あやかしライダー   作:chika6号型256番

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玉無しって男視点笑えないじゃんね

 

 

蟹パーティから翌日俺は暇してた。オカルンも桃も高校生だから当然学校、絶賛青春謳歌中の若者だからな。羨ましい限りだ。前世なら彼女だって出来たが今生はデュラハンもとい首無しライダーだからなぁ。そもそも俺には3大欲求が失われてるし…俺に残ってる欲求って娯楽に対する欲求しかねぇんだよなぁ。

 

てか、能力の研鑽しとくか?いや、でも正直俺が戦えるってなって頼られまくって本来のオカルンと桃より戦闘力低下はしてほしくないしなー。ま、先送りでいいか。

 

どーすっかなぁま、家の中で考えんのもあれだし走りに行くか。

 

「星子さん!ちょっくら1,2時間走ってくるから」

「待てコラ」

 

なぜか引き止められたんだがなんかあっけか?

「えーとなんか止められる理由あったっけ?」

「たりめぇだろおめぇ。首無しライダーの自覚あんのか?こんな昼間から峠道で呪い殺す気満々なやつ行かせるかよ」

「いや!ざけんな!そんなつもりねぇから!」

「あぁ?信じられるかよ。わしの孫早々に呪っといて言い訳できると思ってんのか?あぁん?」

「いや、まぁその件に関しましては申し訳なく思ってるわけで…」

そこを突かれると何も言えないんだよな。くっそーしょうがねぇバカ殿のDVD借りて時間潰すか。

 

「わかった。行かないから代わりにバカ殿のDVD貸してくれよ。暇でしょうがないんだ」

その後桃が帰ってくるまで2人でバカ殿見て時間潰した。

バカ殿は最高だぜ。日本の宝ってのも分かるような気がした。こんなに笑ったのは久しぶりって感じだ。

 

「アッハッハッハ!」

 

帰ってきたみたいだ。なんか桃のやつ爆笑してるけど何かあったのか?

 

「だから見せろって言ったろ!」

どうやらオカルン、棒は帰ってきたのに玉は帰って来なかったらしい同性の身としてはなかなか笑えるもんじゃないなぁ。てか何で気づかねぇんだよ。男なら普通気づくだろ。

「竿は戻ってたし安心して気付けなかったんです…」

「竿っておまえ良いように言いやがってオメェのは鉛筆だろ!」

「見たことねぇだろ!」

この年の男の子に竿が細いとか短いとか言うのやめてやってくれよ。あんた見た目若いから普通に未来には残る傷跡になるくらいにはショックだぞ。

 

「仕方ねぇ、ちょっと見てみるか」

「え゙、見るんですかぁ!?」

「おめぇのち◯こなんか見ねぇよ!」

「アッハッハッハッハッハッハ」

爆笑は加速するし中々カオスな現場なぁ。もう俺は首ねぇから分かんないだろうけどさ、ずっと苦笑いだよ。

「見んのはおめぇの中身だ」

「おい桃なんでも良いから人形持ってこい。あと首無しお前は洗面器に水だ。こいつの中に何がいんのか見てみようじゃねぇか」

 

すぐに風呂場から水をためて洗面器を持ってきた。人形にはお札を貼って準備完了だ。

「よーし始めるぜ」

星子さんは手にハリセン持ってオカルンの後ろに立ってた。なにするのか予想は出来てるけどまじでやんのか?ガチなのか?

 

「このぉ…バカちんがぁ!」

「ぶっククク」

「え?なんすかこれ、え?」

 

まじかぁ…ホントに叩きやがった…俺もちょっと笑ったけどこれホントに正しいやり方なんだよな?何かのコントに参加してるわけじゃないよな俺…

 

「動くな喋るな腐ったミカン」

「ちょっと待って?それ完全にふざけてないですか!?」

「人という字は棒と棒が支え合ってんだろうが!」

「はい!ふざけてる!てか金八先生は生徒に腐ったミカンとか言わないからぁ!」

「まじでコントしてんの?ナニコレ」

俺にはどういう事か全く分からないよ

「桃、今なんか見えたか?」

「うん…今オカルンが叩かれたときオーラの色が一瞬変わった」

 

コント時空からようやく真面目な空気に変わった。てか、それ見る為だけならその意味の分からん罵倒いらんかったろ。

「よし桃、手伝えオーラの色が変わった時にそのオーラーこいつから引っ張り出せ」

「え!?人のオーラって取り出せんの!?」

「そいつはこいつのオーラじゃねぇ。こいつの中にいる別のやつのオーラだ。異物なんだから取り出せるはずだ。行くぞ。集中しろよ」

「あいよ」

 

集中してオカルンの中に巣食う何かが飛び出るのを待った。いざとなったら影で縛り付ければ何とかなるだろ。影だけいつでも動かせる状態にしておこう。

 

「ウォラ!」

星子さんがオカルンをぶっ叩いた瞬間に桃が中にいるやつのオーラを掴んで引っ張った!それと一緒にオカルンも引っ張られ洗面器の水を零しながら倒れた。

桃が引っ張り出したはずの奴が俺には出てくる瞬間が全く見えなかった。

「あれ!?今掴んだ感触はあったのに引っ張り出したらなくなった!やばい婆ちゃん逃がしたかも!」

「心配すんな」

 

星子さんが招き猫を見つめていた。気付けば貼っていたお札が真っ黒に焦げ付いていた。

何が起こるのかと思い俺達も見つめ続けると本来置物なのだからそんな事起こるわけがないのに、招き猫が目をパチパチと瞬かせこちらをちらりと見るとそいつからダラダラと汗が出てきた。

数瞬の間に招き猫は立ち上がり玄関の方へ走り出した。

「あ!逃げた!」

「待ちやがれ!コラァ!そっち行ったぞ!追いかけろ逃がすんじゃねぇ!」

「うわ、どこ行きやがった?」

影展開してたのに招き猫が動くってのは予想外で咄嗟に動けなかった。

「はっやなんなのまじで」

「どこいったぁ?腐ったミカン!」

 

桃が何か思い付いたようにスッと立ち上がって目を閉じた。俺は立ち上がり桃が今から何をするのか見たくて探す手を止め桃の動きをみていた。

「いた!捕まえた!多分ここ!」

 

桃が走り出して物置部屋の前に立ち扉を開けると例の招き猫が中で倒れていた。

 

「離せ!クソだらぁあ!テメェら全員ぶちころしたらぁ!」

「言葉に似合わす可愛らしい生き物だな」

 

俺はそれを見て呆れと言うか何とも言えない感情を持った。

桃は超能力を使いこなして捕獲しご満悦らしい。口に指を当ててニヤニヤしていた。

 

「綾瀬さんすごいっすね!超能力進化してるじゃないっすか」

「いぇ~い、どんなもんよ〜でこいつなんなの?」

「さぁ?」

「こいつは驚いた…」

「何こいつ?」

「テメッかかってこいやオラ!かかってつってんだよ!」

 

2人ともは察しが悪いな。この言葉遣いはあいつしか居ないだろ。分かりやすい口癖だと思うんだがな。

「こいつはターボババアさ」

「「え!?」

 

星子の言葉に2人とも驚いた顔で招き猫を見つめる。自分たちの認識を確かめる。

 

「ターボババアは倒したじゃん。成仏させたんでしょ!」

「だぁれがオメェら若造なんかにやられるかよ年上なめんじゃねぇぜぃ」

「なんかこいつ可愛くない?」

「舐めてんじゃねぇってんだよ!クソだらぁ!ワシは結界術で焼かれる刹那炎の中を泳ぐように霊体になって小僧の中に入り込んだのさ。虫の息だったせいもあって小僧の中では完全に気配を消せた。わしゃこいつの中で霊力を回復を待って時が来たらお前らをぶち殺そうと考えてたのさ!」

ターボババアはふてぶてしく足を組んで言い放った。桃は呆れるような顔をしてうんざりと言った。

「まだ殺る気あんの?あんた負けたじゃん」

「負けてねぇわ!ワシが負けるわけねぇだろ!ボケがぁ!特にお前は許さねぇぜぇボキャボキャに…するわあぁあ!」

 

桃に身体を抑えられたまま手足を振り回し。ふざけんじゃねぇとと言わんばかりだ。こんな姿になって身体を縛られてなおここまで強気に出られるババァには驚きだぜ。

「あんたさぁ状況わかってんの?今主導権持ってんのウチらだから。思ってる事言い過ぎ」

「そうだ!そうだ!玉返せ自分の玉をおまえに逃げ場は無ないんだからな!」

 

急にババァの目が猛烈に濁りはじめ俺たちがぎょっとするような事を言い始めた。

「ワシを倒そうなんて思わねぇほうが良いぜぇ。ワシが死ねばお前の玉は永久に戻らねぇ」

「「え!?」」

「間抜けなオメェらもよーやく状況を把握し始めたか主導権は最初からワシにしかねえんだよクソだらぁ。取り敢えず小僧は包丁取ってこい。んでそれで横の三人をぶち殺せ。そしたら玉返してやんよ」

 

「…お前ぇ…」

「はよやらんかい!!テメェはワシの言う事を聞くしかねぇんだよ!」

 

オカルンは歯を食いしばり怒りに耐えきれないといった表情だ。

そろそろババァを止めねぇとこれ以上は聞いてられねぇ…

 

「おい婆さん。それ以上は…」

「だらぁ」

 

オカルンの格好が急に変化した。変身できた事を知っては居たが間近で見ると結構すごい。普段のオカルンにはない恐ろしさや、寒気みたいなものを感じる。俺だってガッツリ妖怪なんだし良い感じにカッコいいスタイルなら良かったんだがなぁ…なんて思いに蓋をした。

 

「そーゆーのめっちゃストレス。萎えるぜ」

「えぇ!?なんで?ターボババア追い出したのになんで変身できんの?」

「馬鹿な…どうなってやがる!」

「このハリセンはよぉ、身体から妖怪を追い出すためのもんだ。よっぽど頑張ってへばり付いてたのかババァの意識だけが外に出ちまったみてぇだな。つまりてめぇの霊力はガキに残ったままで意識だけが人形に乗り移ったってわけだな。因みに…意識をもとに戻せるのはワシだけなんだが?」

 

ババァはその事実にまたしても汗をダラダラと流し始め自分の状況の悪さをはっきりと認識したらしい。

 

「てめぇ。さっきこの金八に向かってか間抜けとか言いやがったよな?このバカチンバカ猫腐ったミカンが」

「ぐぅ…すんませんでした!せんせぇ!」

「先生じゃねぇわ!このボケェ!」

 

まーたコント空間に戻り始めた。ま、一件落着って感じだな。もし、あのままババァの目論見通りに進んだとしても言うて俺にできることはそう対してありはしないんだが…

 

「フゥー!イカすぜ星子ちゃん…あ、戻った」

「すごいじゃんオカルン!ねぇどうやって変身したの?」

「なんかすごく腹が立って許せないって思ったら…成ってました」

 

二人の会話の間をすり抜け星子さんと猫が走り抜けまた猫は捕まりハリセンで叩かれた放題されてた。流石に小動物味のある猫を叩きまくるのはどうかと思う俺である。

 

「星子さん動物虐待はどうかと思うんだが…」

「こいつは動物じゃねぇ!腐ったミカンだ!」

「もういいってやめたげなよ〜セコいやつだけどさぶっちゃけあんたのことあんま憎めないんだよね…あの子達に同情する気持ちはおんなじだしさ」

 

あの子達、件の乱暴されて死んだ地縛霊の女の子たち…それを思い出すとこのババァをそこまで悪い存在じゃねぇんじゃねぇかと思いそうになる。ただし、妖怪は妖怪だからな一時の感傷で気を許した時どうなるかは容易く予想できる。隙を突かれ、そのまま呪われ取り憑かれ殺され、あとは妖怪の思うがままって感じだ。

 

桃のこういうとこ人として言えば悪い事じゃねぇんだけど妖怪は油断しちゃならねぇ存在、前世を完全に覚えていて転生者的な超例外の俺以外は、基本的には人間と相容れないものだって知っておいてもらわねぇといつか危険に陥るかもしれない。

 

「だから、友好的に行こうぜ?あんたが玉を返してくれたら、ウチらもあんたの力返すからさ…ね?」

 

ババァは数瞬悩む素振りを見せたがすぐに諦めの表情になった。今のババァに交渉できるだけの力は無いし、正直言って桃の条件は物凄く好条件だ。霊媒師として星子さんがターボババアに力が戻るのを見てるだけなのかだけが心配だな…心配なんて思う時点で俺もババァに気を許しちまってるな。警戒するに越したことはねぇ。

 

「フンックソだらぁが…良いぜぇ」

「よし!じゃあ決まり!早速玉返して」

「ここにゃあねぇぜ」

「ねぇ!さっきと話が違うじゃん」

「わしゃ嘘はつかねぇ。そいつの玉どっかに落としちまった」

「「「ハァ!?」」」

 

こいつ悪びれもしねぇ顔でなんて事を言いやがる!あぁオカルンの玉が…同じ男としてお前の苦しみ、理解は出来なくとも想像は出来る。この野郎やっぱ一回引っ叩いとくべきだ。

 

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