【リメイク版】不遇な朝田詩乃に寄り添いたい。 作:ヤン詩乃ちゃん( _´ω`)_
一人称や情報が少し違ってるくらいです。
本日2話目、連続投稿です。
「詩乃ちゃん。プール行こう。」
人生で1度きり……俺は2度目か?まぁ、そこはスルー。1度きりの小学5年生の夏休み、楽しまなきゃ損だ。中学校や高校に上がったら、宿題なんかで時間が取れない(かもしれない)から。
ちなみに夏休みの宿題はもう終わらせてます。少なかったし、俺や詩乃ちゃんならすぐ解けるからね。
「……プールねぇ。」
本から目を離さずに答える。少しはこっち見て。後もう少し恥じらって。詩乃ちゃん今ミニスカだから。足組んじゃダメ。はしたないよ。
後なんでナチュラルに俺の部屋の椅子に座ってるの?部屋主俺だよね?遠慮ってもんが無くなってきたね。
「そうそう。この前福引で【うぇるかむぱーく】の招待券当ててねー」
「あそこの……でも、今の時期は混んでるんじゃないかしら?」
ご尤もである。事実、前世の俺*1も今世の俺も夏にプールなんぞ行かなかった。誘われた事はあるが、単純に、人混みという物が嫌いだったからだ。
だが、今世の今は、詩乃ちゃんがいる。美しい華が添えられるのだ。
「ペアチケットが2枚あって、俺、母さん、父さん。これで3人なんだけど、後1人どうしようかってなって。それで、詩乃ちゃん誘おうかなーって。」
「ふ〜ん……」
ん?興味なし?
水とか青いもの好きそうだけどなー。と偏見じみた事を考えていると、本から目を離し、ジト目をこちらに向ける。
「もしペアチケット2枚じゃなくて、1人1枚のが3枚だったら、私は誘わなかったのね。」
「えっ、いや……多分だけど、その場合、父さんが弾かれる。」
「それはそれで悲しいわね……まぁ行かせて貰うわよ。余ったら勿体ないし。」
「アハハ……ツンデレが激しいなぁ……」
「ツンデレ言わないで。それで?プールっていつなの?」
「3日後なら母さんと父さんの都合いいから、最短なら3日後。」
「…………はっ、ちょっ、もっと早く誘いなさいよ!」
急ぎながらも丁寧に本に栞を挟み、慌てたように部屋から出ていく。3日前は遅いのか?1週間前とかに誘った方が良かったのだろうか……
男子のクラスメイトによく、女心を知らないだとか、鈍感だとか言われた事を思い出した。お前俺よりモテないくせに*2。
そういえば、詩乃ちゃんにも何度かさらっと言われたような気がする……
家に帰った詩乃ちゃんは、すぐにお母さんに頼み、新しい水着を買いにショッピングモールに出掛けたとか。
後から聞いたのだが、あの時はスク水しか持っていなくて、焦っていたらしい。聞いた時に「別にスク水でも良かったのに」と言うと、怒られた。えぇ。
3日後。プール当日である。【うぇるかむぱーく】は、やはりというか、混雑していた。
俺の両親の車で向かい、更衣室で別れる。比較的着替えるのが楽な男性陣は、早めにプールへと出た。
「出雲!パラソル持ってきたか!?」
「今運んでるから!」
男性陣は、早く出た分、パラソルをたてたり、レジャーシートを敷いたりと、働かなければならない。このうぇるかむぱーくは中々敷地面積が広く、近くに【うぇるかむホテル】といううぇるかむぱーく所有のホテルまである。まるで何処かの夢の国のようだな。
そうこうしているうちに、母さんと詩乃ちゃんが更衣室から出て、こちらに向かってきていることに気付く。詩乃ちゃんは青いフリルの付いた子供用ビキニを着用しており、絵になっていた。
え?母さん?自分の母さんの水着を実況しろとか、鬼畜にも程があるよ。各々好きに想像してくれたまえ。
「水着可愛いね、詩乃ちゃん。」
「っ……あり、がと…」
グイグイベタベタする、どちらかと言うと攻めが多い詩乃ちゃんだが、褒められたりする事に弱い。水着を褒めると、真っ赤に顔を染め、目を背けて礼を言ってくる。チラチラ見てるのだが、気付かないと思っているのだろうか?俺は、子供らしい詩乃ちゃんという物を、余り知らない。だが、今ここで水着を着て顔を赤らめる姿はまさに子供で、とても可愛らしいと思う。
「そ、それじゃあ、行きましょう!」
「気を付けるのよ〜」
今日も、俺は引っ張られる側だ。いつでも可愛らしく子供らしい詩乃ちゃんでも、俺を先導してくれる。
もう俺の中で、詩乃ちゃんはかけがえの無い存在になってしまっているのだろう。あらゆる日常のワンシーンの、全てに彼女がいる。
そして、それは彼女も同じ。そう仕向け、行動してきた。 あらゆる日常のワンシーンに俺がいるだろう。
「ね、詩乃ちゃん。」
「何?」
「ありがとう。」
「……どういたしまして。」
前を向いたまま、こちらを振り返らない。しかし、肩から覗く耳が、先程の顔同様、真っ赤に染まっているのを見て、俺も自然と笑みが零れる。
今日は、目一杯楽しむとしよう。
流れるプールで流されながら、前にいる詩乃ちゃんの綺麗な髪を伝う水を見てたら、心が清められていく気がする。
「……何?ずっと見て。」
「あ、気付いてたの?」
「そりゃそんなに見られれば気付くわよ。言ってくれればいいのに。」
いや、言ったら変態確定じゃないですか。と口には出さないが、心で思う。詩乃ちゃんとて小学5年生……まぁ俺もだけど、なんていうか、【男】と【女】という性別の違いを理解し始める頃でもある。
ちなみに、良く聞く【お父さん大っ嫌い時代】はここら辺から始まるらしい。詳しく知っている訳では無いが、そんな事を聞いたことがある。
「いい加減、それ貸しなさいよ」
後ろ歩きの詩乃ちゃんが指差すのは、俺がグデーっとしてる、いるかの浮きだ。いるかの形をしており、なかなか大きい。プールに来たら、ひたすら流水プールにて浮き輪に浮かびながら流されるのが好きなタイプだ。友達といって雑談を挟むと
「嫌だよぉ……」
このいるかは渡さん。そう主張するように、俺は、いるかを背中から抱き締める。俺はこうやって流されながら、前を進む詩乃ちゃんを見ていられたら、それで満足だ。
「……ずるい。」
口を尖らせながら、そうボソッと呟いた。そんなに欲しいなら、無理やり剥ぎ取ればいいものを。それをしない所が、詩乃ちゃんの優しさだろうか。俺だったら剥ぎ取ってる。いや、詩乃ちゃんがグデッてたら、許すけど。
「詩乃ちゃん、そんなにこれ好きなの。」
ぼふぼふと浮きを叩くと、口だけプールに入れて、ぶくぶくと何かを言う。
「……ブクブクブクブクブク」
「何……?」
「出雲に抱きしめられてるいるかがずるい。」
つまりは、このいるかのように抱き締められたいという事だろうか。俺としては全然ウェルカムなんだが、周りの目もあるし、何より、俺達は今水着である。そんな状態で抱き締めたりなんかしたら……
「いっ、出雲に……だ、抱き締められ、たい……」
「おおぅ……」
詩乃ちゃんから直球に言われました。目覚しい成長に、俺は感動する。本来彼女はこんなふうなことを言うタイプでは無い。素晴らしい成長だ!
「……おいで」
先程も言ったが、俺は、詩乃ちゃんを抱き締める事自体はいい。詩乃ちゃんの、柔らかい肌やらが俺の体に当たろうが、俺の斬魄刀が卍解する事もないだろう。まだ精通もしていないのだ。
平均的な精通は11歳〜となっているし、来年か再来年にはすると思うんだが。
「んっ」
おいで。と言った俺に、「抱き締めて欲しい」と頼んできた詩乃ちゃんが断る訳もなく、おずおずと俺の脇に手を通し、抱き締める。俺もそれに合わせて、詩乃ちゃんにおぶさるように手をかけ、抱き締め返す。少し顔が熱い。顔の横も熱い。見た訳では無いが、多分、この顔の横の熱いのは、詩乃ちゃんの顔だと思う。
ゆっくりと、水に体を浮かせる。いるかの浮きは、縄のようなものが付いているので、それを腕に巻き付けて固定しているから、流れていく事は無い。
周りの視線が気になるが、仲のいい
「ん……えへへ。」
右を向くと、俺の右肩に頭を乗せた、幸せそうな顔の詩乃ちゃんが見える。その顔は珍しく年相応で、俺とは違い、やはり、子供なんだなと気付く。
普段、詩乃ちゃんは大人っぽい。年相応の顔や行動はほぼせず、まるで一人暮らしするクールな成人女性のような性格をしていた。俺は前世では成人直前ってくらいで、今世を合わせれば余裕で成人している。更にはインターネットで様々な人と会話した。ダークウェブに潜っている間に知り合った人々も沢山いるので、もちろん、俺の精神は小学5年生とは合わない。だが、彼女は違う。純粋な小学5年生なのだ。
まだ精神が未発達で、でも、大人然としている。
そんな詩乃ちゃんが、俺は大好きだ。
「ねぇ、出雲。」
「んー?」
「私の事好き?」
思わず体が震える。詩乃ちゃんの顔を恐る恐るというふうに振り返ると、顔を上気させ、目はトロんと溶け、口はだらしなく開き、はぁはぁと息遣いは荒く、力強く俺の体を抱き締める、先程の幸せそうな顔とは、また違うベクトルの幸せを感じている詩乃ちゃんの顔が、見えた。
「あ、あー……」
「ねぇ、どうなの?私は好きよ。出雲の事。」
どう反応するのが正解なのだろうか。素直に言うべきなのか、子供らしくはぐらかすべきなのか。さっきから冷静に色々と物を考えているが、はっきり言ってキャパオーバーである。まだ精通前なので俺のスタープラチナがオラァする事は無いが、興奮はする。詩乃ちゃんの、アレやらソレやらが体にふにふに当たるのを忘れる為、考え事をするのだ。
俺はテンパッたり、どうしようもなくなった時、頭の中で色々と考える癖がある。その事柄に関係する事を考える事もあったし、全く関係ない事を考える事もある。
ダメだ。考える事しか出来ない。早く答えねば、詩乃ちゃんが不機嫌になっていってしまう。現に、段々と詩乃ちゃんの細腕からは信じられないくらいの力で、抱き締めてくる。痕が出来そうだ。
「ねぇ……ねぇ?」
痛い。締め付けられる痛みと、詩乃ちゃんの爪が僕の背中に食い込む事による傷のふたつが痛い。なんとか止めさせるため、質問に答える。
「ぅ……俺も、大好きだよ。ちょっと、力、強い、かな……!」
その場しのぎの言葉でもないし、俺の本心である。
「…………ふふっ。」
俺の言葉を聞いて、本心からの言葉だと分かった詩乃ちゃんが不敵に笑う。また強く抱き締めて来るが、今度は痛くなく、心地の良い強さだった。俺も詩乃ちゃんを抱く手を少し強めると、詩乃ちゃんが俺の首筋に吸い付いてくる。
「ひ、やぁ!?」
「んっ……♪」
思わず、変な、とても恥ずかしい声が出てしまう。楽しそうな声を出しながら、チュウチュウと首を吸ってくる詩乃ちゃん。ファーストキスもまだ*3な俺としては、少々刺激が強過ぎる。前世では女性経験は人並みだった気がするが、ここ10年の異性関係は母親とバーチャルを除けば詩乃ちゃんとクラスメイト(学校内のみ)ぐらいだ。
時々歯を立てるのも、なんというか、感じる。誰得だよって話だが、俺は首が性感帯なのかもしれない。というか、詩乃ちゃんなんか慣れてない?
「ちょ……っと!?」
少し強めに詩乃ちゃんを引き剥がす。お互い数歩後退し、離れる。詩乃ちゃんは驚きのような、混乱のような顔と表情をしながら、問い掛けてくる。なんで引き剥がされたのか、分かっていないような表情だ。
「えっ……嫌、だった?」
「嫌とか、そういうんじゃなくて…………いきなり、どうしたの?」
「……シたくなっちゃった……それだけよ?」
もう顔を赤くする事はなく、本当に、心の底から混乱した瞳をこちらに向ける。さも当然かのように思っているのか?
……いや、思っているのだろう。先程詩乃ちゃんの言った【好き】は恋愛的な意味なのだ。【朝田詩乃】を知っている身として、あまりドストレートな好意や告白を苦手としている詩乃ちゃんが、か……
依存度はかなり高いと見える。順調だ。
「したくなったって……はぁ、もういいよ。……大丈夫かな。」
「大丈夫って、何が?」
「首だよ。詩乃ちゃん結構強く吸ってたし、痕とかついてない?」
「……大丈夫よ。」
うーん。大丈夫なら、いいんだけど……
ちなみにその後、両親達の元に帰った俺達に、両親から「首筋にキスマークついてるぞ」と苦笑されながら言われた。詩乃ちゃんめ……謀ったな。どうりで「なんか凄い見られるなぁ」と思ったよ!すっごい恥ずかしい……
策士の詩乃ちゃん。略して
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