【リメイク版】不遇な朝田詩乃に寄り添いたい。   作:ヤン詩乃ちゃん( _´ω`)_

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 第3回B.o.B編も大詰めですね。
 アリシゼーションはシノンちゃん出てこない(ほぼ後編まで)ので見てなかったのですが、布石は打つ予定なのでアニメなりラノベなりで履修すべきですかねぇ……
一応アドミニストレータを倒す所までは読んだんですけどね。

 ……リメイク前を書いていた若きあの頃に戻り、詩乃ちゃん厄介オタクの自語りをば…………
 ……アリシゼーション編好きな方、作者に興味の全くない方は読まずに必ず飛ばしてください。すみません。













俺の中でSAOはマザーズ・ロザリオで終わってるんだよ!!
アリシゼーション??知るかボケ!!!特にアニメとかこの作品がなきゃぜってぇ見ねぇ!!!
リアタイで1話だけ見て「あぁ〜^詩乃ちゃん可愛すぎるんじゃ〜^」で終わってるわ!!!興味無さ過ぎて!!
いや、好きだよ??キリトくんも好きだしアスナも好きだし!!1に詩乃ちゃん2に詩乃ちゃん、34も詩乃ちゃん5に詩乃ちゃんだから2話見る気になれなかったわ!!!
まぁマジに言うとSAO好き好きキャラランキングは殿堂入りが詩乃ちゃんで1位直葉ちゃん、2位リズちゃん、3位ユウキちゃんだから、ランキング外のキリトくんしか殆ど出てこないアリシゼーション編にはうんざりですわ!!!
ロニエとかベルクーリとか色々好きなキャラ居るけどさ!!ユージオも好き!!だけどやっぱ……なんていうのかな!?!?わかる!?主人公(キリトくん)以外全員キャラ交代した次作というか、そんな感じのアンダーワールド、SAOというネームバリューで仕方なくアドミニストレータ倒してキリトくんが病んでやっとこさ前作ヒロイン達が戻ってくる展開になって、やっと持ち直したかと思ったらシノンちゃんの扱い酷いし!!!マジ酷い!!!
俺は全アニメキャラのプラスの好感度を全て乗算しても詩乃ちゃんの足元にも及ばないくらい詩乃ちゃんが好きなんだけど、アレは無いわ!!!マジでない!!!許せない!!!
そして何より許せないのはキリトくん!!許せない!!いや、許さない!!!!
嫌いじゃない!嫌いじゃないよキリトくん!むしろ好き!!初アニメのインパクトもありで全アニメキャラの中でもトップクラスに大好きよ!!でも俺はキリトくんを許さない!!!
なぜなら詩乃ちゃんがキリトくんを好きだから!!!!
厳密に言うならそれはいい!!あの展開ならそりゃ詩乃ちゃんキリトくん好きになるわ!!俺が女で詩乃ちゃんだったら好きになるもん!!
キリトくんがアスナと結ばれるのもいい!!!愛し合ってるから!!別にいい!!お幸せに!!!
俺が許せないのは「詩乃ちゃんがキリトくんを好きな事」!!!それだけ!!!!
何度も言うけど、キリトくんは嫌いじゃないし、詩乃ちゃんがキリトくんを好きになる理由も分かるし、キリトくんがアスナと結ばれるのもいい!!!許す!!!
けどそれはそれ!!!これはこれ!!!
要は「詩乃ちゃんが幸せになれないなんて許せない」って話なんよ!!!!
そりゃ描写されないだけで将来的には幸せになるんだろう!!!詩乃ちゃんも明言されないだろうけど原作でキリトくん以外の好きな人を見つけて結婚し子を成しおばあちゃんになり幸せに天寿を全うするだろう!!!
何故なら2次元キャラとはそういうものだから!!!
明言されない限り2次元キャラとは幸せになるものだから!!!その方が都合がいいんだからそう考えるべきだ!!!!
というかだからこそ二次創作というジャンルがあるのだから!!!
けれでも詩乃ちゃんの初恋と青春はキリトくんに染められていてぇ!!!それは死ぬまで変わらない事で!!!!!
命をかけて戦った仲間で!!!オーシャンタートルまで乗り込んで!!!新川くんの毒薬注射からキリトくんを守った心電図のパーツをネックレスにしちゃって!!!
もうさ、俺はキリトくんが許せないよ!!!許してはいけない!!!詩乃ちゃん好きな人は絶対にキリトくんを許してはいけないんだ!!!
だからそんなキリトくんが活躍するアリシゼーション編は見なかった!!!俺子供だったし!!!
俺だってわかってるよ!!!
アドミニストレータ編までが前座で、その後が本編って事くらい!!!!
前座で見るのを終わらせた俺がどれだけ損をしてるかくらい分かってる!!!!
けど!!!!けどさぁ!!!!
情報でしか知らない(アニメも原作もそのシーンは見てない)けど、シノンちゃんの扱いアレはないってぇ!!!!
そんな事もあり俺はアリシゼーション編は見たくない!!!超見たくない!!!!めっちゃ見たくない!!!
でも作品を書く上で見なくてはならないジレンマ!!!!!
「展開知ってるしぃ〜」ってWoU編より前の所謂アニメ3期を見ない事は1アニメオタクとして絶対に出来ない!!!
ああああああああぁぁぁ!!!!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!アリシゼーション編見たくない!!!!でも書きたい!!!!第4回B.o.Bも書きたいしスクワッド・ジャムも書きたいし(シノンちゃん参戦のタイミングからの)アリシゼーション編も書きたい!!!
なんで俺は大好きだけど許せないキリトくんだけが活躍するアニメを少なくとも10話以上見なくてはいけないんだ!?!?おかしいだろ!!!!!
何だこの世界は!?!?
詩乃ちゃんがこの地球に存在しない!?!?この事実!!!なぜ俺は生きるのか!!!!川原礫先生!!!貴方に私の人生は歪められました!!!!
本当にありがとうございます!!!!!!!!!!!!
でも個人的にはマザーズ・ロザリオで終わらせてもよかったと思ってます!!!!!
オーディナル・スケールは神でした!!!
ありがとう川原礫先生!!!!!!ありがとう世界!!!!詩乃ちゃんの存在しないこの地球という惑星は許さない!!!
だが俺は信じてる!!!!
茅場晶彦とほぼ同じだ!!!!
詩乃ちゃんが正真正銘息をしていて、幸せに暮らしている世界がこの世界のどこかに存在していると!!!
宇宙は無限に拡がっているからな!!!
茅場晶彦はパラレルワールド的な考えだったけど、俺はちょっと違う!!同じ世界で、時間や場所は違えど詩乃ちゃんの生きる世界はこの世のどこかに存在しているのだ!!!!!!
あーーーーー!!!!わーーー!!!!!詩乃ちゃん!!!何故俺は!!!川原礫先生ぇぇ!!ありがとうございますぅぅぅ!!!!!











 失礼。
 以上です。
 お目汚しをしました。
 2500文字にも渡る自語り申し訳ございませんでした。SAO全編を好きな方にとっては原作アンチ・ヘイトにもとられかねない内容でしたね。本当に申し訳ございません。そのような意図はございませんので悪しからず。私はSAOが大好きなので……
 さて、仕事のストレスもあり思いの丈をぶちまけたのでスッキリしました。
 いやー、たまには公の場で極力迷惑をかけない形で子供の頃に戻ってぎゃあぎゃあ騒ぎ立てるのもいいですね!オススメです!

 本編どうぞ!


朝田詩乃と最終決戦。

 震えが収まり始めたシノンちゃんが、肩からあぐらをかいている俺の膝に頭を落とした。

 

「落ち着いた?」

 

「……うん。」

 

 キリトくんは少し離れた所で何かを考えるように立って壁に腰掛けている。まぁ十中八九死銃の事だろう。彼にとってはラフコフは宿敵で、その宿敵が世界を変えまた自分の前に立ちはだかっているのだから。

 ……その前に。

 

「キリトくん。」

 

「なんだ?」

 

 腹を割って話す必要があるだろう。

 もう俺達は部外者じゃない。今俺とシノンちゃんは死銃に命を狙われている。俺達は実際に戦うキリトくんよりも死に近い場所にいるんだ。

 

「話してくれ。死銃は何者なんだ?」

 

「……奴は、昔俺がやっていたゲームで、敵だった奴だ。俺は奴と……奴らと、命懸けで戦った……戦った筈なんだ。」

 

「それって、スコードロンとか、パーティでのいざこざ……って、意味じゃないのよね。」

 

 シノンちゃんも薄々勘付いているだろう。彼が……キリトくんが、SAO生還者(サバイバー)な事を。シノンちゃんは勘がいい。そして、その勘はよく当たるんだ。

 

「だが、俺は奴の名を思い出せない。名も……顔も……」

 

「キリトくん。遠回しな言い方や個人的感傷はお互い無駄な時間を過ごすだけだ。これから俺とシノンちゃんは、文字通り命をかけて奴と戦う。シノンちゃんは優しいから聞かないが俺はハッキリ聞くぞ。キリトくんはSAO生還者なんだろ?」

 

「…………あぁ、そうだ。」

 

 最初は言い淀んでいたキリトくんだが、ハッキリと答えてくれた。良かった。ここで変に誤魔化されたら、俺は即自分の安全の為リザインする所だった。

 ちなみに、B.o.B本戦からリザインしたら予選が行われていたグロッケンの会場にアバターが移される。先程のシノンちゃんのように、アミュスフィアの強制ログアウトが行われたら、もちろんだが会場に移される事はなく、そのままリアルワールドに戻される。強制ログアウトされ、リアルワールドに強制帰還させられたら、死銃の仲間の顔を見る事になる。そうなれば、共犯者も手を出さざるを得ないだろう。だがリザインして会場に移されれば、共犯者は俺達を黒星で撃つ事は出来ないと諦め、俺達の傍から離れる……と、信じたい。

 

「キリトくんが奴の名や顔を思い出せない事はキリトくん自身の問題だ。その感傷は言い方は悪いが勝手にやってくれ。第3回B.o.Bが終わった後、キリトくんのリアルに接触して情報提供なりなんなりをすることは約束する。死銃が何者なのかの特定は任せよう。要は、キリトくんはSAO生還者で、死銃も同じSAO生還者……そして、奴はSAOでPK(人殺し)をしていたプレイヤー。死銃はさっき説明したやり方で、SAOのみならずGGOでもただのPK(プレイヤーキリング)ではなく本物の

PK(プレイヤーキリング)を行っている……この認識に間違いは無いな?」

 

「そうだ。」

 

「死銃関係の依頼もどうせSAO生還者だからという理由で呼ばれたんだろ?キリトくんのPS(プレイヤースキル)を見てたらわかるよ。SAOの中でも指折りの強者だってことくらいね。」

 

「ねぇ、なんでソイツは……死銃は、SAOなんてデスゲームを生きて脱出出来たのに、ゲームも手法も変えて人殺しをするのかしら。」

 

「奴にとって、SAO(ソードアート・オンライン)は仮想世界ではなく紛れもない現実だったんだ。恐らく、その世界での人殺しが忘れられなかった……って所だろうな。」

 

「どうだろうな。それだけじゃない気がする……キリトくん、もし奴との超近距離戦が起こったら、聞いてみてくれ。特定に繋がるかもしれない。」

 

「そうだな。」

 

 聞きたい事は聞けた。厳密に言えば、シノンちゃんに聞かせる事が出来た。俺は原作知識で知っていたが……はっきり言って、どこまで信用していいのか分からなくなってきた。

 それは、奴が原作とは全く違う方法、又は俺達にだけ拘り、頑強なセキュリティを突破する理由があったからだ。

 まぁ恐らくは後者だろうな。特に怪しいのは新川くんだ。黒星の事を知り、シノンちゃんに固執するのは彼だ。突破方法は未だ分かっていないが、俺とシノンちゃんがターゲティングされているのを見るに、必ず新川くんは関わっている。直接的か間接的かは分からないが……

 

「スキャンまであと5分か……キリトくん、シノンちゃん。作戦がある。聞いてくれ。」

 

 そして伝えた内容は大体原作通りだ。大まかに伝えるなら、安全なキリトくんを囮に死銃(ステルベン)を誘き出し、そこをシノンちゃんが狙撃する。俺とシノンちゃんはスキャンに映らず、キリトくんだけ映ってスキャン結果を見る。俺はキリトくんを目視出来る距離且つシノンちゃんの狙撃範囲内で待機。もしもの場合はシノンちゃんが俺を狙撃して俺をB.o.Bから弾き出し、死銃の脅威から遠ざける……我ながら恥ずかしいな。1発撃たれればアウトの近距離戦は俺には出来ない。だから、これくらいしか……

 

「スキャンを見てくる。」

 

 サテライト・スキャンの時間になり、キリトくんが外に出る。暫くして、スキャン結果を持って洞窟の中に戻ってきた。

 

「今砂漠に居るのは俺と【闇風】だけだ。中央廃墟群に2人居たが、どうやら相打ちになったようだ。」

 

「なら闇風くんには悪いが、闇風くんにも囮になってもらおう。死銃の言葉を信じるなら、目標は俺とシノンちゃんだけだ……とは言え、不安要素だ。最悪シノンちゃんが発見するより前にキリトくんと闇風くんがかち合う可能性もある。それは避けたい。シノンちゃん、倒せる隙があったら倒しておいてくれ。君なら出来るはずだ」

 

「わかった。」

 

 原作のシノンちゃんは闇風くんを倒すのに少し苦戦していたが、今のシノンちゃんにとって俺より遅い敵など射撃演習場の動く的のようなものだ。

 

「西側は闇風くんがいる。北をキリトくん、東をシノンちゃんが見ててくれ。概ねの作戦はさっき言った通りだ。頼んだぞ、キリトくん。」

 

 

 

 

 

 

 各々が配置につき、死銃を待ち伏せする。

 殺気から死銃を探し出し、キリトくんが東から襲うサイレントアサシンの無音の弾丸を間一髪でかわした。

 その後、シノンちゃんと死銃のスナイパー対決が行われ、シノンちゃんはスコープを、死銃はサイレントアサシンを全損させられた。

 スナイパーにとってスコープは狙撃の生命線だ。いくらシノンちゃんと言えど、スコープなしで狙撃は出来ないだろう。原作のように幻の弾丸(ファントム・バレット)を撃つ機会は恐らく訪れない。いや、俺が訪れさせない。

 光剣を構えるキリトくんと、エストックを構える死銃を遠目に見る。

 

「(後はキリトくんに任せてもいい……だが、不確定要素が多過ぎる。原作よりも死銃が強い。それは俺達への拘りにも現れている。やはり……俺も行くしかない。)」

 

 前日に入手していた例の【ひみつ道具】を背中に出現させ、砂漠を走り超近距離戦を行っている2人の間に割って入る。

 

「シュウ!?」

 

「……!」

 

 意味は違えど、両者驚きの顔をこちらに向けている。死銃は腰から黒星 54式を取り出し、俺に向けた。システム的視認をしている俺には死銃の弾道予測線が見えている。かわすのは容易い。

 ここで、俺は背中にある【ひみつ道具】を引き抜いた。

 

 カァン!!!

 

「「!?」」

 

 俺の左手に握られている【ひみつ道具】……灰と銃の世界(ガンゲイル・オンライン)唯一の()()()()()()()()【フレンベル】。俺はその剣で弾丸を弾いた。その勢いのままキリトくんの方にフレンベルをぶん投げる。

 

「使え!!キリトくん!!」

 

 最終決戦の、死銃と対峙するこの場面までキリトくんに渡して置かなかった理由はいくつかあるが、1番の理由は死銃の動揺を誘う為だ。次点の理由は、この最終局面でキリトくんが本来のプレイスタイルである【二刀流】を完璧な状態で再現させたかったこと。もちろんだが別に俺のエゴという訳ではない。

 言っちゃ悪いが、キリトくんは自信家だ。自分の実力をよくわかっている証拠である。そんな彼が、金属製片手用直剣の存在を知れば、すぐに光剣との二刀流で戦い始めるだろう。そうなれば、1番の理由の「最終局面で死銃の動揺を誘う」事が出来ない。彼が光剣1本でここまで来る事は分かっていた。なら、態々オーバースキル(二刀流)で戦い始める理由は無いし、死銃に準備させる理由ももちろんない。

 なら、この場面、この最終局面、最終決戦で、俺のストレージに座して待っていたフレンベルを解放するのが1番だと判断した。

 

「シュウ……ありがとう!!」

 

 キリトくんは自分の前に突き刺さったフレンベルを引き抜き、構える。その姿は素人目でも様になっていて、死銃の動揺が伝わってくる。

 

「ハァァァ!!!」

 

 キリトくんの猛攻に死銃も上手く対応していた。重さも太さも死銃の使うエストックより俺が渡したフレンベルの方が上。その上光剣もあり、随分と戦いやすくなっているだろう。

 最早死銃は黒星をしまう余裕すらなく、キリトくんのアタックを捌くので精一杯だ。俺のやるべき事は終わった……そう思い、万一の場合を考え死銃から身を隠そうとした時、俺の肩に馴染み深いエネルギー武器の小さな光が当たる。

 

「ッ!?」

 

 慌てて飛び退くと、その場を爆発が襲った。後ろを振り向くと、見知ったアバターが銃口をこちらに向けて立っていた。

 

「お久しぶりですねぇ。シュウくん?」

 

「エンフォーサー……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いが、俺を殺すのは後にしてくれ!」

 

 かつての敵に待ったをかける。もちろん怪訝な顔を浮かべるエンフォーサーだった。

 

「フフフ……何故?近くにキリトくんが居るからですかな?……言っておきますが、殺すだけなら初撃で殺していましたよ。」

 

「どういう意味だ?」

 

「キリトくんとは縁がありましてね。」

 

 そういえばキリトくんがエンフォーサーと会ったとか言ってたな……その事か?

 銃口を下げ、スタスタとこちらに歩み寄ってくるエンフォーサーを見て、俺は警戒はそのまま砂丘からキリトくんと死銃の戦いを見下ろす。

 

「今どういう状況ですか?」

 

「何が言いたい?」

 

「はて、異な事を。今、あそこで行われているのは【戦い】ではありません。【殺し合い】です。何故GGOでかの伝説のゲームSAO(ソードアート・オンライン)のような殺し合い(デスゲーム)が行われているのか?それを確かめる為に、近くに居た貴方に話しかけただけですよ。」

 

「ならなんで撃ったんだよ。普通に話しかけろ。」

 

「お茶目なジョークですよ。あの程度児戯でしょう。」

 

「……何故殺し合いだと分かる。」

 

 そこでエンフォーサーはキョトンとした顔をして、メガネをかけ直し、くつくつと笑い出す。

 

「本当に異な事を言いますね、貴方は。あそこに立つキリトくん程ではありませんが、ここに居ても【本物の殺気】をビリビリと感じますよ。貴方は感じないので?」

 

「つまるところ、勘か? 」

 

「そうとも言います。このようなゲームで、いきなり近くで強烈な殺気を感じれば誰しもが不可思議に思う事でしょう?」

 

「お前はスキャンには映っていなかったぞ。」

 

 しかもコイツはシノンちゃんの狙撃範囲内に入った筈なのに、撃たれていない。先程轟音が1つ鳴ったが、多分それは闇風くんを倒した音だ。そのすぐ後に、また同じ轟音。それで原作ならシノンちゃんはスコープを破壊された筈。

 

「洞窟の中に隠れていました。30分前のスキャンではこの砂漠と中央廃墟群にプレイヤーが集まっていましたからね……そういえば貴方、相方はどうしたんですか?」

 

「まだ生きてるよ。多分な……いや、お前が死んでないのは……そういう事か?」

 

「フフフ。どうでしょうね?」

 

 エンフォーサーのプレイスタイルは中〜遠距離戦だ。

 可能性としては、もうシノンちゃんはエンフォーサーに殺されていて、B.o.Bを敗退している。又は闇風くんが倒れてからエンフォーサーは行動を開始した、ということだろう。

 どちらだ?

 

「おっと。」

 

「うお!?」

 

 考えにふけっていた俺の耳に轟音が響き、それと共にエンフォーサーがスっと体をズラしたかと思えば、さっきまでエンフォーサーの体があった場所を弾丸が通過した。

 

 射撃音のした方向を見ると、シノンちゃんが50メートル程の距離からスコープなしでこちらを狙い撃っていた。

 

「あの2人とはまた違う異質な殺気ですねぇ。こんなのかわしてくれといってくれているようなものですよ。」

 

「マジかよ……」

 

 50メートル程の距離なら、弾道予測円を使えばスコープなしでも狙い撃てる。

 とはいえ、この距離で弾丸が発射されてからかわすことは不可能に近い。やはりこの男……

 シノンちゃんはへカートⅡを背中に抱え、MP7を持ってこちらに走ってきた。俺達から10メートル程の距離で止まり、MP7をエンフォーサーに向ける。

 

「落ち着くんだシノンちゃん。今は死銃とキリトくんに集中するべきだ。」

 

「不安要素だから闇風を殺せと言ったのは貴方よシュウ。なら同じ不安要素のエンフォーサーは殺すべきじゃないの?」

 

「フッフッフ。無駄ですよ。ここまで私を近付かせたシュウくんに勝ち目はありません。そしてシノン(うじ)、貴女も私には勝てません。」

 

「この距離、この武装で?」

 

「えぇ、えぇ。そうですとも。そんな事貴女ならば分かっているのでは?」

 

「…………」

 

 エンフォーサーとシノンちゃんの関係はジャンケンに似ている。エンフォーサーとスナイパーの関係、とも言える。

 先程の50メートルからの狙撃をシステムの力を借りずにかわしてみせたように、このエンフォーサーという男は【殺気】を感じる能力、【第六感】というものがバケモノレベルに高い。気配を読んだり殺気を読んだりするのが上手く、スナイパーが少しでも殺気を発せば、エンフォーサーは即座にそれを察知してスナイパーの位置を把握し、弾丸をやすやすとかわす。つまり、スナイパーではエンフォーサーには()()()勝てない。

 そんな事シノンちゃんなら分かっている筈だ。それでも俺とエンフォーサーの元に来たのは……

 

「……キリトはどうなってるの?」

 

 やはりキリトくんと死銃か。

 

「おや、貴女もキリトくんが目当てですかな?」

 

「言い方気を付けなさい。」

 

「失礼。ならばあのマントの(かた)ですかな?」

 

 エンフォーサーは死銃の事など知る由もない。説明する義理もない……いや。

 

「エンフォーサー、お前の力を借りたい。」

 

「提案は無料(タダ)ですからね。提案するだけしてみればどうでしょう?私がそれを呑むかは別として。」

 

「あのぼろマントは死銃だ。」

 

「………………ふむ。なるほど。噂は本当だと?」

 

「お前が俺達3人を信じるならな。」

 

「貴方はこのような場所で嘘をつくような方ではありませんし、貴方からキリトくんへの殺気は感じられませんでした。信じない方が嘘でしょう。」

 

「察しが良くて助かるよ。」

 

 この距離では、黒星を握る死銃に近距離型の俺が近付くのはリスクが高い。かといって、シノンちゃんの狙撃は二刀流となったキリトくんの速度と死銃のエストックの速度を掻い潜り死銃だけを撃ち抜く事は出来ない。最悪キリトくんに当たり俺達が危なくなる。

 今キリトくんを助けに動けるのは、第三者のエンフォーサーのみ。

 

「キリトくんには聞きたい事がありますからねぇ。直接聞いてきます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(速いッ!!)」

 

 死銃のエストックから繰り出されるソードスキル*1、シューティングスターを剣で受けながら、果敢に攻め続ける。

 

「(シュウから貰った直剣もある上、俺のHPもまだある!ここは押し切る!!)」

 

 エストックを直剣で受け止め、光剣を突き刺すように繰り出すが、体を逸らし光剣をかわす。

 すると、横から縦に伸びる赤いエネルギーの刃が見えた。

 

「(これは……!?)」

 

「その金属製片手用直剣はどうしたんですか!?キリトくん!」

 

「エンフォーサー!!」

 

「ぐっ……!」

 

 左手に付けた巨大な刃から伸びたエネルギー刃により無理やり死銃と距離を取らされたキリト。

 

「今は借りてるだけだ!てか今そんな話してる暇ないんだよ!!邪魔しないでくれ!」

 

「助太刀しに来た仲間に対しなんて言い草ですか!!」

 

 エンフォーサーは右手に握っていたエネルギーライフルを投げ捨て、キリトとは色が違う黄色の光剣を取り出した。

 

「なんで……まぁいい!合わせろ!」

 

「断ります!貴方が私に合わせなさい!!」

 

 そして、キリトの猛攻に加えエンフォーサーの攻撃も加わる。刀身だけでも2メートル以上の左手に付けられた【coral48】をまるで自分の手足のように操り、隙を右手に握られた光剣で補う。【coral48】の刀身なら、1回のバックステップ程度では逃げられない。それ程に長い。

 

「(エンフォーサー……コイツ、強い!!さっきよりも格段に戦いやすくなった!!)」

 

 キリトの長いSAOでの近距離戦の経験値からエンフォーサーの戦闘経験値の高さが読み取れる。最初会った時とは別人の様な戦い方、気配、協調性。

 少しづつ、しかし確実に、死銃のHPが減っていっている。

 

「(1人の方が戦いやすかったが……この方が早く終わる!)」

 

 カンッ!とエストックを突き上げると同時に、エンフォーサーの左手の刃が光る。

 

「(来る!!)スイッチ!」

 

 このままもう片方の刃で攻撃しても良かったが、かわされかねない。ならば、まだ共闘して数分のこの男に託した方がいい。

 アスナ程では無いが、この男(エンフォーサー)も剣を預けるには信用に足る。

 エンフォーサーの巻き添えを喰らわないように引こうとするが、それを待つエンフォーサーでは無かった。

 

「嘘だろお前!?」

 

 【coral48】の刀身以上の長さのエネルギー刃が伸び、死銃の腹部に横薙ぎに当たる。あまりにも大きなエネルギー刃の大きさに、SAOのエストック使いである死銃は対応しきれない。

 

「ぐっ、おお……!」

 

 エネルギー刃が死銃の腹を割り、背後の砂漠すら割いた。死銃の下半身と上半身が分かれ、吹き飛んだ。

 

「……終わった、のか。」

 

「私の助太刀等要らなかったようですね。」

 

 地面に尻もちをつくキリト。

 

「まだ、終わら、ない。あの人が、お前を……」

 

 段々と死銃の声が小さくなり、やがて目の光と共に声が消える。

 

「いいや、終わりだザザ。共犯者もすぐに割り出される。笑う棺桶(ラフィン・コフィン)の殺人は、これで完全に終わったんだ。」

 

 フレンベルを杖代わりにして立ち上がり、死銃の死体にそう告げる。

 

「しかし派手にやられていますねぇ。キリトくん。」

 

「おい!最後の()()はお前だろ!」

 

 キリトは、自分の()()()()()左足を見せつける。

 

「かわさなかったあなたが悪いのでは?」

 

「チームプレーがなっちゃないな!」

 

 少しでも剣を預ける信用に足ると思った自分が馬鹿だった。まさかの最後の一撃、エンフォーサーはキリトの待避を待たず斬撃を繰り出し、キリトの左足ごと死銃の胴体を切り飛ばしたのだ。

 

「エネルギー武器を裏切った罰ですよ。そんなもの(金属製片手用直剣)等使うからです。」

 

「いやいや!関係ねぇだろ!」

 

 とは言いつつも、エンフォーサーはキリトの左手を掴み、自身の肩を貸す。

 

「さ、大体は検討着いてますが、説明して頂きましょうか。キリトくん?」

 

 

*1
実際にはソードスキルではないが、システムに頼らない範囲内でソードスキルと同じ動きをしている。




シノンちゃんの活躍が書けなくて悲しい……

【小説情報】
キリトくんはフレンベルを受け取る少し前に死銃がザザな事に気付きました。

【フレンベル】
元ネタはシャルルマーニュ伝説の名剣【フローレンベルク】。GGOに存在する唯一の金属製片手用直剣であり、発見例はアメリカにある本サーバーの1本のみ。なので一応ユニーク武器ではない。
GGOがガンゲームな事もあり、STR(ストレングス)要求が無駄に高いファンタジー世界のような剣に全く需要がなく、偶然ドロップしたプレイヤーは即コレクターに売っぱらったので、情報も少ない。
しかし、昔に同じくコレクターのシュウがフレンベルの情報を手に入れ、これ幸いと高難易度ダンジョンの隠しルートで入手しようと挑戦したが、当時はクリア出来ず、手に入れるのがギリギリになった。
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