「あーどうしたもんか…あの女中入ってったぞ。どうにかして桃たちに伝えたいんだが…とはいえ、あの女にバレるわけにはいかないしなぁ」
どうしたものか…俺スマホとか持ってねぇしなぁ…隠れて侵入して伝えるしかないな。取り敢えず中入るか。
桃何組って言ってたっけ?どのみち外からじゃ分かんねぇな。あの女はグラウンド側にいるっぽいから反対側の裏庭側から影を物質化してぶら下がりながら教室を見て回っていた。
俺がぷらんぷらんしながらぶら下がっているとオカルンと目が合う
「え?」
「お?」
ようやく見つけてくれたぜ。そんな喜びを表に出して手を振るとオカルンはなんでいんだよ!って感じの顔とボディランゲージをしてきた。オカルン視点では真っ黒のライダースーツを着たフルフェイスヘルメットをかぶった不審者(知り合い)が窓の外でぶら下がっているのを見て冷静では居られないだろう。
オカルンが指を上に向かって指している。つまるところ屋上に行けってところかな。
俺はOKの意志を指で伝えて屋上へ向かった。
「あんたなんでいんだよ!」
「そうですよ!星子さんに妙なことするなって言われてたじゃないですか!」
「いや、玉探してたんだって…」
俺はちょっと後ろめたい事など何も無いにもきわらず後ろめたく
なってしまった。そりゃあ俺は学校に来るべきではない存在だし、きた時点で文句をつけられる心当たりは当然あってしかるべきなのだが、それでも心が「なんで文句言われないいけねんだよ」と思うのは仕方ない事だろう。
「…っておい婆さんなんであんたもいんだよ」
「星子のやつが猫は猫らしく自由にしてろだとよ」
「…俺と扱いがちがくないか?なんで?」
「あたりまえでしょ。あんたは力も強いし何しでかすかよくわかんないじゃん」
桃は当然の扱いじゃん、と言外に伝えてきている。妖怪ってめんどい…俺悪意の欠片もないんだけどなぁ…とはいえ、人間視点首の無いやつなんて怖くて当然だわ…ってんなことか話してる場合じゃねぇ。
「んなこた良いんだよ。俺がここまできたのは妙な女がこの学校に入ってくのが見えたからだ」
「あ、それならターボババアも妙な女を見たって言ってましたよね?」
「あぁ、ワシがただ学校散歩してるだけの猫だと思うなよ。ちゃ~んとキンタマ探してやってんだぜ」
「はぁ?なんで学校に金玉があんだよぶぁーか!」
「よし、てめぇは殺すここでグッバイ」
「おい、妙なコントすんなよ。仮にも話し合いだろ?」
前から分かっていたことだが桃とババァは致命的に相性が悪い。桃の類まれなる煽りスキルとババァのスルースキルの低さが火に油を注ぐが如く猛烈に燃え上がる。
「そうですよ。探してみる価値ありますよ。盲点でしたけど妖怪だけじゃなくて人間が拾った可能性もあります…」
オカルンはなぜか桃を視界に入れないように恐る恐る話た。俺としてはむしろ妖怪よりも人間のほうが数が多いし、拾ったのは十中八九人間だと思うんだがな…
「見た目は綺麗な金の玉だ。誰が拾ったって不思議じゃねぇ。ただ人間が拾った場合霊力に目覚めて霊が見えるようになったりする。つまり霊が見えるってことは霊もこっちを見てるってことだ。襲われる可能性があるぜぇ」
「え?それまずいじゃん!誰だよさっき言ってた妙な女って」
「名前がわからん。放課後にでも紹介してやんよ」
スッと桃からあんたも見たんでしょ?という感じの視線を送られ俺も口を開く。
「悪いけど俺も名前は知らんぜ?この学校に入ってくのは見て、さっきまでグラウンドにいるのは見たが俺もそいつには見つからねぇように慎重に動いてるからな、今どこにいるかまではわからん」
「なんだよ使えねぇなぁー」
「使えねぇってなんだよ、せっかく警告しに来てやったのに…まぁ良いや。ここに長居するわけにもいかねぇから俺は校舎の外で待機してっから学校終わるころに迎えに来るぜ」
「あ、はい。わかりました」
「なんだよもー結局情報ゼロじゃーん」
そう言って別れてテキトーに時間潰していると学校が終わる時間になった。俺は校舎前で二人を待ってたが一向に出てこない…
「どこ行ったんだ?あいつら?出てこねぇ」
もしかしたらもう既にでていったのかもそう思って離れようかと思い始めると中からオカルンが飛び出してきた。
「あ!首無しさん!綾瀬さんがどこに行ったか見てませんか!?」
「見てないけど、なんかあったのか?」
オカルンの慌て具合を見ると桃は何かトラブルに巻き込まれたと見ていいだろう。
「はい!綾瀬さん女の人について行ったんですけど、その人が妙な女に狙われてる人だってターボババアが言ってたんです!早く行かないと綾瀬さん達が危ないかもしれないです!」
「まじかよ…どこに行ったか予想できるか?」
「2人だけで話したいって言ってましたから人気のないところだと思います!校内は見て回ったので近くの廃工場かもしれません!」
近場の廃工場か…女子高生が2人で行くにしては中々薄気味悪い場所だと思うんだが、一先ず見に行ってみるか、オカルンはこの世界の主人公だしな。こいつが思った場所が正解になる可能性は高いと思っていいだろう。
「力はいざというときの為に温存しときな。足は俺が出してやるからよ」
そう言って俺はバイクの後ろに指を差しオカルンを乗せ廃工場へと走り出した。
廃工場に辿り着くとオカルンの言う通り桃と例の少女は居た。
二人は何故か組み合っていて桃は一方的に押さえつけられていた。
「大丈夫か!桃!」
「オカルンに首なし!まじ助かった!この女金の玉持ってる!こいつが妙な女だよ!」
「あいつら仲間!?」
「違います綾瀬さん!その人は妙な人じゃないありません!その人は妙な女に狙われてる人です−−―」
オカルンがそう叫ぶと俺たちの横を赤い布がすごいスピードで通り抜けた。
「やっと手に入れた愛羅ァ…愛羅が私を見えるようになるまでずっと待ってたんだよォ…お母さんですよぉ」
赤いドレスの女はあの少女に対して気持ち悪い愛着を持っていたみたいだ。あんな妖怪が人間の母親なわけが決してあるはずがない。
「やべぇ事態になってきたぜ」
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