遠い昔遥か彼方の銀河を生きた少女、今度は学園都市を生きる 作:LemoИ
今日も私は、ネットの掲示板を参照しつつ、指名手配犯を探していた。
片手には眠気を取り除くための缶コーヒーの蓋が開き、湯気を立てている。
ブラックマーケットに程近い通りを歩いていると、視線の端にあったコンビニが爆発した。
近くに居た訳でもないが、爆風は私の方まで吹いてきた。
爆煙の中からヘルメット団が現れたことで、状況は粗方把握した。
しかも、ヘルメットのデザイン的にヴァルキューレに指名手配されている連中だった。
レジから金銭を強奪したのか黄土色の袋を抱えて走っている団員も数名見える。
私は缶コーヒーの中身を一気に飲み干し、近くのゴミ箱に放り込んだ。
そして、大体の距離を目で測ってから、やり投げに近い要領でスタッフをヘルメット団員に向かって投げた。
「やばいやばい!逃げろ!こっちだ!」
「待ってくださいボス!ぐぁっ!!」
その金属で出来た棒は見事ヘルメット団の1人の背中に命中し、つんのめってアスファルトをころがった。
「ボス!敵です!」
「なんだって?!1人じゃねぇか、お前らやっちまえ!」
「了解っす!カチャカチャヘルメット団に喧嘩売ったことを後悔させてやるっす。」
変に意気込んだヘルメット団はライフルの銃口を私の方へ向け、その引き金を引いた。
先程投げたスタッフはアスファルトに転がっていて、フォースで引き寄せても着弾には間に合いそうにない。
「目立つので、あまり使いたくないんだが…。」
そう呟きながら私は、右手を銃弾たちの方へと翳した。
すると……
「は……?」
「実体がある分、ブラスターよりも簡単だな。」
銃弾は全て私の1メートル程前の空中でピタリと静止し、一発も届くことは無かった。
そして、軽い金属音を立てながら地面に転がった。
「てんめぇ!変なの使いやがって!」
このキヴォトスにはフォースとは違う特殊な力を行使する人たちも居るが、その中でも私は特殊な個体だったようだ。
私が攻撃をあっさり防いだからなのか、怒りに身を任せて跳躍しながらフルオートで乱射してきた。
そんな敵には、手加減気味のフォースプッシュであさっての方向へ吹き飛ばした。
「ぼ、ボスぅ……」
私に恐れたのか、ヘルメット団の1人が今にも泣きそうな弱々しい声でボスの指示を仰ぐのが聞こえてきた。
「ちっ……!」
ヘルメット団は背中を見せずにじわじわと後退し始めた。
そんな集団に私は、時間をかけるのもバカバカしく感じ、容赦無く銃の撃ちにくいゼロ距離の戦闘を仕掛けた。
「なんだこいつ!ぎゃあ!」
「ば、化け物だ…」
「ボスぅ!ごはぁ…!」
距離を詰める途中、フォースプルでスタッフを回収した私は、焦る敵の肉体を殴打し始めた。
一般的に人間の弱点と成りうる頭部や腹部を重点的に狙う。
「カハッ」
最後まで戦い続けていたボスと呼ばれていた人物の頭を私は、スタッフで叩きつけた。
「く、くそがぁ…」
彼女は、私に悪態をつきながら意識を失い、戦闘は終了した。
当然、最後に佇んでいたのは私だけだった。
予定には無かった戦闘を終えた私は、いつも通りヴァルキューレに連絡をしてから帰路に着いた。
会社まで歩く私の心へ津波のように襲い掛かるのは、己への嫌悪感。
平和の守護者としてフォースと共にあった私よりも、尋問官として力を奮っていた頃に近い力と感情に身を任せた蹂躙。
彼女からは、キヴォトスを守るための切り札になることを期待されている。
まるで、ジェダイのように……
だけど、今の私は、その対極でかけ離れた存在であることは自分が1番知っている。
誰かを守り、平和を維持するためではなく、誰かを傷つけ、希望の芽を摘み取りシスに仕える者。
それが私だ。
確かに、最後の最期で私は暗黒面に抗った。
だが、堕ちた事実が消え去ることは無い。
「やっぱり私は尋問官を辞められてない。それに、戦闘をする度に前世の自分を毎回思い出す…」
◇◇◇
かつての自分を思い出す度に睡眠の質は落ち、食欲は喪失していく。
しかし、その一方でバトルドロイドの生産は最初に比べて安定してきていた。
武装に関しては市販?のサブマシンガンと弾丸を大量に購入して基本装備とした。
連邦生徒会から承認され、正式に組織として動きだしたが、最初はかなり苦戦した。
なんせ、前世はずっと戦闘員だった私には組織経営の経験がほぼ無いに等しかったからだ。
その辺は通商連合のアイツらの方が得意だろう…。
一先ず、犬みたいな人が店長の本屋で経営学の書籍を買い漁るところから始めた。
最初の頃は、生きるのもあれなくらいあんなに燻っていたのに……いつの間にかこんな所まできていた。
◇◇◇
組織として発足したは良いが、B1だけでは戦力としては心許なすぎる。
戦車の砲撃等の高火力に晒された時、為す術が無い。
なので、戦闘の依頼などは私直々に赴いている。
その裏で数の暴力が強みのB1をコツコツ増やし、他の種類の開発にも勤しんでいた。まず目標としてはB2スーパーバトルドロイドを生産出来るようにする。そして、私の副官として戦術ドロイドを一体用意したい。
戦時中、何度も私たちを苦しめたあいつをこのキヴォトスで再現する……
B1のバリエーションも増やす予定でいる。後方の狙撃要員や、前衛の重装甲タイプ等だ。
それと、PMCとして活動するならば、兵士だけでは限界があるだろう。
そこで、とりあえずブラックマーケットで払い下げの戦車と装甲車を数台購入した。
そして、ビルの隣の土地も買って、ドロイド工場を建設した。
そうしてやっと、機械で機械を安定して生産できるようになった。
最低限の戦力だが、いくつかの連邦生徒会関連の施設で、警備員代わりに置いてもらうことになった。
そのおかげで毎月固定で多少金銭を得ることが出来ている。
他の企業と違い、社員に給料を支払う必要がない。
もちろん社員(ドロイド)には必要なアップデートやメンテナンスを行っている。
収入と支出をきちんとまとめ次の期間の予算を組み、
主な収入の使い道は、弾丸やドロイドのメンテナンス用品等の消耗するもの…そして、新兵器開発回に回している。
まず始めたのは兵員輸送担うリパブリック・アタック・ガンシップの開発。
「流石に前世と同じ動力では難しいですか。」
そのため、エンジンは飛行機と同じジェットエンジンにすることにした。
前世とは違い大気圏内でしか使用しないため、生命維持装置等を搭載する必要はない。
両翼の先端にあった特徴的な球体型のレーザー砲塔は廃し、代わりにオスプレイ等と似たローターの小型版を搭載させることで空中での安定した飛行を実現した。
機首等にあった対人用レーザー砲の部分には軍用ヘリと同じ機関砲を装備。
他にも、前世の機体と同様にミサイル発射管も設置し、火力面でも申し分ないと思う。
「とりあえず……良しとしますか。」
前世とは違い灰色一色の地味な見た目のガンシップを前に、私はそう呟いた。
クローン達が、LAAT/i(ラーティ)と親しみを込めて呼び、オリジナルの塗装をほどこしていた機体だ。
それが、キヴォトスの技術を以て今ここに再現された。
幾つも妥協した所はあるし、性能は前世のものとは比べ物にならない。
だが…
「きっとこれから同じのが何機も作られ、何度も助けられるんでしょうね。」
装甲車でも辿り着けない場所へとこの機体は連れて行ってくれる…
そんな予感がした。
「他のドロイドや機体の開発も着手しましょうか。」
そして、同時にスタッフでは通用しない敵が顕れた時のための少しずつ、私自身の武器の製作もしていこう。
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