「ここは…この式に代入して解きます」
「なるほど…覚えるのかなり多いな…」
図書室で勉強を教えてもらうなんて初めてだ。しかも転校2日目だぜ?どんだけお人好しなんだか…
「有原さん?聞いてますか?」
「あー…すまん。聞いてなかった」
「次はちゃんと聞いてくださいよ?」
こんな会話が20回ほど繰り返され
「…そろそろ終わりにしましょうか。」
今日の勉強は終わり。流石に…辛い…。ここまで出来なかったなんて…。
「有原さん。この後少しお時間をいただけますか?」
「あ?あぁ。勉強も教えてもらったわけだしな。」
そして一緒に下校という夢シチュエーション。…これやっぱフラグだろ。凄いよ…俺にも春が…!
「場所は…あ、あのカフェでいいか?」
「はい。構いません。」
中は静かでクラッシックの音楽が流れ、全体的にとても静かな印象なこのカフェは最近見つけた俺のベストプライスなのだ。
「コーヒー一つ。ブラックで。巡理、お前は?」
「えーと…カフェラテで…。」
何か歯切れが悪いような気もしたがあえてスルー。
お互いの注文したものが来てから2、3分過ぎた頃、巡理から話を始めた。
「有原さん。一つお聞きしたいのですが、昨日の放課後はどちらに?」
「ん?そんなことを聞きたいのか。普通に家に帰ってテレビ見て…うん。それぐらいだ。」
「そうですか…銀行、などには行かれていませんよね?」
「…! 何故そう思う?」
まずい。何かばれているのか?やはりテレポートを依頼した場所が悪かったのだろうか。それともあの人だかりの中にいた…?
「私は昨日、部活見学に行く予定だったのですが急用を思い出しまして。その急用というのが銀行に行くことだったのですが…銀行に入った時が運悪く、銀行強盗が犯行を行うところでした。」
…つまり、あの時銀行の中にいたということだろうか。それならば薬で眠っているはずなのだが…。
「その時人質として捕縛はされなかったのか?普通の強盗ならしそうなものだが。」
「私は運が良かったのか悪かったのかわかりませんがカウンターのしたに潜り込んで隠れていました。そのおかげでばれなかったのだと思います。」
…なるほど。話がだんだん読めて来た。
「そして…有原さん。あなたが銀行の中に入って来るのをみました。 」
「人違いだ。俺は普通の高校生だぞ?そんなところに行くわけがない。」
「それもそうですね…ですがまずその人は私たちの学校の制服を着ていました。そして有原さんのその制服。実は昨日付いていた鳥のフンが跳ねている場所があるんです。そこまで一緒の人がいますか?」
「…運が悪い奴がいたんだろうな。」
まずい。ここまでばれてるとかなり…。見ていたということは能力を使っているところも見られたということだろうか。
「そうですか。それではその人をAさんとしましょう。
Aさんが犯人に向かって突進していったんです。しかしAさんは鳩尾を殴られ顔を殴られ脛を蹴られ痛みに悶絶しながら銃をよけていました。」
「そんなことしてねぇ!だ…ろ…」
…しまった。つい言い返してしまった…
「どうしましたか?これは私が見たAさんの話ですよ?やはりあなたがそのAさんなのですか?」
「…黙秘だ。」
「そうですか…。実はその時の様子を携帯のビデオ機能を使って撮影していたんです。ご覧になりますか?」
…まずい。非常にまずい。何故ここまで分かっている。と言うか何故あの血が吹き上がっているのを見て何も感じないんだ。普通は動揺して何らかの声を上げると思うのだが…。
「いや、いい。少し電話して来ていいか?」
「?ええ、構いませんが…」
「ん。サンキュ」
そして目的の番号に繋ぐ。
「…もしもし。神楽さん?」