あやかしライダー   作:chika6号型256番

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室内でバイクって当然無理じゃんね

 

赤いドレスの女がまるで子供を抱きかかえるように少女を持ち上げた。

 

「お母さんですよ~」

「なんなのこいつ使い魔?」

 

そうして消えたまま化け物はよほど嬉しいようで踊りだすようにくるくると回った。

それを見たオカルンは助け出そうと靴を脱ぎ捨て変身し始めた。

 

「オカルン!頼む!」

「はい!」

 

桃の声にオカルンは声と同時に走り始め化け物に迫る。そのスピードは人間が出すにはあまりにも速かった。しかし化け物はその場で少女を抱えたまま倒立前転の様な動きでオカルンをするりと避けた。

 

「おったまげぇ~」

「えぇ!?あんたも悪魔だったの!?」

「あぁやだやだ帰りてぇ…萎えるぜ」

 

オカルン変身するとダウナーに成るのは知ってたがこんなときでもそれは変わらねぇのか…

オカルンはもう一度猛スピードで走り出し化け物に触れようとするがまたしてもするりと避けられ今度は逆に掴まれてしまった。

 

「愛羅は渡さねぇわよ!あぁむ」

そう言ってオカルンを食い始めた。

「てんめぇ!オカルン食ってんじゃねぇよ!こんにゃろ!」

 

桃はオカルンの足を超能力掴み引っ張り出そうとするが、両手が縛られてるせいか力が足りず、引っ張り出す事は出来そうになかった。

 

「おめぇも見てないで何とかしろ!」

「お、おう!」

 

いきなりの展開で俺は立ち尽くしていたが、桃に声をかけられ動き出す。影を展開し人間パチンコのように影で自分を引っ張りライダーキックを化け物に放った。

 

「オカルン食っても美味くねぇぞッ!」

 

蹴りを放ったとこまでは良かったが化け物に直撃する寸前に女の髪で身体を絡め取られそのままくるりと回った女に蹴り飛ばされた。

 

「うがっ」

そのまま俺は廃工場の瓦礫の山に激突し一時的に動きを縛られた。

くっそ…俺の唯一他人に誇れるバイクの操縦技術が廃工場の室内って事のせいで縛られちまった…馬としてネロを出し直したとしても結局狭くて上手く動けねぇし、自分の力だけで何とかしねぇといけねぇ

なんてことを思ってると俺と同じ方向に桃が吹き飛ばされてきた。

 

「うぉ!大丈夫か?」

「痛ってぇ…ちくしょーあいつ回し蹴りしてきやがった。おい!クソババァ!人間襲うのルール違反じゃねぇのかよ!」

 

桃が瓦礫をどかし化け物に啖呵切って立ち上がる。俺も桃に瓦礫をどかしてもらい汚れを払いながら立ち上がった。

 

「おどいつもおこいつもお感動の再会やってるところでしょうが」

 

化け物はガチで自分とあの少女が親子だと思い込んでるらしい。普通ならあの化物顔とあの少女の美貌を見比べて似てるなんて思うやつは世界中探しても一人として居ないだろう。

 

「綾瀬桃!こいつ一体何なの!?もしかしてこいつと敵対してるの?だったら一時休戦して協力してこの悪魔を倒さない?」

「今どきのJKってみんなあんな風に中二病患ってんの?」

「んなわけないでしょ…何いってんだあいつは…」

「あぶねぇあぶねぇ…野郎のおかずになるとこだったぜぇ」

「ターボババア!?」

 

婆さんは瓦礫から這い出たと思ったらキャピキャピした女の子感満載のスマホを猫の手でポチポチといじり始めた。

 

「なんで猫がスマホ持ってんの?…俺だって持ってねぇのに」

「え?ちょっとそれ!むーこのスマホじゃない!?何パクって検索してんだよ!」

 

俺が星子は猫にもスマホ与えてくれる超愛猫家なのかなんて思ってたら流石に違ったらしい桃の同級生のスマホだ。一体いつ盗み出してきたのか…

 

「ありゃアクロバティックサラサラだな。えー赤いドレスにアクロバチックな動き、サラサラの髪」

「てかあんたら妖怪のくせにアイツのこと知らないの?」

「三下のルーキーなんぞ眼中にねぇのよ」

「いやぁ、俺最近日本に来たばっかだし…」

 

妖怪二人して近頃の妖怪界隈には全く詳しくない俺達だった…そんなこんなしてると捕まってる少女が喚き出した。

 

「私は選ばれた人間なの!美少女過ぎるからね!あんたみたいな化け物を倒すの!」

「愛羅ちゃん…今なんて…」

「あんたみたいな化け物を倒して世界の平和をーー」

 

アクロバティックサラサラは愛羅の言葉を最後まで聞かずに愛羅を飲み込んでしまった。

妖怪の考える事は何も理解出来ないそう思った俺は動くよりも口が先に動いていた。

 

「あいつ娘だと思い込んでんじゃねぇのかよ!?食いやがったぞ!」

「てめぇ!いい加減にしやがれ!バカバカ食ってんじゃねぇ!」

「あなたたちのせいよ!あなた達が私の愛羅ちゃんをおつっぱりにしたんでしょうが!私の事を化け物なんて言う子じゃなかったあァァあァ!!」

 

奴はそう叫ぶと同時に髪を360°全体に突き刺さすように鋭く伸ばし工場内の柱に髪を巻き付かせた。

桃も奴の動きに焦ったのか手の拘束具を切るように要求してきた。

 

「ちょっとあんたらどっちでも良いからこの手のやつ早くほどいてよ!」

「ちょっと待て影で刃物作んの久しぶり過ぎて時間がーー」

 

最後まで言い切れずに俺は影を操っている途中で髪で殴りつけれまたしても工場の壁を突き破り外の別の建物に吹き飛ばされた。

 

「痛ってぇなァ…もうキレたぜ。剣も久しぶりだが出せた。手加減無しだ」

 

俺が外から立ち上がり戻ってくると桃が飲み込まれる瞬間だった。

 

「てめぇ!まじでバカバカ食いやがって、さっさと吐き出させてやるから抵抗すんじゃねぇぞ!」

 

俺はそう叫び女を斬りつけようと踏み込むがアクロバティックの名は伊達じゃない。くるりくるりと避けられる。何より俺を焦らせたのは避けられることでは無い。奴と俺の体格差は尋常ではなく奴が3メートル近くある中俺は贔屓目にみても180が関の山、リーチの長さは即ち、安全圏の広さなのだ。

 

「てめぇずりぃぞ!手長足長がよ!」

 

ちくちょう…俺はマトモに戦ったのは数百年前でその時ですら影と武器の併用はしてない。たかが人間相手なら影で遠距離からチクチクしていれば十分。だが、妖怪相手となると話は変わってくる。影はどこまでいっても所詮は影、力ある存在には大した攻撃力にはならない。何よりあいつの腹の中にはオカルン達が入ってる。俺は自信の得意を封じられた上でさらに全力で闘うことを縛られていた。

 

「…くっそ!髪も長ぇじゃねぇかよ!」

「何よあんた。大して強くもないのに突っかかってくんじゃねぇわよ!」

 

さらには髪で巻き取った瓦礫を俺に向かって投げ込んでくる。俺の霊力の強さ故かどれも大したダメージにはならないが、それでも俺の体のサイズは人間大、マトモに当たれば態勢を大きく崩す事になるだろう。剣で瓦礫を斬り弾きながら戦う他ない、そうなれば、剣はどんなに業物でもマトモに剣術をした事のない俺では近付くことすらままならなくなる。

 

手加減しねぇなんてカッコつけた事言っといてこのザマじゃダサ過ぎるぜ…慣れてねぇけど影であいつの髪だけでも切り飛ばさねぇとこのまま封殺されちまう!

 

俺は影を物質化させて影の先端を剣のように鋭くさせた。それを操り瓦礫を飛ばそうとする髪を影で切り落とした。

 

「てめぇ。私の自慢の髪をよくも切ってくれたわねぇぇ!」

「自慢の髪だったのか悪いね。もっと綺麗に切ってやるよ!」

 

攻撃はさらに苛烈になり、体術も入り混じりそれは嵐のようになった。最初はなんとか防御しきれていたがこれ以上は間に合わない。何度か髪を切り落としてはいたが、それは何万本とある中の一部であり、タコの触手のように斬れば、はいおしまいとは行かなかった。

俺がまずい!そう感じた瞬間奴の体が青く燃えだした。

 

「招き猫ってのはよォ…何か良いことを招いてくれる能力らしい。てめぇ散々動き回ってるくせに桃ごと自分の髪食っちまってる事に気づかねぇとはな」

「うあぁあ!あっついぃイィ!!何なのコレ!髪が燃える!体の中も燃えてるわァ!何をしやがったのよテメェら!」

「あの女が持ってたロザリオな、ありゃライターだ。桃はてめぇの髪に引火させた。腹ん中じゃ燃やせるもんが他にねぇからな。ワシがいる事でその偶然は必然になる」

 

婆さんがそう言い切ると化け物は腹の中の物を手で掴み無理矢理吐き出した。

 

「あっつ!綾瀬さん!無理しすぎですよ!」

「オカルン真っ先に食われてたくせにー」

 

それを見た俺は流石は主人公達という安心感とも誇らしさと言える感情と何もする事のできなかった自分に対する情けなさの複雑な感情を感じていた。

 

「脱出成功!反撃開始だクソババァ!」

 




読了ありがとうございます!もし良かったらモチベーションに繋がるので感想と評価をよろしくお願いします!

ここだけの話、主人公は原作の流れを変えてしまったらどうしようという不安から無意識で全力の6割くらいしか出せません。今回は腹の中に三人がいたので3割ぐらいですかね。
なんていう上手く戦わせられなかった言い訳です(´;ω;`)
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