あやかしライダー   作:chika6号型256番

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俺だってやれるとこ見せてやるじゃんね

 

「うぐぅ…テメェら…私から愛羅を奪いましたね…私の、愛おしい愛羅ォ!」

 

そう言ってあの女はまた髪で工場の瓦礫を掴み投げ飛ばそうとしようとしていた。

 

「こっから先あの女の対処は任せてくれ。ここでも何もしなかったんじゃ助けに来た意味がねぇ」

「じゃあ任せた!あたしらはあたしらで動くから!行くよ!オカルン」

 

そうだ。俺だって何百年生きた大妖怪。こんな小物に手間取ってちゃいけねぇんだ。

桃とオカルンは愛羅と呼ばれた少女を連れては走り出した。

 

「お返し…この豚野郎どもがぁあ!!」

「おっと待ちな。てめぇの相手は俺だぜ。クソ女」

 

女がオカルン達めがけて髪を伸ばすがそんな事はさせない。影で髪を切り払い伸びた髪を地面へ打ち落とした。

 

ようやく分かってきた。影は所詮影なんて思ってるから力が出ねぇ。影は俺の手先、俺の体の一部なんだ。俺は人間と違って脳が無いんだ。だから処理能力が足りないなんてことにもなるはずがねぇ。全て操りきれて当然。影は俺自身、そういう人外としての認識が足りなかったんだ。

 

「どーしたよ。燃え尽き症候群か?さっきと違ってスピードでてないんじゃねぇの?」

「てめぇ、ぐちぐちとうるさいのよ!邪魔すんじゃねぇわよ!」

 

そう言って女はターゲットを一先ず俺に変更した。そして体術と髪の連携技をまた繰り出してきた。よくよく考えるとこいつの戦闘スタイルは俺とよく似てる。髪と影、体術と剣術。なら年長者の俺がいくら体格で負けてるからってそう簡単に負けるわけにはいかねぇ!」

 

髪と影が何度も何度も打ち合うそして足技を避け、すれ違いざまに切り裂く。髪がさっき焼けたせいか、怒りのせいか、動きに精細さが無い。コレなら行けるぜ。

 

そう思ったところに工場の天井から鉄骨が降ってきた。

「チィッ!」

「邪魔なんだよォ!」

 

降ってきた鉄骨を避けた瞬間に現れた隙を女は見逃さずに回し蹴りを放ってきた。その一撃は避ける事が出来ない一撃だった。俺はまた瓦礫の山へ吹き飛ばされた。 

 

「チクショー!!アイツラかどこへ行きやがった!!このゴミ野郎のせいで私の愛おしい愛羅ちゃんを見失ちゃったじゃねぇか!」

「…よそ見してんじゃねぇよ!」

 

影を伸ばし、人間パチンコのように飛び出した俺を髪を操り掴もうとするが、肝心の髪は最初に伸ばした時のまま殆どが工場の鉄骨に絡まり、動かせずにいた。そして動かせていた髪は俺の影と散々打ち合いボロボロでもう残ってはいなかった。

 

「そのまま首落としてやんよ!」

 

俺は全力で女の首めがけて剣を振りかぶり剣の刃が女の首に入った瞬間硬さを感じた。刃が想像以上に入らず動きを止めてしまった。その瞬間俺の腹に強い衝撃を感じた。俺の腹にアッパーを叩き込まれたのだった。そのまま俺は天井に打ち付けられた。

その時2つの影が飛び出してきた。

 

「行くよ!オカルン!」

「はい!」

 

そう言って桃は女の足を超能力で押さえた。オカルンは全力を出す為に変身をした。

 

「やって!オカルン!」

「はい!全力行きます!」

「こんなのであたしを拘束できたと思うなよ…テメェら、ぶち殺したらぁあ!!」

 

女は足を抑えられ、自慢の髪のほとんどは動かせずそれでも残った腕でオカルンと桃に瓦礫を投げつけ始めた。髪もゆっくりとではあるが拘束を逃れつつある。

 

「ももちゃん!コレじゃ全力攻撃できないぜ…!」

「わかってる!でもこのままじゃあいつ抑えきれない!」

 

オカルンは桃を抱えながら瓦礫をスイスイと避けているがこのままでは時間の問題だ。

俺は影を操って残った髪を切り払い、何本もの影を集め、手を拘束した。

 

「コレなら全力いけるだろ!いけ!」

「オカルン!」

「あぁ、いくぜ!」

 

オカルンは目にも留まらないスピードで女に突っ込んだ。女は工場の壁を突き抜け、外のコンクリの壁にめり込んでうめき声を上げていた。

 

「オカルンの全力すっげー。俺じゃ無理だぜこんなの」

「本気すっげぇ、やるじゃん!オカルン」

「痛いいぃ…全身が爆発する〜」

「ワシの力使ってその程度の威力しかでねぇのかよ。首なしてめぇもだぜそんだけの力持っときながらこんな三下にに手間取るとはよ…クソだらぁだぜぇ」

 

それは全くぐうの音もでない婆さんからの苦言である。やはり、特訓は必須項目と成りそうだ。これからは暇だからと走り回ってるわけにはいかないくなる。それが今回の醜態だ。今回は桃の機転と力の使い方を理解し始めてようやくなんとかなったが、婆さんの言う通り三下程度にここまで苦戦させられるとなれば、これから先俺自体戦力になるか怪しくなる…

 

物語の流れを崩したくないとは思ってたがここまで食い込んだ状態で流れがどうこう言いながら戦ってたら大怪我じゃ済まない負傷を誰かが負うかもしれない。

 

「ハァ、特訓しねぇとなぁ」

「ところであいつどうする?婆ちゃんに言って祓ってもらう?」

「ほっとけあんな三下。ワシの攻撃食らってんだ。しばらくは霊力が使えねぇだろうさ。んな事よりこいつの金玉、あいつが持ってんだろ?」

「あ、そうだった。今のうちにいただいちゃお!てか手枷外してくんない?」

「あぁ悪い。忘れてた今やるよ」

 

俺は影で手枷をを斬って拘束を外す。婆さんが何やら少女の身体を弄っている。またJKから何かをパクるつもりなのか?この婆さん。ターボババアっていうか万引きババァだろ。

 

「金玉あった?」

「あったぜ!」

「おぉ!よかったねオカルン♪金玉片方見つかって!」

「やめてください!恥ずかしいわその言い方!」

 

オカルンもあんな言い方してるが嬉しいに決まってる。玉無しなんて最悪極まりないからな。ただ、俺はそんな事より婆さんの表情が浮かないのが気になる…

 

「そんなことよりよぉ…」

「ん?どした?」

「こいつ…死んでるぜ?」

 

2人が急いで彼女の生死を脈拍と心音で確認しているが表情は暗いまま。表情を見れば生きてるか?なんて聞かずとも分かった。

 

「普通人間が妖怪に食われたら死ぬもんさ。別にビビることじゃねぇだろ〜たまたま超能力持ってるやつとワシの霊力持ってるやつが助かった。それだけのことだろ?」

 

確かに、あんなものに巻き込まれて死なないのは超能力者やオカルンのような異能力者くらいなものだろう…

 

「オカルン、人工呼吸やって!ウチ心臓マッサージやってみる。超能力でなら直で心臓マッサージ出来るかも!」

「なぁにやっても無駄だぜぇ。死んじまったら心臓なんてただの肉の塊だ。マッサージしたって意味ねぇよ〜」

「うるっせぇな!!邪魔すんならどっかいけよ!」

「オカルン!息!」

「はい!行きます…スゥ」

「ババァは救急車呼んで!パクったスマホあんでしょ!」

「は〜あ…無駄なことを」

 

それから二人は何度も人工呼吸とマッサージを繰り返すが二人の努力は虚しく、息を吹き返すような事は起きない。ふと外から小さな呟きと足音が聞こえてきた。

 

「…あいらぁ…わたしのあいらぁ」

「今そんなとこじゃねぇんだよ!」

「あいつは俺が相手する。二人は蘇生に集中しろ」

 

こんな時になっても愛しい人間が死んでたとしても妖怪にはお構い無しかよ。そもそもが死んでなった妖怪に人間の生死は重要じゃないって事か?

 

「そんな事しても私の愛羅は生き返らない。それよりもいい方法があるわ。私のオーラをあげる。オーラは生物にとって電池のようなものなの。電池がなければモーターは動かないでしょ?」

「黙れぇ!誰がそんな事信じんだよ!どうせまたこいつ食ってやろうとしてんだろ!?」

 

桃の怒声を聞いたドレスの女は俺の剣を首から引き抜き自信の下顎と舌を力で無理やり切り落とした…

 

「コレでも信じられないっていうならこの剣で首を落としたら良いわ…」

 

俺もオカルンも桃も信じられない物を見た。3人とも言葉が出ない。こいつ、それも妖怪の愛はネジ曲がってしまっているのかもしれないがそれでも本物の愛だと見せつけられたからだ。

 

「そいつが言ってる事は本当だぜ?オーラがなけりゃその女はそのままここでお陀仏だぜぇ」

「婆さんもそう言ってるしこいつの言ってる事信用しても良いと思うぜ…ここまでやるやつの無視するってのは気が引ける…それにもし妙な動きしたら俺の影で串刺しにする」

 

そうは言ったが俺の直感はコイツに何かする気は無いって言ってる。もちろんいつだって動ける準備はしてる。何もさせねぇよ。

桃は覚悟決めた様な顔をして立ち上がった。どうやら提案に乗るみたいだ。

 

「あんたのオーラでバカ女のオーラを補充するって言ったけどどうやるの?」

「アナタの力で私のオーラと愛羅の消えかかったオーラを通信ケーブルを繋げるみたいに繋げて」

「首無し…見張っといてよ。オカルンも見張っといて」

「わかりました…ダリィぜ」

 

俺とオカルンは女をじっと睨みつけ桃が超能力で二人のオーラを繋げ、少女を生き返らせるのを今か今かと待ち続ける。

 

すると後ろから咳き込む音が聞こえ桃も膝をつき涙を流していた。オーラに触れた時に何か見てしまったのかも知れない…俺はすぐさま串刺しにだって出来たが様子のおかしい桃を見て手が止まってしまった。それにコイツをよく見ていると体が崩れていっているように見えた。

 

「桃ちゃん!あいつになにかされたのか!?妙な動きしたって事であいつやっちまって良いんだよなァ。本気出すぜ…」

「待って!やめて…おねがい…」

 

ドレスの女は体が灰のようにボロボロと崩れ始めた…

 

「ごめんなさい愛羅…私はアナタを今度こそ守ると誓ったのに…私は感情も制御できないただの化け物になっちゃった。もう終わりにするわ」

「ねぇ!あいつどんどん崩れていってるけど、どうなっちゃうの!?」

「言ったろ?オーラは命そのものだ。しかもこいつは未練を残したままだ。成仏はできねぇなぁ」

「え!?それってどうなるの!?」

「んなの決まってんだろ…無だ…何もかもなくなる。こいつは生者からも死者からも忘れられ世界に存在しなかった事になる」

 

妖怪、特に死者からなった存在は未練を残したまま消滅すれば、世界に存在しなかった事になる…俺は恐ろしい事を聞いてしまった。俺に未練なんてもの心当たりは無かったが、自分もこうなる可能性があると見せつけられている。

 

 

「ま、どうせロクでもない人生さ、こんな奴の存在が消えたところでどーってことねぇわ」

「そんなのってないよ!ずるじゃん…なんかないの!?」

「無理だな。未練ってのはそいつの心の問題だ。他人がそう簡単にどうこうできるもんじゃねぇ。星子が首無しを成仏させられねぇみてぇにな」

 

まるで自分の未来を見ている様な気になってる。こいつと俺に関係なんて一切無いのに…俺にも無意識的な未練ってのがあるんだろうか?他者が消えていく姿というだけなのに何がこんなに俺の心を抉るのだろうか

 

そう俺は自問自答していると少女がドレスの女に駆け寄り抱きついた。ドレスの女は涙を流していた。それは後悔の涙か、死にゆく苦しみから来るものなのか…俺にはわからなかった。

だが涙を流しながら駆け寄ったあの少女になら理由がわかっているのかもしれない。

 

「お母さん…愛してる。宇宙で一番幸せだったから」

 

妖怪達は俺が思ってたみたいな邪悪な存在ばかりじゃないのかも知れない。

 




読了ありがとうございます!感想評価よろしくおねがいします!モチベーションにもつながりますし、作品改善にもなります!

主人公中途半端に強いと動かしづらくって困っちゃいますね…無理くり弱くするのもあれなんだけど…とか思って用意した能力も半分くらいしか使ってないし(死の宣告とか強すぎて話一瞬で終わっちゃうし(´;ω;`)精進します
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