【リメイク版】不遇な朝田詩乃に寄り添いたい。 作:ヤン詩乃ちゃん( _´ω`)_
朝田詩乃を祝いたい。
皆さん、明日は大イベントだ。
明日は8/21日、そう!詩乃ちゃんの誕生日なのだ!俺の誕生日でもあるがどうでもいい。
なので、今日は詩乃ちゃんの誕生日プレゼントを買おうと思う。何を買うかは決めてないが、とりあえず近くになんでも揃ってそうな「いかにも!」って感じのショッピングモールがあったので、そこに来てみた。こんなのあったっけ。
もちろんの事だが、詩乃ちゃんは付いてきていない。今は夏休みだが、そんな事お構い無しに毎朝6時に起こしてくる。自分で言うのもなんだが、朝が絶望的にダメな俺は、もちろん6時前に起きて来るなんて不可能である。
ので、徹夜した。物凄く眠い。でも詩乃ちゃんの為ならばとがんばりました。まる。
しっかし、何を買おうか。原作詩乃ちゃんが付けてたような髪飾りは、既にあげてしまったし。【事件】の年ではあの髪飾りは付けていなかったが、今の年でもとても似合っていた。やはりあげて正解だったな。
……話が脱線してしまったな。何をあげればいいか、だったか……この際、詩乃ちゃんが何が欲しいかを考えるのはやめにしよう。考えたってわからない。原作詩乃ちゃんはGGOと読書を抜けばほぼ無趣味だったからな……本でもあげればいいのか?いや、それはなんか嫌だ。それに俺程度が「面白そう」なんて思った本は、既に読んでいるだろうし。
あー。このスマホがもう少し使えたらなぁ。まだ普及して間も無いし……入手は簡単だが、ネットサイトがまだ充実してない。
嘆いていても仕方ない。まずはショッピングモールを回って、いいものが見つかったら、それを買うとしよう。
ない!
俺の今の所持金で買えて、尚且つ詩乃ちゃんが喜びそうなものが!服もアクセサリーも高い!いつかは買ってあげたいけど、今は所持金が……うぅ、中学生辛い……
いや本当はお金あるんだけど……表に出せないお金というか……殆どが電子マネーなので、
「……ん?」
そこで俺の目に止まったのが、とある花屋。ショッピングモールの出入口にある、小さな。
……花。花かー……花って結構高いんだよなぁ……でも、もうこれくらいしかないかな?流石に大きな花束なんかは買えないが、2本か3本くらいのなら……?
「あの、すみません」
「はい?」
店員のお姉さんが、こちらを向く。うん、可愛いけど、詩乃ちゃんには及ばないな。
店員に、女性用にいくつか花を見繕ってくれるように頼むと、
「彼女さんにプレゼントですか?」
と聞かれたので、少し悩んだが、はい。と答えておいた。そしたら、3本の、それぞれ別の花を見繕ってくれた。とても綺麗だが、何の花かは知らない。
うーん……これは薔薇か?
「あの、この花はなんですか?」
「あぁ〜……恋人さんにあげるのに、最適のお花ですよ」
と言って、教えてくれなかったが、まぁいいだろう。明日、これを渡せばいい。
その後家に帰り、花をバレないように保管する。切り花は長持ちしないと言うが、1日程度ならば大丈夫らしい。しっかりと世話をすれば、長持ちするとも言っていたな。
明日が楽しみだ。
翌日の朝、詩乃ちゃんよりも早く起きて逆に詩乃ちゃんの部屋に突撃……出来たら良かったのだが、生憎6時起きの詩乃ちゃんよりも早く起きれるわけもなく、昨日の徹夜も重なり……
いや、間に合ったよ起きるの。ギリ。今日も今日とて詩乃ちゃんに突撃されましたが。
「……今日はもう起きてるのね」
なぜだか残念そうな顔で部屋に入ってくる詩乃ちゃん。気にせず、俺は隠しておいた花を取る。午後からは、普通に遊んだり、家族団欒したりあるだろうしさ。
「詩乃ちゃん」
「何?」
「誕生日、おめでとう!」
さっと、後ろに隠していた花束*1を出す。驚いたような顔をして、そのまま固まる詩乃ちゃん。
何も問題ないよね?大丈夫だよね?何も喋らないから不安なんだけど……
「……これ、私、に?」
「う、うん。そうだけど……誕生日でしょ?」
「そう……そぅ……」
泣き出した。どうしよう……はっ!な、泣かせるつもりは無かったんだ!許してくれ!やっぱり俺なんかが、花束なんて物をあげちゃダメだったって事かな……!?
「えっと……大丈夫?」
「大丈夫……嬉しくて……ありがとう、大事にするね……!」
あぁ……喜んでくれて良かった。
さっきのが喜びの涙だと知った俺は安堵し、胸を撫で下ろす。
詩乃ちゃんが、その手に持つ花束を折らないように、優しく持ちながら俺を真正面から抱き締める。
いつもなら力強く抱き締めてくるのだが、今回は優しかった。力強くすると花が折れちゃうからね。仕方ないね。やっぱり俺は優しく抱き締められる方が好きかな。
その後、抱き締めるのをやめた詩乃ちゃんは、足早に自宅家へ帰っていった。切り花は管理が大事って事を知っていたようだけど……中学生にしては博識だよなぁ……
8/21、今日は彼の誕生日……私は変わらず彼を起こしに行く。
だが、今日は珍しく彼が既に起きていた。彼の寝顔を拝めないのは残念だが、まぁいい。その分長く彼と会話出来るから。昼になったら少し帰って1人でお菓子を作って彼にプレゼントとして渡すんだ!お母さんは見守ってて。
……?何をごそごそしているのだろう。
「詩乃ちゃん」
満面の笑みで私の顔を見る彼のその姿に、私の胸が高鳴るが、もう表に出す事は無い。帰ってからが大変だが。
「何?」
「誕生日、おめでとう!」
……言葉も出ない。ただ私は嬉しくて、涙が流れた。今まで、 彼には色々な物を貰った。目に見える物から、目に見えない物まで……毎回毎回、何かを貰う度に、私は堪らない程嬉しくなる。嗚呼今すぐ帰ってなにかあげたい。形あるものを……でも、お菓子作るつもりだったから、用意が……うぅ。
「……これ、私、に?」
「う、うん。そうだけど……誕生日でしょ?」
「そう……そぅ……」
思わず問いかけるが、やはりこれは私への誕生日プレゼントで間違いないようだ。もう嗚咽でまともに喋る事も出来ない。
「えっと……大丈夫?」
心配そうな顔を向けてくるので、花を受け取って彼を抱き締めて安心させる。少しづつだが、声を発する。
「大丈夫……嬉しくて……ありがとう、大事にするね……!」
お礼も忘れずに、ね。
そのまま数分抱き締め、名残惜しいが離れて急いで家へと帰る。早く花瓶にささなければ……
貰った花は、白いカーネーション、赤い薔薇、アイビーの3本。
花言葉は、左から【純粋な愛】【愛情】【永遠の愛】……恐らくだけど、知ってて選んだのではないだろう。彼は花言葉で告白するようなロマンチストではないから。私はよく知っている。
翌日、慌てて花を買いに行った私は、ガマズミとアジサイとイカリソウをあげた。彼は喜んでくれたようで、私も嬉しくなった。
「誕生日にあげたのに翌日お返しを貰うなんて、変だね」
「1日遅くなっちゃったけど、私からの誕生日プレゼントよ。本当はお菓子にしようと思ってたんだけど……花貰っちゃったから、花でお返ししようと思って。」
「うん……それで、なんでこの3本なの?」
「……なんとなくよ。綺麗でしょ?」
「うん、そうだね。本当にありがとう、詩乃ちゃん!」
【小説情報】
ガマズミの花言葉は意「見捨てたら自殺する」
アジサイの花言葉は意「貴方は冷酷で美しい」
イカリソウの花言葉は意「貴方を絶対に逃がさない」