やはり俺がトガヒミコとラヴコメするのは間違っている。 作:もるすぁ
うおおお! ゼロ! ゼロ! ゼロ!
語尾をハートに換えると催眠音声みたいでんほるね
「遅れてすんません、いまどういう状況っすか」
色合い喪服みたいなカジュアルスーツに身を包んだ、目の腐った少年が脳無という怪人を蹴飛ばして相澤先生の横へと舞い降りた。
色々と言いたいこともあるのだが、そこそこ劣勢に追い込まれていたイレイザーヘッドの口から出たのはまずは疑問符で怪訝だった。
「比企谷…、お前、なんだ、その恰好は…」
「ヒーロー基礎学はスーツ着用だって聞いたので親父のを借りてきて、「ヒーロースーツだ、コスチュームって意味だそれは。被服控除申請してないのか」…?」
ちょっと言ってる意味わからないっすね、という副音声の聴こえる小首の傾げようだった。腹立つ。
「とりあえず、助かった。俺はああいうデフォルトで身体能力ある奴は少し、得意じゃない」
「あんなん相手取れるのオールマイトくらいでしょ。でかくて強い奴は強い、当たり前の話っすよ」
のそり、と筋肉達磨が起き上がる。
八幡の言い分だとオールマイトも筋肉達磨だと云っているようにも聴こえてくる。穿ち過ぎだろうか。
「上の状況はどうなってる?」
「黒い靄みたいな奴をとりあえず戦闘不能にしておきました。眼鏡の男子を先頭に、13号先生を殿に、その場にいた生徒は少ないですけど施設から外に」
「…待て。まさか生徒の数が減ってるのか?」
「つうか全数俺は知りませんのでなんともいえねッス。此処遠すぎでしょ、バス使わずに来たから大分遅刻したんですが??」
やや呑気な八幡の科白に、相澤先生は頭を抱えたくなる心情だった。
そんな二人に話しかけてくるのは、手のひらを模した何某かで体中を覆っている男だった。
「黒霧が戻ってこないのは予想外だが…、そっちも色々と状況悪いっぽいなぁ。ヒーローは大変だ、守りたいものも、やるべきことも多すぎる…」
「まったくだよ。頑張ったアピールだけじゃ済まないよな、世知辛い。ヒーローになんでも求めすぎだ、やはり社会が悪いな」
「お前、気が合うな」
云うなり、殴りかかってくる脳無のコブシと、八幡の振り上げた右脚がぶつかり合う。
金属がぶつかり合った様な、剣戟のような音が周囲へ響いた。
「足技主体のヴィジランテだったかヴィランだったか、最近聞いた気がするんだよなぁ。お前、ひょっとして『ブーツレグ』か?」
「あ? なんでそんな名前で広がってんの?」
「助けられた誰かが聴いてたらしいぜ、『
「うわ恥ずかし…」
本質は明け透けだが実質までは通じて居らず、名前の一人歩きが申し訳なくて八幡は顔を顰めた。
パ、パ、パン、とステップで脳無の両腕の隙間から顎先へと縫い通し、爪先が忽、と掠めて沈める。
上手い、と相澤先生は息を呑んだ。
「そういえば、俺は今日ってなんの用で呼び出されたんでしょ。基礎学はなんでしたっけ」
「…戦闘訓練を先に見る心算だったが、その様子なら問題は無さそうだな。レスキュー実学だ、施設内の生徒の安全を確保して見せろ」
「…俺も生徒なのですが」
「顔通しも兼ねてる。これからいっしょに学ぶ仲間だ。合理的にいこう」
そういうことに、なった。
■
嘘の災害や事故ルーム、通称はUSJ。
色々とモノ申したい名称の施設にてレスキュー訓練の題目で集められた生徒らであったが、ワープという厄介個性のヴィランの手によって散り散りにされてしまっていた。
先に吶喊した爆豪・切島の両名は倒壊ゾーンへ、
心持ち前へと出ていた轟、そして2年の男子2名が土砂ゾーンへ、
水難ゾーンへは緑谷・蛙吹・峰田の3名、
山岳ゾーンへは八百万・上鳴・耳郎の3名、
常闇・口田、そして2年の男子1名が暴風大雨ゾーン、
最後になったが火災ゾーンには尾白という男子と、
「燃えなさい!」
「あっばぁああああ!」
「ぎゃああああ!」
「フ…ジ…」
容赦の無い個性の振るいで、居合わせたヴィランを圧倒している雪ノ下と呼ばれた少女が居た。
ねぇ、誰かヤバい燃え方してない?
「つ、強いですね先輩…、炎系の個性なんですか…?」
「いいえ、けど、私には此処が合っているみたい。幸運だったわね、貴方」
個性:酸素干渉。
酸素の濃度を意図的に変化させる! 本来ならば冷却という手順を踏んで精製し液化するはずの酸素を肺活を伴わずに造り出し、増幅・減少を可能とする個性だ! 原理どうなってんの? スタンド攻撃と間違えてないか!?
「いつもなら増やした酸素で周囲を冷やすのだけど、逆に燃焼を促せる場所に落とすなんて詰めが甘いわね。ひと通り捕縛したら相澤先生を助けに行きましょうか」
「は、はい!」
「まったくですね。黒霧さんも詰めが甘い。同感です」
訳知り顔で先輩風を吹かせていた雪ノ下だったが、同意したのは尾白だけでは無かった。
炎を掻い潜って傍へ来ていたヴィランもまた、複眼のような目で見降ろして冷静にしていた。
「っ!?」
「ヴィラン…っ!」
「ああ、慌てなくて結構。もう済んでますから」
ズ、と気づけば尾白は腹を穿たれて転がされていた。
腕の動きは無かった、回り込む様に、伸びたソレは奇しくも同じような武器、
「(同タイプのヴィラン…っ!? 尻尾、いや、針…!?)」
蠍にも似た尾針が歪曲して突き刺さっていた。
威力はしかし尾白の既知とするほどの物では無いが、ビリ、と痺れが腕に伝う。
「(毒!?)」
自覚した尾白を心配する声は上がらない。
雪ノ下は既に、そのヴィランを前にして膝から崩れていた次第だった。
首筋に柔らかな肌に、つぷり、と針が染みている。
「まだ学んでいないのかな、賢しいヴィランは隠密を得手とする。キミたちが得意となって有象無象を大技で片付けていた隙を突くなんて、私のような殺人鬼にはお手の物だ」
ぐらぐらと茹だるような意識に、男の声だけが鈍く響く。
冷や汗が伝い、呼吸は粗く、心を折るような苦みが雪ノ下の耳朶を浸していた。
「とはいえ、私も紳士だ。礼儀としてキミには選択肢も与えてあげよう。――、」
複眼の男が、雪ノ下に顔を寄せる。
「子供は何人まで産みたい? 0から3くらいまでなら考慮しよう」
はっきりと、息を呑んだ、と雪ノ下は自覚した。
此奴は、最低で最悪の犯罪者だ、と。
「先輩から、離れろぉ!!」
響いたのは少女の声だった。
しかしその姿は、
「む、他にも居たのか。――そっちか」
尾白の目には映らなかったが、声は聞き覚えがある。
先立った戦闘訓練でパートナーを組んだ葉隠だ。
しかしその姿は、どうやら男には丸見えであったらしい。
「うわわ! なんで真っ直ぐこっちに来てるの!?」
「ハハハ、私は見ての通り部位的な異形型でね。虫けらの目だが、人間には知覚できない可視光線も捉えられる」
背から伸ばした翅でホバリングし、まさに蟲のように男が飛ぶ。
声を上げて攪乱するつもりだった葉隠の策は動き出す前に空回り、絶体絶命となった、その瞬間だった。
「なるほどな、そりゃ迷惑、だッ!」
「グゥっ!?」
ゴガン! と葉隠を捕まえる寸前だったのだろう、男を真正面から蹴り上げた少年が間に合う。
それは、この場の誰もが知らない人物であったが、
「え、なん、誰ぇ!?」
「其処に居んのか。悪いが暴れないように頼むわ」
八幡の奇襲が成功したのは、獲物を捕食しようとする僅かな隙を突いた理由があった。
その事実を把握していたので、安全を確保できない対象を見失うことは痛手となる。
だから彼は、声音で全体像を捉えた少女をグッと横抱きに、事態の把握を相手がしないうちに再び吶喊する。
「ええええええええ!!?」
「な、ん、ヒーロー…!? いや、なんでスーツ…!」
「カッコいいだろ。こう見えてイタリア製だ」
ゴォン! と、地に潰した男の困惑した顔が死に顔だった。
いや、殺して無いが。
■
ジュ、と雪ノ下の首筋に触れて、少女は漸く両手を地面へと降ろした。
っはぁ、と久しぶりの息継ぎに肩も下がる。
「先輩だいじょうぶ!?」
「えぇ…、心配をかけた、わね…」
毒を征する個性であるらしく、腐り目の少年が尾白の腹もまた撫でて治している。
ちょっと嫌そうな貌をしていた。男の腹とかあんまり触りたくないだろう。わかるかもしれない。
「あなた、比企谷くんね、助かった、わ…」
「応急処置だからな、あとで病院に診てもらってくれ。無理しないようにな」
「え、あ、さっき顔見てなかったひと! 2年の先輩!? このひとも!?」
実力が違い過ぎる、と驚いているのは雪ノ下だけかもしれない。
ヒーローコスチュームとは言えないような恰好で、今のが個性と見るなら別の何か、少なく見ても単純に『技』でヴィランを圧倒していた。
違いを比較すると云うならば、彼だけが相澤先生の除籍処分を受けていない2年生だ。
その差に、歯噛みする。
「すみません、助かりました…」
「おう。まあよく頑張ったな。こんな強姦殺人鬼まで動員してる集団だし、命が在るだけでもめっけもんだ」
「え」
若い女子とか此奴のストライクゾーンど真ん中だもんな、アイツら置いてきて良かったー。
呑気な声が聴こえるが、ちょっと聞き逃せない科白が。
「待ちなさい、その、変態…」
「ああ、まあ虫型だから変態だなぁ」
「そういう意味じゃないんだけど、まあどちらでも良いけど、その、知ってる男、なの…?」
「そこそこ名の知れた強姦殺人鬼ってだけだ。10歳から18歳の少女を誘拐して孕ませて剥製にしている変態だよ」
「「「うっわ………」」」
異口同音でドン引きした。
ヴィランとか呼ばれて調子乗って暴れてる奴よりずっとヤバいじゃねーか!
■
そんなわけで、ヴィラン連合と名乗っていた集団は大体がお縄となった。
わーたーしーが、キター! と聴こえた頃には失神した手だらけ男も相澤先生の捕縛布で簀巻き。
改めて、八幡は列を為していない集団へ顔を向ける。
「そんなわけで今日から復帰の比企谷八幡だ、そちらが渡我被身子。彼女の場合は腐り目少年の諸々に引っ掛かった保護対象なのであんまり表沙汰にしないように、詳しく藪を突こうとしないように宜しく頼む」
「明け透けに問題アリと紹介するとはこのリハクの目をもってしても誰が腐り目ですか」
「トガです! コイバナ大好きです! よろしくおねがいしまーす!」
「ほらコミュニケーションしろ腐り目。お前の彼女は先に自己紹介終えてるのに、遅刻したお前に合わせて改めて自己紹介してくれたんだぞ」
「遅刻したのは俺のせいじゃないのに…。あと彼女じゃねぇです」
テンションの似た担任と2年男子の漫才に天然ボケが混じって最強に見える。
いや俺たちは何を見せられているんだ、という困惑の方がA組の面々の貌に浮かんでいた。
事情聴取がこれから控えているのですが。
「あー、休学してたんでこれから復帰する比企谷八幡です。先輩とか呼ぶのは辞めてくれ、ジッシツ留年してるから身に染みる」
「え、2年生じゃ、ないん、ですか…?」
困惑を重ねるな。
重複してて益々空気は淀んでいく。
「あー…、保護観察も兼ねてるから相澤先生憑きってことで俺とトガはA所属。とりあえず単位も足りてないからな、普通の授業も混ぜてくれ。安心しろ、お前らの邪魔はしないから。ヒーローとして名前売る気も無いし」
「ハァン?」
唸ったのは爆豪だった。
脳無を降し、殺人鬼を降し、USJを短時間で駆け回って全員に面通しを済ませて対処し切った男の科白とは思えなかった。
先立って実力を知ら占められていた少年が、改めて彼我の差を突き付けられて噴気しようとしていたにも拘らず、件の上に立つヤツのやる気のない発言に苛立ちを覚えたのだ。
「…そういえばお前の志望動機、」
「個性を日頃から扱っても問題視されないのはヒーロー免許が手っ取り早いので」
「だったよな。うん。思い出したわ。初日に除籍しようと思ってた生徒だったな」
「え初耳」
「「「「「「はああああああああ!!!???」」」」」」
異口同音に(ry。
~改人・脳無
動け! 動いてよ脳無! いま動かなきゃ誰がオールマイトを斃すっていうんだ! うわあああ! と緒方○美の少年ボイスっぽく呼ばれていれば動いたかもしれない。文字通り脳ミソ揺すられて対処不可能のうちに実はグレープラッシュのもぎもぎで団子にされて水難ゾーンに転がされていった最期を迎えた。うわあああ! あいるびーばっぐ。むりです。
~怪人・手だらけマン
五指で掴むと崩壊させる凶個性持ち。名乗る前に相澤先生と1on1。経験が違うので普通に負けた。話が違うぞ先生ェ!
~黒霧
生徒数名を散り散りにして13号を相手取りましょうかねぇフフフしていたところへプリキュアの時間だオラぁ!ドアキックダイナミックお邪魔しますしてきた腐り目に蹴り飛ばされた。13号生存。やったね。
~強姦殺人鬼
蜂型の異形個性でしかも収納できる実は変身するタイプのヴィラン。神経毒で身体の自由を奪い音も立てない飛行で人間大なのに自在に飛べる。その強個性でやることが少女連続強姦殺人というクソみたいなクソ。連合強化の一端なので今後も出ます。わぁい。
~葉隠さん
全裸。