現代って最高じゃんね
日本に着いて速攻俺はバイクショップに向かった。俺が好きなのはトライアンフのボンネビルボバーってやつだ。東京に正規店があった筈なんだが…どうやら俺の知ってる日本とはなんか若干違うらしい。若干というのは地理の部分で俺の知ってる道が微妙に変わってる道の形もそうなんだが、建物の並び方だったり、地名だったりが微妙に違う。そのせいで俺は道に迷った。
「くっそ〜日本に着いたら地理も分かるし大丈夫だと思ったんだがやっぱ前世とは世界が微妙に違うのか…」
「ブルルルル」
俺の馬ネロ・グリントが俺にすり寄って慰めてくれてるらしい。
「お前はなんて本当にいい馬なんだ。情けない主人を慰めてくれるとは」
しかし、結局オレが乗りたいバイクは俺じゃ買えないし、問題は何一つ解決していなかった。
「こっからどうしようかなぁバイクに乗れたら最高だったのに…」
道の隅で座ってブツブツ呟いていたらネロが嘶いた。もしかしたら自分以外の乗り物に思い馳せる主人を見て気を悪くしてしまったのかもしれない。こいつには長年乗ってきて愛着があるし不満があるわけじゃない。
「あ、悪いな。お前に文句があるわけじゃないんだよ。ただな」
ネロに言い訳がましく伝えるがこのバイクに対する愛をこいつに言うのはなんというか裏切り行為のような気がして言いづらかった。
地面を見つめてるイジイジしてる俺をみていたネロは気づけば影を纏って繭のようになっていた。
「え!?おい待ってくれ!ほんとにお前に不満があるわけじゃないんだよ!乗り心地は最高だったし何よりスピードも出る。バイクとお前を比較してるわけ…じゃ…ない…」
繭が開くとそこには俺の愛するバイクが鎮座していた。色合い真っ黒になっていて元々の俺のとはかなり違うが乗れないはずの俺がバイク乗れるってだけで俺は大喜びだ。
そして俺は本能的にこれがさっきまで馬の姿をしてたネロだと分かる。つまりどういうことかこいつは影を使って姿形を変えたんだ。
「まさか、俺の願いを?お前は本当になんていい馬なんだ。こんな孝行してくれるとは思わなかった。さっそく乗らせてもらうぜ」
こんなに嬉しい事はない。自分の愛馬が愛機に変化してくれるなんて…最高だ。この喜びを言葉にする事が出来ない俺の語彙力の乏しさが今は悲しいな。
(て、影でこんな事できるなら俺の格好も変えれるんじゃね?)
思ったら即行動だ。もう俺を阻むものはねぇ。影を体にまとってしばらくすると影は身体から消えていき、黒尽くめの紳士服から俺が死ぬ直前まで着てたライダースーツとフルフェイスヘルメットに変化した。
「これなら首がないのも分からねぇし完ぺきだな。ただ全身真っ黒ってのはあんまり趣味じゃねぇけど影で作ったんだしょうがねぇ」
先ずは地元の埼玉の峠を目指すことにした。飯能市に走り屋に有名な峠がある。そこでひとっ走りしよう。
「さぁ行くぜ相棒」
新たな姿をまとったネロはエンジン音で返事をした。
俺は誰にも見られないのを良いことに猛スピードで向かっていった。生きていた頃みたいに眠気や食欲なんかもないからすぐに埼玉に着いた。
「やっぱ埼玉も地名が微妙に違うな。似通った名前だからそんなにめっちゃ困るってわけじゃねぇけど違う世界なんだなぁってのがな〜」
なんとも悲しいというか残念というか、まぁ死んだのにバイクに乗れてるだけ俺は幸運ってもんだけど。
「ドカァーン!!」
バイクで走ってたら道の先で巨大な爆発音が聞こえた。
「なんだあ!?廃病院のガス栓かなんか爆発したのか?」
道中のサービスエリアで取った観光雑誌の地図にはこの先に廃病院があったくらいで何もなかったはずなんだが…一応様子を見ようと思って走っていくと二人の人影が見えた。
道路は爆発の影響でド派手に道は潰れてた。
止まってよく見ると男の子の方はパンツ一丁にシャツ、女の子も下着の上に学ランを着てる変な二人組みだ。
(なーんか見覚えあんなぁ…)
「えぇ~とどうなってんだこれ?」
「綾瀬さん!人ですよ!人!」
「えぇ~でもこんなの説明できないよ!」
なんと2人には俺が見えているらしい。驚きだ。ここ数年俺の事が見えるやつなんてほぼいなかったのに…
取り敢えず二人は俺のことが人間に見えてるらしい。このまま人間のフリをする事にした。
「なんか爆発音が聞こえたから様子見に来たんだけど、君ら2人ともなんかボロボロだけど大丈夫?」
随分と久しぶりに人間と話すから変な感じになってるかもしれないがこっちだって人と話すの数世紀ぶりで緊張してるしテンパってる。
「あ、はい一応無事です」
メガネの子が返事をしてくれた。この子なんか違和感を感じる。なんというか呪われてる的な、まぁ俺も呪いの権化みたいな存在だから感じ取れるんだが見た目からは妙なものを感じない。
「悪いんだけど、俺今スマホ充電切れてて警察も救急車も呼べないんだけど…俺のバイクは一人乗りだから乗せてあげたりもできないし…」
「いえ!大丈夫です!あたしたち歩いて帰れるんで!」
『綾瀬さんどういうつもりです!?せっかく人が助けてくれそうなのに…』
『何いってんのオカルン。ターボババアに普通の人巻き込めないでしょ!』
なんかボソボソ話してるけど流石にボロボロの半裸の高校生2人をここに置いていくのもなぁ。なんか2人ともいい子そうだし罪悪感がある。
「よし、キミら送っていくよバイクには乗せてあげれないから俺も歩きになるけど置いていくのも忍びないしね」
「え、悪いですよ!何か用事があるんじゃないですか?」
「そうですよ!あたしら大した怪我してないし。家帰ってから警察に連絡するんで!」
両手を振って2人とも固辞してくるが俺も大人だ。子供をこんな時間に2人きりで歩かせるのは良くないと分かっているのだ!
「と言われてもこの先道がないからどっちみち俺も戻らないといけないし、ついでだよ」
そう言うと渋々二人は頷いてくれた。
「キミらこんな山道で何してたの?」
「えぇえぇと…星、星を見に来たんですよ!」
なんだか言い訳を探すように言っている事に俺は目を瞑る事にした。この子らも男女だ言いづらいこともあるだろうな。この格好言われなくても分かる。アブナイ事をしたくなる年頃だ。
「へぇ星ねぇ。男女2人で星とは青春してんねぇ」
「「そんなんじゃねぇですよ!」」
「おいおい、そんな2人して照れなくたって良いって俺だってガキの頃は…」
「誰がこんなオタクやろうと!」
「僕だってこんな人とありえませんよ!」
軽く雑談しながら彼らに着いて行った。怪我が大した事ないというのは本当らしい。2人とも元気いっぱいだ。
そんなこんなくだらない話をしていると家に着いたらしい。
「ここが君ん家?」
「おばあちゃんが霊媒師やってて…」
霊媒師…俺の天敵じゃねぇか。いやだが、孫に優しくしていたんだ。すぐ討滅とはならんだろう。そう信じよう。
「じゃあ俺帰るから、昨日のこと警察に言うんだぞ」
「アッハイ」(言えるわけねぇぇ。UFOに攫われてーなんて)
なんかぎこちない表情だがそりゃ自分の直ぐ側であんな爆発があったあとだ思い出すのも怖いだろう。
よし帰ろう。そう思ってバイクに跨り離れていった。
「オカルン…なんか聞き覚えあるんだよなぁ」
なんだったか。前世の記憶だと思うんだが…
ハッ!?あれだ…アニメだ…超能力女子高生と呪われた男子高生2人がなんやかんやして妖怪を倒すみたいなやつだ…
「俺…アニメの世界に転生してたんかよおぉおぉ!!」
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※正直主人公を数百年前の時代に転生させたはいいもののやらせたいこと別になくて現代まで時間進めるのに苦戦しました。