【リメイク版】不遇な朝田詩乃に寄り添いたい。   作:ヤン詩乃ちゃん( _´ω`)_

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レンがGGO始めた時期は明確な記述が無かったので、自己設定です。


朝田詩乃と第3回B.o.B本戦開始。

 明日からB.o.B本戦が始まる。

 詩乃ちゃんと1発おっぱじまって少し体力が落ちているが、すやすや寝てる誌乃ちゃんを尻目に俺は再度アミュスフィアを被る。

 詩乃ちゃんにも秘密の「ひみつ道具」を手に入れる為だ。本当は前々から手に入れておきたかったが、詩乃ちゃんにバレるとマズイ。原作的に。だから、こんなギリギリで手に入れる必要があったんですね。

 

「リンクスタート」

 

 お馴染みの挨拶を小声で唱えながら、俺はGGOへとログインした。

 さて、早速ひみつ道具の回収だ。と息巻いて砂漠フィールドへ向かう。ふんふふんふふーん♪と鼻歌歌いながら歩いていると、物陰から小さな影が飛び出す。咄嗟の事で反応が遅れたが、避けるのは無理と判断し、相手の両手を掴む。

 相手の両手にはVz61スコーピオンが握られており、まさにその銃口が俺の頭に向くところだったと思うと冷や汗をかく。

 

「はなせー!」

 

 両手を掴んだまま宙ずりにするように持ち上げると、小さな影はジタバタと暴れ始める。声からして女の子だろうか。

 

「嫌だよ。離したら殺すでしょ」

 

「殺さない!から!」

 

「うそつけ」

 

 今でも少しでもスコーピオンの銃口を俺に向けようと手首をギチギチに動かしている奴がよく言うわ。

 

「はーなーせー!」

 

「ん〜……このまま圏内まで連れてくのもなぁ……(初心者のPKってとこかな……)本当に殺さない?」

 

「殺さない!」

 

「じゃあ離す」

 

 パッと手を離したら、ぶべっと顔面から着地する女の子。むくりと起き上がり、鼻をこする。

どうやら本当に殺す気はなさそうだ。

 

「君、凄いね。全然気が付かなかったよ」

 

「止められた方に言われましても……」

 

「あっ。最近噂の砂漠のPKプレイヤーって君?討伐隊組むとかって話もあったけど」

 

「えっ!」

 

 どうやら知らなかったようだな。本気で驚いてやがる。

 しっかしウワサの【砂漠の悪質PK野郎】とまで言われてたのがこのちびっ子だとは到底思えんな。

 

「そろそろ潮時かな……」

 

 肩を落としてスコーピオンを背中に仕舞うちびっ子。

 

「でも戦法は悪くなかったよ。相手が悪かっただけで」

 

「それ自分で言います……?」

 

 トッププレイヤーだもの。速さにかまけた初心者プレイヤーに悪質戦法とはいえ負ける気はしないね。

 その後その子のPKを辞めるように言ったり、使ってる武器に関して説明した。

 詳しくは同じ同性プレイヤーのシノンちゃんから聞く方が相手も緊張が解れるだろうと、早めに話を切り上げる。

 

「今度俺の彼女と一緒に武器見に行かない?数日はB.o.Bで忙しいけど、その後なら」

 

「……いいですけど……なんでそこまで?」

 

「ん〜……女の子には優しくってばっちゃが言ってたから?」

 

「適当!?」

 

 そしてフレンド登録をして、この場を離れる。

 まだやる事やってないしな。

 そうして、単独で砂漠フィールドを抜け、荒々しい荒野フィールドに降り立つ。その中心とも言える場所に聳え立つ禍々しいタワーを見つめる。

 ここは既に発見済みのダンジョンだが、まだ未攻略のダンジョンだ。まぁ、攻略する気は無いが。

 タワー1階、入口から数十メートル先の小さな小部屋に入ると、一斉にモンスターがPOPする。所存トラップ部屋である。

 俺がP90(P)を入手した時みたいに、延々モンスターがPOPし続けるド鬼畜仕様ではないが、最近発見された極一部のルートでしか回ってないルートがある。今日はそこ目当てで来た。

 軽く数十体をナイフだけで捌き切れば、部屋の扉が開き開放される。が、まだだ。

 10分程その場で待っていると、前触れもなく地面が消失し、ダストシュートの如く地面を転がる。落ちた場所はひっっっっっっっろい部屋。所々朽ちた柱や何かの機械の残骸が転がっている。

 

ピピピ

 

 そんな音がして、部屋の至る所で青い光が灯る。

 又ひとつ、又ひとつとついて行くその光が、レーザーサイトの如く俺を貫き、標準を合わせてくる。

 遠くでは、何本も足のある機械型モンスターが立ち上がり、同じように目を光らせる。

 

「ここを()()でクリアする……何処の勇者だよ……嫌になるな」

 

 そう零し、固定型機械モンスターの目から飛んできたレーザーを避けるため、横に走り出す。

 

 長いダンジョン攻略の始まりだ。

 

 

 

 

 

「おはよう」

 

「……おは」

 

 少し身体をひねり、昨日のひみつ道具回収の疲れを取るように伸びをする。少し寝不足だ。あれから大変だったが……目的のものは手に入れた。後はどう使うかだ。

 

「元気ないわね。今日、B.o.Bよ?あんなに楽しみにしてたじゃない」

 

「まぁ……ちょっとね」

 

 朝ご飯の支度の為に部屋を出る詩乃ちゃんを尻目に、もそもそと着替えを始める。流石に本戦直前に取りに行くのはやりすぎたか。強者達との5連戦の後だったしな……集中力も切れかかってた。あの小さな女の子にやられてた可能性もある。もっと余裕を持つべきだな……色々と。

 

 朝ご飯を食べ、ベットで詩乃ちゃんを抱き枕に疲れを取っていると、あっという間にB.o.B本戦の時間になる。

 時間だね。なんてお互い呟き合い、アミュスフィアを被る。

 ふぅ。と一呼吸置き、いつもの言葉で世界へ入る(ダイブする)

 

「「リンクスタート」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 既に会場は大熱狂。

 B.o.B本戦に出場を決めた猛者や、それを観戦するギャラリー達で埋め尽くされていた。

 キリトくんの姿はまだ見えない。

 B.o.B本戦開始ギリギリまで姿を見せなかったもんだから、俺と詩乃ちゃんが入ってきた瞬間ドッ!と会場が湧く。

 

「期待してるぜー!」

 

「俺はUNCHAINに賭けたんだから負けんなよー!」

 

「シノンちゃん愛してるー!!!」

 

 最後のやつだけちょっと表出ろや。

 とまぁまぁ、茶番もそこそこに、と思っていると、後ろからトントンと肩を叩かれる。

振り向くと、顔面にリアルだったら取り返しのつかないタイプのタトゥーを入れた粋な女性が立っていた。

 

「やっほー。久しぶりーシュウくん、シノンちゃん。」

 

「……は?私、貴方みたいな知り合い居ないけど。」

 

「グサッ!心にくるわー。私よ私、ピトフーイ!予選でも会ったじゃない!昔なじみを忘れないでよねー」

 

 あぁ……と少し納得したような顔をするシノンちゃん。

 俺はと言うと……

 

「…………………久しぶり?俺の知り合いにこんなタトゥー…………あぇ〜……もしかして……スコードロン荒らしのピトフーイか?」

 

「ピンポーン!せいかーい!!スコードロン荒らしって言われるのはちょち心外だけどー」

 

 ピトフーイはGGO初期の頃少しだけ遊んだ事のある女性プレイヤーだ。フレンド登録もしてないからすっかり忘れてた。当時はこんなド派手なタトゥー入れてなかったし。

 スコードロン荒らしとは、このピトフーイの通称というかなんというか……プレイスタイルが壊滅的なのだ。チームで動けないとも言う。味方を盾に使うのは当たり前、自爆覚悟の特攻なんて日常茶飯事。そんな()()()()()GGOプレイヤーを好き好んでスコードロンに入れたい物好きはない。

 最初は積極的にピトフーイがスコードロンに入っては追放されを繰り返していたが、いつしか話を聞かなくなったな。辞めたのか、単純に受け入れてくれるスコードロンが無くなったのか……

 ちなみにスコードロンとは、ファンタジーゲーム世界で言うギルドやファミリー、クランみたいなものだ。同じタグを身に付けたり、名前にスコードロン名を入れるなんて本格的な奴もいる。

 俺の知り合いのスコードロンで言うと、【メメント・モリ】というチームが居る。結構仲のいいスコードロンで、何度か勧誘も受けたが、シノンちゃんとタッグチームでやっていくスタイルを崩す気は無いよと断っている。しかしこれまたチームリーダーが良い奴なのだ。気さくで陽キャで大人でイケメンアバターと来た。数少ないフレンドリストの仲間である。

 

閑話休題(話が脱線した)

 

 さて、なんで予選敗退のピトフーイがこの場にいるのだろうか。シノンちゃんにやられたようだし、恨み言のひとつでも吐きに来たのか?と伝えると

 

「まさかそんな!B.o.B本戦に出場出来なかったのは悔しいし、そのストレスもあるけど、もう()()したから何も言うことないよー。まぁ、今のGGOの強豪プレイヤーのレベルを知りたくて?かな?ちょうど昨日今日暇だったのもあるけど」

 

「そりゃ良かった。シノンちゃんに恨み言を言うようならそのド派手なタトゥーが血で染る所だったよ。それにしても久しぶりだねぇピトフーイ。最近は噂も聞かなくなったし、辞めたと思ってたよ」

 

 そんな軽口を叩くと、

 

「私がGGO辞めるわけないジャーン!こんな楽しい世界他にないよ!」

 

 手をひらひらしてケラケラ笑いそういうピトフーイ。

シノンちゃんが呆れたような顔で俺の手を掴み、会場内へ引っ張る。

 

「あっそ。そろそろ本戦だから私達行くわね。じゃあねピトフーイさん」

 

「冷たっ!氷の狙撃手の名は伊達じゃないわー。ま、頑張ってね!私も2人に賭けるから!」

 

 投げキッスをして、俺達の横を足早に通り抜け会場内へ入っていくピトフーイを見届けながら、シノンちゃんのジト目を横から感じる。

 

「……私に話してない女の子の知り合い、まだ居たんだ?」

 

 今朝、ちょっと前に会った(事にした)小さな女の子プレイヤー*1の話をしたからか、少し嫉妬してくれているようだ。

 

「い、いやいや。ピトフーイとはそんな仲良く無かったし。シノンちゃんに紹介する前に縁切れちゃうくらい短い縁だったし!」

 

 そんな言い訳をしながら、会場の所々に居る知り合いを尋ねる。

 

 あっ話をすれば、じゃん。

 

「よォデヴィット!久しぶりだな!本戦出場おめでとう!」

 

「おめでとう。デヴィット」

 

「あぁ。ありがとうシュウ。シノン。」

 

 先程話に出てきたメメント・モリのリーダー、ドクロのエンブレムを仲良く揃えた6人組みの纏め役に話し掛ける。彼の名はデヴィット。ダビドと呼ぶと怒るので言わないが、たまに揶揄いで呼ぶ事もある。どうやら本戦出場したらしいことはメッセージで受け取っていたので、出場を喜ぶ。本戦が始まればライバルだが。

 

「俺達は今回も予選敗退ッスよー」

 

 そう言うのはメメント・モリのチームメンバーのケンタ。某フライドチキン店の名前から取ったらしいが良くチキンチキンと揶揄われるらしい。先陣を切るアタッカーなんだがなぁ。

 

「まぁまぁ。ケンタもジェイクもどんまいどんまい。また機会があるって」

 

 他メンバーにも多少声を掛け、席を離れる。

すると

 

「俺に勝ったからには優勝しろよ」

 

 唐突に目の前に現れたのはパスト。怖いよお前……。

 

「あ、あぁ。パストには世話にもなってるしな……優勝して弟子として不甲斐ない姿は見せねーよ」

 

「それでいい」

 

 それだけ言って人混みに去っていく。何が言いたかったんだパストは……

 

 予選で相対した緑髪のスナイパーちゃんも見掛けたが、声はかけないでおいた。面識もないし、シノンちゃんも居るし、勝者から敗者に言うことも無いし、無視でいいか……

 

「やぁ」

 

「シュピーゲルくん。」

 

 いつもの愛想のいい笑顔で、シュピーゲルくんと会う。昨日はログアウトした後はリアルのメッセージアプリで少しやり取りしたくらいで、死銃関係の話はあまりしていない。

 ただ気になったのは、その中で「柊くんと朝田さんなら心配ないよ。」と言っていた事。

 前も言ったが、99%新川くんは死銃だ。その死銃が「心配ない」と……?

 

「昨日も言ったけど、大変な事になってるね。」

 

「まぁな。緊張するよ。」

 

「アハハ。そんな風には見えないな。」

 

「してるさ。」

 

 そんな他愛ない会話をしていると……

 

「シュウ、シノン。」

 

「おや、キリトくん。」

 

 キリトくんが俺達に話しかけてくる。

 まぁ、大会前に色々擦り合わせなきゃいけない事は多いからな。

 

「大会が始まったら、まずはどうにか集合したい。何かいい案はあるか?」

 

「B.o.Bは15分置きに【サテライト・スキャン】っていう参加者の位置情報が全員に通知される機能があるんだ。最初のサテライト・スキャンまではどうにか生き残って、スキャンされたらキリトくんの位置に集まろう。」

 

「了解だ」

 

「シノンちゃんもそれでいいね?」

 

「まぁ、シュウとキリトと公式戦で戦えないのは業腹だけど……まぁいいわ。今更どうこうするつもりないし。」

 

 そうこうしているうちに、本戦開始のブザーが鳴り響き、本戦出場者は順々に待機エリアに飛ばされる。

 

「じゃ、みんな頑張ろう」

 

「えぇ。」

 

「あぁ……」

 

「頑張ってね、シュウ、シノン。キリトさんも。」

 

 そして、待機エリアに飛ぶ。

 待機エリアで装備を整えていき、背中にナイフとP90(P)を、腰周りに8本のマガジンを実体化する。今回持ってきたマガジンはこの8本と本体に装着した計450発しか持って来て居ない。

 追加で、【ひみつ道具】をストレージの中に忍ばせる。これが中々重い。Pー90(P)よりも重い。サブマシンガンのくせにマガジンが少ないのはこれのせいでもある。

 それもこれも、俺の筋力値が低いせいなのだが。

 準備を終え、フィールドに飛ばされるのを待つ。

 大きく表示されたタイマーが残り10秒を指した時に、すぅっと深呼吸をし、後は自分を信じるのみ。

 このB.o.Bで、死者は誰1人出さない。

 誰1人……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フィールドに飛ばされ、目を開くと見渡す限りの砂漠だった。これは……GGO編最終回でキリトくんと死銃が戦った場所だな。最初っからクライマックスとまでは行けないので、最初のサテライト・スキャンまでにもっと入り組んだ場所に移動しなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私が飛ばされたのは森の中だった。

 スナイパーとしてはこの上ない不利な地形だ。高い所に上ってまずは視界を確保しよう。そう思い、周囲を見渡すと、いい感じの塔を見つける。B.o.Bではまず1km四方に敵はスポーンしない筈だから、その塔に素早く登り、視界を確保する。

 どうやら森は中々の広さらしい。このまま森の中の塔の上で、視界が悪い中周囲を索敵するか、素早く好立地な場所に……ここからなら、南の方向の廃墟ビルが立ち上るフィールドに移動するか悩む。さて、どうするべきか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 死銃を止められるか。

 そんなプレッシャーの中、始まったB.o.B……優勝なんてどうでもいい。いや、本気で狙いはするが、まずは死銃だ。菊岡さんの依頼を達成しなければ。

 周りは神殿のような教会廃墟のど真ん中だった。祀られている女神像には苔が生えており所々欠損も見える。

 サテライト・スキャン端末を取りだし、現在地を確認する。どうやらマップ最北端のまぁまぁデカい神殿跡スタートのようだ。

 まずは生き残り、シュウとシノンと合流する所から始めなければ。

 1km四方に敵はいない。とルールブックには書いてあったが、もしかしたら1km先に死銃が居るかもしれない。死銃はあのぼろマントから姿を変え、俺には死銃だと認識出来ない姿で現れるやもしれない。

 

「クソッタレ……」

 

 悪態を吐き、サテライト端末とにらめっこしながらマップの地理を頭に叩き込み、次の手を考える。

 

「どうする。考えろ。考えるんだキリト……死銃は……死銃は何処に居る……!?」

 

 そんな焦りの言葉は、キリト以外誰もいない教会の虚空に吸い込まれた。

*1
最も、中身は女の【子】かは別だが野暮だ。




ひみつ道具はリメイク前から存在してましたが、結局登場前にリメイク版を投稿し始めたので、まだ出てません。
第3回B.o.B編終盤辺りに出す予定です。
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