ポー…ん?   作:mi-ta

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補給部隊員の悩み

どのような仕事であろうと、それに向かう姿勢は人それぞれである。
他人の仕事を自分に投げられる事は業腹だが、それにより信頼を得られると信じる以外無い。


じゃあ案内してあげる。

 

どうにも既視感がある。

 

舗装もされてない道を二人で歩きながら考える。

 

経験してない事がまるで経験したかのように錯覚する"デジャヴ"というやつだ。

 

因みに逆の現象である"ジャメヴ"…未視感は何度も経験したことのある事柄を、まるで見慣れないもののように感じてしまう現象のことを指すらしい。

 

って、いーたんが言ってた気がする。

 

閑話休題

 

知らない場所の筈なのに何故か"こちらに進めばいい"という感覚がするのだ。

 

当然俺は転生してからあの採掘場にずっといた訳でこんな所に来るのは初めてだし、忘れているという事もない…筈。

 

となれば

 

「さっきの"メインポーン"とやらになった影響かっ…」

 

「…?」

 

と、口をもぐもぐさせながら横を歩く覚者サマを見れば

 

「…何を食べている?」

 

「食べる?」

 

そう聞けばこちらに向けて開かれる手のひら、その上には数粒のクランベリー。

 

「はぁ…、そう言えばさっきの飯の時にもクランベリーばくばく食べてたな」

 

「…好きだったのかもしれない」

 

「クランベリーがか?」

 

それにコクリと頷く少女。

 

まぁ無理もない。

 

肩までの黒髪に整った顔、背丈こそ俺の胸までも無いもののしっかりとした作りのチェインメイルに丈夫なグリーブ、背にラウンドシールドと腰に片手剣を携えた姿こそちゃんとした冒険者に見える。

 

が、記憶を無くして知らない場所。

更にはいきなり"覚者"などと言われて…不安でない訳がない。

 

「…はぁ、まぁそう思い悩むな」

 

なら…仮にも大人である俺がしっかりしないでどうする!

 

「…それを取り戻す為にこの後メルヴェに向かうんだ、そしてゆっくり思い出していけばいいさ」

 

そう言いながら彼女の低い肩を叩けば、こちらをジッとみて軽く頷き

 

「…お、あの丘か?確か調達係の兵士がいる筈だが」

 

柄にも無い事を言ったと思いながら目を逸らす。

 

今回頼まれたのは宿営地北で素材の調達を行なっている兵士、マーカスに追加調達のメモを渡す事である。

 

ちょっと小高くなった丘を登った所で

 

「よし!これで全部だな、我ながら完璧な仕事だな!」

 

屈んだ体勢から起き上がる一人の兵士の姿。

 

「お疲れさん、超暑い係のマーカスってのはアンタの事かい?」

 

「ん?なんだお前さんら…何か用かい?」

 

そんな彼に対してメモを無言でビシッと突きつける少女。

 

「…いや、説明しろよ。

あー、宿営地からでメモを預かってるんだ、追加の補給とかって話しだ」

 

「お?わざわざすまんな、なになに…何だよ、まだ必要なものがあるって?

いやいや、この荷物を抱えて物資集めなんて無茶だぞ…?

すまん、不躾な願いだがそこに書いてある物は君たちで集めてくれないか?」

 

言葉の通りマーカスは背嚢だけで無く両肩から襷掛けにカバンを二つかけており、ここから更にとなると少し大変だろう。

 

少女を見ればこちらを向いて軽く頷いており

 

「構わんが…、植物とかにはあんまり詳しくないぞ?」

 

「特徴的だしすぐ分かるさ、なるべく急いでくれよ?この量の荷物を持ったまま長居はしたくないからな。」

 

そのままメモを受け取り中身を見る。

 

「癒しの薬2個にガライモ3個…さて、どこにあるやら」

 

と周りを見渡した所で再びの既視感、しかも先ほどよりもハッキリとした感覚であり

 

「確か…こっちにあったはず」

 

感覚の通り従って動けば緑の葉に赤紫の蔓、掘り出してみればそこにはまるまると実ったイモ。

 

「こっちも」

 

そう言ってガライモ片手にこっちに来る少女を横に

 

「…さっきから何だ?経験がどうだとか言ってたがまさかそれの事か?」

 

先程から走るデジャブに得体の知れないものを感じるのだった。

 





覚者ちゃん『甘酸っぱくてうまうま、これはいいものだ』(不安?何それ)

クランベリー:野生のクランベリー、体力がわずかに回復する。

ガライモ:食用として広域に自生する芋科の植物。
スタミナが少量回復する。
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