エルフ=美しい、というイメージに苦しめられるエルフのマリアンヌ。
エルフの村から離れ、一人きりで生活を送っていた。
そんな彼女の前に現れたのは......

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ブスなエルフの苦悩

エルフ。

それは人間よりもはるかに寿命が長く耳も長く、人間というよりは妖精に近い。

そして美しいとイメージされる種族。

 

 

美しい。......美しい、......ねえ。

私にはそんなものなど、無いのに。

 

私の名前はマリアンヌ・ジャミール。人間達が美しい美しいと持て囃す種族、エルフ。

だけど私は全然そうじゃない。

昔から人間や他のエルフは、私じゃなく母の美しさに感嘆の息を漏らしていた。

母はエルフの中でも格別で、その美貌は人間やエルフのみならず他の種族からも賞賛され求婚されたという。

......そんな母の娘である私。そんな母の血を引いたはずの私。きっと美しい子が産まれてくると誰もが信じて疑わなかっただろう。

だけど私は、ちっとも母に似ていない。

母は美しい金色の髪なのに、私は濃い茶色。そしてなぜかサラサラにならない。

顔立ちだって、お察しの通りだ。

現に私を見た人間はがっかりする。エルフって美人なんじゃないのかよ。って。

それでも母は、それがあなたの個性だ、とても可愛い、なんて言って励ましてくれたけど、そんな励ましなんか残酷なだけだった。

何度言っただろう?

『どうして私は母さんのようになれないの?』と......。

その度母は、『マリアンヌはマリアンヌよ。私の可愛い子。』と言って私を抱き締めた。

......でも私は知っている。母が他のエルフ達から馬鹿にされているのを。

母に全然似ていない私を失敗作だと陰口を叩いているのを。

いくら容姿が似ていなくても私は母の娘。母まで馬鹿にされているのは、自分自身を否定されているように感じた。だから私は自分が嫌いだ。

外見が美しくないというだけで何もかも否定され虐げられる自分の見た目も性格も、何もかも。

このまま一生を過ごすくらいなら今すぐに死んだほうがずっとマシなのに。寿命の短い種族が羨ましい。

いつしかそう思うようになっていた。

 

それから数年後。私はエルフの村を離れた森で一人で暮らしていた。ここには誰も来ないし、誰にも私の姿を見られだってしない。

寂しい、なんて思わない。気楽だ。

今日は狩りをするため、森の奥深くへと入り込む。

茂みからガサッと音がした。動物だろうか。私は持っていた弓を構える。

「!」

茂みから出てきたものは、今までに見た事がない魔物だった。それは茂みから出てきたとは思えない程巨大で、おどろおどろしい。大きな口からは何本もの牙が見える。

そして、私に近付いてきた。もちろん食べるためだろう。

「......」

恐怖を感じると共に、もういいや。という感覚があった。そうだ。私なんて死んだほうがずっといいんだ。いつ尽きるか分からない寿命なんて待ってられない。

こんな顔でこの先、生きるくらいなら___

私は魔物に向かって歩き出した。

「いいよ。こんな私で良ければ。」

すると、その魔物は。

「エ?いいの?」

なんと喋り出したのだ。まあ喋る魔物も沢山いると聞くから特別驚く事でもないだろう。

私は静かに食べられるのを待った。

「ヤッター!!トモダチになってくれるんだ!!!」

「...は?」

魔物が言った事。友達?

「どういう事?私を食べるんじゃないの?」

「タベる?トモダチを?どうして??」

どういう事なんだろう。

「キミ、とてもキレイなエルフだったから、トモダチになりたかった!!」

キレイ?私が?この魔物は何を言っているんだか。

「私なんて全然綺麗じゃないよ。それで他のエルフ達に馬鹿にされてきたんだから!」

「ホカのエルフたち、バカだな!!キミのほうがずっとキレイだ!!カワイイ!!!」

 

それは、拍子抜けな出会いだった。

 

 

 

「あなたは、どうしてあの森にいたの?」

とりあえず私は魔物を自分の小屋へと連れて行き、話を聞く事にした。

「ズットまえからいたよ?」

「でも私、今まであなたを見た事がなかったよ?」

「オレ、イロイロなものにへんしんできる。たとえば。」

魔物はそう言うと、黒猫に姿を変えた。こんな魔物は見た事がない。

「あなた、名前は何て言うの?私はマリアンヌ。」

「マリアンヌ!!オレはノッチ!!」

ノッチはそう嬉しそうに言うと、私の膝の上に乗ってきた。黒猫の姿のままだから良い、けど。

「マリアンヌは、どうしてここにひとりなの?」

「......それは...」

ノッチになら話しても良いかもしれない。そう思った私は自分の事を話し始める。

この見た目のせいで、馬鹿にされ続けてきた事を。

「ソンナのおかしい!!そのエルフたち、ヘン!!マリアンヌ、キレイ!!」

「あ、ありがと」

キレイだなんて、言われた事がなかった私は、くすぐったい気持ちがしながらも嬉しくもあった。

こうして友達も出来たし。

もうちょっとだけ頑張ってみようかなと、初めて思う事が出来たのだ。




マリアンヌ
エルフの少女(多分)。顔が醜いという事で虐げられてきた。他のエルフ達とは距離を置いて暮らしている。長生きしたくない。

ノッチ
魔物。何の種族なのかは不明。最初は怖い姿で現れたが、色々なものに変身できるらしい。ずっと黒猫の姿のままでいいよ。

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