【リメイク版】不遇な朝田詩乃に寄り添いたい。   作:ヤン詩乃ちゃん( _´ω`)_

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シノンは原作通りSTRーAGI型ですが、原作よりやり込んでいるので基本ステータスが原作より高いです。
パストとシュウのお陰でプレイスキルも高いです。


朝田詩乃と死銃 その1

 私は森の中でサテライト・スキャン端末を取り出し、前回のスキャン結果を表示する。

 

「シュウもキリトも北部に居る……私だけ南側か。」

 

 端末をしまい、合流する為に北部へ向かう。

 距離は中々あるので、合流するまでにいくつか戦闘が起きそうだ。そのままへカートⅡを背中に担ぎながら、MP7を持ちマップ北部に向かって走り始める。数分して廃墟群に入るが、未だ接敵はしていない。

 

「ッ!」

 

 ピンッと視線を感じ、勘でその場から勢い良く飛び退く。その直後、私のいた場所に弾丸が着弾する。激しい砂塵が舞い、私の周りが砂塵で見えなくなる。

 

「(ライフル……?私のへカートⅡに比べたらお粗末な威力。射撃音から着弾までの時間で距離は約200m。かわせたのは奇跡ね。)」

 

 近くの物陰に隠れ、MP7をしまってへカートⅡを取り出す。

 音のした方向に向かって視線を向けると、丁度予想した通り200m程の距離で車のドアの窓からこちらを見ている男性プレイヤーが居た。

 空中でへカートⅡを構える。

 相手の弾道予測線が、こちらの頭を射抜く。同時に相手の頭に標準を合わせ、速射重視の弾道予測線なし射撃で撃つ。相手のマズルフラッシュと同時に、こちらのへカートⅡも光る。

 同時に放たれた弾丸は、空中でぶつかり合い、相手の弾丸が私の頭の上を飛んでいく。私の相手の頭を狙っていた弾丸は、そのまま相手の頭を貫いた。

 弾丸同士がぶつかりあった時、ぶつかり合った弾丸の大きさで弾丸の着弾の差異が浮き彫りになる。へカートⅡは対物ライフルの中でも最上位の弾丸、12.7mm NATO弾を使用している。その為、空中でぶつかり合った相手の弾丸は大きく逸れ、私の弾丸は狙いから殆ど外れなかった。

 《Dead》の文字を見に行くと、小太りの首なし死体とウィンチェスター・ライフル、テンガロンハットが落ちていた。

 

「ふぅん。こいつはギャレットね。」

 

 武器と装備から、頭の中でプレイヤーの引き出しから相手を特定する。確か第2回B.o.B11位の男だった気がする。使っている武器から格好まで、何から何まで【保安官】っぽい格好をした所謂【ナリキリ】をしている浪漫プレイヤーだ。しかし、第2回B.o.Bも第3回B.o.Bも本戦出場している所を見るに、浪漫と実用性を合わせているのだろう。

 

「さて……」

 

 ギャレットの体からとある装備を剥ぎ取り、腰に付けておく。

 そしてまた暫く廃墟群を走っていると、レンタバギーとレンタルロボホースのある場所を見付ける。

 

「下手に走って行くよりはいいわね。」

 

 レンタルロボホースに乗り、手をかざす。すると、ヒヒーンと気持ちのいい声を上げ、馬がかける。乗り方なら練習済みだ。

 ロボホースが道路に走り出て、そのまま廃墟群を抜け、森に向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!キリトくん!」

 

「シュウ!」

 

 森の中を歩いていると、苔むした神殿でキリトくんと出会う。どうやらあまり移動していなかったようで、先程サテライト・スキャンでキリトくんが居た場所から殆ど移動していない。

 

「2回目のサテライト・スキャンまでに見付かって良かったよ。シノンちゃんは少し遠いみたいだから、まだここに来るまでは時間かかるかも。」

 

「そうか……分かった。ところで、シュウはエンフォーサーって知ってるか?」

 

「ん〜んん……知ってるっちゃ知ってるよ。俺、GGOやる前はDAO(ドゥアート・オンライン)っていうMMORPGやってたんだけど、そん時からの知り合いだよ。何?会った?」

 

「あぁ。まぁ変な奴だったが、悪い奴じゃなかったよ。」

 

 それはそうだな……アイツは変な奴だが悪い奴じゃない。

 

「なんか言われた?」

 

「同盟を持ちかけられたが、断った。」

 

「正解だな。アイツの戦いはチームプレイには向かない。ことGGOじゃそれが顕著だから。でもGGO自体良くも悪くも個人主義だし、エンフォーサーが正解なのかも。チーム戦の大会とかあったら共闘もありかもね。ま、要は馬鹿と鋏は使いよう。」

 

 そんな事を話していると、2回目のサテライト・スキャンの時間になる。お互い端末を確認すると、もちろん俺とキリトくんの位置は被っていて中央の廃墟群に《Dead》が1つ増えている。その他ポツポツと《Dead》の文字が浮かんでいる。

 そしてシノンちゃんが爆速で森の中を走っている。

 

「な、なんかシノン速くないか?」

 

「こりゃ馬乗ってるな。森だからバギーじゃない。踏破力も馬の方が高いし、シノンちゃんも俺も馬乗れるし」

 

「何処の貴族だよ。お前らスペック高くないか?」

 

「ゲームの、な。シノンちゃんとリアルで乗馬体験行ったことあるけど、マジで難しかったし、すぐケツ痛くなったからリアルじゃごめんだね。俺は中免持ってるけど車の免許は年齢的に取れないし、シノンちゃんもそう。キリトくんは?」

 

「あんまリアルの事話さない方がいいんじゃねぇか……?まぁいいけどさ。俺もシュウと全く同じだな。」

 

「ふーん。もしかして俺ら同い年?」

 

「う、うーん……俺は……今年で17、だけど……」

 

「え、年上やんけ!!」

 

「うそぉ!?」

 

 この時キリトは「年下をこんな危ない事に巻き込んでしまった」と少し後悔した。

 

「マジかよ……今から敬語使った方が良いっすか?」

 

「やめてくれ。今更だろ……」

 

「まぁ確かにそうだけど……」

 

「気にしなくていいんじゃないか?それにこれはゲームだしな。」

 

「死銃終わったら否が応でもリアルで会う事になりそうだけどな。」

 

「…………あー」

 

 確かにそうである。【死銃事件】は死者も出ている大きな事件だ。解決した暁には、協力者となったシュウとシノンの事情聴取も行わなければならない。必然、キリトとも顔を合わせるだろう。もちろん、菊岡誠二郎とも。

 

「シノンちゃん来るまで暇だねぇ。近くに人も居ないし……あっ終わった。」

 

 自身の周りに展開されていたサテライト・スキャン・マップに映し出された情報が消えていく。ボタンを押し、最終位置をもう一度表示する。

 

「このペースで行くと数分でシノンちゃんに会えるな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パカラッパカラッ。

 

「お待たせ。」

 

「あ、お〜い!シュウ!白馬に乗ったお姫様の登場だぞ!」

 

「あぁ!?」

 

 100m程遠くでお互い偵察してた俺とキリトくんだったが、先にキリトくんの方にシノンちゃんが出会った。

 

「チッ。」

 

「露骨な舌打ち!?」

 

 俺がキリトくんの方に駆け寄ると、俺が嫉妬するくらいの夫婦漫才をしていた。おいコラボケコラぶち殺すぞ。

 

「(!?)」

 

 ブルりとキリトくんが震えている。

 馬は1人用なので、少し離れた所に置いてへカートⅡの弾丸で破壊しておく。3人で居るなら完全に無用の長物だし、下手に利用されるのも面倒だ。

 

「シノン、シュウ。情報の擦り合わせをしよう。」

 

 先程のサテライト・スキャンの結果を改めて表示する。

 現状、生きていて死銃候補のプレイヤーは恐らく5人。

 【rurundo(ルルンド)

 【Sterben(ステルベン)

 【Purger(パージャー)

 【AAAAAA(ああああああ)

 【Pale Rider(ペイルライダー)

 以上の5人だ。予選4回戦目中盤で名が上がっていた

Death13(デス・サーティーン)】は予選で敗退したらしく、本戦には名が無かった。Sterbenは原作通りメタマテリアル光歪曲迷彩(オプチカルカモ)で姿を隠しているらしく、場所を特定出来なかった。

 原作知識でSterbenが死銃な事を知っている俺だが、どう伝えたものか……いや、伝えなくてもいいのか?俺がそれとなく誘導すればいい。

 

「キリトくんは誰かと交戦した?」

 

「俺はさっき話したエンフォーサーって奴だけだ。倒してはいない。」

 

「シノンちゃんは?」

 

「第1回B.o.B18位の47(フォーティーセブン)と第2回B.o.B11位のギャレットを倒したわ。」

 

「俺は中華風のアサルトライフル使いを1人。確か名前は夏侯惇だったかな。」

 

 ルルンドとパージャーは西、ペイルライダーは北東、AAAAAAは東に居る。シノンちゃんは南側にスポーンし、ちょうどこの4人の間をするすると通り抜けたらしい。特に中央からこの北部に来るまでの廃墟群と森は馬で踏破したから、道中シノンを数百m単位で見かけたプレイヤーが居ても、手出しは出来なかっただろう。

 

「次のサテライト・スキャンで俺達3人が同盟を結んでいる事は周りにバレるだろう。さっきは俺とシュウが戦っていると思っている奴の方が多いだろうが、15分経っても同じ場所にいたら流石にチーミングはバレる。頭のキレるやつなら、動きからして、シノンが加わる事もわかる筈だ。」

 

「俺達の目的は死銃の特定と、第3回B.o.Bを可及的速やかに終わらせる事。その為には、名前の知ってるプレイヤーも知らない5人のプレイヤーも等しく殺していく事が先決だ。まずは……」

 

 マップ北東の橋の近くにある2つのカーソルを押す。

 表示される名前は【Dyne(ダイン)】と【Pale Rider(ペイルライダー)】。

 

「コイツらを叩こう。」

 

「ちょっと待て。ステルベンはどこだ?Deadマークもないぞ。」

 

「スキャンに映っていないな……可能性は3通りある。」

 

「そんなにあるのか。」

 

「水の中か、洞窟の中か、アイテムによる隠匿ね。」

 

「アイテムによる隠匿?そんな事が可能なのか?」

 

「不可能ではない、というだけの話だ。海外本家でメタマテリアル光歪曲迷彩っていう自身を不可視化するマントが発見されたらしい。最も、ユニークではないらしいがな。取引所に登録履歴があった。今の出品数は0だが。」

 

「ステルベンはそれを使ってるかもしれないと?」

 

「可能性はあるだろうな。ゲーム内殺人なんて手の込んだ事やるくらいだ。光歪曲迷彩くらい持ってても不思議じゃない。」

 

「でも現実的じゃないわね。普通に考えるなら水の中か洞窟の中にいるはず……」

 

「そんな事でもこれは防げるのか。」

 

「あぁ、繰り返しになるが、サテライト・スキャンは水の中とか、洞窟の中とかのプレイヤーは表示されないんよ。ビルとか家とかなら中にいても表示してくれるけどね。設定的には空の遥か彼方にある衛星が生体反応を空からスキャンしてる、だからな。電気を通さない洞窟や分散する水の中なんかはスキャンしてくれないんだ。逆に、スキャン中にスキャン範囲内に居なきゃ、結果を受信できない。」

 

「なるほど……総数が参加人数と合わないのもそういう理由か?」

 

「恐らくそういった所に隠れてる奴らが一定数居るんだろ。プレイヤー一覧に名前は隠せんがな……っと、さっさと移動するぞ。そろそろペイルライダーとダインがかち合う所だ。ペイルライダーがもし死銃なら、ダインがヤバい。」

 

 そして、俺達3人は移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ペイルライダーとダインの勝負は既についていた。

 到着したら、ダインは《Dead》の文字に倒れ、ペイルライダーは立ち尽くしていた。

 俺は心の中で安堵した。まだペイルライダーは死んでおらず、死銃の脅威に……

 

 すると、無音でペイルライダーの右肩に銃弾が当たる。

 

「「!?」」

 

「(まずいな)」

 

 ペイルライダーは倒れたまま起き上がろうとしない。原作通り、アレはL115A3 サイレントアサシンの麻痺弾(スタン・バレット)なんだろう。

 

「今、銃声したか?」

 

「可能性としては、音の少ないレーザーライフルか、実弾ならサイレンサー付き……でもここまで無音なのは相当遠くからの狙撃の筈よ。」

 

「いや待て。アレを見ろ。」

 

 俺が指さす先を、シノンちゃんはスコープで、俺は単眼鏡で、キリトくんは双眼鏡で見る。そこに居たのは、ぼろマント……間違いない。第3回B.o.B予選1戦目でキリトくんに絡んでいた死銃だ。

 

「サイレントアサシン!?」

 

 シノンちゃんが死銃の持つライフルを見て驚く。

 

「あの銃の名か?」

 

「あぁ、L115A3 サイレントアサシン。サプレッサー標準装備の高性能狙撃銃だ。GGOに存在する事も初めて知ったし、そんな銃を扱えるとは……相当強い。銃の扱いに手馴れてるな。」

 

 麻痺弾で動けないペイルライダーの元に歩いていき、ハンドガンを取りだして十字を切る仕草をする。

 

「この距離でハンドガンでトドメを……?」

 

「シノン、撃て……!」

 

「え……どっちを?」

 

「あのぼろマントだ!早く!アイツが撃つ前に!」

 

 俺はそんなキリトくんとシノンちゃんの会話をしり目に走り出していた。この第3回B.o.Bで死者は誰1人として出さない。そう決めたんだ。

 ここから死銃まで100m。シノンちゃんが撃つのと、俺が走るのは殆ど同じスピードで行える。

 

 後ろから轟音。へカートⅡの射撃音だ。しかし、死銃はそれをすんでのところでかわした。

 

「嘘!?弾道予測線は無かった筈!」

 

 Pー90(P)で死銃に向かって牽制射撃をする。死銃は何発かその弾丸を受け止めながら後退。サイレントアサシンでこちらを狙ってくる。だが弾道予測線が丸見えだ。

 初撃を難なくかわし、そのまま倒そうとする。しかし、死銃が柱の死角に隠れたその一瞬、姿が掻き消えた。

 

「(メタマテリアル光歪曲迷彩!クソッ!)」

 

 消えた場所に向かって撃ち続けるが、ダメージエフェクトは発生しない。

 

「逃がしたか……」

 

「……おい、UNCHAIN。」

 

 聞いた事のない、女性プレイヤーの声が聞こえた。

 そちらの方向に目を向けると、青い迷彩服にフルフェイスヘルメットを被ったプレイヤー……ペイルライダーがこちらに銃口を向けていた。

 ……コイツ女だったのか。

 

「何故アイツから俺を助けた。」

 

「詳しくは今は言えない。時間が無いからな。だがそのアーマライト AR17で俺の事を撃ってみろ。俺がお前を殺す。」

 

「……この距離でかわせるとでも?」

 

「逆に聞くが、この俺がかわせない、とでも?」

 

「…………チッ」

 

 ペイルライダーがアーマライト AR17の銃口を下ろす。

 後ろからキリトくんとシノンちゃんが走ってくる音が聞こえる。それを見て、ペイルライダーは(顔は見えないが)驚いた様子だ。

 

「呆れた物だな。貴様ら、チーミングか?」

 

「なんとでも言え。それで、どうする?ペイルライダー。今から俺達3人と戦うか、降参(リザイン)するか。」

 

「……」

 

 ピクッとペイルライダーの銃口が動く。恐らく葛藤しているのだろう。原作知識だが、ペイルライダーは3次元立体機動を得意とするプレイヤーだ。この状況からでも逃げられるかもしれない、と思っているのだろう。なにより、ペイルライダーのHPはまだ8割以上残っている。いくらスナイパーのシノンちゃんがいようと、自身の3次元立体機動ならばかわして逃げられるのではないか?と。俺とキリトくんが前衛職な事はB.o.B本戦参加者で情報を集めている奴なら知っている筈だ。

 

「俺としては、リザインをオススメするよ。」

 

「そうだな……」

 

 数秒の思案の後、

 

「リザインさせて貰おう。そちらの長髪の女はともかく、氷の狙撃手の狙撃をかわしながら、UNCHAINのPー90(P)と戦える気はしない。かといって、背中を見せ脱兎のごとく逃げるのは最も愚策だ。だがこれだけは約束しろ。」

 

「なんだ?」

 

「第3回B.o.Bが終わったら……そうだな。明日、12月15日の16:00、SBCグロッケン南東にある【フェリード】という酒場に来い。説明しろ。なにか理由があるんだろうな。」

 

 明日……明日か。

 

「あぁ……悪いが、明日は都合が悪い。3日後の17日でいいか。」

 

「17日なら19:00にしてくれ。場所は同じだ。逃げるなよ。降参(リザイン)!」

 

 そして、リザインの証であるカーソルに手を合わせ、ペイルライダーは第3回B.o.Bから敗退した。




【小説情報】
第3回B.o.Bは2025年12月14日。キリトは17歳で、出雲、詩乃ちゃんは16歳です。
ちなみに詩乃ちゃんも出雲にくっついて行って中型免許を持っています。
そして出雲の18の誕生日にすぐ結婚出来るように後は出雲が書くだけの婚姻届を用意済み。
出雲の誕生日が詩乃ちゃんと同じ8/21なので、記念日も分かりやすく丁度いいと思っている。

出雲の誕生日は2009年8月21日。
詩乃の誕生日は2009年8月21日。
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