とある剣士のVRMMO物語   作:ほがみ(Hogami)⛩

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2話 剣

あの事件から1ヶ月弱

シンはマイと共に第2の村《ホルンカ》にてとあるNPCから受注できるクエストを受けていた。目的はホルンカから少し離れた森フィールドにて狩る事が出来るモンスターを倒すこと―なのだが、その目標モンスターが100匹に1匹という確率。まぁ気が遠くなる

それにこのクエストはじきに広まるだろう。そうなれば100匹中1匹が人が増加したことによって1000匹見つけて1匹の可能性すらありえる

だからこそみんなよりも先に来たかったのだ

 

マイ「はぁぁぁぁっ!」

 

ガラスの破片になって消えるモンスター。シンとマイのレベルは15と10。この当たりのモンスターなら死ぬ危険性がない

レベル上げと同時並行にクエストを進めることができる。面倒と取るか、楽かと取るかでこのクエストの印象が変わるだろう

ゲーマーなら効率良いと考えるだろうが…

 

ふぅーと休憩しようと剣を地面に突き刺すマイ。だが、すぐに次のモンスターがポップしてしまう

 

マイ「休む暇もないね―ってあれは…」

 

マイはモンスターをみると驚く顔を浮かべた。なぜならそのモンスターは、先程まで戦っていたモンスターと酷似してはいるものの、ところどころ違う部分がある

それに、そのモンスターには《名前》が付いていた

ネームドエネミー。ボスなどの固有モンスターが有する唯一無二の存在。特定の条件でしかスポーンしない

 

シン「ようやくお出ましか。あれが目標のネームドモンスターだ。普通のより強いからよく注意して」

マイ「わ、わかった!」

 

剣を握り直したマイがモンスターに立ち向かっていく様をシンは少し離れたところから倒木に座りながら見守る。このクエストは、ネームドは1人で倒すことが最低条件らしく、下手に手を出して二度手間になるのは避けたい

まぁあくまで風の噂程度の話なのだが

ちなみに言うとシンは既にネームドを倒している。マイのお休み中にこっそり抜け出して1人で狩っていたのだった

 

シン(…時間が惜しいからな…無理は限界まで。そういやこの世界で睡眠取らなかったらどうなるんだ…?)

 

肉体はベットで寝ている現状、体の疲労が感じることは無い。とは言いきれないものの、現実ではゼロだ

しかし脳はどうだろうか。絶えずナーヴギアから電気信号が発せられ、その処理に追われている。もしかして睡眠を取らなかったら、脳が休めずに多大なる情報処理に追いつかず、電気信号で神経が焼き切れるのだろうか?

―HPがなくなれば死亡する。いわばナーヴギアを介して見れるもう一つの世界。バーチャルの世界ではなく、ここを異世界と見れば…

 

マイ「――シン―――シン?」

シン「ん?どうかしたか?」

 

マイはネームドエネミーがドロップする特別なクエスト専用アイテムを片手ににこっとした表情でこちらを見ていた

どうやら既に終わっていたみたいだ。戦闘中に集中を切らすとは…不覚―まぁ無事に終わったのなら何よりだ。シンは立ち上がってよくやったとマイの頭を撫でると、撫でられるマイはえへへと顔を緩ませた

 

シン(俺に妹がいたらこんな感じなのかな)

 

リアルの話をするのはご法度なのだが…一人っ子だった俺は今の状況を少し嬉しく思っている

元々リアルが嫌だからゲームに―この世界にのめり込んだってところもあるだろうが

するとその時、シンの耳に風を切るような音が聞こえた。それだけじゃない。スキル発動の音、モンスターの声…そう遠くないところで戦闘が行われているのだろう

――音が止まった。スキル発動音とモンスター消滅音。戦闘は終わったのだろうか

いや、風を切る音が聞こえる。それも近くなって…というよりこっちに向かってきている?

 

鞘にしまった剣に手をかけるシン。そして直観と耳を信じて、ひとおもいに剣を振るった

 

シン「―はぁッ!!!!」

 

振るった剣は何かにぶつかって高い音を放つ

弾かれたものは地面に転がり、消滅エフェクトと共に消えてしまった

あれは…石だったような?となれば誰かの戦闘で飛んできた石がこっちまで来たということだろうか

などと思っていると、その意思を投げたと思われるプレイや―が駆け寄ってきたのだった

片手直剣を背負った黒髪の少年。背丈はシンより小さい。年齢は20は越えていないだろう(多分)

その少年は俺たちを見るや否や石が飛んでこなかったかと一言いった

 

シン「あぁ飛んできたさ。殺気マシマシの投擲スキルがな」

「それは…すまなかった。スキル育成中に飛んで行っちまったんだ」

シン「スキル育成中…ねぇ…」

 

その言葉でシンは少年を疑った

ほぼ強化されていない初期装備。片手直剣。そして投擲スキル育成

そこから導かれる答えはただ一つ。こいつは俺同様に”このゲームを知っている”

―いや、俺自身こいつを知っている。ベータ時代にこいつとどこかで出会っているはずだ

 

シン「このデスゲームにおいてメインじゃなくサブスキルを育成するなんてな。単なるプレイヤーじゃなさそうだな」

「そういうあんたこそこんな辺鄙なところでなにやってたんだ?」

シン「…俺が”想像している君”なのであれば、答えは明白だろ?」

 

確証はないが、多分あいつだ。シンの頭の中にはその人物が誰だか想像はできていた

少年はふっと笑って手をひらひらさせながら悪かったと一言言って去って行ってしまった

 

その後、シン達は《ホルンカ》へと戻り、依頼主へクエスト完了の知らせを届けた

すると依頼主からは報酬として数1000コルと、片手直剣《アニールブレード》を貰った

アニールブレードは第一層中最強の片手直剣。この情報が出回るよりも早く手に入れたかったのだ

銀色に輝く刀身は鏡のように自身の顔を返してくる

―また会えたな。そう思い剣を指でなぞり、ベータ時代を懐かしく思う

 

そんな時、シンに一人の女性が尋ねかけてきた

名前はアルゴ。なにか用かと聞けば、アニールブレードについての話が聞きたいのだそうだ。まぁ隠すほどの事でもないし、簡潔にそこのNPCから受けれるクエストから入手できる―と答える

ありがとうとアルゴは去っていき、その後は取り合えずレベリングをしよう。ということで近場のレベリングできそうな森にひきこもることになった

 

 

 

 

数日後、シンはマイと一緒に街で情報屋と名乗る人物をしていた

理由はレベリング場所が他の人が増えてきて満足にできないから、いい場所を教えてもらいに来た

そして情報屋を見つけた…のだが…

 

「あれ?シンじゃないか。どんな御用向きかナ?」

シン「まさか情報屋の正体が君だったとはな…」

 

フード付きマントの中で興味深そうな顔でニヤニヤする情報屋――もといアルゴ

まぁ出会った頃から片手直剣つかいではなさそうなのにアニールブレードの情報を知りたがっていたから意外ではないのだが…

それはともかくアルゴに例の件について教えてほしいと願った。するとアルゴは、まだ裏がとれていない情報だけど――と話し始めた

 

アルゴ「ここから北に行くとダンジョン型の森林があるんだ。ベータにはなかった新エリア。噂では平均的なフィールドよりも強い個体が出るらしいゾ」

シン「フィールドよりも高いとなるとレベル的には10近くか?」

アルゴ「恐らく。まだ裏がとれていないから参考として考えてくれヨ」

 

不確定な情報。でも行ってみる価値はある

アルゴに感謝して代金を―というと、この間のアニールブレードの剣でチャラだ。とのこと

なんだかこれからも世話になりそうな雰囲気を感じながら、俺たちはアルゴの言うダンジョンへと足を向かわせた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダンジョン名《ざわめく森》

 

シン「ふっ!!!」

「プギィィィィ」

 

放った剣技はモンスターにヒットしガラスのエフェクトとなって消えていく。アルゴの情報通りフィールドモンスターより上のレベルで、経験値もかなりおいしい

モンスターの種類もフィールドにスポーンするモンスターと大差なく、攻略は案外簡単に進んでいった

―なんだか拍子抜けだなぁ~とマイはつぶやく。正直な話をすればシンもそれは感じていた。

ベータには存在しなかったエリア。そこに潜む未知なるモンスターは…と思っていたのだから

だが思わぬ収穫もあった。

 

ワスプ系のモンスターハウス―いやハチの巣なのだが、そこからワスプがスポーンしていることに気づき、破壊してみたところハチミツというアイテムが手に入ったのだ

使用すればHPの20%即時回復という優れもの。見つけ次第破壊しまくった結果、手に余るほど入手してしまった

 

その後はなにも不自由なくどんどん先に進んでいく二人は、木に囲まれている広場に出た

 

マイ「なんだが嫌な感じだね…」

シン「こういうのはなにかあるのがお決まりなんだが――」

 

そう呟いた瞬間、虫が羽ばたくような音がたくさん聞こえてきた

上を向けば空を覆うほどのワスプ系モンスターがこちらをにらみつけていた

これは骨が折れそうだな…と剣を構えマイに戦闘準備!と叫んだ瞬間、目の前の奥の森からズシン…ズシンと大きな獣が歩くような音が聞こえ、その音に反応するかのようにワスプ系モンスターは二人に攻撃せず逃げて行ってしまった

何が来る…と警戒していると奥から現れたのは、6メートルほどの大きな熊であった

体毛は赤っぽい黒。前足が発達しており、大きな爪は血のような赤さを放っている。背中や顔のあたりには鎧のような甲殻。そしてピロロと表示されるモンスターの名前は――

 

《The Ripfate》Lv20

 

そして体力ゲージは四本――俺の経験からするにコイツは――

 

「グワァァァァ!!!!!」

シン「このダンジョンのボス…!」

 

基本ダンジョン攻略は複数チームを組んで行うものだ

二人なんかでは到底かなわない

だからここは一度撤退して――と後ずさりしていたのだが、なぜか壁にぶつかった感覚がある

確かめるように片手で触ると確かに壁がある。歩いての脱出は不可。転移結晶はこの間使い切った…つまりは倒すか倒されるかの二択――

―正直舐めていた。少しレベルが高い程度のダンジョンだと思い込んでいた

 

シン「…マイ、覚悟を決めろ…俺達だけであいつを討伐する」

マイ「――…」

シン「マイ!」

 

恐怖で検査機が震えているマイにシンは声をかける

するとマイは絞り出すような声でシンにつぶやいた

 

マイ「で――できるかな…私達だけで…」

シン「やるしかない。でなきゃ俺たちがやられる!」

マイ「でも相手はレベル20――」

シン「たかがレベル20だ!当たらなければダメージは永遠にない!それと――」

 

シンはマイの方を見て口を開いた

 

シン「―君のことは俺が必ず守る」

 

そう言ってシンはダッと足を踏み込んでボスに攻撃を仕掛ける

1回、2回。剣はボスの甲殻を傷つける。しかしHPは少ししか減っていない。パリィしたとしても大したダメージは見込めないだろう

ボスが大きく振り被ったのを見てシンは後ろに飛び攻撃を避けた

地面はその大きな爪によって大きくめり込んでいた

―あれが当たればひとたまりもない。よくてギリギリで止まるか、それとも死か

 

シン「…は…燃えてきたなッ!!!」

 

できるだけヘイトを集めるんだ

取り巻きは居ない。いるのはこいつと俺たちだけ。なら全ての攻撃を俺に仕向ければ、マイは無事に生き残れるはずだ

そう思いながらシンは果敢にボスに突進していく

 

 

 

 

どのくらい戦ったのだろうか

シンは未だボスと戦っていた。掠るだけで瀕死。何度回復アイテムを使ったかわからない

だがボスHPはいまだ二本残っている。シンは疲れて息が上がっている

 

「グォォォォォ!!!」

シン「ちッ…またそれかッ!」

 

大きく振りかぶったのをみてシンは後ろに飛ぶ

しかしボスが放ったのは最初にみせたあの大振りの攻撃ではなく、避けたシンに向かって含みがありそうに不敵に笑ったのだった

―マズったか?!とシンは慌てて剣を盾のように使う。ボスは振りかぶった方の腕とは逆の腕を使ってシンのことを攻撃してきた

 

シン「グッ…!」

 

剣は砕け、ピロロロロと減っていくHP。視界の端には赤く短いゲージしか残っていない

そして回復ポーションを具現化させ、溜飲しようとしたのだったが―

 

それを阻止するかのように、ボスはもう突進してきた

それに驚いたシンは慌ててしまったためかポーションを落としてしまい、ガラスの破片となって消えてしまった

 

シン「っ―最後のひとつが…」

 

ボスはそれを喜ぶかのように吠え、シンに向かって大きく振りかぶった

避けようにももう時間はない。最後の運に任せてるしか―と思っていた時。目の前に人影が立ち塞がる

―それは他でもないマイの姿であった




リメイク前はサラッと流したマイのシーンを深く書き直しました
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