「…うむ、会心の出来だな」
何種類かの石で骨を削り上げ最後に息をフッと吹きかけ削り屑を払う。
出来上がった立方体をくるくると回しながら牢の前にいたヘンリクに声をける。
「よぉ、何か変わった事ねぇか?」
「あぁ…なんでもまた新しいポーンが到着したみたいだよ?」
「んぉ?あぁ、昨日の夜にちょっと騒いでたのはそれか、また増えるのか?」
「開通ももう直ぐらしいからね、それよりもその中に曰く付きのポーンがいるらしくてね…」
「曰く付きだぁ?」
そう言いながら声を少し落としたヘンリクに耳を寄せれば
「何でも運び込まれた時は真っ黒焦げの死体だったんだけど…、何と蘇ったらしいんだ」
「え、何それゾンビ?」
「ゾンビ?よくわからないけどポーンってそういうもんじゃ無いの?」
「えぇ…何それ怖っ」
「ポーンは死んでも生き返るって聞いたよ?現に落盤にあった人達も掘り出さされ暫くしたら息吹き返してたし…というかポンタローさんもポーンじゃ無いですか」
悲報、俺氏やっぱ人間辞めてた件。
丈夫な身体や回復が早い肉体、上昇した身体能力は転生特典とかじゃ無かったのか…
「こちとら記憶が無い上に安全にゃ気を使ってんだよ、お陰で大きな事故にゃ遭ってねぇからな」
「そう言えば…ポンタローさんもかなりの古株でしたね、行方不明になったポーン達もいたみたいですし監督官が何か裏でやってるらしいんですが…と、噂をすれば」
慌ててヘンリクが姿勢をただし、洞窟入り口をチラリと見れば髭でハゲの監督官のお出ましである。
いつか背中からドロップキックをくらわるリストトップ、一人だけ上等そうな服にこれまた上等そうな杖持った偉そうなおっさんであるが、この発掘現場では絶大な権力を持っており、五年連続逆らってはいけない男No.1の位置に君臨、気に入らない事があればすぐに周りにあたり散らす、全くもって迷惑な事この上無い。
目をつけられては敵わないので(既に付けられている)コソッと隠れると監督官は牢の目の前を通り…そこで足を止めた。
「よぉポンタロー、頼んでた物は…当然出来上がってるよなぁ?」
「へっへっへ、これはこれはフィスカ様…当然出来上がってますとも」
そう言って出来上がったばかりの骨で作ったサイコロを渡す。
「これさえありゃあこのオレが負けるなど…」
「おっと、フィスカの旦那あまり大声だとバレますよ?」
「おっと…使い方は変わらんのだな?」
こっちの忠告に声を落とし、渡したサイコロを手の中で転がす監督官であるフィスカ
「えぇ普通のサイコロと混ぜて使ってもヨシ、もう一つ同じものを作ってもヨシ、これでゾロ目もシゴロもドンと来いってなもんですよ」
その言葉にフィスカは満足そうにサイコロ…1、2、3の目がなく4、5、6が2面ずつ刻まれたイカサマサイコロ、通称シゴロ賽を胸ポケットに突っ込むと機嫌良さそうにそのまま奥の方に歩いて行ったのだった。
傍に控えていたヘンリクが牢の前に戻ってきたヘンリクはその背中を見ながら不思議そうな顔をしていたので
「ポンタローさん、何か監督官が機嫌良さそうでしたけど…」
「あぁ、機嫌良さそうなら良さそうで気持ち悪いよなあのハゲオヤジ」
「それ言ってるのバレたら折檻じゃ済まされないですよ?」
「おっと、それよりしばらくは監督官主催の賭場には顔を出さない事を勧めとくぜ」
監督官の怒鳴り声をBGMにそう忠告しておくのだった。
主人公:名前は後程
愛称:ポンタロー
456賽:チンチロに勝てない監督官が"絶対に勝てる方法を吐け"と主人公に詰め寄ってあまりのしつこさにゲロって作らされた。
主な功績(罪状)
サイコロの概念を待ち込んだ。
チンチロの概念を持ち込んだ。
456賽の概念を持ち込んだ。
次回 覚者登場