テイルズオブベルセリア 〜"災禍"の乙女を救う"大空"〜   作:raphel

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何とか今年中に最新話を投稿できました(^◇^;)
たぶんこれが今年最後の投稿になるかな?

今回はREBORN原作で未来編以降触れられなくなった”あのリング"が再登場し、さらには他作品のテイルズキャラがツナの姉として復活して登場します^_^


第7話 "約束"のリングとツナの"姉"

ツナがクラウ家に来てから数週間の月日が過ぎたある日、ツナはベルベットと共に岬に釣りをしに来ていた。

 

 

「よーし! ツナ、今日はいっぱいお魚を釣ろうね!」

 

「うん、俺も頑張るよ」

 

 

最初は魚を大漁に釣ろうと張り切っていたツナとベルベットだったが……

 

 

「………釣れないね」

 

「………そうだね」

 

 

釣りを開始してから30分経つが、一向に釣れないことに退屈した様子を見せる2人だが、獲物がかかるまで待つしかないのは明白なので、それまでの間談笑して待つことにした。

 

 

「そう言えば……ツナの友達や仲間がどんな人達なのかは前に聞いたけど、ツナの家族のこと聞いてないかも」

 

「確かに言ってないかも……俺の家はリボーンを始め居候が多いけど、元々は父さんと母さん、そして"姉さん"の4人家族だったんだよ」

 

「えっ!? ツナって、お姉さんがいたの!?」

 

「うん……って、そう言えば姉さんのこと、リボーンや皆にも話したこと無いな」

 

「そうなの? ねえねえ、ツナのお姉さんってどんな人なの?」

 

 

友達や仲間にも話したことがないツナの"姉"について興味津々なベルベットは、キラキラした目でどんな人物なのかをツナに聞く。

 

姉のセリカがいるとは言え、彼女自身も下に弟を持つ姉であることに変わりないので、同じ姉としてツナの姉のことを知りたいのだろう。

 

 

「うーん、そうだなぁ……勉強や運動がダメダメな俺と違って、才色兼備って言うくらい勉強も運動も凄くて、周りの人が見惚れちゃうくらい凄い美人な姉さんなんだ。あと世話焼き過ぎるところはあるけどいつも俺に優しくて、料理好きでもあるから母さんと一緒に美味しい料理を作ってくれたんだ」

 

「へえ〜、自慢のお姉さんだね」

 

「あはは、まあね……ダメダメな弟の俺はいつも周りから優秀で美人な姉さんと比較されて、コンプレックスを感じちゃうことが多かったけど……それでも俺にとっては大好きな姉さんだよ……///」

 

「ふふふ、そっか……」

 

 

照れ臭そうに自身の姉のことを語るツナを、ベルベットは微笑ましい目で見ていたが、あることに気付く。

 

 

「あれ? お姉さんのこと、お師匠さんや友達の人達にも話していないって言ってたけど、もしかして今家にいないの?」

 

「うん、俺の父さんと同じように今は海外……俺の住んでる国の外にいるんだ。かれこれ、もう4年は会ってないかな? 姉さんは俺が今通っている並盛中って言う学校の卒業生なんだけど、海外でやりたいことができたって言って、並盛中卒業後はすぐ海外へ行ってしまったんだ」

 

「そうなんだ……ツナはお姉さんが国の外で何やってるかは知らないんだよね?」

 

「うん、まだ家に住んでた時に聞いても教えてくれなかったから……ただ、姉さんは時々手紙を海外の風景とかの写真と一緒に送ってくれるから、海外を旅してるんだって言うのはわかるし、元気にしてるのは間違いないと思う」

 

「そっか……元気にしてるのは安心だけど、4年も会えなくて寂しいよね?」

 

「そうだね……あ、でも前に来た姉さんからの手紙だと、あと数ヶ月くらいで帰って来れるらしいんだ」

 

「ッ! 本当!? 良かったねツナ、長く家にいなかったお姉さんが帰って来るみたいで」

 

「うん、帰国日はまだはっきりしてないけど、姉さんが帰って来るのが今から待ち遠しいよ」

 

「だよね! そしたら、ツナも早く元の世界に……あ」

 

「あ……」

 

 

4年間家から離れていたツナの姉があと数ヶ月程で帰って来ると言う吉報を聞いたベルベットは、まるで自分のことの様に喜び、ツナにそう言うが……"ツナも早く元の世界に帰らないと"と言いかけたところで、彼女の表情は暗いものへと変わって俯き、それに気付いたツナも暗い表情になる。

 

無理もない……ツナが元の世界に帰ると言うことは、彼とクラウ家の別れ……ツナとベルベットの別れを意味しているのだから……

 

 

「……あたし、本当はわかってるの……あたしがツナといつまでもずっと一緒にいたいと思っても、それが簡単じゃないって……だってツナには、ツナの帰りを待ってくれている人達がいるから……もしツナが元の世界に帰れるようになった時、あたしのわがままで引き止めちゃダメなんだって……あたしもツナの世界に一緒に行けたらって思ったけど……ラフィやセリカ姉さん、アーサー義兄さん達をおいては行けないし、ずっとくらしてたアバル村からはなれるなんて、無理だと思うから……」

 

「ベルベット……」

 

 

暗い表情で俯きながらそう話すベルベット。

 

異世界の住人であるツナがずっとクラウ家にいられる訳じゃなく、いつかは元の世界に帰ってしまう可能性があること……そして、ツナには彼の帰りを待ってくれている人達がいることを……

 

あの夜にツナの事情を間近で聞いた彼女だからこそ、自分がずっとツナと一緒にいたいと願っても、それが簡単ではないことを理解しているのだ。

 

そんなベルベットに対し、ツナはなんて言葉をかければ良いか迷うが……

 

 

『何故、鳥は空を飛ぶのだと思う?』

 

『"辿り着きたい場所"……大切な人達がいる場所……自分が自分でいられる場所……そんな場所に行きたいから、大切な人達に会いたいから、空を飛ぶんだと思います』

 

『俺が今まで大空を飛んで来たのは、大切な皆を守りたい、皆と一緒に笑い合える未来へ行きたいから……今離れ離れになっている元の世界の皆、そして今一緒にいるベルベットやアーサーさん達クラウ家の皆と例え離れ離れになったとしても、俺は絶対に諦めない……どっちも俺が俺らしく、沢田綱吉と言う人間でいられる大切な"居場所"だから……大切な皆に会う為なら、俺は死ぬ気で大空をどこまでも飛べられる! それが、"なぜ鳥は空を飛ぶのか"に対する俺なりの答えです』

 

 

以前アーサーと会話した時に聞かれた"なぜ鳥は空を飛ぶのか"……そして、それに対して出した自身の"答え"がふと脳裏に浮かんだ瞬間、ツナの迷いは晴れて行く。

 

 

「(そうだ……アーサーさんに言ったじゃないか、例え離れ離れになったとしても俺は絶対に諦めない、大切な皆に会う為なら俺は死ぬ気で大空をどこまでも飛べられるって……なら、俺がベルベットに言ってあげられる"言葉"はこれしかない!)……ん?」

 

 

ベルベットにかける言葉が見つかったツナは、ふと"あるもの"に目を止めると……

 

 

(そうだ! "これ"をベルベットに預ければ……"あの人"に悪い気はするけど、きっと許してくれるよね? よし!)

 

 

ある"考え"を思い付き、早速行動へ移すことにした。

 

 

「ベルベット」

 

「? なあに?」

 

「ええと……少しだけ目をつぶって欲しいんだけど、良いかな?」

 

「え? いいけど……」

 

 

ツナから少しだけ目をつぶって欲しいと言われたベルベットは、言われるがまま目を閉じた。

 

 

「ちょっと手が触れちゃうけど、我慢してね」

 

「う、うん……///」

 

 

目を閉じているベルベットは、ツナの手が自身の首周りや髪に触れている感触にドキドキしながらもじっとしていると……

 

 

「よし……ベルベット、もう目開けて良いよ」

 

「うん……あれ?」

 

 

ツナから目を開けて良いと言う声が聞こえ、ベルベットが目を開けると、自身の首に"あるもの"がかけられていることに気付く。

 

それは……

 

 

「これって……指輪?」

 

 

ベルベットの言う通り、彼女の首には中央に竜の形をした銀の装飾が施されているが、一部"傷"がある黒い指輪がチェーンを通して付けられていた。

 

ツナがベルベットに付けたその指輪の正体はと言うと……

 

 

「ベルベットに付けたそのリングは、俺が10年後の世界に行く前に"ランチア"さんって人から貰ったもので……白蘭との戦いで俺の命を守ってくれた、俺にとって凄く大切なものなんだ……」

 

「ッ!」

 

 

ツナが10年後の世界に行く前……丁度ヴァリアーとのリング争奪戦が終わってすぐの頃、イタリアへ帰るツナの父親ーー『沢田家光』が率いる門外顧問チーム『CEDEF』の一員である少年ーーバジルこと『バジリコン』と、かつて北イタリアのマフィアの最強の用心棒であった男ーー『ランチア』を見送る際、ランチアから貰った彼の北イタリア時代のファミリーのボスの形見のリングで、それは10年後の世界での最終決戦で白蘭の攻撃からツナの命を守った、彼にとって凄く大切なものであった。

 

 

「そ、そんな大切なリングを、どうしてあたしに……?」

 

「……大切なものだからこそ、ベルベットに預かって欲しいんだ」

 

「え?///」

 

 

ベルベットがツナにとって大切なランチアのリングを何故自分に渡したのかを問うと、ツナは真剣な表情でそう返し、ベルベットの顔を赤くさせる。

 

 

「ベルベットの言う通り、俺は俺の帰りを待ってくれている人達の為にも元の世界に帰らないといけないし、その時が来たらベルベット達とお別れしないといけないのは確かだと思う……だけど、俺はベルベット達と永遠の別れなんてするつもりはない……ベルベットに預けたランチアさんのリングは、俺達がもう一度出会う為の"約束"の証にしたいんだ」

 

「ッ! 約束の、あかし……?///」

 

「うん……元の世界に帰って離れ離れになったとしても、俺はベルベット達に会いにもう一度この世界に来るよ……例えそれがどんなに難しくて、とんでもなく長い時間をかけることになっても、俺は絶対に諦めない……どんなことがあっても、絶対に会いに行くって約束するよ」

 

「ツナ……///」

 

「だから、そのリングは俺がベルベットの元に辿り着く為の"目印"として持っていて欲しいんだ。他の誰でもない、ベルベットにね……どうかな? 頼まれてくれるかな……?///」

 

 

ツナは自身がクサい台詞を言っていることを自覚し、照れ臭そうにしながらもベルベットにそう言う。

 

ツナがベルベットにランチアのリングを預けた理由は先程本人が言った通り2つあり、1つはツナが元の世界に帰ってベルベットと離れることになった時に、もう一度出会う為の再会の"約束"の証として……そして、もう1つはツナが元の世界に帰った後、異世界のベルベットの元へ辿り着く為の"目印"にする為だ。

 

何故ランチアのリングがベルベットの元へ辿り着く為の目印になるのかと言うと……

 

ツナは以前10年後の世界に来たばかりの頃、ミルフィオーレファミリーが所有していた死ぬ気の炎を動力源とし、リングの力を探知するセンサーを内蔵した戦闘用のロボットーー『ストゥラオ・モスカ』にランチアのリングを探知されてしまった時のことを思い出し、ランチアのリングを異世界の住人であるベルベットが持っていれば、元の世界に帰った後でもリボーン経由でボンゴレの科学班等何かしらの技術で異世界にあるリングの反応を探せるかもしれないと思い付いたからだ。

 

実際元の世界の技術で異世界にあるリングの反応を探せる確証が無い上、自身にリングを与えてくれたランチアに対して申し訳ない気持ちはあるものの、このまま何も残さずに帰るよりはマシだと思ったツナはベルベットにランチアのリングを預かってくれるかと頼んだ。

 

それに対し、ベルベットは……

 

 

「……わかった。ツナが元の世界に帰っても、またあたし達のところに来てくれるように、このリングは絶対に大事にするから!///」

 

 

ツナの命を守ってくれた大事なリングを、他の誰でもない自分に託してくれたことに嬉しそうな笑みを浮かべ、ツナの頼みを承諾するのだった。

 

 

「良かった……ありがとう、ベルベット///」

 

「ううん、あたしの方こそありがとう……ツナがあたし達のことをまた会いたいって言ってくれるくらい、大切に想ってくれていたことが凄い嬉しいの……///」

 

「大切に想うのは当たり前だろ? ベルベット、アーサーさん、セリカさん、ライフィセット……クラウ家の皆は俺にとって……もう1つの大切な"家族"なんだから……///」

 

「ッ! ツナ……!///」

 

「おっと……ふふふ……///」

 

 

ツナの言葉を聞いたベルベットは嬉し涙を浮かべながら彼に抱きつき、抱きつかれたツナは少し驚きながらも優しげな笑みを浮かべながら彼女を抱き締め返した。

 

あの夜の時のように2人の間には温かくて穏やかな空気が満ちており、何とも良い雰囲気であったのだが……

 

 

「……ん? あ! ベルベット、釣竿が引いてるよ!?」

 

「え? あ! 本当だ!」

 

「い、急いで引かなきゃ!」

 

「う、うん!」

 

 

この空気をぶち壊すかのように、仕掛けていた釣竿に獲物がかかり、ツナとベルベットは急いで釣竿引き、釣り上げて行くのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

「えへへ、今日は大漁に釣れたね」

 

「うん、大収穫だね」

 

 

あの後ツナとベルベットは大漁の魚を釣れた様で、嬉々とした様子の2人は仲良く魚が入った籠を持ちながら家への帰路に着いていた。

 

 

「……ツナ///」

 

「ん?」

 

「さっきも言ったけど……ツナが預けてくれたこのリング、あたしは何があっても絶対に大事に持ってるって約束するよ///」

 

 

ベルベットはツナから預けられたランチアのリングを、まるで宝物のように大事そうに見ながら約束の言葉を口にする。

 

 

「……うん。ありがとう、ベルベット」

 

「えへへ……だからツナも約束、ちゃんと守ってね?///」

 

「勿論守るよ……どんなに時間がかかっても、約束は絶対に果たすから」

 

「……えへへ///」

 

 

ツナは真っ直ぐな瞳と力強い笑みをベルベットに向けながら決意の言葉を口にし、ベルベットはそんなツナに見惚れてぼうっとするが、すぐにはにかんだ笑みを浮かべ、2人は微笑み合いながら我が家へと帰って行く。

 

ランチアのリング……10年後の世界でツナの命を守ったリングは、ツナとベルベットを再び巡り合わせる為の"約束"のリングと化しただけで無く、遥か未来でベルベットに他の世界線の彼女には無い大きな"力"を与えることを、この時の2人はまだ知らない……

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、さっき聞き忘れてたんだけど……」

 

「? 何?」

 

「ツナのお姉さんって、なんて名前なの?」

 

「ああ、そのことか。そう言えば、言って無かったね。俺の姉さんの名前は……

 

 

 

 

 

 

 

 

"ミラ"……"沢田美麗(さわだみら)"って言うんだ。俺はミラ姉って呼んでるよ」

 

「へえ〜、なんか綺麗な名前だね」

 

「うん。ミラ姉は赤ん坊の頃から美人さんで、母さん達が将来絶世の美女になること間違いないからそう名付けたんだって」

 

「そうなんだ……憧れちゃうなぁ……あたし、ミラさんに会ってみたい!///」

 

「うん、俺もベルベットをミラ姉に会わせたいよ(ミラ姉……会いたいなぁ……元気にしてるかな……?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side ??

 

地球……それは『ボンゴレリング』・『マーレリング』・『アルコバレーノのおしゃぶり』を総称した秘宝ーー『7³(トゥリニセッテ)』を礎に創造された世界で、現在異世界であるウェイストランドにいるツナの生まれ故郷の世界でもある。

 

そんな地球の日本から遠く離れた海外……船や飛行機、魚、ましてや人影すら無いとある海に、腰より長いボリュームのある金髪に赤紫色の瞳、女性らしい体つき……特に豊満な胸が目立つ10代後半ぐらいの、"絶世の美女"と呼ぶに相応しい美女が"水面の上に立っていた"。

 

さらにその美女の足元には"魔法陣"らしきものが展開されており、彼女は何かを詠唱していた。

 

そして……

 

 

「龍王随風、神魔を裁斬せよ! サイクロン!!」

 

 

金髪の美女がそう言い放った瞬間、少し離れた場所に巨大な竜巻が発生し、海水を大きく巻き上げて行く。

 

暫くして竜巻が消えると、金髪の美女は再度魔法陣を展開し、先程とは違う詠唱をすると……

 

 

「天照らせ日輪、今こそ消滅の時! レイジングサン!!」

 

 

頭上に太陽の如き巨大な火球を発生させ、それを海面に落とすと大規模の爆発が発生し、激しい水飛沫が飛び散った。

 

 

「ふう〜……よし、上級"精霊術"も問題なく扱える様になって来たわね……漸く修行の終わりが見えて来た」

 

 

金髪の美女は先程放った竜巻や火球の威力を見て、満足気な様子であった。

 

どうやら彼女は『精霊術』と言う魔法に近いものの修行をしている様だ。

 

 

「さてと日が暮れて来たし、そろそろ野営地に戻らないとね……ふっ!」

 

 

そう言って金髪の美女がまるで跳躍するかの様に海面を強く蹴ると、空に向かって大きく跳び上がり、まるで風が味方しているかのように滑空し、近くの無人島へ向かうのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう〜、ご馳走さま……精霊術もだけど、料理も"転生"前の頃より遥かに上達した気がするわね……ふふふ……良い家族に恵まれたおかげかしらね? まあ父親はだらしないダメ親父だけど……料理上手で女神のように優しいお母さんに、天使のように可愛い最愛の弟を持てた私は幸せだわ……」

 

 

修行から無人島の野営地に戻って来た金髪の美女は、自身が作った料理のスープを食べ終えると、頭上で輝く星空を眺めながら感慨深げに呟き、懐からあるものーー1枚の写真を取り出す。

 

 

「ツナ……」

 

 

その写真には……今よりも数年前の写真なのか、並盛中の制服を来た中学生くらいの時の金髪の美女と、小学生くらいの茶髪の少年ーーツナの2人が写っていた。

 

そう、この金髪の美女こそツナの実姉ーー『沢田美麗(さわだみら)』……通称『ミラ』と呼ばれる19歳の女性である。

 

彼女にはとある"秘密"があり、実は『リーゼ・マクシア』と呼ばれる異世界……正確にはそのリーゼ・マクシアの『分史世界』と言うパラレルワールドからの"転生者"で、かつて精霊の主ーー"マクスウェル"と呼ばれていた女性であったが、転生前の人生は悲惨なものであった。

 

詳細な説明は省くが、分史世界で過ごしていた時のミラはとある使命を果たした後、精霊としての力を捨て、人間として精霊の姉と共に村で暮らしていたが……精霊界に戻る事を許されなかった姉から八つ当たりに近い形で虐待され、村の住民たちからも信仰対象としか扱われず、孤独な日々を過ごす中、世界のあるべき姿と言うべき『正史世界』からやって来た者達の手によって彼女の世界は破壊され、ミラはある"少女"の力によって正史世界へと渡った。

 

ミラは自分の世界を壊した正史世界の者達に最初は反目していたが、行動を共にして行く内に段々と心を通わせていく……が、分史世界の自身の存在が栓となって、正史世界の自分ーー『ミラ=マクスウェル』が表に出れなくなってしまい、正史世界のミラを救うには自分が消えるしかないと言うこと……"正史世界では分史世界の同一物は存在できない"と言う残酷な真実に直面し、さらにはある者の策略にはまりミラ=マクスウェルの復活の生贄にされ、最期は自身を助けようとしてくれた仲間の手を自ら離して次元の狭間に落下して消滅した……筈だったのだが……

 

 

「あの時は、まさか赤ちゃんに転生するとは思わなかったわね……しかも記憶を持ったまま……」

 

 

どう言う訳かミラは沢田家の長女として赤子の姿で転生したのだ……しかも転生前の記憶を持った状態で……

 

ミラ自身最初はそのことに戸惑い、何も知らない両親に対して子供らしくない態度を取ってしまったものだ。

 

無理もない……死を覚悟していた人間が転生し、第二の人生を歩めるなんて普通無いだろうし、生前に悲惨な人生を歩んで来たミラにとって"生きる意味"を見い出す等、難しい話だ。

 

とは言え、自身を産んでくれた両親を悲しませたくないので、ミラは数年生きる意味を見出せないまま何となく第二の人生を過ごしていたが……そんな彼女を本当の意味で再起させる出来事が起きた。

 

それはミラが5歳の頃で、彼女の最愛の弟ーーツナが誕生した時であった。

 

 

『ミラちゃん、今日から貴女はこの子の"お姉ちゃん"よ』

 

 

家族が増えて嬉々とした様子の母親の奈々にそう言われた時、ミラは当然困惑した……生前に住んでいた元の分史世界にて、実の姉とは最後まで不仲だった上、その姉を世界ごと殺すことに意図せず加担してしまった自分が"姉"になれるのか?と……

 

ミラがそんな不安を抱えていること等、まったく知らない奈々はミラに産まれたばかりの赤子であるツナを抱っこしてみないかと提案され、ミラはミラで最初渋るものの、ここで断ったら断ったで怪しまれるので、少しだけならと自身を納得させて赤子のツナを抱っこした結果……

 

 

『きゃう〜、きゃっきゃっ!』

 

『ッ!……か……かわいい……///』

 

 

赤子のツナはまるで嬉しそうに笑い、そんな弟の天使のような愛らしい笑みを見たミラは、今までのモヤモヤが吹き飛ばされたかのように見惚れながらそう呟いた。

 

 

『あら! ツっ君、お姉ちゃんに抱っこして貰って嬉しいのね〜』

 

『ははは、そうだな! 俺なんか……俺なんか、ツナを抱っこした瞬間、泣き出されて……ぐすん……』

 

『あらあら、貴方ったら……』

 

『きゃっきゃっ!』

 

『……ふふふ……///』

 

 

だらしないダメ親父こと『沢田家光』が落ち込んでいるが、この際彼は放って置き……ミラは無邪気に笑う弟に釣られたのか、その時転生してから初めて笑ったのだ。

 

だが、それでも彼女の不安はまだ消えていない。

 

だからか、ミラはまだ赤子のツナが答えられる訳ないと理解していながら、ある"質問"をする。

 

 

『……ねえ、ツナ』

 

『あう?』

 

『わたし……ツナの"お姉ちゃん"に、なってもいいかな……?』

 

『ミラ?』

 

『ミラちゃん?』

 

 

赤子のツナにそう聞くミラを怪訝そうに見る家光と奈々を余所に、ミラは瞳を不安げに揺らしながら顔を俯かせていると……彼女の頬に小さな手……ツナの手が優しく添えられた。

 

 

『え……?///』

 

『あう〜! きゃっきゃ!』

 

『ッ!……ありがとう……///』

 

『み、ミラ!?』

 

『ミラちゃん!? どうしたの!?』

 

 

まだ赤子であるツナにミラの質問の意味はわかっていないと思う……だが、まるでミラが自身の"姉"であることを肯定してくれるかのように、ツナは無邪気に笑っていた。

 

そんなツナを見たミラは、自身が赤子のツナを抱っこしている筈なのに……

 

すべてを抱擁し、すべてを包み込む"大空"

 

……ふと頭に浮かんだその言葉の通り、まるでミラ自身がツナに抱擁され、包み込まれているかの様な温かさを感じた彼女は嬉し涙を浮かべながら、ツナへの感謝の言葉を口にする。

 

家光と奈々は急に涙を流し始めたミラに驚くが、ミラはそんな両親に構うことなくツナを抱き寄せ、まるで慈しむかのように頬を寄せる。

 

『あう〜?』

 

『ツナ……生まれてきてくれて……わたしを、"お姉ちゃん"にしてくれて……ありがとう……ツナは、わたしが……お姉ちゃんが、ぜったいに守るから……///』

 

 

ツナの"姉"と言う生きる意味を見出したミラは、赤子のツナにそう決意し、自身に第二の人生をくれた神様に感謝するのだった。

 

ツナが産まれてから10年間、ミラは母親の奈々と弟のツナと一緒に(父親の家光は家にいないことが多かった所為で、ミラからはいないものと見られている(笑))並盛町で暮らしていたが、ツナと同じ中学ーー並盛中を卒業後、とある"理由"で家族から離れ、海外へ旅に出ていた。

 

その理由とは……先程ミラが修行で使っていた"精霊術"……正確には"精霊の力"にあり、彼女はこの力が完全に失われたものだと思っていたのだが、中学時代にこの力が再び使えるようになったことに気付く。

 

ミラは何故この力が再び使えるようになったかは不明だが、転生してから中学時代まで気づかず、コントロールする為の修行さえしていなかったことから、精霊の力が暴発して大事な家族であるツナや奈々を巻き込んでしまう恐れがあった為、色々苦悩した結果、愛する家族から離れて精霊の力をコントロールする為の修行の旅に出ることを決めたのだ。

 

そして彼女は現在、事情を知っている学生時代の後輩……転生前の仲間の1人である"男性"と同じ声をし、無愛想で一匹狼なところがあるが、なんだかんだでミラのことを先輩として慕い、義理堅く協力してくれたり、フォローしてくれた頼り甲斐のある"青年"の助力があるおかげで、現在誰も寄って来ない無人島に4年間暮らしながら、思いっきり精霊の力の修行ができていた。

 

 

「……仕方ないとは言え、大好きなツナや母さんから離れるのは本当に辛かった……でも、それももうすぐ終わる……ツナ、寂しい想いをさせてごめんね……お姉ちゃん、もうすぐ帰れるから……帰ったら、美味しい料理をいっぱい食べさせてあげるし、傍にいてあげるから……そして、絶対にお姉ちゃんがツナのことを守ってあげるから……だから、もう少しだけ待っててね……」

 

 

ミラはそう言って写真に写るツナにキスをし、料理で使っていた食器や調理器具等を洗って片付けた後、テントに入って就寝につくのだった。

 

後にミラは日本……並盛町に帰ることになるが、その時ツナの秘密や彼が経験して来た戦いの全てを知り……"虹の呪い"を解く為の戦いに身を投じるツナを見守り、支えることになり……さらにはツナと共に異世界での戦いに身を投じることになり、姉弟揃って重要な役割を担うことをこの時まだ知る由も無かった……

 

 

To Be Continue……




如何でしたでしょうか?

REBORN未来編でツナの命を守ったランチアのリングの再登場と、テイルズオブエクシリア2の分史ミラをツナの姉として復活させました^_^

分史ミラもベルベットと同様可哀想なキャラだったので、この小説で救済させたくて登場させました。

ランチアのリングやミラはこの小説のキーパーソンとなり、さらにミラに至っては炎真とカップリングさせる予定です^_^

少し早いですが、来年も応援よろしくお願いしますm(_ _)m
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