【リメイク版】不遇な朝田詩乃に寄り添いたい。 作:ヤン詩乃ちゃん( _´ω`)_
朝田詩乃と暮らしたい。
先日、中学校を卒業した。今は……なんというべきか、休憩期間的なものだ。そして今、詩乃ちゃんが俺の部屋に来ている。
……まぁいつもの事なんだけど、今日は大事なお願いがあるらしい。何となく予想はついているが……
「出雲。」
「なんだい詩乃ちゃん。」
原作同様、俺のと似たようなデザインの防弾度なし眼鏡を付け、私服で女の子座りの詩乃ちゃん。
あの忌々しい事件から既に4年程経っている。詩乃ちゃんにPTSDは出ていないようで、時たまテレビでやっているアクション映画などを見ても吐き気を催したりはしていない。
「さっきも言ったけど、お願いがあるの。」
「うん。」
「……私と一緒に、東京に行ってくれないかしら?」
ここはやはり変わらないか……いや、変えるつもりもないが。今現在、この街で俺と詩乃ちゃんに良からぬ噂がたっているのは知っている。詩乃ちゃんも知ってるだろうし、原作と理由は違えどこの街から出ていく事はほぼ確定していたと言える。
小学校を卒業し、中学校も卒業した俺からしたら、薄い関係の友達……とも言えないか。そんな薄い関係の人々を切り捨てるのに俺は躊躇しなかった。
「あぁ、いいとも。」
「ありがとう……!」
そう言って、俺に抱き着いてくる詩乃ちゃん。
最近……ではないな。あの事件が終わった後辺りから、詩乃ちゃんは積極的、というか開き直った感じが否めない。常にくっ付いてくるし、もう風呂にまで突撃してきた。最近は慣れてきたので、毎日ではないが一緒に風呂にも入っている……あ、やましい事はしてませんので悪しからず。
まだ付き合ってもいないのだが、そこらの付き合ってるカップルより仲がいいと確信して言える。詩乃ちゃんは「好き」やら「愛してる」やらをたまに言ってくるが、俺は未だに答えられていない……訳では無い。本当だよ?
1度だけ「俺も愛してるよ」と言った事があるのだが、目の色が変わって冗談抜きで俺の貞操が奪われそうになった。そうだよね、もう性知識付いてるもんね。
流石の俺でも気付く。詩乃ちゃんはヤンデレって奴だ。病んでいる事には気付いてたけど、まさか「ヤンデレ」とは……
それでもいいけどさ。詩乃ちゃんがどうなろうが、俺は詩乃ちゃんの側に居るだけだし。
さて、まずは物件探しである。
既に候補は決めてあるらしく、そこには原作にあったようなユニットバスのキッチン付きワンルームもあったが、古い電子ロックだったのでNG。将来的にGGOかALOをやりたいと思っているので、それに関する事件、特に【
【
その死銃なる人物は、ゲーム内で撃った弾丸で本当に人を殺す事が出来る……と、思われていた。
実際は、死銃がゲーム内で対象を撃ったのと同時に
プレイヤーの住所を調べる方法なんていくらでもあるが、死銃はたしかGGOゲーム内大会
とにかく、GGOを遊ぶなら死銃の事も考え、しっかりとした最新式電子ロックを導入したタワマンにでも住みたい。中学に上がった頃から、親の名義でFXトレードを初め、裏の方法では無い正規で稼いだしっかりしたお金があるので、お金の点は心配ない。
あまりお金をひけらかすタイプでは無い俺が、家に拘っているのを詩乃ちゃんが見て不思議がっていた。
「貴方のお金に頼るのは申し訳ないわね……」
「気にしないでよ。どうせゲームかなんかに溶かすしか使い道無いんだし、詩乃ちゃんと暮らす家に妥協はしたくないんだ。」
そう言うと、目に見えて機嫌が良くなった詩乃ちゃん。
結局、いくつか内見をし、決めたのは詩乃ちゃんの持ってきた物件リストの6つはランクが上の受付もいるタワーマンションの24階になった。
「出雲、朝ご飯出来てるわよ?ほら、早く起きなさい。」
「ん……」
朝7時、詩乃ちゃんに優しく起こされて起床する。家事はほぼ折半だが、少しだけ詩乃ちゃんが多い。最初は詩乃ちゃんが「全部私にやらせて」と言ってきたが、流石に悪いと思い折半にした。だが、少しだけ詩乃ちゃんが多い。詩乃ちゃんが全部決めたので、わかってやっていると思うが……まぁ、本人が望むなら良いだろう。
「早く起きなさいってば!」
「待って……後少し……」
「まったく……」
詩乃ちゃんが俺の上に跨り、唇を合わせる。最初はソフトだったが、キスされても寝ぼけ眼の俺を見て、更に激しく俺の唇に吸い付いて来る。
流石にこれは起きるので、詩乃ちゃんの肩を押して起き上がらせる。
「やっと起きたの?ご飯冷めちゃうわよ」
「……あぁ、うん。わかった。」
詩乃ちゃんは真顔のまま、唇から垂れる俺のか詩乃ちゃんのか分からない唾液を手で軽く拭きながら、ベッドから起き上がってキッチンへ向かって行った。
慣れてはいるが、この幸せは慣れそうにないし慣れたくはない。詩乃ちゃんみたいな美少女に、毎朝おはようのキスをされるのは。
俺もベッドから起き上がり、寝室からリビングに移動し2人暮らしにしては少々大きい机の前の椅子に座る。
寝室とベッドは共用、夜は一緒に寝ている。
部屋は余っているので、別で寝ようよと提案した事があるが、マジで、アレはやばかった。貞操云々の前にやばかった。語彙力が落ちるレベルで。ヤンデレ目でなんか色々言われた。ごめん記憶の端に追い込んだからよく覚えてないんだ。
「いただきま〜す。」
「ん。いただきます。」
朝ご飯を食べ、食べ終わったらベッドで横になる。今日の洗い物当番は詩乃ちゃんなので、僕はゆっくり……
「……洗い物は終わったの詩乃ちゃん?」
「えぇ。」
洗い物が終わったらしい詩乃ちゃんが、ベッドにスルスルと入ってきた。少しだけ濡れた詩乃ちゃんの手が、俺の頬に触れる。
「ダメ。」
近付いてくる詩乃ちゃんの唇に手を当てる。
「……まだなにもしてないじゃない。」
「キスするつもりだったでしょ。」
「嫌なの?」
「嫌じゃないけどさ……少し自重して欲しいかな。四六時中して飽きないの?」
「貴方さえいれば飽きないわよ。何処で何やっててもね。」
うーん。嬉しい。嬉しいんだけど、愛が重い。潰れそう……
ヤンデレも詩乃ちゃんも嫌いじゃないから、いいんだけどね。
しばらく2人でベッドに横になり、お互いの体温を感じ合う。詩乃ちゃんがやたら体を俺の体に擦ってくるのだが、気にしないでおこう。あ、ちょ、ここではやめて。
二度寝し、起きたら手が、縛られていた。なんてこった*1。
時計を見れば、現時刻は11時程。外はまだ明るいが、カーテンが閉められ電気は消され、部屋の中は少し薄暗い。
「出雲が悪いのよ。」
何処からか現れた詩乃ちゃんが、ベッドの横に立っている。自然と、額に汗が垂れ、縛られた手足を外そうと動かす。
「無駄よ。簡単には取れないよう縛ったわ。」
「……なんで、とは、聞く必要は無い?」
「わかってるならね」
あぁ〜……
率直に言おう、俺は無事だ。目立った傷もないし、強いていえば、ロープの痕が少しある程度。
あの後、案の定詩乃ちゃんは俺の貞操を奪いに来た。このままじゃやばいと思ったので、「手だけ外して貰える?」と頼んで外して貰い……
セックスしました*2。
仕方ないよね。愛する人と2人屋根の下、何も起きない訳もなく……という事である。
しかし、主導権は終始こちらが握っていた。
まだ初な心のある高校1年生と、前世ありの現世高校1年生だと、いくら相手がヤンデレだろうと人生経験の差で俺の方が優勢。
詩乃ちゃんが服を脱ぎ、いざ行為となった所で詩乃ちゃんの動きが止まったのは助かった。止まったというか、ヘタレたというか……
……ヘタレた詩乃ちゃんは、攻めから一転して守りに入る事になった訳だ。あの時はあれ以外選択肢はないように思えたんだよ……手荒いのは嫌だし……
ちなみに、避妊具は詩乃ちゃんは用意がなかったが、俺はしっかり用意して部屋に隠しおいて置いた。こういう時のために。
いやー、1回だけ、付けなかったんだけど……大丈夫だよな?
「んん……」
俺の横で服を着ずに眠っている詩乃ちゃんが、起きたようだ。外はもう暗い、このまま朝まで寝てて欲しかったよ。
「出雲……?」
「何?詩乃ちゃん。」
頭を優しく撫でてあげると、顔を真っ赤にして毛布を被ってしまった。こいつめ、キスは恥ずかしくなくても、行為に及ぶとなるとやはり恥ずかしいか。
「……今度は、私が動くからね。」
「あぁ〜……アハハ……」
高校が始まった。
つい先日、高校の入学式を終え、今日から本格的な授業が始まる。詩乃ちゃんと同じ家、同じ部屋に住んでいるので、遅刻はしない。羨ましかろう。
「……同じクラスじゃないじゃない。」
「そうだね。ちょっと痛いから腕の力緩めて。」
俺はB組で、詩乃ちゃんはA組。家から絡めてた腕が、優しく包んでいたのに、クラスが違うのを見ると強くなった。俺に当たって貰っても困る。このままじゃ教員室に突撃して直談判しそうなので、俺から止めておくよう伝えると、渋々と言ったように了承した。するつもりだったんだね。
「あ、詩乃ちゃん。」
「何?」
クラスの前で名残惜しいが別れる直前、もう1個伝える事があった。
「クラスのみんなと仲良くね?」
笑ってそう伝えると、苦虫を噛み潰したような顔になった。表情から「嫌だ」って感情がひしひしと伝わってくるが、目で訴えると小さく頷いた。
その日の放課後、校門で詩乃ちゃんを待っていると、詩乃ちゃんが走ってきて、俺の背中に隠れた。
「どうしたの?」
「……」
詩乃ちゃんが指差す所を見ると、1人の男の子が走ってくるのが見えた。その人は初対面だったが、見知った顔だった。
原作ヤンデレくんこと、新川恭二くんである。
「待って……速い……」
「何度言えばいいの?付いてこないで。」
「いや……だから、」
「話し掛けないで。」
あっ……*3
「ごめんね、名も知らない君、ちょっと待ってて?」
詩乃ちゃんを連行。なにか言いたそうな新川くんを校門に待たせ、近くの曲がり角を曲がった所の壁に詩乃ちゃんを押し付ける。
「……」
「……」
「……んっ。」
「なんでそ〜なるの。」
壁ドン(壁に手を付いている訳では無いが)して、詩乃ちゃんの約束を破った*4弁明を聞こうと思い黙っていると、真顔で唇を突き出してきたので、手で抑える。
「悪かったわよ……でも、私のせいだけじゃないわ。彼も彼よ。話を流したのは悪かったけど、肩を掴んでくるんだもの。」
「そこら辺はしっかり本人と話そうね?だから、真っ向から否定するのはナシ。OK?」
「……わかった。」
原作で、詩乃ちゃんと新川くんのファーストコンタクトは、たしか図書館だか図書室で銃の資料を見ていた詩乃ちゃんに新川くんが話しかけていた……という感じだ。でも、原作詩乃ちゃんだろうと「いきなり話しかけて、流したら肩を掴んできた」なんて混乱するだろうし。理由にもよるが、仲良くなる確率は低い。
校門に戻る。新川くんはしっかりと待っててくれていて、僕らを見つけて安心した顔をした。
「よかったー。帰られたかなーと思っちゃったよ。」
「そんな事はしないさ。それで、詩乃ちゃんになにかようなのかい?」
「いや……これ。」
新川くんの手に持っていたのは、生徒手帳。そこに記された名は「朝田詩乃」で、ハッとした詩乃ちゃんがカバンを漁っている。
「……」
「詩乃ちゃん?」
「ごめんなさい……」
落し物を届けてくれただけのようだ。新川くんに礼と謝罪をすると、どもりながらも「どういたしまして」と答えてくれた。原作では危険型のヤンデレなので、まだ付き合っていっていいのかわからないが……
というか、詩乃ちゃんは授業初日からよく生徒手帳落とせるなぁ……
「落し物届けてくれただけじゃないか?」
「うっ……」
「まぁまぁ……僕は大丈夫なので……」
新川くん……その笑顔だと、ますます好青年にしか見えないよ。「アサダサンアサダサンアサダサンアサダサン」は何処へ?
だかしかし!新川くんにはあまり関わらないでおこう。原作で新川くんが詩乃ちゃんにどんな事をしたのか、忘れた訳では無い。ぶっちゃけ今の新川くんみたいな好青年な子は好きなので、是非友達に欲しいのだが、そのメリットを含めてもデメリットの方が大きすぎる。最悪の場合、死人が出る。
……死ぬのは新川くんの方なんだけどね。言っちゃ悪いが、新川くんが詩乃ちゃんと戦っても詩乃ちゃんが勝つ気がする。なんかこう、意思的な問題で。
「えーっと……生徒手帳、ありがとね?」
「は、はい。」
帰ろう。今すぐ帰ろう。幸い、新川くんはまだ詩乃ちゃんに対してそういう感情はないらしい。一目惚れとかされてたら、危なかった。主に新川くんの命が。
「あ、その前に……名前、教えてくれませんか?」
これ、あの、神の力とか働いてないよね。無理矢理にも新川くんと関わらそうとしてない?絶対嫌だよ。友達になんてならないからね!ツンデレとかそういうんじゃなくて!
「僕は、新川恭二。よろしく。」
「……柊出雲、だよ。こっちは朝田詩乃。今年入学したんだよ。よろしく。」
うん、それじゃあ永遠にさようなら。
15歳ならセックスぐらい知ってますよね?って開き直って明言しました。ちっ。反省してまーす。