テイルズオブベルセリア 〜"災禍"の乙女を救う"大空"〜 作:raphel
※サブタイトル修正しました 第5話→第6話
※1/19 アーサーのイメージに登場した2人の人物の特徴を一部変更しました。(3/1 一部変更)
ツナが内に抱え込んでいた悲しみをベルベットの深い愛情によって涙と共に吐き出したあの夜から一週間が経ち、ツナはクラウ家の居候……否、"家族“としてすっかり馴染んでいた。
特にベルベットとは、アーサーの薪割りや大工仕事の手伝い、セリカの家事や買い物の手伝い、体が弱いライフィセットに対してのお世話や看病、岬での釣り、その他諸々……何をするにしても基本2人で一緒に行動するのが常となっていた。
余談ではあるが、ツナはベルベットと一緒にセリカから家事のいろはを教わったおかげで、10年後の未来の世界で彼の想い人である少女ーー『笹川京子』を始めとした女性陣に家事をボイコットされ、まったく家事ができなかった時とは比べ物にならないくらいに家事全般が上達し、特にベルベットと一緒にやっている時なんかは彼女と息ぴったりなコンビネーションでテキパキと行なうので、家事のいろはを教えたセリカは勿論、アーサーからも感心されていたとか。
"ベルベットのことをもっと知りたい、できる限り傍にいたい"……ツナがあの夜ベルベットにそう言ったことをきっかけに2人の仲はより深まり、ベルベットは出会った時から変わらずツナにべったりで、暇な時は甘えるようにスキンシップをしているのに対し、ツナの方はまだ恥ずかしいところはあるが、以前とは違って満更でもなく、寧ろ何処か嬉しそうにベルベットのスキンシップを受け入れるだけでなく、自ら積極的に彼女の傍にいようとする姿勢を見せるようになった。
とは言え、ベルベットへの感情が"友情"なのか、それとも"愛情"なのかは今のツナにはわからない上、まだその答えを出せそうにない……だが、ベルベットと一緒にいるのは楽しく、温かくて愛おしいことであるのは確かだ。
ツナにとってのベルベットは最初"自身への誤解で恋心を抱いている歳下の女の子"のイメージしかなかった……だが、想い人がいると聞いてもツナへの揺るがない愛を示し、ツナの弱さや過去、罪を聞いても拒絶せずに受け入れ、共に戦って来た仲間達にさえ吐き出せなかった深い悲しみを涙と共に吐き出させてくれたベルベットの存在は"何があっても守りたい特別で大切な女の子"と言う、想い人の京子に勝るとも劣らない大きなものへと変わっていた。
たった一晩でベルベットと仲睦まじい関係になったツナの変化には、あの夜にこっそり2人の会話を聞いていたアーサーとセリカも内心驚くのと同時に、本当にベルベットの初恋が叶うのではないかと喜びを抱いていた……その一方で、ベルベットと同じようにツナに初恋(勘違い)を抱いていたライフィセットは面白くないとばかりに、可愛らしく頬を膨らませているが(笑)
そんなこんなでクラウ家で過ごすツナはお世話になってばかりも行かないので、今日もアーサーとセリカの手伝いをベルベットと一緒に積極的に行うが、その日は珍しくアーサーが男同士で話したいことがあるのでツナを貸してほしいと言って来て、ツナとベルベットも偶には良いかとそれを了承し、ツナはアーサーの手伝いを、ベルベットはセリカの手伝いと二手に分かれて行動するのだった……
「すまないな。君もベルベットもお互い一緒に手伝いをしたかっただろうに、俺の頼みを無理に聞いて貰って……」
ツナとアーサーは現在森の中で薪集めをしており、アーサーは自分が言い出しっぺとは言え、仲の良いツナとベルベットを別行動させてしまったことに申し訳無さそうにしていた。
「いえ、大丈夫です。本当だったらこんな風に役割分担して手伝った方が効率良いのに、俺自身ベルベットの傍が心地良かったから、つい……///」
「ははは、ベルベットが聞いたら喜びそうな言葉だな。最初はベルベットの一方通行な片想いになるかと思ったが、案外君も満更でもなさそうだな」
「うっ……否定はしませんけど、あんまり揶揄わないでください……と言うか、ここに初めて来た時にベルベットが俺のお嫁さんになりたいって言ったのを聞いて、めちゃくちゃ怒ってたのアーサーさんじゃなかったでしたっけ?///」
「うぐっ……その時は本当に大人気ない対応をしてしまって、すまなかった……///」
「まあ、気にしてないから大丈夫ですけど……くすっ」
「フッ……」
「「あはははっ!」」
揶揄い合っていたツナとアーサーはお互いに可笑しくなり、声に出して笑い合っていた。
ツナはアーサーとの初対面がアレだったので最初は少し苦手意識を持っていたが、厳格な人物と言う訳では無かった様で、フランクに接してくれる上、ライフィセットの所為で男のプライドが激しく傷つけられた時に自身の心情を察し、親身に慰めてくれたことから穏やかで優しい人物で、とても家族想いであるその人柄からすぐに苦手意識は消えた。
そしてツナ自身アーサーとは馬が合うところもあるので、今ではアーサーのことを実の兄のように慕い、対するアーサーもツナのことをライフィセットと同じように実の弟のように可愛いがっており、2人は軽口を叩ける程までに仲良くなっていた。
「最初君がここに来た時は、元の場所に帰る手段がわからないこともあって、何処か不安そうな表情をしていたからな。どうなることかと心配していたが……今の君の様子を見て、安心したよ」
「……色々とご心配をおかけしてすみません。アーサーさんやセリカさん、そしてベルベットのおかげでこの通り、もう大丈夫です」
「そうか、良かった……だが、無理はしないようにな。苦しくて、自分でどうにもならない時は俺やセリカ、そしてベルベットに遠慮せず相談しなさい。俺達はいつだって君の味方だからな」
「アーサーさん……はい、ありがとうございます!」
「フフッ……よし、張り切って薪を集めようか」
「はい!」
ツナとアーサーが張り切って薪集めをすること10分後……
「よいっしょと……だいぶ集まりましたね」
「そうだな、これだけあれば充分だろ。さて、そろそろ家に戻ろう」
「はい」
2人は大量の薪が入ったリュックタイプの薪入れ袋を背負い、帰路へと着いていた。
「それにしても、今日は良い快晴だな。雲一つないくらいに澄み渡っていて、見ていて気持ちの良い"大空"だ」
「ですね……あ、アーサーさん、あそこに鳥の群れが見えますよ」
ツナが指差す方向には、鳥の群れが快晴で澄み渡った大空を気持ち良さそうに飛翔する姿があった。
「ふむ、あれはどうやら渡り鳥の様だな。食糧や繁殖のことを考えて、新しい住処を求めて移動しているのだろう」
「へえ〜……それにしても、鳥達は気持ち良さそうに空を飛んでますね」
「ああ……ツナヨシ君」
「? はい」
「……何故、鳥は空を飛ぶのだと思う?」
「…………え?」
Side ツナ
空を飛ぶ渡り鳥を見ながら発したアーサーさんのそんな質問に対し、俺は思わず間抜けな返事を返してしまった。
そんな俺に気付いたのか、アーサーさんははっとし、慌てて俺の方に向き直る。
「すまない、いきなり変なことを聞いてしまって……」
「あ、いや、大丈夫です……でも、どうしてそんな質問を?」
アーサーさんが意味もなくあんな質問をして来たとは思えなかった俺は、質問の理由をアーサーさんに聞いてみた。
それに対して、アーサーは懐かしんでいるような、悲しんでいるような複雑な表情を浮かべながら答える。
「"なぜ鳥は空を飛ぶのか?"……これは俺の先生が生前の頃、俺に問いかけて来た言葉なんだ」
「ッ! 生前って、アーサーさんの先生は……」
「……ああ、既に亡くなっているよ」
「……すみません、俺……」
「いや、気にしないでくれ。話の続きだが、以前先生にこの質問をされた時、当時の俺は未熟だった……いや、"今でも"か……とにかく先生の意図が理解できず、"餌を捕まえる為"と答えてしまってな……先生からは門前払いの如く"答えを考え直して来い"と言われてしまい、先生が亡くなられた後の今でもその答えを見つけられずにいるんだ……」
「……もしかして、あの渡り鳥達を見てそのことを……?」
「まあ、そんなところだ……急にこんなことを質問されても、君自身困っただろ? すまない、忘れてくれ……さあ、家へ戻ろう」
「……はい」
アーサーさんはそう言って家への歩みを進め、俺もそれに続く。
アーサーさんは忘れてくれと言ったけど、さっきの質問が俺の中で強く焼き付いていて、気がつけば歩きながらその答えを頭の中で考え始めていた。
"なぜ鳥は空を飛ぶのか"……アーサーさんが答えた"餌を捕まえる為"みたいな目的とか、鳥が空を飛べる原理的なものは、たぶんこの質問をしたアーサーさんの先生の意図から大きく外れた、的外れな回答なんだと思う。
そうなると、あと考えられるのは……
"心"
……鳥が何を思って、どんな想いで空を飛んでいるのか、その心のあり方がこの質問の意図かもしれない。
そして、たぶんこの質問に正解は無い……"自分なりの答え"を持つことが大切なんだと思う。
きっとアーサーさんはそのことにとっくに気付いてる……だけど、あの人から感じた"悲しみ"から大きな挫折があって、余計に自分なりの答えを見つけられずにいるんだ。
さっき俺に質問して来たのだって、答えを見つけるヒントを得ようと言うよりは、俺がどう答えるのかを聞きたかったんだと思う……尚更、答えを出さないと。
とは言え、鳥の気持ちなんてわかる筈も無いし……いや待てよ、鳥を俺自身に置き換えれば良いんじゃないか? だって、俺はハイパー化すれば空飛べるし……
後は俺が空を飛んでいる時に何を思っていたのかを考えるだけだけど……今思い返せば、戦闘や修行、移動の時以外で空を飛んだこと無かったなぁ……空が飛べることを自慢する気なんて無いし、空を飛ぶこと自体を楽しむ余裕なんて無かったし……
俺は何かヒントが欲しくて、ふとさっきの渡り鳥達に目を向けた。
(アーサーさんはさっき渡り鳥達は新しい住処を求めて移動しているって言ってたなぁ……住処……場所……ッ! これだ!)
俺は見つけた……"なぜ鳥は空を飛ぶのか"に対する、俺なりの"答え"を!
そう思った俺は自然と行動を起こしていた。
「あ、あの! アーサーさん!」
「ん? どうした?」
「さっきの質問……"なぜ鳥は空を飛ぶのか"の、俺なりの答えを見つけました」
「ッ!……聞かせてくれるか?」
「はい。鳥が空を飛ぶのは、きっと……
"辿り着きたい場所"……大切な人達がいる場所……自分が自分でいられる場所……そんな場所に行きたいから、大切な人達に会いたいから、空を飛ぶんだと思います」
「ッ!!」
アーサーさんは俺の"答え"を聞いて驚き、大きく目を見開いていた……
Side アーサー
俺は先程思わず口に出してしまった、先生が俺に遺した問いーー"なぜ鳥は空を飛ぶのか"に対し、ツナヨシ君は忘れてくれと言ったにも関わらず律儀に考えてくれていた様で、そんな彼が出した"答え"を聞いた俺は激しい衝撃を受けたような感覚を覚えた。
辿り着きたい場所……大切な人達がいる場所……自分が自分でいられる場所……そんな場所に行きたいから、大切な人達に会いたいから、鳥は空を飛ぶなのだとツナヨシ君は答えた。
至ってシンプルだが、先生の問いの意図に合致している気がした……だからこそ、俺はツナヨシ君に何故そう思ったのかを聞くことにした。
「……何故、そう思ったのかを聞いても良いかな?」
「はい……アーサーさんも気付いていると思いますけど、この質問の意図は鳥が何を思って、どんな想いで空を飛んでいるのか、その心のあり方を聞いてるんだと思います。あとこの質問には正解は無くて、自分なりの答えを持つことが大切なんだと思います」
「ああ、そうだな。俺も君と同じ考えだ……だが、俺はそのことに気付いても、自分なりの答えを見つけ出せずにいる……だからこそ、聞きたい。君が何故その答えに辿り着けたのかを……」
「わかりました。あ、ただ、この話をする前に1つ聞いておきたいんですけど……」
「ん? 何かな?」
「アーサーさん……
俺が初めてここに来た時の夜、俺とベルベットの会話をセリカさんと一緒に聞いてましたよね? 部屋の入口の前で」
ぎくっ!?
「……き、気が付いていたのか?」
「はい、ベルベットと会話してる時に気配がしたんで……」
まさか気が付かれていたとは……そう言えば、ツナヨシ君は超直感と言う常人の域を遥かに超えた直感力を持っていると話にあったな……俺やセリカの気配に気付くのも道理か……
「あ、だからって、責めてる訳じゃないですよ!? 心配かけちゃって申し訳なかったですし、寧ろ……俺の事情を知っても受け入れてくれて、家族のように接してくれて……本当に感謝しかありません///」
「そ、そうか、それは良かった……いや、盗み聞き自体は良くないな。すまなかった……」
「いえ、全然大丈夫です! それで話の続きなんですけど……俺は戦いの時はいつも空を飛んでるんです。だから鳥を俺自身に置き換えて、俺が何の為に空を飛んでいたかを考えてみたんです」
「なるほど……」
ツナヨシ君が空を飛べると言うのは実際見たことが無いので、普通の人であれば信じられない話だが、彼が嘘をついている様には見えない上、不思議と彼にはそれができてしまう様にさえ思える程だ。
そんな俺を他所に、ツナヨシ君は話を続ける。
「最初は今まで無意識で空を飛んでたから、何の為に空を飛んでたかなんてわからなかったけど……さっきの渡り鳥達……アーサーさんが渡り鳥達は新しい住処を求めて移動しているって言ってたのを思い出して……今までの自分と、渡り鳥達のこと……それらを重ねて考えてたら……」
「……辿り着きたい場所……大切な人達がいる場所……自分が自分でいられる場所……そんな場所に行きたいから、大切な人達に会いたいから、鳥は空を飛ぶなのだと言う先程の答えに辿り着いたんだね?」
「はい」
ツナヨシ君は穏やかな笑みを浮かべ、澄み渡った大空へと視線を向けながらさらに語る。
「俺が今まで大空を飛んで来たのは、大切な皆を守りたい、皆と一緒に笑い合える未来へ行きたいから……今離れ離れになっている元の世界の皆、そして今一緒にいるベルベットやアーサーさん達クラウ家の皆と例え離れ離れになったとしても、俺は絶対に諦めない……どっちも俺が俺らしく、沢田綱吉と言う人間でいられる大切な"居場所"だから……大切な皆に会う為なら、俺は死ぬ気で大空をどこまでも飛べられる! それが、"なぜ鳥は空を飛ぶのか"に対する俺なりの答えです」
「……ッ!」
まっすぐで強い意志を宿した表情でそう語るツナヨシ君を見た俺は、突然脳裏にあるイメージーー2人の人間の姿が浮かび上がる。
1人は額に"翡翠色の光の粒子"が混ざった橙色の炎を灯し、両腕には翡翠色に発光するラインが浮かび上がって手の甲にクリスタルが見える赤い金属製のグローブが装着され、背中には天使の羽のような橙色の炎と翡翠色の光の2対4枚の翼が生えていて、赤みを帯びて微かに発光する少し襟足が長い茶髪に、瞳の色を美しい橙色と翡翠色のオッドアイにそれぞれ変え、歴戦の戦士のような強さと、すべてを包み込むような温かさを感じさせる姿をしたツナヨシ君。
もう1人は……
(ま、まさか……ベルベット、なのか……?)
膝あたりに届く黒の長髪を後ろで三つ編みにし、少しツリ目な瞳、女性らしい体つき……特に豊満な胸が目立つ10代後半の美しい女性ーー成長したベルベットだと思われる人物の姿があった。
その女性もツナヨシ君に似た姿をしていて、長い黒髪に橙色・赤色・紫色・藍色・黒色の5つの炎と翡翠色の光の粒子を纏わせて微かに発光させ、瞳を琥珀色と真紅色のオッドアイに変え、銀色のガントレッドが装着された右腕、まるで獣のような鋭い爪があるが禍々しさは無く、翡翠色に発光するラインが浮かび上がっていることから神々しさと猛々しさが感じられる真紅に輝いて燃える炎の左腕がそれぞれ目立ち、背中には橙色と赤色が混ざったような2枚の真紅色の炎の翼、そして紫色と藍色の炎、翡翠色の光の粒子を含んだ"夜空"を思わせるかのような2枚の黒色の炎の翼……計4枚の炎の翼が生えていていた。
ツナヨシ君とベルベットだと思われる女性は互いに手を繋いで微笑み合い、澄み渡る大空を背中の翼を広げながら自由に飛んでいた。
俺が見ているこのイメージが何なのか、何故このようなイメージが突然見えたのかはわからない……ただ、このイメージは2人の"未来"の姿を映し出しているのかもしれない。
だとしたらツナヨシ君とベルベットが出会ったのは、やはり……
「アーサーさん?」
「はっ!?」
ツナヨシ君の声が聞こえたと同時に先程のイメージが消え、現実へと戻って来ていた。
「あの、大丈夫ですか? なんか心あらずな感じで、ぼうっとしてたみたいでしたけど……」
「すまない、大丈夫だ……少し考え事をしてしまってな……」
取り敢えず、先程見たイメージはツナヨシ君やベルベットには言わない方が良いな……もし未来の話であれば、尚更だ……
「ええと……それで、どうですか? 俺の答えは、そんな感じなんですけど……」
「そうだな……なんとも君らしいと言うか、至ってシンプルと言うか……だけど、個人的にとても好感の持てる答えだ。俺の先生にも聞かせてあげたいくらいにな」
もし先生がこの場にいて、ツナヨシ君の答えを聞いたら、絶対に彼のことを気に入っていたのは間違いない……その光景すら容易に目に浮かぶ。
「本当ですか!? えへへ……なんかそう言われると、嬉しいです……///」
「フフッ……もしかしたら、君がこのアバル村……いや、この世界に来たのは、ベルベットと出会う為かもしれないな……」
「……そうですね、俺もそんな気がします。偶然の可能性もありますけど、今は本気でそう信じたいです……あ」
「ん? どうした?」
「今、思ったんですけど……アーサーさんも俺と同じなんじゃないかと思って……」
「俺と君が同じ……?」
「はい。アーサーさん、最初に会った時に言ってたじゃないですか……"最愛の妻と運命的な出会いを果たせた。今までの旅も彼女と出会う為だったと思えば、悪いものでは無い"……って」
「た、確かに言ったな……と言うより、よく覚えていたな///」
「あはは……えっと、話の続きなんですけど……アーサーさんは最愛の奥さんーーセリカさんに……生涯愛する人に出会う為に、今まで懸命に翼を羽ばたかせて、アバル村まで飛んで来た……きっと、それがアーサーさんの"なぜ鳥は空を飛ぶのか"に対する答えなんじゃないかって……俺はそう思うんですけど、どう思います?///」
「ッ!!……フ……フフッ……ハハハハハッ!!」
ツナヨシ君のその言葉を聞いた俺は再び衝撃を受けた後、可笑しな気分になり、思わず声に出して笑っていた。
「ええええッ!? そんなに可笑しかったですか!? た、確かに自分でもクサいこと言っちゃった感はありますけど……///」
「フフフッ……あ、いや、すまない……決して、君が言ってくれた答えを笑った訳じゃないんだ……そんな簡単なことに気付けなかった自分自身が可笑しくなって、思わず笑ってしまったんだ……まったく、ここに先生がいたら呆れられただろうな……」
「アーサーさん……」
「ありがとう、ツナヨシ君……君のおかげで、長いことみつけられなかった、先生の問いに対する俺なりの"答え"が見つかったよ……」
「あははは……それは、良かったです……///」
俺がツナヨシ君の頭を撫でながら礼を言うと、彼は照れ臭そうに笑っていた。
こんな風に年相応な反応をされると可愛いと思えてしまう……これではセリカやベルベット、ライフィセット達のことを言えないな……
同時に俺はある"確信"を持った……この少年ーーツナヨシ君はいつかベルベットに……俺達家族に"何か"が起きても、必ず救ってくれる存在になると……何故か、そう信じられるのだ。
本当であれば、こんなことを言ってはいけないと思う……だが、言わずにはいられなかった俺は"願い"を口にする。
「……ツナヨシ君」
「? はい?」
「……期待してるよ」
「え? 何を?」
「うーん、そうだな。強いて言うなら……君がベルベットの"旦那さん"になることをかな?」
「え……ええええええッ!? ななななな、なんで急にその話を!?///」
「なに、君に"お義兄さん"と呼ばれるのも悪い気がしないと思っただけさ」
「何ですか、それ!?///」
「つい長話になってしまったな。よし、急いで家に帰るぞツナヨシ君。セリカとベルベットが美味しいお昼を用意して待ってるからな。ははははッ!」
「ちょっと、アーサーさん!? 誤魔化さないでください! ちゃんと説明してくださいってばーーー!!///」
顔を真っ赤にして説明を求めて来るツナヨシ君をのらりくらりと躱しながら、俺は彼と共に家へと向かう。
そんな俺の心は雄大に広がり、美しく澄み渡る"大空"のように晴れやかなものであった……
To Be Continue……