テイルズオブベルセリア 〜"災禍"の乙女を救う"大空"〜   作:raphel

8 / 8
更新が大変遅くなってしまいましたが、やっと最新話を投稿できました(^◇^;)

今回は小説オリジナルキャラが登場します。


第8話 リンゴと不思議な女性

ツナがベルベットに約束の証ーーランチアのリングを託してから数日が経ったある日のこと、ツナはその日ベルベットと共にリンゴ狩りで森へと来ていた。

 

何故リンゴ狩りかと言うと……ベルベットの影響なのかツナはリンゴが好物になり、今日はアップルパイを作る為にその材料であるリンゴを集めに来たのだ。

 

さらにツナ自身料理を作ることに興味を持ち始め、セリカの指導のおかげもあって彼の料理の腕は一緒に教わっているベルベットには及ばないがみるみる上達して行き、今日作るアップルパイはセリカに教わりながらツナが作る予定だ。

 

そして、現在はと言うと……

 

 

「ベルベット〜! リンゴ落として行くよ! ほい!」

 

「はーい! よっ、ほっ、はい!」

 

 

ツナがリンゴが成っている木に登り、アップルパイに使うリンゴを厳選すると下にいるベルベットの元へ次々放り渡して行き、対するベルベットは落ちて来たリンゴを器用に籠でキャッチすると言う見事なコンビネーションを見せていた……これだけでツナとベルベットが如何に仲が良いかがわかる。

 

因みに何故ツナがリンゴを選ぶ方かと言うと、セリカ曰く……

 

"アップルパイに使うリンゴはシャキシャキ感が大事で、硬めで甘みがあり、酸味が効いたものがベスト"

 

……だとのことで、超直感を持つツナがそれを見極めるのに1番適しているだろう。

 

木に登っているツナがリンゴを厳選し、ベルベットがそれを回収を繰り返すこと15分後……

 

 

「ツナ〜! セリカ姉さんから言われてた数が集まったから、そろそろ帰るよ〜!」

 

「わかった! (あ、そうだ。帰る前にベルベットと一緒に食べる奴を確保しておこう♪)」

 

 

ベルベットがセリカから言われていたリンゴの数が集まったので帰ろうと言い、それを聞いたツナは木から降りる前にベルベットと一緒に食べるリンゴを確保しようと、超直感でなるべく美味しそうなものを2個選び、手を伸ばして掴んだ……までは良かったが、ツナはそのタイミングで足を滑らせてしまう。

 

 

「んなっ!? わあああああっ!?」

 

「ツナ!?」

 

 

足を滑らせて木から落ちたツナは、そのまま地面へと叩きつけられる……かと思われたその時。

 

 

「危ない!」

 

「わあっ!?」

 

「えっ!?」

 

何処からともなく"黒い炎"と共に1人の女性が突如現れ、落下して来たツナを抱き止めると、そのまま地面へと座らせた。

 

 

「ふう〜……少年、怪我はないかい?」

 

「だ、大丈夫です、ありがとうございます///」

 

「そうか、無事で良かったよ」

 

 

ツナを助けたその女性は長い黒髪に金色の瞳、女性らしい体つき……特に豊満な胸が目立つ10代後半の美しい容姿をしており、少し肌の露出が目立つ黒い衣服にボロボロの黒い外套、両脚に金属製のブーツを着用し、怪我しているのか両腕には"包帯"が巻き付けられていた。

 

 

(あれ? なんかこの人、雰囲気が前に見た幻覚のベルベットに似てる? それに、さっき一瞬だけど死ぬ気の炎を感じたような……気の所為かな?)

 

 

ツナを助けた黒髪の女性は、以前ツナが幻覚で見た10年後のベルベットに雰囲気が何処となく似ていた。

 

それだけで無くツナは自身以外の死ぬ気の炎を感じたが、感じ取れたのがあまりに一瞬であった為、気の所為と言うことで片付けた。

 

 

「ツナ、大丈夫!? けがしてない!?」

 

「うん、この人のおかげで大丈夫だよ」

 

「良かった〜……あの、ツナを助けてくれて、ありがとうございます」

 

「ははは、気にしないで。偶々通りかかっただけだから♪」

 

 

ベルベットの感謝の言葉に、黒髪の女性は朗らかに笑いながらそう答えた。

 

 

「お姉さん、この村で見ない人だね。旅の人?」

 

「まあそんなところだね。君達は、ええと……」

 

「あ、俺は沢田綱吉、皆からツナって呼ばれてます。さっきは助けていただいてありがとうございました」

 

「あたし、ベルベット・クラウ! ベルベットって呼んでね!」

 

「ツナ君にベルベットちゃんだね、よろしく♪ 2人はこの森で何してたんだい?」

 

「アップルパイを作る為の材料として、リンゴを集めてたんです」

 

「ほら、これアップルパイに使うリンゴだよ♪」

 

 

ベルベットはそう言って、籠の入っている大量のリンゴを黒髪の女性に見せる。

 

 

「へえ〜、美味しそうなリンゴだ。確かにこれでアップルパイ作ったら美味いのは間違いないね♪」

 

「えへへ、そうでしょ? お姉さんも良かったら……あ、そう言えば、お姉さんの名前をまだ聞いてないね」

 

「ああ、ごめんごめん、そうだったね。私の名前は……

 

"ヘイトリッド"

 

って言うんだ」

 

ゾクッ

 

「……え?」

 

「ん? どうかしたかい?」

 

「あ、いや、何でもないです! あはは……(今、この人の名前を聞いた途端、寒気がした……悪い人には全然見えないのに、なんで恐ろしく感じるんだろ……?)」

 

 

黒髪の女性ーー"ヘイトリッド"の名前を聞いた瞬間、全身に寒気のようなものを突然感じたツナは、彼の超直感でもヘイトリッドが悪い人間ではないと感じている筈なのに、何故か彼女に対して畏怖を感じていることに内心戸惑っていた。

 

 

(それに、さっきから気になっていたけど……この人、明るく笑っているけど何処か悲しい感じがする……)

 

 

朗らかに笑うヘイトリッドから何処か悲しい感じがすることに、ツナの困惑はますます深まるばかりである。

 

 

「ええと……ヘイトリッドさんも良かったら、うちに来てアップルパイ食べない? せっかくこうやって知り合えたし♪」

 

「う、うん、そうだね。さっき助けてくれたお礼もしたいし……」

 

「ははは、魅力的なお誘いだけど……遠慮しておくよ」

 

「え? どうして?」

 

「あー、実を言うとね……私は味覚がダメになってるんだよ」

 

「味覚がダメって……もしかして、食べ物の味がわからないんですか?」

 

「ああ、そうだよ……どんな食べ物を口にしても"血の味"しかしかないし、満腹感を感じることも無い……だから折角のアップルパイをご馳走になっても、その美味しさを感じられない私が同席したら台無しになっちゃうよ……」

 

「ヘイトリッドさん……」

 

 

苦笑しながらそう話すヘイトリッドに、ツナは悲しげな表情を浮かべる。

 

それもその筈、人間にとって食べ物を食べることは生きる原動力であり、それを美味しく感じることができないのは、とても悲しいことだ。

 

(そう言えば、味覚に障害がある人はストレスが原因でそうなるって前にどっかで聞いたことがある……もしかして、ヘイトリッドさんから悲しい感じがするのはその為なのか……?)

 

 

ツナの言う通りストレスや精神疾患が原因で味覚障害になるケースがあり、ヘイトリッドから悲しい感じがしたのは、きっと想像つかない程の悲しいことや辛いことがあったからなのだろう。

 

そんな悲しみを抱えている人間を、食べ物を美味しく感じられる人達と同じ食卓にいさせるなど、その人間に自身が周りとは違うんだと言う疎外感を余計に感じさせるだけで、無神経も良いところだ。

 

ベルベットもツナと同じ気持ちなのか、ヘイトリッドに対して申し訳無さそうな表情を浮かべていた。

 

 

「ごめんなさい……あたしヘイトリッドさんのことを知らずに、無神経なこと言っちゃって……」

 

「あ、いや、全然気にしてないから大丈夫だよ! 寧ろこんな私を食事に誘ってくれただけでも、凄い嬉しかったよ……」

 

「ん……///」

 

 

ヘイトリッドはそう言いながら、ベルベットの頭を優しく撫でる。

 

 

「さてと……そろそろ私は行くよ」

 

「え? もう行っちゃうの?」

 

「うん、詳しい事情は話せないけど、あんまりここに長くはいられないんだ……それじゃあ、また縁があったら会おう。ツナ君にベルベットちゃん♪」

 

 

ヘイトリッドはツナとベルベットにそう言って、立ち去ろうとすると……

 

 

「あ、待って、ヘイトリッドさん!」

 

「ん? なんだい?」

 

「ええと、気休めにしかならないけど……良かったら、これ持って行ってください」

 

「え? リンゴ?」

 

 

ツナがヘイトリッドを呼び止め、先程木から落ちる前に取ったリンゴ2個の内の1個を彼女に渡す。

 

 

「いくら味がわからなくて満腹感を感じられないって言っても、何も食べなくて良いって訳じゃないんでしょ? お腹空いた時にでもそれ食べて欲しいし、それに……」

 

「このアルバ村ではね、リンゴは"幸運"の象徴なの! だから、それ持ってたらヘイトリッドさんにもいつか良いことが起きるよ!♪」

 

「うん、ベルベットの言う通りだよ。いつか食べ物が美味しく感じられる日が……今までの辛いことや悲しいことが大切な時間だったって思える日が来ますよ」

 

「ッ!」

 

 

ツナとベルベットの励ますような言葉を聞いたヘイトリッドは"何か"に驚いたように、目を見開いて固まっていた。

 

 

「ヘイトリッドさん?」

 

「どうしたの?」

 

「君達は……そうか……君達は、私が待ち望んでいた"存在"かもね……」

 

「「え?」」

 

 

ツナとベルベットはヘイトリッドの言葉の意味がわからず、疑問符を浮かべながら揃って首を傾げていると、ヘイトリッドはそんな2人を見て苦笑する。

 

 

「いや、こっちの話だよ……ふふふ、それじゃあお言葉に甘えてこのリンゴは頂戴するよ。ありがとう♪」

 

「あ、いえ、どういたしまして……あ、もう1個はベルベットの分だよ」

 

 

ツナはベルベットにもう1個のリンゴを渡す。

 

 

「え? あたしに?」

 

「うん、本当はベルベットと一緒に食べようと思って2個余分に取ったんだけど、1個はヘイトリッドさんにあげちゃったから、もう1個はベルベットが食べてよ♪」

 

「うーん、でも、ツナもリンゴ食べたいでしょ? あたしだけって訳には……あ、それならこれ半分っこして食べようよ♪」

 

「良いの?」

 

「うん! ツナと一緒に食べた方が美味しいし!♪」

 

「あ、ありがとう……///」

 

「ふふふ……よし、お姉さんがリンゴを綺麗に半分っこしてあげよう♪」

 

 

ツナとベルベットのやり取りを微笑ましそうに見ていたヘイトリッドがそう言い、ベルベットが持っていたリンゴを取り、素手でそのリンゴを綺麗に半分に分けるのだった。

 

 

「はい、どうぞ♪」

 

「わーい! ありがとう、ヘイトリッドさん!♪」

 

「ありがとうございます♪」

 

「ふふふ、どういたしまして♪……それにしても君達って、本当に仲が良いよね。兄妹って感じじゃ無さそうだけど、どう言う関係なんだい?」

 

「あ、ええと、俺はベルベットの家の居候で……「ツナはあたしの未来の旦那さんなの!///」ちょっ、ベルベット!?///」

 

 

ヘイトリッドの問いに対し、ツナが無難な回答しようとしたところに、ベルベットが割り込んで力強く答え、ツナを仰天させる。

 

そんな2人に対し、ヘイトリッドはニヤニヤと怪しい笑みを浮かべる。

 

 

「ほほう……こんな小さい女の子の心を奪うなんて、ツナ君も隅に置けないねえ〜♪(ニヤニヤ)」

 

「あ、いや、その……(もじもじ)///」

 

「まあ私の直感からして、ベルベットちゃんは将来凄い別嬪さんになることは間違いない。そんな娘のウェディングドレス姿はさぞかし綺麗だろうね〜♪(ニヤニヤ)」

 

「うぇ、ウェディングドレスを着たベルベット……?///」

 

 

ヘイトリッドのその言葉に、ツナは思わずイメージした……以前幻覚で見た10年後のベルベットがウェディングドレスを着た姿を。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「っ!!!???///」

 

「おやおや〜? ベルベットちゃんのウェディングドレス姿を妄想しちゃったのかなあ? その様子だと、ツナ君もまんざらでは無さそうですなぁ〜?♪(ニヤニヤ)」

 

「あうう……///」

 

「もうツナったら、可愛いんだから〜♪ あたし、ツナの期待にこたえられるようにがんばるね♡///」

 

「〜〜〜〜ああもう! これ以上揶揄うのやめてってばーーー!!///」

 

「「あははは!♪」」

 

 

湯気が出るほど顔を真っ赤にして慌てふためくツナを見て、ベルベットとヘイトリッドは思わず声に出して笑うのだった。

 

 

「ふう〜、こんなに笑ったの随分久しぶりな気がするよ……さてと、今度こそ私は行くね」

 

「また会える?」

 

「さあ、どうだろうね……でも、さっき言った通り縁があったらまた会えるさ。だから、それまで元気でね。ツナ君にベルベットちゃん♪」

 

「うん!♪」

 

「ヘイトリッドさんもお元気で♪」

 

「ああ。ツナ君、ベルベットちゃんを泣かせるような男になるんじゃないよ〜?♪(ニヤニヤ)」

 

「だ、だから、そう言うのは、もういいですってば!///」

 

「あはは、ごめんごめん。それじゃあ2人とも、また何処かで会おう。じゃあね〜!♪」

 

「またね〜!♪」

 

 

ヘイトリッドはそう言って森の奥へと去って行き、ツナとベルベットは彼女の姿が見えなくなるまで手を振って見送るのだった。

 

 

「……行っちゃったね」

 

「うん……なんか不思議な人だったね、ヘイトリッドさん」

 

「だね。でも、あたしはヘイトリッドさんのこと好きだよ♪」

 

「そっか……(まあ、優しい人であることは確かかな?)さてと、リンゴ食べたら家に帰ろう」

 

「うん!」

 

 

ツナとベルベットは半分に分けたリンゴを食べ終えた後、アップルパイの材料である沢山のリンゴが入った籠を持って帰路へと着くのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

Side ヘイトリッド

 

 

「さてと……折角リンゴ貰ったし、食べようかね」

 

 

ヘイトリッドはツナとベルベットと別れた後、1人森の中を歩きながら、先程ツナ達に貰ったリンゴに齧り付き、口の中に含んで咀嚼すると……

 

 

「ッ! あ、あれ? お、美味しい?(まさか、味覚が戻ったのか?)」

 

 

彼女はリンゴの味が美味しく感じられることに驚き、一瞬自身の味覚が戻ったのかと思ったが……

 

 

(……いや、それはあり得ないか。"人間ですらない私"が今更人間と同じ感覚に戻る訳がないしなぁ……)

 

 

ヘイトリッドは意味深なことを言いながら、すぐさま味覚が戻ったことを否定すると、別のことに思考を変える。

 

 

(それにしても……私があの時見たイメージは、間違いなくいつか訪れる"未来"……ビジョンって奴かな? できることなら実現して欲しくないと思う反面、あの子達が私が待ち望んだ"存在"であって欲しい気持ちもある……複雑だなぁ……)

 

 

ヘイトリッドはツナとベルベットに励まされていた時に見たイメージ……

 

額に"翡翠色の光の粒子"が混ざった橙色の炎を灯し、両腕には翡翠色に発光するラインが浮かび上がって手の甲にクリスタルが見える赤い金属製のグローブが装着され、背中には天使の羽のような橙色の炎と翡翠色の光の2対4枚の翼が生えていて、赤みを帯びて微かに発光する少し襟足が長い茶髪と、美しい橙色と翡翠色のオッドアイの瞳をした、歴戦の戦士のような強さとすべてを包み込むような温かさを感じさせる姿をしたツナ……

 

橙色・赤色・紫色・藍色・黒色の5つの炎と翡翠色の光の粒子を纏わせて微かに発光させた長い黒髪に、琥珀色と真紅色のオッドアイの瞳、銀色のガントレッドが装着された右腕、まるで獣のような鋭い爪があるが禍々しさは無く、翡翠色に発光するラインが浮かび上がっていることから神々しさと猛々しさが感じられる真紅に輝いて燃える炎の左腕がそれぞれ目立ち、背中には橙色と赤色が混ざったような2枚の真紅色の炎の翼、そして紫色と藍色の炎、翡翠色の光の粒子を含んだ"夜空"を思わせるかのような2枚の黒色の炎の翼……計4枚の猛々しい炎の翼が生えていて、豊満な胸が目立つ女性らしい体つきをした10代後半の美しい女性に成長したベルベット……

 

額に"翡翠色の光"が混ざった"大地"を思わせるかのような"朱色の炎"を灯し、両腕には翡翠色に発光するラインが浮かび上がっている黒い籠手と輪っかに繋がれたナイフが装着され、背中には天使の羽のような朱色の炎と翡翠色の光の2対4枚の翼が生えていて、微かに発光する少し襟足が長い赤髪と、美しい朱色と翡翠色のオッドアイの瞳をした、ツナと同い年ぐらいの何処か彼に似た雰囲気を持つ少年……

 

橙色・青色・黄色・緑色・朱色の5つの炎を纏わせて微かに発光させた長い金髪に、ピンク色の瞳、銃のような特殊な武器を持ち、背中には"地"の力を象徴するかのような金の翼、"水"の力を象徴するかのような蒼の翼、"火"の力を象徴するかのような紅の翼、"風"の力を象徴するかのような碧の翼……計4枚の神秘的な翼が生えていて、成長したベルベットに勝るとも劣らない豊満な胸が目立つ女性らしい体つきをした10代後半の美しい女性……

 

ツナやベルベットら4人の男女がそれぞれの"炎"を纏いながら凛々しい様で並び立ち、"ヘイトリッドと相対する未来"を思い出していた。

 

何故そんな未来を見たのかはヘイトリッド自身もわからないが心当たりはある様で、その未来が訪れて欲しくないと思う反面、ツナやベルベットに"何か"を期待しているなど内心複雑であった。

 

 

「……まあ良いか。先のことはわからないし、今はこの美味しいリンゴを味わって食べるとしよう♪」

 

 

先のことを気にしても仕方ないと割り切り、奇跡的に味がわかるリンゴを美味しそうに食べながら、森の奥へと歩みを進める……

 

 

「……」

 

(やれやれ、あれで尾行してるつもりかねぇ……殺気が隠せて無くてバレバレだっての……)

 

 

自身に殺気を向けながら尾行して来る"何者か"に気付き、その者に内心呆れながら……

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

Side クラウ家

 

 

「……よし、出来た!」

 

「わぁ〜、美味しそう!♪」

 

「うん、初めて作ったとは思えないくらい綺麗な出来栄えね♪」

 

「ほう、これは美味そうなアップルパイだな」

 

「うん、それにいいにおい!♪」

 

 

ツナとベルベットがリンゴ狩りから戻って来た後、ツナはセリカの教えに沿って、ベルベットに手伝って貰いながらアップルパイ作りに挑戦し、今出来上がったところであった。

 

セリカの言う通り、ツナが作ったアップルパイは初めて作ったとは思えないくらい綺麗な形をしており、焼き加減も絶妙で綺麗に仕上がっていた。

 

ツナのアップルパイから漂う匂いに釣られ、アーサーとライフィセットも調理場にやって来た。

 

 

「皆揃ったことだし、ツナ君のアップルパイを焼きたての内に食べましょう♪」

 

「「さんせーい!♪」」

 

「ああ、いただくとしよう」

 

「……(セリカさんの教えられた通りに作れたから大丈夫だと思うけど、緊張するなぁ……///)」

 

 

料理はいくら見た目や匂いが良くても、肝心の味が良くなかったら台無しだ。

 

セリカの教わった通りに作れたから大丈夫だと思っても、美味しくなかったらどうしようと言う不安もあるので、ツナは内心緊張していた。

 

 

「「「「いただきまーす!♪(いただきます)」」」」

 

 

そんなツナを他所に、ベルベットやセリカらクラウ家の面々は切り取ったツナのアップルパイを口にした。

 

そして……

 

 

「「ッ! んん〜〜〜おいしい〜!♪」」

 

「おお、確かに美味いな。サクサクとした食感に程良い甘さ……何より優しさと温かさが、ツナヨシ君らしさが感じられる味だ。これは俺好みのアップルパイだな」

 

「よ、良かった〜……」

 

 

ベルベットとライフィセット、アーサーから出た好評価の感想に、緊張していたツナは安心したように息を吐いた。

 

 

「ふふふ、そうね。教えた身としてはちょっと悔しいけど、ツナ君のアップルパイは私が作ったのより美味しい気がするわ♪」

 

「えっ!? そこまで!?」

 

 

自身に作り方を教えてくれたセリカからそんな評価が出るとは思っていなかったツナは仰天する。

 

 

「アップルパイを美味しく作る秘訣は、主役となるリンゴ選びが重要なの。ツナ君は私よりアップルパイに最適なリンゴを選ぶのが上手みたいね♪」

 

「あ、いや、そんなことは……直感に頼って選んでるだけだし///」

 

「そんなに謙遜しなくても良い。君の優れた直感が戦闘以外で活かせるなんて、ツナヨシ君にとっては喜ばしいことじゃないかな?」

 

「ッ!……ははは、確かにそうですね♪」

 

(ツナ……)

 

 

アーサーの言葉にツナは何処か嬉しそうな表情を浮かべ、それを見ていたベルベットもツナを微笑ましそうに見ていた。

 

ツナは本人は否定するが超直感を含め戦闘センスは高く、類い稀無い成長スピードで格上の強敵達との戦いを乗り越えて来たことから、勿論本人の努力もあるが戦士としての才に秀でているのだろう……だがツナは戦いを好まない性格である故に、それを自慢しようなんて気はさらさら無いし、ましてやそれを武器にこれから先の人生を生きようなんて思っていない。

 

だが、アーサーの言う通り自分の長所である超直感が戦い以外で活かせるのは、ツナにとっては確かに喜ばしいことだ。

 

 

「ツナ君って自分を過小評価することが多いけど、料理に関しては今までやっていなかっただけで才能はあると思うの。教えた後の飲み込みが早いし、私も色々教え甲斐があるわ。そして、何より……自分の作った料理で"食べた人を笑顔にしたい"って言う料理する上で1番大事なことがわかってるから、こんな優しい味になるのよ♪」

 

「そ、そうですかね……?///」

 

 

セリカのその言葉通り、ツナはベルベットの影響もあるかもしれないがセリカから教わったことの飲み込みが早く、特に料理に関しては上達が早い上、料理する上で1番大事なことーー"食べた人を笑顔にしたい"と言う優しい気持ちを既に持っている。

 

料理上手の母(奈々)と姉(ミラ)程では無いかもしれないが、ツナにも料理の才能があるのは確かで、彼の作る料理は優しい味を感じるのだった。

 

 

「ほら、ツナも自分が作ったアップルパイ食べてみなよ♪」

 

「う、うん……(パクッ、もぐもぐ)本当だ、自分が作ったとは思えないくらい美味しい///」

 

「ふふふ、良かったね♪」

 

「(リボーンや獄寺君、山本達にも……ヘイトリッドさんにも、いつか食べさせてあげたいなぁ……よし!)セリカさん、これからも色々と料理を教えてくれますか? 俺、家族や友達、仲間達にも自分の作った料理を美味しく食べて貰いたいから……///」

 

「ふふふ、良いわよ♪」

 

 

今までよりも料理を作ることの楽しさを知ったツナは、家族や友達に自分の作った料理を美味しく食べて貰いたいと言う気持ちからセリカにこれからも色々と料理を教えて欲しいと頼み、セリカも快く引き受けるのだった。

 

余談だが、ツナの料理は先の未来でベルベットの心を救うことを……そして、彼の作るアップルパイは家族や友達、仲間達、さらには意外な人物達まで魅了し、また食べたいとのリピートの声が続出してツナが苦労することになる反面、先の未来でいずれ訪れる世界を巻き込んだ"大決戦"で大きな助けのきっかけになることを、この時のツナはまだ知らない……

 

 

「あ、待って。私ってツナ君の師匠……つまり家庭教師(かてきょー)と言うことになるのかしら?」

 

「え? ええと、まあそうなりますかね……?」

 

「ツナヨシ君には確かリボーンと言う師匠が既にいるんじゃなかったか?」

 

「まあ、そうなんですけど……実を言うと、リボーン以外の人達にも鍛えて貰ったことがあるんです。リボーンに劣らずめちゃくちゃスパルタでしたけど……」

 

「そう言えば、前に言ってたね……」

 

 

ボンゴレ門外顧問組織『CHDEF(チェデフ)』のメンバーであり、アルコバレーノのなり損ないと言われた、元イタリア海軍の軍人でもある青色の髪の女性ーー10年後の『ラル・ミルチ』……

 

ボンゴレ雲の守護者で、ツナが通う並盛中の風紀委員長でもあり、誰かと群れることを嫌う戦闘狂でもある短い黒髪の男性ーー10年後の『雲雀恭弥』……

 

どちらもリボーンに劣らずめちゃくちゃスパルタで、特に雲雀に至っては殺す気で来るのでツナが苦労したのは言うまでも無い……とは言え、この2人がいなかったらツナはあの過酷な未来の世界での戦いを生き残ることができなかったのも確かだし、ツナ自身もそれには感謝してるので文句は言えないだろう。

 

 

「よーし、決めた! その人達がツナ君に戦いの術を教えたなら、私はお母さんから受け継いだクラウ家直伝の"家庭"の技を色々教えてあげる! "家庭"教師(かてきょー)だけに♡ なんちゃって♪」

 

「「「…………」」」

 

ヒュー………

 

「…………え? な、なに、この空気? 今、冷たい風が流れたような……」

 

「あ、あら? もしかして、面白くなかった……? 私のダジャレ」

 

「ダジャレーーー!?」

 

 

セリカの"ダジャレ"発言により冷たい空気が流れ、ベルベット・アーサー・ライフィセットの3人はフリーズしたかのように固まり、この空気に戸惑うツナはセリカがダジャレを言ったことに仰天していた。

 

 

「ああ……そう言えば、ツナヨシ君は知らなかったな……」

 

「……セリカ姉さんは、ダジャレが趣味なの……」

 

「え? ええええええっ!? そうなのーーー!?」

 

 

セリカの意外過ぎる趣味を聞いたツナはさらに驚愕の声をあげる。

 

 

「うん、そうなんだ……でもね、セリカおねえちゃんのダジャレ、いつもさむくてスベってるんだ……」

 

「ちょっ、ちょっと、ライフィセット!? 私のダジャレが寒くてスベってるって、どう言う意味!?」

 

「いや、ラフィの言ってること、そのままの意味だと思うよ……?」

 

「べ、ベルベットまで!?」

 

「ツナヨシ君、セリカに師事を受けることは君にとって良い経験になるだろう……ただ、ダジャレまでは教わらなくて良いからな?」

 

「……はい」

 

「アーサーにツナ君まで酷い! ううう……いつか……いつか、私のダジャレで皆を大爆笑させてあげるんだからーーー!!///」

 

「「「「(無理だと思うなぁ/むりだとおもうなぁ……)」」」」

 

 

セリカのダジャレで微妙な空気になったが、それでも仲睦まじいクラウ家だったとさ(苦笑)

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここに"奴"が眠っているのか……」

 

 

森の中を歩いていたヘイトリッドは岬に辿り着き、目の前にある大穴ーー祠を見つめていた。

 

 

「さてと……いい加減姿を見せたらどうだ? 私のことを尾行してたみたいだけど、隠し切れない殺気の所為でバレバレだよ?」

 

 

ヘイトリッドがそう言うと……

 

 

「ちっ……儂としたことがつまらんミスをしたものだ」

 

 

木陰から表が白、裏がくすんだ青緑のつばがとてつもなく大きい帽子を着用し、学者のような見た目をした立派な髭を蓄えた老人が姿を現す。

 

 

「メルキオル・メーヴィン……特等対魔士様が私に何の用だい?」

 

「フンッ、知れたことを聞くな。対魔士が"業魔"……特に貴様のような"喰魔"の前に立つ理由など1つしかなかろう?」

 

「フッ、そうだね。対魔士は業魔を倒し、人々の平穏を守ることが使命……まああんたのような人間嫌いで、誰かを守る気なんかさらさら無くて、自分勝手な理想の為なら平気で人の心を傷付けられる奴にそんな使命は無縁だろうな」

 

「貴様……!」

 

 

ツナとベルベットの前で見せていた時とは違う笑み……見るものの背筋を凍らせるような冷たい笑みを浮かべるヘイトリッドは目の前の老人ーー『メルキオル・メーヴィン』を小馬鹿にするような発言を口にし、それ聞いたメルキオルは怒りを露わにする。

 

 

「おいおい、散々感情を否定して来た対魔士様がそんなに怒りを露わにして良いのかい?」

 

「黙れ! 貴様のような"穢れた存在"……いや、業魔や喰魔、ドラゴンと言う存在が生まれた"元凶"にどうこう言われる筋合いは無い!」

 

「……あんた、ブーメランって言葉を知ってるか? 私がそう言う存在になった原因は、あんたにあるんだよ? 自分のことを棚に上げて、よくそんなこと言えるよな」

 

「や、喧しい! 貴様は本来であればとうの昔に死んでいる筈だったのだ! 今度こそ引導を渡してくれる!」

 

「フンッ、私自身がいずれは誰かに倒される運命にあるのは自覚してるさ……でも、私を倒すのはあんたじゃないよ、メルキオル」

 

「何?」

 

「私は漸く見つけたかもしれないんだ……あんたやここに眠っている"鎮めの聖主"が押し付ける"理"、そして私がもたらす"穢れ"を超えて、新たな未来を切り拓く可能性を秘めた子達に……その子達に倒されるまで、私はあんたに殺されるつもりは無いよ」

 

「訳のわからないことを! 貴様はここで儂に殺される運命にあるのだ! 潔く散るがいい! ライトニングブラスター!!」

 

 

メルキオルはその言葉と共に両手から扇状に電撃を放ち、ヘイトリッドに直撃させる。

 

しかし……

 

 

「……この程度か?」

 

「なっ!?」

 

 

ヘイトリッドはまったくの無傷であり、先程とは違う姿……長い黒髪は黒い炎を纏って怪しく発光し、包帯が巻かれていた両手はまるで魔物のように赤黒く禍々しいものへと変貌していた。

 

そして、そんな彼女の背中には橙色・赤色・青色・黄色・緑色・紫色・藍色・黒色の8つの炎がまるでドラゴンの翼のように灯されていた。

 

 

「そ、その姿は一体……!? それに、貴様の背中にある炎は何なのだ!?」

 

「この炎は私の"覚悟"の証……そして、穢れを恐れて人の"心"を否定するあんたには一生縁の無い力だ!」

 

 

その言葉と共に、ヘイトリッドはメルキオルの前から姿を消す。

 

 

「き、消えた!? 何処へ行った!?」

 

 

メルキオルは慌てて消えたヘイトリッドの姿を探すも……

 

 

「こっちだよ」

 

「なっ!?」

 

 

ヘイトリッドがまるで"瞬間移動"したかのように何処からともなくメルキオルの死角から現れ、両手の魔爪に橙色と赤色の炎が混ざったような真紅色の炎を灯して構える。

 

 

「あんたは私のことを喰魔って言うけど、残念だったね。今の私は業魔や喰魔、ドラゴンさえも凌駕した存在だ」

 

「な、何だと!?」

 

「そして、"四聖主"やそこで眠っている"鎮めの聖主"が相手であろうと私に勝つことはできない……当然あんた如きが私に勝てる道理などない!」

 

「くっ!?」

 

 

不意を突かれたメルキオルは慌てて防御しようとするが……

 

 

「あんたのさっきの言葉、そっくりそのまま返すよ……潔く散れ!!」

 

「ぐあああああああああああっ!!?」

 

 

ヘイトリッドの真紅色の炎を纏わせた両手の魔爪による攻撃がメルキオルに直撃し、メルキオルの苦悶の叫びが飛び散る鮮血と共に森の中に響き渡るのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ヘイトリッドと相対したメルキオルがどうなったのか……ヘイトリッドによって殺されたのか、それとも上手いこと逃げられたのか……それは神のみぞが知る……

 

そして、ツナとベルベットは先の未来にて知る……ヘイトリッドの正体、そして彼女が"最恐の敵"として自分達と敵対する運命にあることを……

 

 

To Be Continue……




ヘイトリッドの正体について、メルキオルとの会話で察している方はいるかもしれませんが、後の展開で明かして行きます。

話は変わりますが、本小説に登場するキャラで一部原作やアニメと違う設定になっているキャラやオリキャラのイメージCVを今後ある程度まとめ、この後書きにて紹介していきたいと思います^_^

沢田綱吉(ツナ):沢城みゆきさん(※ミラと同じイメージCV)

アーサー・クラウ:中村悠一さん(※アルトリウス・コールブランドは原作通り堀内賢雄さん)

セリカ・クラウ:下屋紀子さん(※シアリーズは原作通り新井里美さん)

ヘイトリッド:朴璐美さん
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。