テイルズオブベルセリア 〜"災禍"の乙女を救う"大空"〜   作:raphel

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前回のギャグ回から変わって、シリアスありです。

文才の無さが目立つと思いますが、ご容赦ください(^◇^;)


※サブタイトル修正しました 第4話→第5話


第5話 ツナとベルベット

ベルベットとライフィセットのカオス過ぎる姉弟喧嘩が鎮火、そして現実逃避で気絶していたツナがアーサーの懸命な介護で何とか意識を取り戻し、クラウ家全員からの謝罪を受けた後、ツナは……

 

 

「ツナはあたしが守ってあげるから。だから安心して寝てね♡///」

 

「う、うん、ありがとう……(ま、まさか、ベルベットと一緒の部屋、しかも同じベッドで寝ることになるなんて……)///」

 

 

就寝でベルベットと同じ部屋に寝ることになり、現在2人は同じベッドの上に座っていた。

 

何故こうなったのか……実は夕食と風呂を済ませた後、ベルベットとライフィセットがどっちがツナと一緒に寝るかでまた喧嘩になってしまい、喧嘩の仲裁をしたアーサーとセリカが頭を悩ませて考えた結果、ベルベットがツナと一緒に寝ることなったのだ。

 

本当であれば異性同士が一緒に寝るのは教育上良くないのだが……ライフィセットは先程の道徳的にアウトな発言をした所為もあって、ツナと一緒の部屋に寝かせなんてしたら何をしでかすかわかったものではないので、ツナをちゃんと男性として見ているベルベットの方がまだ安全だし、ツナも彼の人柄からベルベットに何かする心配は無いだろうと判断したのだ。

 

因みに問題のライフィセットはと言うと、彼が変な知識を得た原因究明もあってアーサーとセリカが一緒に寝ることになり、クラウ家最強の2人に捕まっては流石のライフィセットもこっそりツナの元へ忍び込もうなんて真似はしないだろう(笑)

 

ベルベットはツナと一緒に寝られることに喜び、彼に甘えるように抱きついて頬ずりをしていたが、あることを思い出す。

 

 

「そう言えばツナ、いろいろあって忘れてたけど、アーサー義兄さんにツナが帰りたいところの相談はできた?」

 

「……うん、あの後アーサーさんに聞いてみたけど……アーサーさんでも俺の住んでた場所はわからないって……」

 

「そ、そうなんだ……ごめんね。期待させといて、けっきょく力になれなくて……」

 

「ううん、そんなことないよ……ベルベットがここへ連れて来てくれなかったら、こんな風に休められなかっただろうし、寧ろ感謝してるよ」

 

「そっか……良かった……///」

 

 

ツナはベルベットの頭を優しく撫でながらそう言い、ベルベットは安心したような笑みを浮かべていた。

 

だが、ツナの問題は解決した訳ではない。

 

先程アーサーから聞いた話では、この国の名は『ミッドガンド王国』と言い、『ウェイストランド』という世界の中央に広がる大陸と海を越えて統治している王国らしい。

 

そしてミッドガンド王国の国土は"領"と呼ばれる管轄区ごとにまとめられており、ベルベット達が住むアバル村は『イーストガンド領』と呼ばれる領の東の辺境にあるとのこと。

 

ツナはダメツナと呼ばれる故勉強ができないので、その話を何となくしか理解できていないが……彼の超直感がここが"自分の知る世界ではない"と感じ始め、藁にもすがる想いでアーサーに"並盛町"、"東京"、"日本"と言ういくつかの単語で聞き覚えがないか聞いてみたが……やはりと言うべきか、アーサーからはそれらに聞き覚えがないと言う回答が返って来て、自身が"異世界"に来てしまったと言う事実を認識したのだ。

 

何故自分だけ異世界に来てしまったのかは当然ツナにわかる筈も無く、考えられるとしたらタイムマシンによるトラブルだと思うが、どの道ツナには現状元の世界に帰る術が無い。

 

できるとすれば元の世界にいるリボーン達が自身を探してくれることを祈り、その迎えが来るのを待つしかないのだが、どれくらい待てば良いのかがわからない上、リボーン達が異世界に渡ってしまっているツナを見つけ出せるかも確かではないことから、下手をすれば元の世界に一生帰れない可能性があると思うと、ツナの心は不安で蝕まれていた。

 

10年後の未来での辛く長い戦いが終わり、漸く過去の世界に帰れると思った矢先にこんな状況になってしまったのだから無理もない。

 

それに……

 

 

「ツナ、大丈夫……?」

 

「え?」

 

「なんか、すごく辛そうな顔してたから……」

 

「あ、ごめん、大丈夫だよ。色々あって、疲れちゃったみたい……今日はもう寝ようか?」

 

「……うん、そうだね」

 

 

どうやら不安な気持ちが表に出たのか、暗い表情を浮かべていたツナに気付いたベルベットが心配するが、ツナは誤魔化すように寝ることを進言する。

 

ベルベットはまだ納得していない様子だが、ツナが話したくないことを悟ったのか、それに従うのだった。

 

 

「おやすみ、ツナ」

 

「うん。おやすみ、ベルベット」

 

 

2人は部屋の明かりを消した後、ベルベットはツナに抱きつき、ツナは自身とベルベットに毛布をかけ、眠りについた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『本気なんだね、ユニ……本気でおしゃぶりに命を捧げて死ぬ気なんだね!?』

 

『ユニ!?』

 

 

……

 

 

『待て、ユニ!! そこまでしてアルコバレーノを復活させる必要は無い!!』

 

『いいえ、彼らの復活は沢田さん達が平和な過去へ帰る為にも必要なんです。そして、それは多くの人々の命を救うことに繋がります……漸く私の力を正しく使う為の機が熟しました……これが私にできる唯一の賭け……そして避けることのできない、私の運命(さだめ)……』

 

 

……

 

 

『もしかして、死を恐怖しているんじゃないのかい?』

 

『そんな筈ねえ……と言いたいところだが、無いとは言い切れねえな……アルコバレーノの姫と言っても、まだ子供だ……』

 

『いいんだ、ユニ!! 何か他の方法を考えよう!!』

 

『すみません、大丈夫……他の方法は無いんです……皆さん……ありがとう』

 

 

……

 

 

『よお、姫』

 

『γ!?』

 

『やっと会えたのに、またすぐ行っちまうなんて水くさいぜ。俺の炎も使ってくんねーか?……あんたを一人にはさせない』

 

 

……

 

 

『γ!! ユニーーー!!』

 

 

……

 

 

『ねえ、ちょっと……何してくれてんのさ? やっと見つけたパズルの最後の1ピースが死んじゃったよ……すべて、おじゃんじゃないか……7³(トゥリニセッテ)を覚醒させ、時空を超えた覇者になる僕の夢は……君達のくだらないお友達ごっこの所為で散ったんだ……この意味が……わかっているのか!!!』

 

『誰がユニを殺したと思っているんだ……お前がこんな世界にしたから……ユニは……死んだんだ!! 白蘭!!! 俺は……俺は、お前を許さない!!!』

 

『んー? 許さない? ほほーう……ぷくく!! ハハハ、ナンセンスだよ!! 君という人間はなんて茶番なんだ!! あの娘に装置としての強烈な意味を見出すのならわかる!! なんせユニは僕が全知全能フルオプション付きの神になる為の、スーパーアイテムだったのだからね!! だが、ユニをあたかも1人の女の子として扱い、尊び、ヒューマニズムで僕に楯突こうなんてのは、一時のホルモン分泌に踊らされた陶酔だよ!! 人の作る利己的な社会に生きる子供の答えとしては五重ペケさ!! 寄せ集めの偽善より個人のドス黒い欲望や執着の方が強い!! この世界はそうできてる!!』

 

 

……

 

 

『まったく無意味なことをしてくれた!! あのおしゃぶり付きの人形は僕に最高のオモチャを与えてくれたのに!!』

 

『それ以上ユニを侮辱するな!! 白蘭、お前だけは!!』

 

 

……

 

 

別に人間が嫌いなわけじゃない……人と接して胸がくすぐったくなったり、ジーンと熱くなったりもできるんだ……後ろ向きな訳でもないよ……面白いことを探すのは得意だし、楽しいことには全力で頑張っちゃうからね……でも……なんか、この世界はしっくり来ないんだ……わかってくれるよね……ここ……気持ち悪くない?

 

ハハハッ、その目はそんなことこれっぽっちも思ってないな……まったく、まぶしいったら……完敗だよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ナ……ツナ……ツナ!……ツナ!!……ツナ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ! はあ、はあ、はあ……っ!」

 

 

ツナは誰かの声によって目を覚まし、ベッドから起き上がると同時に荒い息を吐きながら、何とか呼吸を整えていると……

 

 

「ツナ! 良かった、目が覚めて……」

 

「べ、ベルベット……?」

 

 

心配と安堵が混じったような表情を浮かべるベルベットの姿が視界に入る。

 

 

「ベルベット、どうしたの……?」

 

「それはこっちのセリフだよ! ツナの苦しそうな声が聞こえて起きてみたら、ツナがうなされてて……あたし、そんなツナが心配で……」

 

「……ごめん。起こしちゃった上に、心配までかけちゃったみたいで……///」

 

 

どうやらベルベットはツナが苦しそうに魘されていることに気付いて起きたらしい。

 

よく見るとまだ夜中で、ベルベットに心配をかけて起こしてしまったことに、ツナは申し訳なさそうに彼女に謝るが……

 

 

「あやまる必要なんかないよ! それよりも……」

 

「? どうかした?」

 

「ツナ、気付いてないみたいだけど……泣いてるよ?」

 

「え?……ッ! な、なんで、涙が……!?」

 

 

ベルベットにそう言われたツナは自身の目元に手をやると、彼女の言う通り涙が溢れていることに気付き、最初は困惑していたが……

 

 

「あ……ああ……!」

 

 

次第に先程まで見ていた夢……

 

ユニとγが彼の目の前で死んでしまった時の記憶……

 

そしてツナが白蘭を、生まれて初めて人の命を奪った時の記憶……

 

大切な仲間を助けられなかった"後悔"、今まで守って来た不殺の誓いを破ってまで人の命を奪った"罪悪感"を象徴する悲しみの記憶がツナの脳裏に浮かび上がって行き、その記憶は彼の心を蝕み、胸の奥から感じる痛みで涙がさらに溢れ出す。

 

 

「つ、ツナ……!?」

 

「ご、ごめん、何でもないんだ! 何でも、ない……!」

 

 

ベルベットにこれ以上心配かけないようツナは乱暴に涙を拭おうとするが、涙は一向に止まる気配は無く、胸の痛みもさらに激しくなって行くのを感じていた。

 

 

(な、なんで……なんで今になって、こんな気持ちに……!? 過去の世界に帰る直前までは、大丈夫だったのに……)

 

 

ツナは何故今になってあの時の記憶が呼び起こされ、悲しい気持ちになるのかが理解できずにいた 。

 

もしかしたら過去の世界に帰る直前までは、仲間と一緒にいたことで気が紛れていたのか……あるいは仲間達に心配をかけたくない為、無意識にその時の記憶に触れないようにしていたのかもしれない。

 

だが、ツナを初恋の人と呼ぶベルベットの真っ直ぐで揺るがない愛情に対する"戸惑い"……

 

自身の本当のことを話したらベルベットに嫌われるのではないかと言う"恐怖"……

 

異世界に来てしまって元の世界に帰れないのではないかと言う"不安"……

 

大切な仲間達から離れてしまったことで感じる"孤独"……

 

それらが積み重なって引き金となり、現在の状態に至ってしまったのだ。

 

 

(何やってんだ、俺!? これ以上ベルベットに心配かける訳にいかないだろ!? 止まれ! 止まれ! 止まれ! 止まれ!! 止まれ!!!)

 

 

ツナは心の中で自身を叱咤しながら溢れ出る涙を、胸の痛みを止めようとするが……やはり止まる気配は無く、このまま負のループにはまって行く……

 

……かと思われたその時、突如温かな温もりを感じた。

 

 

「ッ! べ、ベルベット!?///」

 

「…………」

 

 

ベルベットがツナの首に両腕を回し、抱きついて来たのだ。

 

いきなりのことでツナは驚くが、ベルベットはそれに構わず彼の頭を優しく撫でていた。

 

 

「ツナ、がまんしなくて良いよ……」

 

「え……?」

 

「ツナがなんで泣いてるのかは、あたしにはわからない……でも、すごく辛いことがあったのは、見てたらわかる……辛くて、苦しくて、悲しい時はがまんしないで、思いっきり泣いて良いんだよ……セリカ姉さんがそう言ってたし、あたしもそう思うから……」

 

「ッ!」

 

「だから……ね?」

 

 

幼い少女とは思えない、何処か大人びた慈愛溢れる笑みを浮かべながら、優しい言葉をかけるベルベットに対し、ツナは胸の痛みが引き、心に温かなものを感じると同時に、ある"幻覚"を見る。

 

それは先程イメージで見た美女ーー10年後のベルベットの姿で、ツナには今自身を抱きしめているベルベットがそう見えた。

 

何故そんな幻覚を見たのかはわからない……だが、今のツナには理由なんてどうでも良かった。

 

ベルベットの抱擁から感じる温かさによって、ツナは自身の心の中に溜め込んでいたものが溶け出して行くのを感じ、遂には……

 

 

「う…………うう…………うああああああああああああああああああああああああああッ!!!」

 

 

先程よりも大量の涙を流し、嗚咽が混じった大声を上げながら泣き出した。

 

 

「…………」

 

 

そんな泣き続けるツナを、ベルベットはただ黙って優しく抱きしめた……彼の悲しみをすべて受け止めるかのように……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ごめん……みっともないところ、見せちゃって……///」

 

「ううん、良いんだよ……少しはスッキリした?」

 

「うん、おかげさまでね……ありがとう、ベルベット……///」

 

「えへへ、どういたしまして///」

 

 

暫くして泣き止んだツナは先程よりはスッキリした顔になり、慰めてくれたベルベットに感謝の言葉を告げた。

 

ツナに感謝されたベルベットは照れ臭そうにしながらも、嬉しそうな笑みを浮かべる……が、すぐに何かを決意したような表情へと変える。

 

 

「ねえ、ツナさえ良ければなんだけど……あたし達と出会う前に、何があったのか話してくれない……?」

 

「ッ!」

 

「も、もちろん無理には聞かないよ!? 誰にだって話したくないことはあるし! ただ……あたし、ツナのこと大好きなのに何も知らない……だからツナのことを知って、もっと大好きになるために、ツナのことを教えてほしいの!///」

 

「………」

 

 

ツナのことを知りたい、もっと大好きになりたい、だからツナのことを教えて欲しいと懇願するベルベットの真剣な表情を見たツナは目を瞑り、少し悩むが……覚悟を決めたのかすぐに目を開き、ベルベットに真剣な表情を向ける。

 

 

「わかった……ただベルベットが理解するには難しい話だし、この話を聞いたら聞いたで……たぶんベルベットは俺のことを嫌いになるかもしれない……それでも良いなら、話すよ……」

 

「……うん、大丈夫。聞かせて……」

 

 

ツナにそう警告されても話を聞く覚悟を決めたベルベットは真剣な表情で頷き、それを確認したツナは自身のこと、今まで経験して来たことを話し始める……

 

ツナは自身がこの世界の人間ではない、異世界からやって来た人間であること……

 

元の世界では運動や勉強がダメダメであることを除けば、基本何処にでもいる平凡な中学生であった……だが彼自身にはある秘密があり、それはボンゴレファミリーと言うイタリア最強のマフィアの次期ボス候補で、先祖代々からその血を受け継いでいることを、自身の家庭教師としてやって来た晴のアルコバレーノにして世界最強のヒットマンーーリボーンによって知った。

 

そして、その血を受け継いでいるが故に様々な戦い……

 

脱獄囚である『六道骸』率いる黒曜中との戦い……

 

もう1人のボス候補『XANXUS(ザンザス)』率いるボンゴレ特殊暗殺部隊『ヴァリアー』とのリング争奪戦……

 

そして、この世界に来る前の戦い……パラレルワールドにいる自身と知識を共有できる能力を持つ白蘭率いるミルフィオーレファミリーとの10年後の未来の世界での戦い……

 

ツナ自身マフィアのボスになる気はないし、今でも戦うこと自体好きになれない……それでも彼には戦う理由ーー大切な仲間達がおり、彼らを守る為にも過酷な戦いから逃げる訳にはいかず、リボーンを始めとした仲間達と共に様々な困難を乗り越えて来た。

 

しかし、そんな彼にも守れなかったものがあり、先程夢として現れた未来の世界での悲しみの記憶……仲間であるユニとγの死……不殺の誓いを破り、怒りで敵である白蘭を殺したこと……ツナはそれらすべてを包み隠さずベルベットに話した……幼い彼女が自身の話を理解するのが難しいこと、そして自身のことを嫌いになるかもしれないことも承知の上で……

 

ベルベットもベルベットで、ツナの話を理解するのが難しくても、少しでもツナのことを理解しようと、ただ黙って真剣にツナの話を聞いていた。

 

暫くして、ツナはベルベットにすべてを話し終えた。

 

 

「……これが俺自身の秘密と、俺が今まで経験して来た戦いの全てだよ……」

 

「…………」

 

「ははは……ごめん、こんな話信じられないだろうし、よくわからなかったよね……?」

 

「うん……でも、ツナが嘘ついているように見えないし、戦いが嫌いなのに大切な人達の為に一生懸命がんばって来たのは伝わったよ……ツナはさっきあたしがこの話を聞いて、ツナのことを嫌いなるかもしれないって言ってたけど……守れなかった人達ーーユニさんとγさんのことを今も想って、泣いてあげられる優しい人を……あたしは嫌いになんて、なれないよ……」

 

「……俺が人殺しをした人間であることを知っても?」

 

「うん……ツナはその白蘭って人を殺したことを、正しくないことだったって思ってるんだよね?」

 

「そうだね……今思えば、もっと他にも決着の付け方はあったと思う……だけど、あの時の俺は怒りに囚われて冷静じゃなかったから、他に選択肢があっても、白蘭を殺す以外の選択はできなかったと思う……」

 

「……あたしも……もしセリカ姉さんやラフィ、アーサー義兄さんが白蘭って人に殺されたり、バカにされたりしたら……ツナと同じように、その人のことを絶対に許せないと思う……」

 

「ベルベット……」

 

「誰だって、大切な人を傷つけられたら怒るのは当たり前だもん……だから、あんまり自分を自分でいじめるようなことは言わないで……ツナがそうやって自分を傷つけて、苦しんでるのを見たら……あたしも辛いよ……」

 

「ごめん……ありがとう……ベルベットは、本当に優しいね……」

 

「そ、そんなことないよ! ツナに比べたら、あたしなんて……///」

 

「優しいよ……ベルベットが優しくて愛情深い子だって、さっきのでよくわかった……ベルベットはいつか良いお嫁さんになれるよ、絶対に」

 

「そ、そうかな……?///」

 

「うん……俺、ベルベットが俺のことを抱きしめて慰めてくれたり、俺のことを理解しようとしてくれたりしてくれて……凄い嬉しかったんだ……だから、本当にありがとう///」

 

「えへへ、どういたしまして……あたしの方こそ、ツナのことを話してくれてありがとう……あたしね、さっきの話を聞いて、ツナのこと……もっと大好きになっちゃった///」

 

「そ、そっか……良かった……実を言うとさ、ベルベットに嫌われるのだけは、その……凄く嫌だったから……ベルベットに嫌われずに済んで、今凄いほっとしてる……今日出会ったばかりの歳下の子に、こんなことを思うのも変だけど……///」

 

「もう、ツナってば……さっき言ったよね? 恋する女の子の覚悟をあまく見ないでって。あたしベルベット・クラウの愛は、あれぐらいじゃびくともしないんだから///」

 

「そうだね。本当に舐めちゃいけないって、思い知らされたよ……///」

 

「でしょ? わかれば良いのよ、わかれば///」

 

「あははは……///」

 

「それにね……///」

 

「ん?」

 

「死ぬ気の炎、だったっけ? ツナがウリボアと戦った時に見せてくれた、あのきれいなオレンジ色の炎……あれがツナの心を現してるみたいで、"この人は絶対に優しくて心がきれいな人なんだ"って不思議と思えたの……そう思えたから、こんなにツナに夢中で、ツナのこと大好きになれたの///」

 

「そ、そうなんだ……大袈裟な気はするけど、そう言われると、何か嬉しいなぁ…………俺も……ベルベットのこと、もっと知りたくなって来た……///」

 

「え……?///」

 

「俺はいつまでこの世界にいられるかはわからないし、もしかしたら帰る手段が無くて、一生この世界で生きて行くことになるかもしれない……どっちに転んでも後悔しないように、できる限りベルベットの傍にいたいって、今本気でそう思ってる……だから、その、改めて聞くけど……ここにいても、良いかな……?///」

 

「〜〜〜〜ッ! うん!///」

 

 

ツナのその言葉に嬉しそうな笑みを浮かべたベルベットは彼に抱きつき、ベルベットに抱きつかれたツナも優しい笑みを浮かべながら彼女を抱きしめ返すのだった。

 

お互いに抱きしめ合うツナとベルベットの間には温かくて穏やかな空気が満ちており、そんな2人をまるで祝福するかのように、窓から差し込む月の光が優しく照らすのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どう? ツナ君は?」

 

「大丈夫だ。今はベルベットと一緒に穏やかに眠っているよ」

 

「そう、良かった……ツナ君の泣き声が聞こえたから、心配になって来てみたけど……どうやら杞憂だったみたいね」

 

「ああ、そうだな……彼がああやって穏やかに眠れてるのは、ベルベットのおかげの様だ。まったく、我が義妹ながら大したものだ」

 

「ふふふ、そうね」

 

 

ツナとベルベットが寝ている部屋の入口の前にアーサーとセリカがおり、2人は少し開けたドアの隙間から部屋の中の様子を見ていた。

 

アーサーとセリカはライフィセットと共に眠っていたが、突如聞こえたツナの泣き声に驚いて目を覚まし、心配になったアーサーが真っ先に部屋の前に駆け付け、その後ライフィセットが起きないように見ていたセリカが遅れてやって来ると、ツナとベルベットに気付かれないよう様子を伺っていたが……現在抱きしめ合って穏やかに眠っているツナとベルベットの姿を見て安心したアーサーとセリカはドアを閉め、ライフィセットが眠っている部屋へと戻って行く。

 

 

「ねえ、アーサー……ツナ君がベルベットにしていた話、本当のことだと思う? 違う世界から来たとか信じられない話だし、理解できないことばかりだけれど……私にはあの子が嘘ついている様に見えなかった……」

 

「俺も同感だ。本当のことでなければ、彼があそこまで精神的に追い詰められることは無かった筈だ」

 

 

どうやらアーサーとセリカはドアの隙間から様子を伺ってた際、ツナとベルベットの今までの会話……ツナが異世界から来たこと、そして彼が今まで経験して来た戦いのことを聞いてしまったらしく、その内容があまりに信じられないものではあったが、2人ともツナが嘘をついているように見えなかった為、本当のことだと信じていた。

 

 

「そうよね……でも、まさかツナ君にあんな過去があったなんて……辛かったでしょうに……」

 

「ああ、そうだな……だが、大切な人達から離れ離れになってしまったこと、そしてベルベットが彼の悲しみを受け止めようとしたことがきっかけで、今まで内に溜め込んでしまっていたものを漸く吐き出せた様だ……」

 

「ええ……いっぱい泣いた後のツナ君、とてもすっきりした表情になってたわね。本当に良かった……アーサー、ツナ君のことだけど……」

 

「わかっているさ。ツナヨシ君の過去を聞いたからと言って、彼を追い出す気はさらさら無いし、彼自身ベルベットの傍にいたいと言ってくれた……寧ろ、俺自身が彼にここにいて欲しいと思っているよ」

 

「ふふふ、良かった。案外ベルベットがツナ君のお嫁さんになるのは、不可能な話じゃないかもね」

 

「おいおい、それは流石に気が早すぎるだろ……まあ、もしかしたらいつかは元の世界に帰ってしまうかもしれないが、ツナヨシ君を歓迎しようじゃないか……俺達の"家族"としてな」

 

「ッ! ええ、そうね……ふふふ」

 

「ははは」

 

 

そう話すアーサーとセリカは何処楽しげな様子であった。

 

こうして、ツナは改めてクラウ家の一員として迎えられるのだった……

 

 

To Be Continue……

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