原作に沿いつつ、オリジナルな物語を紡いでいきます
VRMMORPGゲーム《ソードアート・オンライン》通称SAOのベータテストプレイが解禁された
ベータテスト応募者何万人の中から、抽選で千人の応募者がベータテスターとしてSAOのベータテストをプレイ出来ることとなった。
その中に…運良く入ることが出来たのは幸運か不幸か、今の俺はまだ知らなかった
それから2ヶ月後の西暦2022年11月6日 日曜日
SAOの正式サービス開始が発表された
意識以外の感覚を全て遮断し、ゲームの世界のアバターになりきることが出来るVRMMO。
自称ゲーマーとして俺はやらなくてはならないという使命の元に機材を全て揃え、フルダイブするためのヘルメット型の機材、ナーヴギアを頭に装着し、ベットに寝そべる
《リンク・スタート》と開始コマンドを口から発せば、俺の五感は全て遮断され、意識は仮想空間内に飛ばされる
―これで何度目だろうか…俺は心の中で呟く
ベータテスト版で俺は幾度となくこの機材を使ってSAO内に入った。
色んなところに出向き、色んなモンスターと戦った
だが、それはあくまでベータテスト版の話
今回のプレイは正式サービスだ。ベータテスト時のレベルは消去され、まっさらな新しいアバターとしてこのゲームをプレイするのだから
「……《リンク・スタート!!!》」
目を閉じて俺は開始コマンドを言葉に発する
すると五感は全て遮断され、真っ暗な世界になる。だが、次第に虹色の空間を潜り抜け、視界に色々な情報が出てくる
パスワードやらアカウント情報やらパパパパーと自動入力される中、システムはひとつ聞いてきた
『ベータテスト版のアバターが残っています。"Sin"このアバターでプレイしますか?』
ベータテストのアバターでプレイするかって?もちろんYESだ
Noにした場合、また初めからキャラデザをしなくてはならない。とてもめんどくさかったし、今のシンというアバターが個人的に好きだからその決断をした
…まぁその時に得たものは消えてしまうだろうけど。それはまぁ仕方ない
ー数秒のロードが入り、その後に welcome to Sword art online という文字と共に俺の体は仮想現実内に完全に映される
シン「戻ってきたな…《はじまりの街》に!」
SAOの舞台、100層ある浮遊城《アインクラッド》の第1層にある、はじまりの街には活気があり、様々なプレイヤーが今日の日を待ちに待っていたのが伝わってくる
このゲームの醍醐味は、仮想空間内での現実感がすごいところだ。五感は全てSAO内にある。視覚、触覚、嗅覚、味覚、聴覚が自分のアバターに反映され、ナーヴギアを通して現実の脳内に情報が送られる。このゲーム内において、現実の体に伝えられる信号は全て延髄からナーヴギアに収得される。故にこの世界では自分の体のように走ったり飛んたりすることができるのだ
シン「改めるとすごい技術だ…原理を聞いてもよく理解出来なかった。さすが茅場晶彦だな」
そう言って片手剣を背負ったシンは街の外に向かって足を進めた
はじまりの街 周辺
シン「はぁっ!」
シンは青いイノシシこと《フレンジーボア》の突進を避けながら剣を突き立てる。傷口は赤いエフェクトがじわじわと漏れ出ており、それと同時にフレンジーボアのHPゲージがみるみる減っていく
そして力なく倒れたと思えば、体が光り輝いて青い消滅エフェクトを放ちながら消えていった
レベル1の雑魚敵だが、ホントの初心者には程よい設定だろう
もしダメージを受けても、リアルほど痛くは無い。多少の感覚はあるけども
シン「それなりのレベルになってきたな。はじまりの街周辺はこんなもんでいいか」
シュッと右手を動かしメニューを開き、マップをタップする
目の前に映し出されるマップを見て、次の目的地を確かめた。次なる目標ははじまりの街から少し離れた地点にある街だ
そこで装備などを一新し、第1層の階層ダンジョンに備えなければならない
そう思っている時――
「きゃぁぁぁぁぁ!!!」
シン「悲鳴?」
この第1層で悲鳴とはかなりの初心者がいるもんだ。と思っていたのだが、その悲鳴の主は次に助けてーと叫ぶのを聞こえた
シンは仕方ないと思いながらその声の主がいる場所に走っていく
HPがゼロになるとてはじまりの街からリスタートするだけ。それだけだけれど、せっかく始めたゲームを最初からリスタートしてしまったら心が折れてしまいそうだ
ゲーマーとして初心者は宝。助けが必要なら助けて上げよう
とっとっと駆けつけた先にいたのは、フレンジーボアから退く腰を抜かした焦げ茶色の髪の女性であった
見たところ初心者。女性のHPはイエローゾーン。そして周りには誰も居ない
推察するに少し外に出てみようという冒険心で来てしまったのだろう
シンはそこら辺から石を拾い上げ、投擲スキルを意識してフレンジーボアに投げつけた
「ピギッ!」
見事命中したフレンジーボアは狙いをシンの方へと変え、一直線に走り込んできた
それをひらりとよけ、腰を抜かした女性を背にしてシンは剣を構える
シン「おい、大丈夫か?」
「え、えぇ。ありがとう」
シン「俺が守っている間、君はポーションを飲め。回復したら反撃開始だ」
わかったと言った女性はメニューからポーションを選択している
その間にもフレンジーボアは突進でこちらに向かってきている。シンは剣を盾のように使い、その攻撃を相殺した
チラリと背後を見る。女性はポーションを口に含んでおり、HPはみるみる快方に向かっていた
シンは剣で攻撃を防ぎながら女性に問う
ー戦えるのかと
すると女性はなんとか。と答えた
シン「よし、上等…よっ!!」
剣を押し返してフレンジーボアをよろけさせる
女性はちゃきっと地面に落ちた片手剣を拾い上げ、前で構える
シン「俺が隙を作る。その瞬間に飛び込んで剣を突き刺せ!」
「わかったわ」
「プキィ!!!」
再び突進してくるフレンジーボア
シンはその突進に向かって走り始め、ズササササーとボアの下に足を滑らせた
驚いたような表情を見せたボアの顎にシンは思いっきり足を蹴り上げた
赤く光るエフェクト。それと同時にボアは突進という攻撃を防がれ、体が空を向いた
シン「今だッ!突き刺せ!」
「はぁぁぁぁぁぁっ!!!」
グサッ
女性の放った片手直剣スキル《レイジスパイク》は、見事ボアの体へと刺さり、フレンジーボアはガラスの破片となって消えた
ピロンとバトルに勝利したというメッセージと共に戦利品が女性とシンに表示される
経験値は…美味しくは無い。だが、スキル熟練度が上がっただけ良かったと思おう
そう思っている時、女性はシンに駆け寄ってきた
身長は170あるシンの目ほど。目の色は髪よりも明るい茶。髪型は肩程だった
「あ、あの、ありがとうございます」
シン「礼はいいよ。困った時はお互い様だ」
ちゃきっと背中に武器をしまうシン
そんなシンに対して女性は何を言えばいいか分からないような感じで少しおどおどしていた
マイ「わ、私、マイっていいます。こういうゲームは初めてで…」
シン「正真正銘の
あくまで戦えるようになるまで。それが条件だ
人に教わった戦い方はいつか身を滅ぼす。自分に合わない戦闘方法には限界が来る。成長の限界、そして精神的な限界
自分なりの戦い方を知らなければ、この先100層まで戦えないだろう
マイと名乗った女性はこれ以上迷惑はかけられないとは言いつつも、生き残っていく自信が無いようでシンにお願いしますとお辞儀をした
育成するにあたって様々しないといけない。戦い方を教えるだけがサポートでは無いのだから
シン「今コルはどのくらいある?」
マイ「えっと…だいたい100くらいです」
シン「ほぼ初期のままか。なら最善策はあれだな…1度街に戻るか」
そう言ってシンはマイを連れてはじまりの街へと戻って行った
まずは装備を整えること。そしてアイテムの購入
それが生存確率を格段にあげるための第1歩だ
レベル上げするのも悪くは無い。だが、レベル上げの半ばで死んでは意味が無い。目の前だけの現実だけ見ていては行けないということだ
ある程度の装備やアイテムが揃った次は、武器なのだが…これに関しては人それぞれだからなんとも言えないところだ
シン「君はどんな戦闘スタイルだ?重い一撃を入れたい派か?」
マイ「私は…それなりに戦える感じが好みです」
シン「そうか…なら細剣系統か片手直剣か…」
まぁ今が片手直剣ならそのままでもいいかもしれない
さて次は実戦といこう
再びはじまりの街周辺に戻ってきた。が、なんだか人が多い。そんなところでレクチャーするつもりはないので、少し離れた森のような場所でレクチャー開始しよう
敵は変わらずフレンジーボア。まずはシンが手本という形で解説しながら戦闘を始めた
シン「攻撃には2種類あって、ひとつがプレイヤー主体の攻撃。もうひとつがソードスキルだ。よっ―」
キュイーンという音と同時に剣が光り輝く
その剣は流れるようにフレンジーボアへと当たった
シン「今のがソードスキル。発動条件は、そのスキルを意識しながらモーションを作ること。あとはシステムがアシストしてくれる。やってみて」
今度はマイが攻撃する番
はぁ!という掛け声と共にスキルが発動し、見事ボアにダメージを、与えることが出来た
これでスキル説明は完了だろう。今度はそれ以外のスキルを説明しなければ
そうだな…パリィについてでも話すこと優先的かもしれない
シン「パリィって聞いたことあるか?」
マイ「聞いたことないです」
シン「説明―するより見た方が早いな!よい…しょッ!」
「プキィィィ!!!」
突進してきたボアを下から切り上げると、ボアはお腹を2人に見せるように宙に舞った
これがパリィ。相手の攻撃を弾き隙を作ること。パーティ向けの技術だ
ついでにスイッチについても説明しよう
2人以上のパーティの時、1人がパリィした直後の隙をもう1人が突くという技術
ボス攻略を含む攻略に置いて無くてはならない最重要スキルだ
シン「俺がパリィした後に、スイッチっていうから、飛び込んで攻撃してくれ」
マイ「はい!」
シン「よし…今だ!スイッチ!」
掛け声とともにマイがフレンジーボアに対して剣を振るう。見事スイッチに成功したマイが放った一撃は、フレンジーボアの体力を削り切り、硝子の破片となって消えていった
―初心者と言っていたものの、筋はかなりいい。ベータテスター時代のプレイヤーより筋があるようにみえる
それから少しして…夕暮れの時間になった
マイは未だに信じられないようだ。この世界がゲームの中だということに…こんな綺麗な世界がゲームの中だなんて信じられなかったのは俺も同じだった
科学はここまで進化してきている…恐るべき時代だ
すると、どこからか金の音が聞こえ始めて、俺たちは突然はじまりの街の中央広場に転移させられた
そこには、数多のSAOプレイヤーが同じように転移させられて来たようだ。その数一万…いやそれ以上いるか?
―これでログアウトできるのか?!と誰かが叫んだ
これで?どういう意味か分からないまま、俺は単なる興味心でウィンドウを開き、ログアウトのボタンを探した
……ない。ログアウトのボタンの存在がなくなっている
このゲームから唯一ログアウトできるのはそのボタンしかない。今それがないということは…俺たちはもう自発的にログアウトする出来ないということだ
「おい!上を見ろ!!!」
またしても誰かの声が中央広場に響き渡り、みんな上の空を見る。そこには夕暮れの空に混じって血のような赤いウィンドウがポツンポツンという表示されていた。そのウィンドウは次第に増殖し、空を覆い尽くしてしまった
ウィンドウとウィンドウの隙間から何やら赤い液体がはじまりの街に垂れてきて、それは次第に赤いローブを来た人へと変身した
赤いローブは静かにその暗い顔の口を動かした
『私の名前は茅場かやば晶彦あきひこ。今やこの世界をコントロール出来る唯一の人間だ』
茅場晶彦…SAO開発に携わった天才ゲームデザイナーであり量子物理学者。SAOの開発ディレクター。それとナーヴギアの基礎設計者だとなにかの雑誌で読んだ…はず…
その男が言った次の言葉は……
『プレイヤーの諸君は、ログアウトボタンがないことに気づいていると思うが、これはソードアート・オンライン本来の仕様だ。この城の最上階…つまり100層をクリアするまで諸君らの自発ログアウトは行えない』
これが本来の仕様と彼は言った。現実に戻れない仮想現実
そしてそれをクリアするためには、このゲームをクリアしなければならない。
その数100層―行けるのか…?そんなに高い場所に…?ベータテスト時点での自分の最高到達層は8層迷宮区だった。ベータの期間は約2ヶ月…仮に10層までいけたとして、頭悪く単純計算すれば20ヶ月。つはりは2年弱かかってしまうだろう
俺は固唾を飲み込んで、茅場の話を静かに聞く
『…何らかの手違いで、現実の諸君らの頭部からナーヴギアが外れた場合と、この世界で死亡した場合…その者はこの世界、及び現実世界からの永久にログアウトすることとなる』
―――は?…今なんて…永久にログアウト…?それってつまり…死亡するってことか?
あまりに驚愕な出来事すぎて、話についていけない。ナーヴギアの信号素子を増幅させて脳神経を焼き切る?理論上は可能だろう…それを含めてのナーヴギアなのだろうか
茅場晶彦が言うにー現実の俺たちの体はどこかの病院に搬送されることとなるから安心しろーとの事。安心してプレイなんてできるか……
最後に、茅場晶彦はプレゼントとして、俺たちに手鏡を渡してきた。それに写った顔は……紛れもない現実の俺だった
阿鼻叫喚が広場に蔓延る。プレイヤーを偽っていた者、現実から離れたくてアバターを作成した者。そして死への恐怖
シンはマイの肩を叩き、この広場から1度抜ける
ここはもう時期魔の巣窟になるだろう。だが生き残るためには強くならなくてはならない。そのためには一刻も早く次の街に出かけて自己強化しなくてはならないのだ
シン「ここら一体は恐らく魔の巣窟になる。魔物の取り合いとか混乱でな。それよりも早く俺は次の街に出かけたい。君はどうする?」
マイ「私は…」
悩むマイ。だがせっかく仲良くなった人を切り捨てるのも心が痛む。あの全員を守れというのは無理難題かもしれないが、マイ1人だけなら…
パーティを組んで共に強くなることも可能だろう。ソロでやるつもりだったが、乗りかかった船だ
悩んでいたマイはまだ教えてもらいたいことがある。と言ってシンについて行くことを決意した
シン「よかった。それじゃあ、先を急ぐぞ」
そう言ってシンはマイの手を引いた
この時の俺は、この選択をゲームクリアまで引き摺ることになるとは、思ってもいなかった