【リメイク版】不遇な朝田詩乃に寄り添いたい。 作:ヤン詩乃ちゃん( _´ω`)_
『さぁ!今週も始まりました、【今週の勝ち組さん】のコーナーです!』
MMOストリームの持つ
『今回のメインゲストは、GGOからいらした【第2回B.o.B優勝者】の【ゼクシード】さん!』
「いやぁ、どうもどうも!」
ワーワー!と、放送を見ているプレイヤーや人達は盛り上がる。GGOはVRMMORPGの中でも唯一プロのいるゲームで、難関とされている。その中の最強者決定バトルロワイヤルの優勝者ともなれば、真のトッププレイヤーの1人と言っていいだろう。
『そして特別ゲストとして第2回B.o.B準優勝且つ、マックス・キル賞を受賞した【ランガンの鬼】こと【闇風】さん!そして、【
「闇風です。」
「シュウです。」
丁寧にペコリと会釈する闇風と、無邪気に笑うシュウ。ありがとうございましたー!と元気よく司会の女性が言い、話題を出す。
『さて!今回はVRMMOFPS最難関のゲーム、
「うーん。まぁ確かに努力は必要ですが、やっぱり一番は【時間】ですかね?」
シュウが答えると、その言葉にのせるようにゼクシードが喋る。
「そうそう。未成年とか大人とか関係なく、時間は取れないもんですしねぇ。ゲームの中じゃ最強!でもリアルじゃニート!ってのもありますし!」
『確かにそうですねー。ゲームの時間があるって事は、リアルで用事がないって事ですしね。もしかしたら皆さん……?』
ニヤニヤと笑う司会の女性。中の人がお調子物の人なのだからだと思うが、普通の司会が言うような質問ではないだろう。
「いやいやまさか。俺まだ学生ですし、学校も免除はされてますがちゃんと通ってますよ。皆さんも仕事があると思うし……でもまぁ、ここの人達は毎月の接続料を込みで黒字じゃないですかね。俺はRMTした事ないですけど。」
用意された茶を飲みながら、シュウが答える。ゼクシードが苦笑いし、闇風が少し困り顔でシュウに向かって言葉を投げる。
「大丈夫なんですか?そんな事言って。」
「あぁ、いいんですいいんです。隠してる訳じゃないですし、まとめサイト漁れば出てきます。どっから漏れてんだか……」
ゼクシードが顎に手を置いてクスクスと笑い始めた。
「第1回、第2回共にB.o.Bに出場せず呼ばれただけありますねぇ。リアルの情報を切り売りしないといけないなんて。」
「……」
ゼクシードは先から何かとシュウに突っかかってくる。理由は凡そ検討が着く。昔、周りを騙す為に自信が嘘の提唱をした【
ゼクシードは【AGI万能論】を唱えながら、自身は
「ゼクシードさん、貴方の策にハマらなかった俺に対し悔しい思いを抱くのは分かりますが、そんな事を話す為にここに呼ばれた訳じゃないでしょう。」
「……」
「落ち着いてください、シュウさん、ゼクシードさん。」
席順は左からゼクシード、闇風、シュウ、司会者なので、間に挟まった闇風が困ったように2人の間を取り持つ。ハードモヒカンでランガンの鬼とまで呼ばれる強面な見た目だが、本人は意外と常識人。
ゼクシードとは違い、その名前や風貌と反し、闇風は下手に出ている丁寧な人格者である。
「俺は別にゼクシードさんにはなんとも思ってませんよ。寧ろ、仲良くしたいくらいです。」
『同じトッププレイヤーですしね!何かと会うこともあるでしょう!』
「私としても是非仲良くしたいですねぇ。」
はぁ、とシュウがため息をつく。そんな事心にも思っていないだろうに。
『さて、ここでGGOプレイヤーからのお便りのコーナーです!』
コーナーの中にコーナーがあるのは、突っ込んでは行けない。
それ程、この【今週の勝ち組さん】の視聴率と人気が高い証拠だ。
『えー。まず一つ目です。「初めまして。名も無きGGOプレイヤーです。私は前衛なのですが、
「んー。私的にはXM29 OICWを推しますね!」
「でもそれ、結構なレア武器でしょう?」
ゼクシードが1番に推した武器は、ユニーク武器程では無いが発見例の少ないGGO内でも高レア武器に分類されるアサルトライフル。
「そもそも発見・入手・買取等が出来ないなら、運用する云々の前の問題では?」
「そこは頑張れ、としか言えませんねぇ。そもそも私はドロップではなくプレイヤー取引所から買ったんです。それなりの資金と運、時間は要りますが、絶対に入手出来ないという訳では無いですよ?【不言実行】様のようにユニーク武器でもないんですから!」
『そこですよ!【氷の狙撃手】ことシノン氏とのタッグでご活躍され、GGO前衛職最強と言われるシュウさんは、Pー90(P)の入手ルートを公開していますが、未だ発見例がないのは何故なんでしょうか?』
シュウとゼクシードの間に割り込むように司会者が口を出す。
「本来の質問から脱線しますがいいんですか?まぁ……可能性は2通りありますね。」
「2通り?」
「はい。まずは、皆さんの言う通りPー90(P)が運営公認の【ユニーク武器】である可能性。俺の後に俺と同じルートを辿った人が居るらしいですが、未だ入手したという情報は出ていません。次に、単純にドロップ条件の可能性。同じトラップ部屋を攻略したがドロップしなかった、何周もしたがドロップしなかった等とはよく聞きますが、【2人以下】であのトラップ部屋を攻略したという情報が未だ出ていないのを見るに、人数も条件に含まれているのでは、と思っています。今の所、あのトラップ部屋は【6人以上】のスコードロンかパーティでしか攻略されていませんしね。もしかしたら、【2人以下】でというが条件かも知れません。まぁもしかしたら3人か4人、5人でも大丈夫かも知れませんが、現在攻略情報は【6人以上】のスコードロンかパーティでしか出ていないので。何周もしたがドロップしなかった、というなら、俺と同じ条件下でやってみるべきかと。」
『それが出来ないから入手出来ていないと?』
「そうなりますね。MMOプレイヤーは嫉妬深いですから、俺からの直ドロを狙ったPKも多いですが……」
「未だシュウさんからPー90(P)が離れていない所を見るに、それはかなり確率が低いですね。さて、元の質問に戻りましょう。私の推しはM900Aです。近代的なデザインもいいですし、実用性もあります。サブマシンガンにしてはレートが低いですが、私のプレイスタイルであるラン&ガンに適しています。限りなくアサルトライフルに近いサブマシンガンですね。アサルトライフルを装備するSTRがない方は是非M900Aをお使いください。」
上手く話の軌道修正をした闇風が、質問の続きを答える。M900Aは闇風がメインアームにしているサブマシンガンだ。ちなみに、闇風はシュウ程では無いが同じAGI特化型のステ振りをしている。【ランガンの鬼】という2つ名が付いている程度には速い。
「闇風さんは普通のレア武器ですよねぇ。よくそんな武器で戦えますね。」
ゼクシードは尚も他人を見下したような態度を崩さない。
「貴方とはプレイスタイルの違いでしょう。ゼクシードさんはSTRーVIT型ですから分からないでしょうが、ゼクシードさんがGGO初期に唱えた【AGI万能論】は提唱者自身であるゼクシードさん自身は否定的ですが、私やシュウさんが未だ第一線で活躍している辺り、完全に嘘という訳では無いですね。」
「最後になりましたが、俺からはPー90を推します。」
『ほうほう!それは「最推しはPー90(P)だけど、ユニーク武器だから2番目を」という解釈でよろしいですか?』
「まぁそうなりますね。Pー90は発射レートに優れ、牽制にも使えます。弾代はかかりますが、その点だけ目を瞑れば、すぐ手に入れたいなら少し値は張りますが、SBCグロッケンの裏路地にあるNPCショップ。場所はまとめサイト漁ったら出てきますよ。安く買うならプレイヤー取引所で流れてくるので運が良ければ手に入ります。ゼクシードさんが買ったみたいに、クレジットと運と時間が必要になります。一応レア武器なのでどっちにしろお高いのはご覚悟ください。値段が理由で手が出せないなら、強いのは大体同じ理由で、FA-MASもオススメです。こちらは比較的安価で手に入るレートが高いサブマシンガンです。威力と軽量さはPー90の方が上なので、買い換えられたらすぐにPー90にしてください。FAーMAS好きには申し訳ないですが、ことGGOにおいてはPー90の完全下位互換なので。」
『なるほど!では次は〜…………』
その後、数個の質問が出演者達に投げかけられた。やがて質問コーナーは終わり、司会者がコメントを拾う雑談タイムでステータスの話になった。
ゼクシードはやれ
ゼクシードの自慢と嫌味の言葉がスタジオに響き、コメント欄が荒れ始めた。
「ゼクシードさん、いい加減にしてください。MMOプレイヤーをあまり刺激しないように。」
「第2回B.o.B優勝ですよ?自慢もしたくなるでしょう!」
『次回の第3回B.o.Bも、ゼクシードさん、狙ってるんでしょう?』
「そりゃ出るからには、優勝!ですよ!」
ああ、今画面の前のみんなはブーイングだろうなぁ、とシュウは心の中で思う。シュウの予想は外れてはおらず、画面の前のGGOプレイヤー達がギャースカギャースカ騒ぎ立てている。GGOに限らず、MMOゲームでは実績こそすべてなので、画面の前で騒ぎ立てている奴らよりゼクシードが上な事は確かだが。
「まぁ、
突如ゼクシードが喋るのをやめ、右腕で胸の中央を掴むように苦しみ始め、やがて倒れてゼクシードの再現アバターが砕け、
『あれれ?ログアウトしちゃった?回線切れちゃったのかな?皆さん少々お待ちくださーい!』
司会者が頭の上にクエスチョンマークを浮かべながら言う。コメント欄もどうしたどうしたとゼクシードの唐突な回線切断で騒ぎ始め、停電地域を探してゼクシードを特定しようとする輩まで出てきた。闇風も少し様子がおかしい事に気付く。しかしやはりどうしようもなく、その場は気にしない事にした。
「(……これはまさか、死銃か?)」
今の今まで忘れていた原作知識が頭に浮かぶシュウ。
「(なるほど、結局こうなったか……本当に死んだかは分からないが……)」
司会者のトークは続くが、結局ゼクシードは帰ってこず、途中からゼクシード不在で放送は終了した。
これが、最初の【