【リメイク版】不遇な朝田詩乃に寄り添いたい。 作:ヤン詩乃ちゃん( _´ω`)_
時は経ち、小学5年生も2学期になり、10月に入った。
記憶が確かなら、事件はもうすぐ起きる。詳しい日程までは覚えていないか原作で明記されてなかったんだが……
まぁ、なので、10月はずっと詩乃ちゃんに張り付いている。
今日も今日とて詩乃ちゃんの元へ。
「詩乃ちゃん〜遊ぼ〜。」
『今開けるわ。』
インターホン越しに詩乃ちゃんの声が聞こえる。パタパタと家の中を走る音が聞こえ、ガチャッと扉が開かれる。
「おはよう、詩乃ちゃん。」
「おはよう出雲。最近は早いわね。」
今は朝の6:00くらい。確かにいつもの俺なら眠っている頃だが、事件の時に寝坊助ちゃんをかます事はしたくないので、しっかり起きて詩乃ちゃんの元に向かった。
「とりあえず入って。最近は寒くなってきたし。」
「じゃあお邪魔させてもらうよ。」
ここ1年で随分とお互い遠慮がなくなった。朝から来た同年代の男の子を部屋に上げるなんて、よっぽど信頼してないと出来ないだろう。お互いがお互い、共依存のような形になりつつある。
そんなこんなで過ごしていると……
「出雲、ごめんなさいね。午後はお母さんと郵便局に行く予定があるの。」
これは……
「詩乃ちゃん、それ俺も行っていいかな?」
「えっ?え、えぇ。勿論いいけど……」
詩乃ちゃんとお義母さんの仲はいい。遊びに行ったり、買い物に行ったりする事はよくある。例えば、以前プールに行った時は水着をお義母さんと2人で買いに行っていたらしいし。
なので、俺はあまり2人の仲に割り込んだりしない。家族で過ごしたい事もあるだろうし、態々入ろうとも思っていなかったからだ。だから、何故今回はついていくなんて言い出したのか詩乃ちゃんは疑問なのだろうが、そこは濁しておく。
「今日暇だし、ちょっと外歩きたかったからさ。」
「わかったわ。」
事件について長らく考えていた事がある。俺は事件を回避する事に躍起になっていたが、よく考えたら郵便局に行き強盗事件にあうまでは殆ど確定事項なのだ。何故なら、日にちの特定が出来たとて、それを防ぐすべを俺は持っていないし、あの強盗犯の強盗を阻止する事も出来ない。名前も何も分かっていない奴を日本中から探し出す事は出来ない。いきなり「強盗事件が起きるから今月は郵便局に行かないで!」なんて言い出しても聞いてくれないだろうし……
それから俺は、肉体作りに励んだ。子供の体で出来ることなどたかが知れてるが、ないよりはマシだ。
そして、朝田詩乃のXデーが訪れた。
お義母さんと詩乃ちゃんと郵便局に来て、本を読む詩乃ちゃんの横に座り、お義母さんが窓口に向かう。
すると、横で扉が開く音がした。
口から涎を垂らした男がふらふらと窓口まで歩いて行き、お義母さんを突き飛ばして鞄を窓口に置き、中を開いて銃を取り出した。
「この鞄に金を入れろっ!両手を見える所に出せ!警報ボタンを押すな!お前らも動くな!!」
銃口を慌ただしく動かし、職員達に「妙な事をしたら撃つ」とアピールする。叫びだしそうな詩乃ちゃんの口を抑え、詩乃ちゃんの隣に座る。詩乃ちゃんの瞳に、強盗犯と、強盗犯の持つ銃が映る。
すぐに固まる詩乃ちゃんの口から手を離し、必死に思考を巡らせる。
鍛えている11歳とヤク中の大人どちらが強いか?それは分からない。しかし、相手は銃を持っている。体格差もあるし、いきなり襲いかかるというアドバンテージを活かさなければ……
こちらの勝利条件は俺、詩乃ちゃん、お義母さんを守り、強盗犯を撃退ないし無力化する事。
……パァン!という、激しい音が銀行内を包む。俺と詩乃ちゃんは反射的に耳を抑え、爆音から鼓膜を守る。足元に薬莢が転がってきて、目を上げると、男性局員が撃たれていた所だった。
「……!」
考えている暇はない。次はお義母さんが狙われている。
決めたんだ。詩乃ちゃんを、守る。救う。不遇な朝田詩乃を、あるべき場所に立たせると、そう決めたじゃないか。今までは、寄り添って、それで詩乃ちゃんが助かると思っていた。【友達】【親友】、あるいは【依存先】、そんな存在がいれば、詩乃ちゃんはもっと強くなれていたんだと。
寄り添うだけじゃ、足りないんだ。行動しなきゃ。【友達】だとか【親友】だとか、そんな者が居るだけでは、詩乃ちゃんは救われない。
なるんだ。詩乃ちゃんの、
俺は飛び出し、強盗犯の手に向かってジャンプ蹴りをかます。
「ぐあっ!……が、がきぃ!!」
ヤク中にしては握力があり、俺の蹴りでは銃を離させる事は出来なかった。すぐに銃口が俺に向けられるが、俺は銃を掴んで撃たせないようにする。
抵抗虚しく、強盗犯の銃が火を吹いた。
「がっ……!!!」
俺の頭のすぐ横、右頬と下顎骨を抉るように銃弾が当たる。痛みで叫び出しそうだが、そんな場合じゃない。
「死ねっ!死ね!ガキィィィ!!!!」
次は頭を撃たれる。そう確信した時、強盗犯の体が横に倒れる。詩乃ちゃんが強盗犯に体当たりをしていた。体ごと体当たりした詩乃ちゃんの攻撃を受け、強盗犯は壁に叩き付けられた。そして、強盗犯と俺が掴んでいた拳銃は俺の手に収まった。
痛みでよく回らない頭をフル回転させ、詩乃ちゃんに覆い被さり、右手に持っていた拳銃を強盗犯に向ける。
1発撃つ。強盗犯の肩に当たり、体が仰け反って壁に倒れ込む。しかし意識は残っており、反撃しようとこちらに向かってくる。
「うあああああああ!!!」
強盗犯が叫ぶ。
「うおおおおおおお!!!」
銃の反動で腕と、裂けた頬が痛い。熱を持っている。そんな事にはなりふり構わず、銃をもう1発。今度は腹部に当たるが、強盗犯は止まらず勢いそのまま俺らの方向に倒れてくる。
……倒した、のか……?
俺はあまりの痛みに銃を取りこぼし、下に居た詩乃ちゃんに目を向ける。
「……ぶじ、がい、じのぢゃん……」
裂けた頬で上手く話せない。意識が無くなりそうだ。それでも詩乃ちゃんに向けて言葉をかける。
「あ、い、出雲……!」
「……う、あ……!」
ッ!まだ起き上がってきた!どうする!俺はもう動けない。銃を拾い直し、撃つ筋力も残っていない。
「がああ……ああ!!」
最早金なんぞ見ていない、俺達を殺す為だけに手を伸ばしてくる強盗犯から詩乃ちゃんを守る為、俺は詩乃ちゃんに身体全体で覆い被さる。
発砲音が聞こえる。
新しい痛みはなく、誰が撃ったのか確認する為、ぼやける視界で前を向く。そこには、頭を撃ち抜かれ呆然とする強盗犯が居た。そして、下に居た詩乃ちゃんが震える手で銃を構え、強盗犯に銃口を向けていた。
……あぁ、これは、守れたって言えるのかな……
そんな思いを抱えながら、俺の意識は暗転する。
「事件」は、あっさりと終わりを迎えた。
あの後警察が到着し、射殺された強盗犯、血溜まりと詩乃ちゃんの上に伏せる俺、そして銃を持つ詩乃ちゃんを見て、とりあえずは全員を病院へと送った。勿論の事、強盗犯は即死。俺は右頬と下顎骨に、癒えない傷を負った。と言っても、治療のおかげか、表面ほど深く抉れている訳ではない。進んだ医学でも、銃痕の完全治癒は出来ないか……
俺と詩乃ちゃんの名と、行った事は、警察と親にとても怒られたものの、警察が情報規制を敷き、メディアがそれを取り上げる事は無かった。俺と詩乃ちゃんの行いは「正当防衛」として認められた。数週間の療養(頬の痛みが和らぐまで入院&事件後のカウンセリング等)をして、今日やっと帰ってこられた。
詩乃ちゃんはまだ入院しているようで、どうも精神面が不安定らしい。刑事さんとカウンセラーの方に聞いてみたが、心ここに在らずという感じで、受け答えもまともにしてくれない状態だ、と。
1度、会わせて下さいと言ったのだが、俺もその時療養中であった為断られた。しかし、今ならば大丈夫……だと、思う。話に聞いた通りの詩乃ちゃんだったら、俺はどうしていいか分からないが、寄り添って、理解してあげよう。
それが、あの時最後の引き金を引かせてしまった俺の最低限すべきことだ。
そして今日、またこの病院にやって来た。
病院内に入ると、受付に刑事さんが居た。どうも、と頭を下げると刑事さんが「やぁ」と言って笑った。受付員の人に詩乃ちゃんの場所を聞くと、案内してくれるそうだ。
刑事さんも同伴するようで、理由を聞くと
「一応な。今の彼女の精神状態は……良くない。」
と言っていた。念には念を、という奴か。
詩乃ちゃんの部屋に着く。扉の前で、「此処で待っていてください」と刑事さんに伝えると、「大きな音がしたら入るからな」と言って、待っててくれた。あれ程優しい刑事さんには会ったことがないな……いや、まず、刑事さん自体あまり会う機会が無い訳だが。
詩乃ちゃんの部屋に入り、ベッドに向かう。カーテンを開くと、無感情の目と表情をした詩乃ちゃんが、起き上がって窓の外を見ていた。カーテンを開いたにも関わらず、こちらに意識さえ向けていない。
「……詩乃ちゃん。」
ピクッ。と、詩乃ちゃんの指が少し動いた。しかし、それ以上の反応は示さなかった。意識がない、という訳でもないのだろう。ただただ、考える事を放棄している。
「……ごめん、ね。」
そんな詩乃ちゃんを見てなのか、涙が溢れてきた。なんの涙なのかは、俺にもわからない。ふと、ベッドの上に置かれた詩乃ちゃんの左手に、自分の手を乗せる。ギュッと握ると、詩乃ちゃんが窓から、詩乃ちゃんと俺の重ねられた手に視線を移した。
「……ぃ。」
詩乃ちゃんの手を握りながら泣いていると、詩乃ちゃんも、少しだけ握り返してきた。詩乃ちゃんの目を見ると、詩乃ちゃんと目が合った。やがてその目が潤み、大粒の涙が零れ、今度はしっかりと、俺の手を握り返した。
「ぃ……あ……!」
詩乃ちゃんの右手が、僕の頬に触れようと伸ばされる。だが、途中でその手は止まり、空中で静止する。何処か戸惑うように、指先がカタカタと震えていた。
「大丈夫……俺は、ほら。大丈夫だから……ね?」
優しく、問いかけるようにそう言って、詩乃ちゃんの空中で静止した右手に、空いた俺の右手を重ねる。すると、その右手が伸ばされ、僕の頬に重ねられた。
「ごめん、なさっ……私……ッ!」
「大丈夫……大丈夫だよ……」
大丈夫と詩乃ちゃんに言い聞かせ、左手で重ねられた手を撫でる。すると、身を乗り出して、僕の体を包み込むように抱き締めてきた。そして、今度はしっかりと、大声をあげて泣き出した。刑事さんが入ってきたが、俺と詩乃ちゃんを見て、驚いていた。それ程詩乃ちゃんの精神状態は悪かったらしい。まだ俺が入って5分も経ってないんだけどな。カウンセラーの腕が悪い、なんて事はないと思うし。
その後、詩乃ちゃんは数十分に渡って泣き続け、疲れ果てたのか眠ってしまった。このまま連れて帰る、なんて事は出来ない為、その時は詩乃ちゃんを寝かせて俺は帰ることにした。色々な手続き何かをしなければならないらしく、退院までは最低でも3日か4日は待ってもらう事になると、申し訳なさそうに刑事さんが教えてくれた。
……毎日、来るとしよう。
翌日、詩乃ちゃんの病室に行くと、昨日と比べ少しだけ元気が出たような気がする詩乃ちゃんが居た。声をかけると、バッとこちらを向き、ふんわりとした笑みを浮かべたが、すぐにまた昨日のような困った顔をする。
「おはよう、詩乃ちゃん。」
「……おは、よう。柊くん。」
呼び方が昔に戻ってる?……原作のお義母さんみたいに精神逆行、なんて事はないと思うが、どうしたのだろうか。精神はそのまま記憶だけ無くなった?だとしたら僕を見て笑う事はない、よな?
「どうしたの?呼び方戻ってるけど。」
「……その、なんで、ここにいるの?」
「えっ?」
その時の詩乃ちゃんの顔は、本当に困惑している顔だった。心の底から、「何故ここにいるの?」と思っているようで、少しショックを受けてしまう。居てはいけないのだろうか。
「なんでって、友達でしょ?」
「とも、だち?……でも、私は……人を、殺……貴方を、守れなかった……!」
嗚呼、詩乃ちゃんは、自分が強盗犯の命を奪った事を気にしているようだ。当たり前だろう。俺も、あの時の2発の感触は忘れられない。
「詩乃ちゃんは、俺とお義母さんを守る為に行動したんでしょ?それに、守れなかったのは俺が弱かったからだ……ごめんね、詩乃ちゃん。」
「そんなッ!私が……」
「詩乃ちゃん、大丈夫だから。ほら、見た感じ、俺の傷もそれ程大きい傷じゃないでしょ?それに、もう治ったし、痛くないよ。
もう治った傷の事は、いいよ。傷跡も気にしてない。そんな事より、僕は詩乃ちゃんが心配なんだ。人を殺してしまった罪は、これから一緒に背負っていこう。最後に撃ったのは詩乃ちゃんかもしれないけど、それより前に俺は奴に2発撃ち込んでるんだ。罪を問うなら、俺の方が悪い。」
詩乃ちゃんの目を覗き込み、そう言う。数秒詩乃ちゃんがフリーズし、また、ポツリと言葉を零した。
「……ごめんなさい。」
「もー……はい!笑って!」
そして俺は笑う。
俺はカウンセラーでもセラピストでも精神科医でもないので、詩乃ちゃんの精神を治す方法なんて知らない。けど、詩乃ちゃんはいつも、俺が笑っていると笑ってくれる。その笑顔は様々だけど、いつも幸せそうに笑ってくれる。俺はその笑顔が大好きで、またその笑顔が見たくて。
カウンセラーにもセラピストにも精神科医にも出来ない、俺なりの詩乃ちゃんの「治し方」をする。
「詩乃ちゃん!」
「……何?」
「これからも、よろしくね!」
そう言って、今度は俺から詩乃ちゃんを抱き締める。ビクッと体が震え、恐る恐るというように、詩乃ちゃんの腕が俺の背中に回された。まだ弱く、抱き締め返されているというより、触れられているという方が近い。
「私、柊君と……出雲と居て、いいのかな。」
「うん。」
涙を堪えたような、何かを耐えるような震えた声で、そう問いかけてくる。
「可愛くないし、感情表現出来ないし、色々変だし、全然出雲と釣り合ってないけど……」
「……」
「…………こんな私でも、良いの?」
「俺は詩乃ちゃんがいいんだよ。」
そう言うと、昨日同様、詩乃ちゃんが泣き出す。不安だったのだろう、ずっと考えていたのだろう。他の事が手につかないくらい、ずっと。
詩乃ちゃんを抱き締め、頭を撫で落ち着かせながら、俺は言葉には出さずに、ひっそりと心の中で何度も謝る。
俺は詩乃ちゃんに対して、謝らなければいけない事ばかりで、返せない恩ばかりだ。それは一生かかっても返せない程のもので、どうしたらいいのか分からない。
今はただ、詩乃ちゃんを宥め、心中で謝るとしよう。これ以上言葉にして謝ると、オウム返しで謝り合いになりそうだ。
詩乃ちゃんが泣き止む。今度は、眠ってしまう事は無かった。まだ朝だし、詩乃ちゃんも起きたばかりだと思うので当たり前だが。
泣き止んだ後でも、詩乃ちゃんは一向に俺を抱きしめる手を離してくれない。俺の胸に顔を埋め、ひしっと抱き締められていて、その力は段々と強くなってきている。もはや最初の面影はなく、ギリギリと音を立てているような気さえする。
「ちょ、ちょっと詩乃ちゃん?力強くない?」
流石にたまらんと思い、詩乃ちゃんにそう言うと、涙目の上目遣いでこちらを見てきた。何も言わないが、目で訴えている。まだこうさせろ、と。そろそろ僕の背骨が逝きそうな気がしてならないが、小学生の身でそれはないだろう……ないよな。
「……ねぇ、出雲。」
「ん?何?」
グイッと引っ張られ、ベッドに押し倒される。どうしたの?と聞く前に、詩乃ちゃんの唇が僕の唇に重ねられた。
「ん―――!?」
やばい。突然の予期せぬ事に、頭がこんがらがる。どうしようどうしようと、その言葉しか頭に浮かばない。無理矢理押し返す事も出来ると思うが、はっきり言って役得だ。しかし、いきなりしてきてどうしたのだろうか。そんな事を思っていると、今度は詩乃ちゃんの舌が口内に入ってきた。
「んっ……むぅ………」
口内を、詩乃ちゃんの小さな舌が蹂躙する。この状態では「弱者」の俺にはどうする事も出来ず、ただただ、詩乃ちゃんに暴力的に口内を犯される。
「れろ……ぷはっ」
「っはぁ…はぁ……詩乃、ちゃん?」
何秒、何分経ったか分からないが、あらかた犯し尽くしたのか、詩乃ちゃんの柔らかい唇が離れる。あれ程したのに、何処か名残惜しく感じてしまう。
俺の上に被さるように寝っ転がる詩乃ちゃんの顔は恍惚としており、至近距離で俺の顔を見ている。
「……好き。大好き。愛してるわ、出雲。」
うわ言の様にそう言い続け、俺の唇や、傷が付いた頬、目、鼻、首、果ては服を捲りあげ、胸を舐める。抵抗する気力すらなく、ただひたすら理性と戦う。別にこのまま詩乃ちゃんを犯しても詩乃ちゃんは抵抗しないだろうし、むしろこのまま詩乃ちゃんが俺を犯しそうな勢いだ。どうしてこうなったんだ?詩乃ちゃんを元気づけに来たというのに、なぜ俺はその詩乃ちゃんに犯されそうになっている?全くもって、訳が分からない。
「ちょっ、と詩乃ちゃん。待って……!」
しかしやめてはくれない。傷付いた頬を、入念に、愛おしそうに舐めてくる。まだ治ったばかりのそこは、麻酔の反動なのか、他と比べて少し敏感になっている。
「好き……好き。愛してる、愛してる、愛してる。出雲……出雲……出雲ぉ。」
「ダメ……ぇ。」
言葉では抵抗するも、俺の体は、詩乃ちゃんを受け入れ始めている。このまま行くと、お互いタガが外れる。だがやはり動けない。まるで自分の体ではないようだ。
やばい。それしか頭に浮かばず……そんな事を考えていると、詩乃ちゃんの舌が止まった。扉の方を凝視している。
「……チッ。」
小さく舌打ちをして、最後に口にキスをされて、椅子に座らされた。俺はなんとかバランスを保ち、息を整える。袖なんかで顔に付着した詩乃ちゃんの唾液を拭いていると、扉が開いて、詩乃ちゃんのカウンセラーと思わしき人が入ってくる。
これからカウセリングを始める。との事で、俺は病室から退室するよう言われた。ふらふらとした足取りで病室の扉に向かう。詩乃ちゃんは、カウンセラーを一睨みし、「また明日ね!出雲!」と満面の笑みを浮かべてこちらに手を振ってきた。
「っう、うん。また明日。」
と、曖昧な返事しか出来ない。
……明日から、どうすればいいんだろう。
詩乃ちゃんに、様々な所を舐められ、触られた。いや、愛されている事はとても嬉しいし、その【好き】が決して家族や友人に向けるものでもない事も分かっている。
「……はぁ。」
羞恥と疲れから、項垂れる。まさか、立ち直ってから、あんな急激に好感度が上がるとは思わなんだ。元々高かったのが爆発したのか?……ファーストキスが、あんなに激しく、しかも小学5年生の時に、って、中々来るものがあるな……
その後、家に帰り、風呂で詩乃ちゃんの唾液を洗い流す。悶々とした気持ちと、発散される事のなかった掻き立てられた性欲は、自分で処理した。