あれからなんやかんやあってオカルンは金玉が戻ったし白鳥愛羅は妖怪を見るようになってしまいはしたものの無事日常へ戻れたようだ。まぁ、桃の悪魔扱いは変わりなかったが…
俺は、忘れねぇ。オカルンの金玉をボールに野球をする男の痛みを知らねぇ悪魔達の存在を。オカルン金玉抑えて飛び跳ねてたし、クソ痛たかったんだろうなぁ…
一段落して次の日に俺は、やらなきゃならないことがあった。それは俺自身の強化だ。物語の流れを変えたくないなんて言ってられない。この世界は物語じゃなくて現実なんだから。実際にどうなっていくかは俺という異物がある時点で不確定なんだから…
「なぁ婆さん頼むよぉ。力の使い方教えてくれよぉ」
俺はターボババアである猫に頭を下げお願いしていた。
「あぁん?なんべん言ったら分かんだテメェは…嫌だね。なぁんでテメェなんぞにこのワシがなんでそんな面倒なことしなきゃならねえんだ」
「頼むよぉ。俺の力の使い方の下手さ見ただろぉ?あんたみたいな熟練の妖怪に教えてほしんだよ」
「そもそも妖怪なんてのは生きていく過程で力の使い方なんてのは勝手に学んでいくもんさ。だいたいおめぇは姿形もそうだが妖怪としての認識が無さすぎんだよ。クソだらぁ」
婆さんは嫌だと言いながら説明を始めた。俺には意識と言われてもコレが今の俺だとしか言いようがないし…どういう事なのか。
「何が言いてぇのよ?」
「てめぇは自分を人間だと思い込んで力を抑え込んでるつってんだよ。ボケボケ野郎」
「ハァ?んな事ねぇけど、どこにいんだよ首の無い人間がよ?」
「わからねぇかよ?そんだけ霊力があってあの程度の三下に手こずる訳がねぇ。それは身体能力も同じだ。星子から聞いたぜデュラハンってぇのは元は騎士なんだろ?なら戦は得意分野だ。本来テメェみてぇな下手クソじゃねぇ。テメェは人間からかけ離れない程度に無意識に抑え込んでんだよ」
婆さんは、寝っ転がりながら俺の事を視界に入れもせずに淡々と話した。
婆さんの言い分はとにかく、力の使い方が下手くそだと言うこと、そして俺は力を抑え込み人から離れる事を恐れていると言うことだ。婆さんの言葉を否定する事は容易いが、俺は前のような情けない姿を晒すつもりはもう無かった。それに言われた事は全て為すつもりで声をかけたのだ。迷いなどあってはならない。
「なら、俺はどうしたら良いんだ?」
「先ずはてめぇの妖怪としての姿形を決めんだな。今のその人間を模したような姿じゃ何も変わらねぇだろうからよ」
「姿形…か」
そう言われ思い付く姿は鎧を纏い剣を持ち、馬にまたがる姿だ。
姿形を象るだけなら容易だ。残って重要なのは俺の意識だけか…
「ネロ…悪いんだけど馬に戻ってくれるか」
そう思い俺は、影を物質化させ、姿を騎士のような真っ黒な鎧に身に纏い剣を作り出した。俺の愛機に姿を変えていたネロを元の黒馬へと戻ってもらった。
「テメェより馬のほうがよっぽど力の使い方ってもんを理解してんじゃねぇのか。無能な主を持つってのは可哀想なもんだぜぇ」
「うるさい…姿形を変えたらどうしたら良いんだ?」
「テメェのオーラの奥底、中心にオメェの力の核みてぇなもんがあるだろ。そいつの核心を掴んじまえばあとは慣れてくだけだろうさ」
言われた通り胸の奥の奥、体の芯の中に感じる魂というべき何かに手を伸ばし、掴み掌握しようと触れる。これは自分のものだというのにまるで自分のものではない様な温度を感じ、体が奥から急速に冷えていくような感覚を覚えた…
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ターボババアSide
わざわざこのワシが妖怪の何たるかを教えてやるつもりなんてなかったのに教えちまったぜ、クソだらぁ…見てらんねぇんだよ。宝の持ち腐れってやつはよぉ。
野郎が意識を集中させると急に雰囲気が変わり始めワシでも縄張りを侵されでもしなきゃ手を出さねぇような強烈なオーラを感じ始めた。どーやら野郎は掴んだみてぇだ。テメェの芯ってやつを。
「Is mise an …… ridire. Bua i mo lámha. ……… a ligean ar thabhairt victories …… mó. 」
「テメェ何ブツブツ言ってんだ?日本語使えってんだクソだらぁ」
野郎が海外の言葉を呟くのに腹を立てたワシは近づこうとしたその時、奴の馬がゆっくりと足先から白く染まっていいった。剣も気付けば弓へと変化し、さらには首無しの野郎に頭部が形成され冠のような物を被っていた
それを見ているとふと、野郎の影がワシの影にゆっくりと近付いて来るのが見えた。
「Gach rud i mo lámha」
その言葉と同時にワシの影に野郎の影が触れようとした。瞬間、ゾッとするような感覚が襲った。直ぐ様飛び退け距離を取る。
「このワシをビビらせるたぁ、テメェ舐めやがって…ざけんじゃねぇぜぇ」
わし言葉に反応する様子は無く、妖怪のクセして野郎が暴走状態にある事は容易に想像できた。問題は霊力の一切無いワシに何が出来るかって事だ。星子も今は出かけていて出来ることは逃げ回るか、小石でワシのターボババアボールを野郎にお見舞いしてやる事くれぇだ。だが幸い運は圧倒的にワシに味方してるぜ。野郎全然動きやがらねぇ。さては寝ぼけてやがる。だいたいワシはターボババアだ。逃げ回るなんざ柄じゃねぇ!野郎に一発お見舞いしてやらァ!
「食らいやがれ。このワシのターボババアボールをォ!」
ワシの投げた小石は野郎の冠にクリーンヒットしそれが叩き落とされると奴の変化は止まり、野郎も正気に戻ったようだった。
「ハァ…ハァ、今…何が起きた?自分が自分じゃねぇみてぇに感じたぞ。ゾッとするぜ…」
「こっちのセリフだ!クソだらぁ!テメェのケツん拭かせてじゃねぇよ!ボケカスクソナスハナタレ野郎がァ!!」
今のは妖怪の力というには余りにもかけ離れていた。あれは一体なんなんだったのか、ワシには神威の様なモノを感じた。神なんてのはそこら中にいるとは言え、そう簡単に遭遇できるもんじゃねぇし、この世にぽんぽん干渉してくるもんでもねぇ…こいつ一体何だ?
「はぁ、ッたくテメェの話なんざ聞かなきゃよかったぜ…テメェ次また暴走させてみろ?星子に言って祓わせてやるから覚えてやがれ」
「…悪かった。だが、コレどうしたら良いんだ?こんなもん抱えて戦えねぇぞ」
「桃に制御を手伝って貰うんだな。あいつの超能力なら抑え込めんじゃねぇか?」
「それは手かもな、あんま危険な目に合わせたくないんだが…放置するのはありえねぇしなぁ…」
そう言って野郎は少し休むと言ってフラフラと歩いて行っていった。
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デュラハンSide
「ありゃいったい何だったんだ?」
俺は一人縁側に座って考え込んでいた。俺は自分のことデュラハンだと思っていたが、もしかすると違うのかもしれないという思い始めていた。そもそもデュラハン自体あまり詳しくないし首がなくて騎士だからデュラハンだと思い込んでいたが…さっきのあの現象、白い馬何ていうのは俺が見聞きしたデュラハンの特徴には合致しない。
だいたい俺は前世から急にこの世界に生まれたもんだと思っていたがアクサラの事を思い返すとそれすら怪しい。奴は生前の事をかなり忘れていたように思う。愛羅を娘と勘違いしていたり、妖怪になった事で自分の未練だけにしか眼中にないというか…
そうなってくると俺の今生の人間時代、生きていた頃が気になる。可能性に過ぎはしないが、俺が生きていた頃の事を全て忘れていて、あとから前世のバイク乗りの俺が入り込んだ。なんて荒唐無稽だとは思うがあり得る。
「あークソ考えが纏まらねぇ…俺、自分の事知らなすぎる。とはいえ、俺のこと知ってる人間なんてほぼ全員死んでるはずだし…残っててもアイルランドの教会連中くらいだろうしなぁ…」
どうしたもんか、俺は力を制御しないといけない。爆弾抱えて戦いにいくのは自ら触れなければ現れないとはいってもいつもそうとは限らないし、桃に相談しないといけない。そう考えてまた騎士の姿に変え奥底には触れないよう力の制御を訓練し桃が帰ってくる事を首を長くして