クックックッ…愛です、愛ですよ! シロコ!   作:ゲマ

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お久しぶりです。
余裕が出来たので内容を思い出しながらになりますが書いています。
雑になっているので、更新頻度は下がります。

周年は初めてでしたが、天井の味はまだ……まだ知りません。


.13 事情を理解しつつある砂狼シロコ(16)

 

 

「──どういうこと?」

 

 

 とある一室で、砂狼シロコと黒服が向き合っていた。

 

 砂狼シロコは対面に居座るボンドルドを視線を険しくしながら問い詰める。

 普段の関係性ならば考えられない光景ではあるが、このような状況に陥ったのは先程の出来事が理由である。

 

『──黒服………!!』

 

 小鳥遊ホシノが怒りや憎しみなどの感情を露わにしながら発した名前。

 その後小鳥遊ホシノは我に帰ったように忘れて構わないと発言したが、その人物を知っている砂狼シロコからすればそれは到底聞き逃すことの出来るような話ではなかったのだ。

 

 砂狼シロコにとって黒服は拾われた時からの関わりがあり、信頼出来る大人である。

 だがそんな相手が黒見セリカの誘拐を企てた人物である可能性が高く、それでいて小鳥遊ホシノから憎まれているという事実まで明らかになったのだ。

 

 

「どういうこと、とは?」

「……とぼけても無駄。セリカに呪い針(シェイカー)も使ったの?」

 

 

 黒見セリカが何者かの策略で誘拐された後、見つかった一つの物品。

 神秘を外部的からの影響により変化させる対キヴォトス人用武装──呪い針(シェイカー)

 

 砂狼シロコ自身が呪い針を体験したわけではないが、その性質などは知っている。

 ボンドルドとして活動する際に多用する攻撃手段であり、厄介な性質を持った武器。

 一度、触りそうになった際に黒服から注意されたことがあったのだ。

 

『シロコ、それに触ることは余り推奨しません』

『……どうして?』

『簡単に言うと、現状で貴方が触ると体調不良で三日三晩寝込むことになります』

 

 三日三晩寝込むことは嫌だったため砂狼シロコは触ることを避けたのだ。

 だが、それ故その性質などは記憶に残っている。

 そんな武器を、自身の後輩である黒見セリカに使用したのだ。

 

 砂狼シロコの脳内は怒りや疑問で埋め尽くされている。

 

 自身の後輩に手を出したことへの怒りと、これまでの黒服への信頼。

 何故黒服が黒見セリカを誘拐するような行動をしたのか。

 それに、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(黒服は何でカタカタヘルメット団を使った……?)

 

 そもそも、黒服がカタカタヘルメット団を一々使う理由がないのだ。

 黒見セリカに姿が正確に視認されていないということは不意打ちであった可能性が高い。その状態で呪い針により意識不明の状態へと追い込んだのならば、カタカタヘルメット団は必要がない。

 

 カモフラージュ、というには粗がある。

 黒見セリカに先手を打つためならば分からないことはないが、それ以降ではリスクが生まれる。

 そもそも、黒服が呪い針をその場に残すというヘマをするようには思えないのだ。

 

 とすれば、より意図が分からなくなるのである。

 

 

「クックックッ、呪い針を使用したのは確実ですね」

 

 だが、黒服は何処か他人事のように語る。

 現状を何処か楽しんでいるかのような笑みを浮かべる黒服は何処か不気味に見えた。

 

「……何が目的?」

「おや、もう少し感情的になるかと思っていましたが……」

「いいから答えて」

 

 何処までも余裕ぶった態度を取る黒服に眉間に皺を寄せるが、感情的になれば相手のペースに乗せられることを砂狼シロコは学習している。

 ふーっと息を吐き出し、今一度冷静さを取り戻す。

 

 黒服が無差別的に生徒に手を出すわけではないことを砂狼シロコは知っている。

 先に相手が仕掛けてきたり、バイトなどの契約によって関係性を作ってから研究へと乗り出す。

 だからこそ、今回のことは異様に見えるのだ。

 

「──目的は話すことが出来ません」

 

「っ……」

「こればかりは無理だと答えておきましょう」

 

 それは明確な拒否。

 今まで砂狼シロコが尋ねれば素直に答えていたことからも分かる通り、今回はもっと深い事情があるのだと否応に理解させられる。

 騙すのならば黒服の性格的に曖昧な言い方をしてくることも分かる。だからこそ、狙いがわからないのだ。

 

 いや、一つだけ可能性がある。

 黒服が普段から口にし、目標としてきたもの。

 

 

「……崇高のため?」

 

 

 ”崇高”という不可思議で曖昧な概念。

 黒服は普段からそれに向かって邁進し、行動しているという。

 ならば、今回のような普段の黒服からは考えられない行動は崇高という目的のためだったのではないかと推測したのだ。

 

「クックックッ、当たらずとも遠からずといったところでしょう」

「むぅ……」

 

 当たらずとも遠からず、ということは一部は当てはまっているのだろう。

 崇高という概念そのものが砂狼シロコにとっては不可解なものであるため、どのような所が当てはまっているのかは分からないのだ。 

 これ以上問答をした所で、大した結果を生まないことは明白である。

 

「いずれ貴女にも分かる時が来ますよ」

 

 いずれということは自分にも関係があるのだろう。

 それがアビドスの皆や先生に危害を与えるものであった場合黒服と敵対する可能性もある。

 これまでの信頼と、今回の不信感。それらが砂狼シロコの中で渦巻く。

 

 周囲にはボンドルドが黒服であるということは伏せることにした。

 というのも、黒服が何のために行動しているのかが明確ではないからである。明確ではない現時点で砂狼シロコから敵対関係に持ち込めば決定的な亀裂が入り、引き返すことが出来なくなってしまう。

 それに加え、小鳥遊ホシノとの関係性などを砂狼シロコはまだ知らないのだ。

 

 だが、黒服が完全な敵対者となった場合は即刻対応出来るようにしなければならない。

 

「クックックッ、といってもアビドスに直接危害を加えることはこれっきりになるでしょう」

 

 これで安心、などということは出来ない。

 ”直接”という単語を強調していることから、ある種の警告であることが伺える。誰かの手を使って危害を加えてくることは有り得るということだろう。 

 

「アビドスに危害を加えるなら……」

「おや、私はアビドスに危害を加える気など毛頭ありませんよ」

 

 戦う、という言葉は遮られる。

 

「私にも少々確かめたいことがありますので、そちらに取り組むだけです」

「……それが今回の件と関わりがあるの?」

「ええ、そうです」

 

 確かめたいこと、と濁したことにより目的が狭まる。

 神秘のためなどであれば濁さずに答えるだろう。となれば神秘や崇高などは関係がなく、それでいて黒服にとって興味の対象であり未知であることが目的となる。

 だが、黒服が何を思い考え行動するのか──砂狼シロコには分からない。

 

 単純な好奇心などではないことは分かる。

 好奇心だけで誰かを攻撃するとは思えないのだ。黒服は興味関心の対象に対して熱が入りすぎることはあるが、その結果進んで危害を加えるような人物ではない。

 だからこそ、今回黒見セリカの誘拐を企てた理由が分からないのだ。

 

(なんでボンドルドはセリカ救出を手伝った…?)

 

 自ら計画を破綻させるために行動したとは思えない。

 だが、砂狼シロコや先生という存在がいたから行動を変えざるを得なかった可能性はある。

 砂狼シロコはボンドルドという存在を深く知っており、先生は突如現れたイレギュラーなのだ。それらが計画に変更を促した可能性は否定出来ない。

 

(いや……そもそも破綻させる計画だった…?)

 

 元から破綻させる予定だったのであれば納得は出来る。だが、理由が分からない。

 そんなことをしても何の利益も生まない。黒服の言う”確かめたいこと”が不明瞭である現状で断言することは出来ないが、何かに役立つとも到底思えない。

 

「シロコ、長考した所で分からないものは分かりませんよ」

「…………」

「立ち止まって考えるよりは、何らかのヒントや情報を得た方が考えは深まります」

 

 その原因がアドバイスをしてくる。

 

「自身で考えを持ち、検討し葛藤するという姿勢は素晴らしいですが、それにのめり込み過ぎてはいけません。それは結果的に視野を狭めることに繋がってしまいますからね」

 

 砂狼シロコの内心、ボンドルドへの信頼と今回の件での不信感の葛藤。

 それらの原因を仕掛け人として行い、話す場を設けたのはどういった意図があるのか。

 どこからどこまでが黒服の掌の上なのかが分からない。

 

「クックックッ、何事にも答えがあるということは否定しませんが、その答えが非概念的なものであるかはまた別の話になってきます。──概念的なものを考えすぎることは深淵を覗くようなものですからね」

 

 砂狼シロコは内心首を傾げる。

 砂狼シロコが求める答えはボンドルドの行動の動機。それが概念的か非概念的かを論じることに何か意味があるのだろうか。

 ボンドルドが感情論だけで動くとは思っていない。となれば答えは自然と非概念的なもので絞られるはずだが、ボンドルドはその答えに絞られてはいけないと呈しているのだ。

 

 行動と感情を結びつける、行動と意図を結びつける。

 それらの推測に対する提言とも考えられる。

 ──だが、砂狼シロコの脳内を占めていたのは別のことだった。

 

(神秘、崇高……概念的なものを考えすぎることは深淵を覗くようなもの)

 

 神秘や崇高というものは砂狼シロコにとって酷く概念的なものだったのだ。

 一度ボンドルドに教えてもらったが、神秘は不思議パワーであり崇高は崇高な何かであるということしか分からなかった。

 キヴォトス人である砂狼シロコにとって、これらを考えることは”血液は自らの意志で動かすことが可能か””心とは一体なんなのか”ということを考えることと似ており、決して答えが出るものではないと思っている。

 

 だからこそ疑問なのだ──概念的なものを考えているボンドルドが何故提言したのか。

 恐らくそれは忠告であることは理解が出来る。だが、ボンドルド自身が自分を客観視した結果生み出した答えなのか、一般論に基づいた言葉なのかの判断がつかない。

 もし、ボンドルドが自分を客観視した結果だった場合、それはある種自嘲のようなものになる。

 

「ククッ、貴女がどのようなことを考えているのかは大方分かります。私がそれを否定したところで貴女の考えに拍車を掛けるだけということも」

「ん……」

「だから貴女の考えを否定する気はありませんが……──それらの結論は今出すものではない」

 

 黒服は少々語気を強めながら断言する。

 黒服の行動の意図、行動の動機、行動の目的、提言の理由。──それらの結論を出すことを後回し、もとい遅らせようとしているのだ。

 

「今必要なことは”私が黒見セリカを誘拐しようとした”、”小鳥遊ホシノと何らかの因縁がある”という情報だけです」

「……自分がやったのに?」

「クックックッ、それを言われると弱りますが……」

 

 黒服は何処か愉しむように口を開く。

 

「ヒントと情報はまだまだあります。それを得てからでも結論を出すのは遅くないでしょう」

 

 確信しているような言葉。

 その言葉は何処か重く、薄っぺらで形どっていないようにも思えた。

 

 

「──いつか、()()()()()が出ますよ」

 

 

 その言葉は砂狼シロコに言っているようで、自分に言い聞かせているようで、砂狼シロコに()()()()()()()()言っているようにも思えた。

 何処となく不気味で、結局収穫のない話し合いはここに終わったのだ。

 

 

 

「ん……正体を話さない代わりに奢ってもらう」

「おやおや、これは手厳しいですが此方も大人です。子供の払う代金くらいは肩代わりしますよ」

「ちなみに話さない間はずっと」

「私を財布代わりだと思っているのですか?」

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 奥空アヤネは激怒した。

 

 ──他校のスクールバスを拉致ればオッケー!! 

 ──ん、銀行を襲う。

 ──スクールアイドルです♧

 

 倫理観を何処かに置いてきてしまった(キヴォトスに侵された)先輩方の提案はまさに邪智暴虐ッ! 

 奥空アヤネがちゃぶ台返しを披露したことでなんとか収まったものの、未だに怒りは抜けきっておらずあれよあれよという間に柴関ラーメンへと連れてこられてしまったのだ。

 

 奥空アヤネはアビドスのやり方が分からぬ。

 同じ釜の飯を食い、同じ学舎に通おうとも先輩方の考えを理解することなど遂に出来なかった。

 されど、一般常識を持ち得ていた! 

 

「いや〜、悪かったねってば。ラーメン奢ってあげるからさ、怒らないでね」

「…………怒ってません」

 

「はい、お口拭いて。はい、よく出来ましたね〜♧」

「赤ちゃんじゃないですからッ……!!」

 

「ん、ボンドルドが奢るから問題なし」

「払うのは頼るんですね………」

 

 ついでに言えば大人たちも頼りにならなかったのである。

 先生は先輩方の案に乗ることで助長させ、導くことを放棄した。

 黎明卿は用事があるとして参加せず、砂狼シロコには奢るという約束をしたという。

 というか、教育はどうなっているのだろうか。

 

 奥空アヤネはチャーシューを口に突っ込まれながら、そんなことを思った。

 

 その時、柴関ラーメンの入口から一人の少女が入ってくる。

 何処か自信なさげであり、不安を抱き抱かせる表情をしている。

 

「あ、あのう……ここで一番安いメニューっておいくらですか?」

「一番安いのは580円の柴関ラーメンです! 看板メニューなので美味しいですよ!」

「あ、ありがとうございます!」

 

 安心したような表情を浮かべると、颯爽と外へと出ていく。

 最初は意図がわからないため、特に接客をした黒見セリカは混乱していたものの、別の3人の少女を連れてきたことでその疑問は解消される。

 

「ふふふ。何事にも解決策はあるのよ。全部想定通りだわ」

 

 不敵な笑みを浮かべる少女を中心とした4人組。

 先生からすると初対面であり、詳細が余り分からない。勿論先生として生徒の名前などは把握しておきたいものの、就任初日の襲撃の後片付けや未だ終わらない仕事などが重なり完全に把握しきれてはいないのである。

 

 ただ、何処か楽しげで仲が良さそうな様子であるため、特別気を使う必要はないだろう。

 

 

「お金がないのは罪じゃない! 胸を張って!!」

 

 

 ………何らかの勘違いを生みそうな雰囲気はあるが。

 

 ──便利屋68

 裏社会をハードボイルド、アウトローに生きる集団である。

 砂狼シロコの嗅覚は、陸八魔アルが何処かボンドルドと似たような存在だと訴えていた。

 

「ん、代わりに私が払っておく」

「シロコ先輩が……?」

 

 結局それは黎明卿が支払っているのでは、と思った。

 だがそれを口にはしない。

 

 砂狼シロコは便()()()6()8()()()()()()()代わりに支払う。

 それは砂狼シロコが銀行強盗に憧れるように、陸八魔アルがアウトロー憧れるように、砂狼シロコはボンドルドと共に映画で見た『マスター、彼女に私の奢りで……』というものをしたかったのである。

 

 

 砂狼シロコは便利屋68に告げることなくクールに去っていく……

 

 

「ん?支払いはさっきのアビドスの嬢ちゃんが済ませたよ」

「な、な、な、なんですってえぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 

 たかが580円、されど580円である。

 

 

 

 

 

 

『私が口座に支払い金額を振り込む際、よろしければその場に他の生徒がいないか教えてくれませんか? どうせならばその生徒の分も払っておきましょう』

『………ん、わかった』

『クックックッ、貸し借りというものは侮ることが出来ませんからね』

 

 

 

 ──砂狼シロコは追加で一人分加え、代わりに支払った。

 そして、4人組がいたことをボンドルドに報告した。

 

 ”確認と予防”は済まされた。

 





Q.え、何でシリアスっぽくなってんの?シリアルを書きたいんですが。
E.作品のプロット的にどうやってもシリアスでしか書けないからだよ♡
D.じゃあプロット破壊しながらシリアルにしていこう!!(ストーリー崩壊)

最後ありえないくらい雑になってすみません。心理描写などは本当に言葉足らずになっています。

設定は考えてはいますが、ガチで考えてる作者様に比べると薄っぺらなぺーぺーなので、整合性やらは余り気にせず気楽に読んで楽しんでいただければ幸いです。
ノリ的には「よくわかんないけどなんかわかった」でお願いします。雰囲気ですよ、雰囲気。
高笑い原作知識お披露目ぶん殴りをしたいだけなので。

この作品で詳しくは語らないであろうアビドス三章を息抜きに書くかもしれません。
といっても列車での戦闘という一場面だけですが。

ほら、カッコいいボンドルド見たいでしょう?原作が格好いいので霞みますが。


戦闘描写

  • 省け(サクサク)
  • 書け(それっぽい)
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