彼の人柄故で、その想い人もツナヨシ君を好意的に見ているのは間違いない……まあ、乾いた笑みを漏らす彼のあの様子から友人関係から進展してない様だが……

 

 

「……ツナに好きな人がいるのは、わかった……それでも、やっぱりあきらめたくない……だって、ツナはあたしにとって"初恋の人"だもん……///」

 

「えっ!? そ、そうなの!?///」

 

「うん……あたし、セリカ姉さんとアーサー義兄さんみたいな恋にあこがれてて、いつかあたしもすてきな人に出会ったらいいなぁって……そんなあたしのところにツナが来てくれて、すごいドキドキして"運命"を感じたの……まあ、たまたまかもしれないけど、あたしにとってはそう思えたの……///」

 

「……///」

 

 

ベルベット、俺とセリカを見てそんな憧れを抱いてたのか……ははは、嬉しいがこそばゆい感じがするな……

 

"運命"か……偶然で、ベルベットの勘違いかもしれない……だが、そうだと否定できない何か……ベルベットとツナヨシ君がこうして出会えたことに、何か"意味"があるような気がしてならない。

 

そう感じた理由……先程セリカに言いかけたことだが、ツナヨシ君と出会ってから感じていた俺が知る力とは別の……まるで命の輝きを現すかのように燃え上がる不思議な"力"が、今まで特殊な力など無い普通の女の子であった筈のベルベットからも感じるようになり、2人は何もしていないにも関わらず、その"力"がまるで共鳴し合っているかのように大きくなっていくのを、今も感じるからだ。

 

ツナヨシ君は何者なのか……?

 

ツナヨシ君とベルベットの2人から感じる"力"が何なのか……?

 

俺はそんな疑問を抱えながら再びコーヒーを口にしながら、ツナヨシ君とベルベットの方に再び視線を向けると……ツナヨシ君の表情は何処か暗く、何かに困惑している様に見えた……

 

 

 

 

 

 

 

 

Side ツナ

 

俺は目の前の少女……俺に好きな人がいると知っても、俺のことを初恋の人だと……俺との出会いを運命だと……真っ直ぐで揺るがない愛情を向けて来るベルベットに戸惑っていた。

 

夫婦であるアーサーさんとセリカさんに憧れを抱くベルベットは俺のことを王子様か何かだと思っているのかもしれないけど……はっきり言って勘違いだ。

 

俺は運動や勉強がダメダメで、リボーンからも言われたことがあるけど、ヒーローなんかになれない……ただ、大切な仲間や友達を守ることで精一杯な人間……だから、ベルベットに憧れられるような立派な人間じゃない。

 

それに、俺は……俺は、10年後の未来の世界で……俺達の為に命の炎を燃やした大空のアルコバレーノの少女ーー『ユニ』、そしてそんなユニに寄り添って共に命の炎を燃やした『γ(ガンマ)』に、俺は何もしてやれず死なせてしまった……それだけじゃない……2人の死の原因を作った癖に、ユニ達を侮辱した白蘭がどうしても許せず、その抑えきれない激しい怒りから何があっても絶対に人の命は奪わないと言う自分自身の誓いを曲げてまで、俺は白蘭を……生まれて初めて、"人を殺した"……もう、俺の手は血で汚れてしまったんだ……そんな俺が、穢れを知らない純粋無垢な女の子のベルベットに愛される資格なんて、ある訳が無い……だからこそ、ベルベットに俺の本当のことが知られた時、失望されて彼女の無邪気で愛らしい愛情がもう向けられなくなることを想像すると怖かった。

 

ははは……今日の俺、何か変だ……さっきからベルベットに、さっき出会ったばかりの歳下の女の子に嫌われたくないことばかり考えてる……ベルベットに大胆な告白をされたからかな……?

 

いや、それだけじゃない……俺自身が、ベルベットの"何か"に惹かれているんだ。

 

その証拠なのか、さっきから俺の死ぬ気の炎ーー大空の炎の波動が、意図せず俺の体内を激しく駆け巡っているのが感じられる。

 

同時に俺は気付いていた……ベルベット自身は気付いていないけど、俺とこうやって触れ合っている影響なのか、彼女から"死ぬ気の炎"の気配が感じられ、目に見えないけど彼女の炎の波動が次第に強くなっていることを……今まで仲間達や強敵達との間では、こんなことは一度も無かった。

 

俺とベルベットにはお互いに知らない、何か深い"繋がり"があるのかはわからない……だけど、ベルベットが死ぬ気の炎を、彼女が戦う姿なんて、正直想像したくない……ベルベットにはアーサーさんやセリカさん達家族と一緒に、これから平和で幸せな生活を送って欲しい……俺のようにはなって欲しくない……

 

アーサーさんやセリカさんは帰り方がわかるまでここにいて良いとは言ってくれたけど、やっぱりベルベットの為にもすぐにでも出て行った方が……

 

 

「ツナ? 大丈夫? 顔色が悪いよ?」

 

「え? あ、いや、何でもないよ。心配かけてごめんね……」

 

「具合が悪くないならいいけど……って、そんな感じだとあたしの話を途中から聞いてなかったでしょ?」

 

「あ、ええと……ごめん、考え事してた……」

 

「もう! 本当だったら、女の子に恥ずかしいセリフを二度も言わせちゃダメなんだからね!?///」

 

「ハ、ハイ、スミマセン……」

 

「こほん! とにかく……あたし、これから"女"をみがいて、いつかセリカ姉さんやツナが好きな女の子よりも素敵なレディになって、ツナをふり向かせてあげるから……恋する女の子の覚悟、あ・ま・く・見・な・い・で・ね?///」

 

 

俺のことをまったく諦める様子が無いベルベットは人差し指を俺の唇に当てながらそう宣言した……その瞬間、俺の脳裏にあるイメージが思い浮かぶ。

 

それは膝あたりに届く黒の長髪を後ろで三つ編みにし、少しツリ目な琥珀色の瞳、女性らしい体つき……特に豊満な胸が目立つ10代後半の美しい女性ーー10年後のベルベットの姿だった。

 

え、何でその女性がベルベットなのかって? それは……何となくそう感じたとしか答えられない……たぶん、このイメージは予知的なものなんだと思う。

 

そのイメージが思い浮かんだ俺は思わず、目の前で俺の唇に人差し指を当てる幼いベルベットと、イメージの10年後のベルベットを重ね合わせてしまい……

 

 

「っ!!!???///」

 

 

顔が火を吹くんじゃないかと言わんばかりに真っ赤になって行くのを感じた。

 

 

「? ツナ?」

 

「ッ! あ、いや、何でも無いよ! まあ、その…………楽しみに、してるね……?///」

 

「〜〜ッ! うん! よ〜し! あたし、セリカ姉さんの手伝いしてくるね!///」

 

「う、うん、頑張って……///」

 

 

俺は思わずベルベットを期待させるような言葉を言ってしまい、それを聞いたベルベットは嬉しそうな笑みを浮かべると、嬉々とした様子で俺から降り、夕食の準備をしているセリカさんの手伝いへ向かうのだった。

 

 

「……はあ〜……もう……///」

 

 

手伝いに向かったベルベットを見送った俺はため息を吐きながら机の上に顔を伏せ、さっき浮かんだ10年後のベルベットのイメージを消そうとするが、強く記憶に刻まれた様で中々消せずにいた……まあ別に消せなくても良いけど……

 

そんな俺を見兼ねてか、近くに座っていたアーサーさんが声をかけて来た。

 

 

「うちの義妹が色々とすまない……まったく、何処であんな口説き文句を覚えたんだか……」

 

「い、いえ、大丈夫です……不思議と、その……悪い気はしなかったから……///」

 

「そ、そうか……」

 

「……アーサーさん……///」

 

「? 何かな?」

 

「……女の子って、色々凄いですね……///」

 

「……ああ、そうだな……それには大いに同意するよ……はははは……」

 

 

俺のそんな言葉に、アーサーさんは苦笑しながら同意してくれた……何か、アーサーさんとは気が合いそうだなぁ……

 

アーサーさんに色々聞きたいことがあったけど、ベルベットによる衝撃告白のおかげでそれどころじゃない……

 

俺は未だに真っ赤で引かない顔の熱が治るまで……セリカさんとベルベットが夕食を作り終えるまで、暫く机の上に顔を伏せたまま沈黙するのだった……

 

 

To Be Continue……

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