「うむ。ご苦労だった。始末は任せておけ。早速取り掛かる。」
毎度のこと、神楽さんにはお世話になっている。実際、捕まえて来た後の処理はこの人が頼りだ。毎回任務が終わったら特能隊の部屋があるビルへ犯人どもを連れてくるのだがまあ記憶を消したり変えたりしているのが神楽さんだ。
神楽さんの能力。記憶操作。
まあこの能力については大体文字の通りなんだが、実はかなり厳しい条件がある。
一つは、相手に見られていないこと。相手に見られていることで記憶を操作したとしても効果が無くなるらしい。しかし、毎回持って帰ってくる犯人は大半気絶させているためその心配はあまりない。
二つ目は、相手の詳しい情報を知っていること。性別、年齢はもちろん、身長、体重、これまでの経歴…。全て自ら調べているのが神楽さんの凄いとこだ。
そして三つ目が、相手が傷を負っている場合、相手の傷と全く同じ場所に傷を自ら負わなくてはならないことだ。流石に、手を切るほどはしなくてもいいが、自らの体に傷を付けることになる。例えば今回だと、鳩尾に打撲痕、肩からの切断。よって、神楽さんが負わなくてはならない怪我は打撲と切り傷になる。正直なところ、神楽さんも女性なのだ。怪我は負ってほしくないのが本音だ。
「さて、任務も終わったことだし飯でも食いに行きますか!」
「有原、お前の奢りな。」
「な、なんでですか!前回もその前も奢ってるじゃないですか!」
「有原君…。」
「なんだ佐川…そんな真面目な顔して。お前らしくない…。」
「ご馳走様♪」
「て、てめぇ〜!」
なんだかんだ言って毎日が楽しいのだが…。奢りだけは勘弁してください…。
事件があった一日後
「はぁ…今日も学校か〜…。しかも朝から水ぶっかけられるとか…本当ついてねぇ…。」
運が悪いのはきっと能力を二つ持っているからだと思っている。まあその関係性は全く分からないし医者にも謎だと言われているのだが…。
「ま、俺はそう言う運命なんだろうな…。」
運が悪いのはもう諦めている。
「おう!有原!今日は一段と濡れてるな!」
「おう目坂…今日は水入ったバケツが落ちて来たぞ…。」
「…悪い。マジで今回は同情する。」
「おう…。」
さて、そろそろこんなことで悩むのはやめて授業の支度をしなくては…。一時間目は…数学?死ねよ…このカリキュラム…。
「はぁ…もう嫌だ…。」
「何がですか?」
「うおっ!」
ゴリラかよ…。自分で自分をdisるなんて思ってもなかった…。
「お、驚かせてしまったのならすみません…。数学、お嫌いなんですか?」
「ああ…もう一次関数とか訳分かんねぇ。」
「それは中学生のところなのですが…。」
分かってる。だが俺は小学生のところから訳分からなかったぞ!
「と言うか一次関数分からなくてよく高校受かりましたね…。」
「ここの高校、入試がマークシートなんだよ。全部適当にやったら受かった。」
「何故そこだけ運が良いのです!?」
いや、そこは本当に分からん。常日頃、悪運が取り付いてるせいかその時だけ神様が…。いや、あれだな!俺の普段の行いがいいからだな!
「有原さん?」
「いや、その時は運が良かったことを今になって神に感謝してた…」
「は、はぁ…」
なんか引かれた!?凄い悲しいんだけど!?
「まあとにかくなんだ…捨ててるし。全教科。」
「それはダメです!分かりました!私が責任を持って教えます!」
「え?」
「だから私が……あ!だからと言って気があるとかじゃないですよ!?私成績悪い人見るとどうしても…!と、とにかく教えますから!」
「おう…頼むわ…」
なんか顔真っ赤にしてうずくまった…クラスメイトの目が痛いな…。そろそろ下校時刻だ。
「と、とにかく…放課後図書室に来てください…教えますので…。」
「お、おう…頼む。」
…これってフラグ?
「できればお一人でお願いします…。聞きたいことがあるので…。」
…フラグだよね…?