【リメイク版】不遇な朝田詩乃に寄り添いたい。 作:ヤン詩乃ちゃん( _´ω`)_
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朝田詩乃に寄り添いたい。
【ソードアート・オンライン】第6巻を手に持ちながら、俺は四つん這いになって落胆していた。
その理由は、まぁ、もちろんこのライトノベル版ソードアート・オンライン第6巻のせいである。
「詩乃ちゃん救われないやん……」
キリトくんのお蔭?で、前に進む事には決めたようだが……救われない。いや、厳密には救われたが、不遇である。
トラウマも、完治するまで相当苦労するだろうし、キリトくんに惚れたようだけど、アスナがいる限り恐らく……というか絶対報われない。
「…………」
ふぅ。と、溜息を吐き、無地の白い天井と照明を見上げながら、ふと思った。
……助ける方法とかないのかなぁ……
そんな無駄な事を考えていながら、ベットで横になる。天井に映し出された光学時計は、23:59を指していた。
「あぁ〜。絶望だ……
いや、救わなくてもいい。ただ、誰か、詩乃ちゃんに寄り添ってくれる人が1人居てくれたら、何か変わったんじゃないか?
軽い夢物語を考えていたら、瞼が重くなってきた。ねむい。
すると……
ぷちっ。
後頭部から何かが破裂する音が聞こえ、俺は激しい頭痛に悶えた。
「なん……だ……!?」
ピカッ。
時計が0:00を映し出した。
それから暫く、俺は何処とも知れない空間に居た。
この時の事は、今でも鮮明に思い出せない。暗かった気もするし、明るかった気もする。
何日か、何ヶ月か、何年か。どれくらいそこに居たかも覚えていないが、しかし、ただ1つ覚えている事がある。
「不遇な朝田詩乃に寄り添いたい。」
そう願い、想い、手を伸ばした。
その先にあったのは━━━━
現状を説明する。
俺の名前は
今7歳で、小学2年生である。
前世*1持ちの転生者。
そして超大人気ライトノベル、【ソードアート・オンライン】。俺は、その世界に転生した……ん、だと思う。
軽い前世*2があるから、転生な事には子供の頃から気付いていた。しかし、何故俺がこの世界があの【ソードアート・オンライン】の世界なのか分かったのか。
最初から違和感は持っていた。
俺が前世で死んだのは、2024年11月15日の0:00。死因は恐らくくも膜下出血による急死。こちらの世界に来てから、あのぷちっという音と頭痛がくも膜下出血である事をこの世界で知識として新しく知っただけなので、死因は確定では無いが……どうでもいい。そんな事。
7歳時点の時系列は2017年。北海道札幌市、札幌市立桜丘小学校所属である。
自分が死んだのはこの7年後なのだが、どうも世界の常識が前世と違うようなのだ。いや、大まかに見れば同じなのだが、細かい所が違う。まず技術革新とも言えるべきものがある。俺の知っている2017年とは恐ろしく技術の発展度合いが違う*3。
今世の俺……というか、前世の頃からゲームが好きだった気がするんだが、前世の2017年に発売されていた筈のあの大人気ゲームハード【
それは、VRゲームだ。
しかしまぁ。フルダイブ型ではなく、ハードを顔に装着し、コントローラーを両手に持ち、立って行う前世でも2020年代初頭に流行りまくったゲームシステムである。
他にも、AR技術の発展で時計は丸い端末から空中に浮かんでいるし、学校では机にモニターが組み込まれ小学校ながら随分と機械的な授業を行っている。
このような点から、今世と前世は何か違いがあるとすぐに気付いた。
そして、決定的だったのは、とある雑誌記事を読んだ時だった。その雑誌の名は【MMOトゥデイ】。既視感はあるが何かが拭えなかった当時の俺は、その雑誌の中のとある登場人物の名に気が付いた。
その名は、【
その時に欠けていたピースが埋まった気がした。
その記事に書かれていた茅場 晶彦は、【フルダイブ型VR技術の研究を行っている若き天才発明家】として紹介されていた。
【フルダイブ型VR】【茅場 晶彦】【MMOトゥデイ】……それらのピースと、今までの違和感を掛け合わせ、この世界が【ソードアート・オンライン】の世界である事に気付いた。まだソードアート・オンラインは影も形もないが。
同時に、前世で最期に想った願いを思い出した。
そして、今、俺はその【誰か】になれるかもしれない可能性を手に入れたのだ。
その後、俺は朝田詩乃の転換期である【強盗事件】までのタイムリミットを確認した。記憶が間違ってなければ*4、朝田詩乃が強盗事件にあったのは11歳の頃であり、今の俺と同い年。ならばタイムリミットは後4年間。それまでに朝田詩乃を救う土台を作らなければならない。
俺が先ずしたのは、身体作りと勉強である。
身体作りは一応の保険。鍛えて損は無いし。2:8の割合で勉強多めに時間を過ごした。
俺には前世の記憶と経験、知識がある。普通なら考えられない量の
俺は早々に札幌市立桜丘小学校に見切りをつけ、学校へ行かなくなった。不審に思った両親には、家族用PCで有名塾の高校進学用オンライン全国模試を受け、全国3位を取り、「小学校等必要ない」とハッキリ伝えた。
それから2年、ひたすら勉強に明け暮れた9歳の2019年。俺はリサイクルショップのジャンク品から専用PCを組み立て、本格的に朝田詩乃を救う……いや、寄り添う計画を立て始めた。
まず行ったのは、日本政府の行政機関へのクラッキング。目的はもちろん朝田詩乃の居場所の特定。原作では東北としか情報が無かったが、それだけあれば充分だ。東北地方に住む【朝田詩乃】名義の
当たり前だが、ここまでで問題はいくつかあった。
安価で高性能な専用PCの制作や、ダークウェブを利用した足の付かない行政機関へのクラッキングのやり方、それらを乗り越え朝田詩乃を特定したとして、どうやって傍に行くか……等である。*5
まず安価で高性能な専用PCの制作という問題にぶつかった。自分のやりたい事をやるには、どうしても市販のPCだと性能が足りない、もしくは高額過ぎる等の問題により流通して居なかった。
ならばどうする?
作るしかない。
費用もお小遣いから捻出し抑えなければ行けなかったので、リサイクルショップのジャンク品の選定から始めた。約半年をかけ、目的遂行に問題ないまでの高性能PCの組み立てに成功した。パーツ全然ない。
そしてダークウェブに潜った。もちろんの事だが、自分のPCが逆にハッキング・クラッキングされないよう万全の対策をして、だ。前世含めダークウェブなんて初の体験であるが、天賦の才であるこの脳を持ってすれば数週間で使い方をマスターした。独自のハッキング・クラッキング技術を得て、日本政府の行政機関へのクラッキングに成功した。
うぅん。ちょっと拍子抜け。技術レベル高いんだから、その分ファイアウォールのレベルも高いと思っていたんだがな。
そして最後にして最大の関門だと思っている、両親の説得である。
本格的な勉強と身体作りを始め、学校へ行かなくなってから2年と少し経った。しかし、俺はまだ若輩の9歳である。成人へはダブルスコアでギリ。俺の両親は自分の子供が常人では無い知識を持っている事ぐらいは知っているだろうが、9歳はまだまだ世間一般から見ても両親から見ても子供である。
だが、俺は朝田詩乃の元へ行かなければならない。
これは俺の事情で、両親は関係ない。しかしそれを伝えた所で、何故名も顔も知らぬ子供にそこまで執着するのか?と思われるだろう……
子供、9歳の限界がここなのか?と思い悩んでいた時、両親からとある事を告げられた。
「貴方が何をしたいのか、なんの為に学校を辞めたのか……それは私達には分からないけれども、きっと貴方にとってはとても大切な事なのでしょう……もし、貴方が私達に何か思う所があるなら、言って欲しいわ。私達は貴方に出来るだけ協力する。」
「……」
「出雲、遠慮するな。成りたい自分があるなら、ちゃんとハッキリ伝えてくれ。思いってのは言葉にしないと伝わらないんだぜ?」
……はっきり言って人生最大級にビックリした!
親の勘とも言うべきか。
俺がなにかに悩んでいた事を察知したらしい。
それに対する俺は、伏せていた顔を上げて、2人の顔をよく見る。
「母さん、父さん、俺は2年前の【MMOトゥデイ】を見て、やるべき事を見付けた。その為に、俺を1人暮らしさせて欲しい。母さん達には関係ない事だ。これは俺だけの問題なんだ。」
そう言った。
その言葉を聞いた母さんと父さんは顔を見合せ、すぐに母さんが口を開いた。
「そうなのね。でも申し訳ないけど、何を言われようと貴方を1人で暮らさせる事は出来ないわ……貴方に協力するとは言ったけど、それは可能の範囲ならの話。まだ貴方は9歳なのよ。そんな貴方に1人で生きていけと言うのは、あまりにも酷だわ。」
そう、か。まぁそりゃそうだろう。流石に無理な話だ。
分かっていた*6。
やはり最大の難関だな。行政機関のクラッキングよりも、親の説得の方が難しい。そんなことを考えていると……
「だから、貴方の行きたい所に私達も着いていく。」
その言葉に、俺は思わず目を見開いた。
「私もパパも、別に何処に引っ越そうが仕事に支障はきたさないわ。だから、私達も着いていく。貴方の居たい場所が私達の居たい場所で、貴方のしたい事が私達のしたい事よ。だからせめて……せめて貴方が16歳になるまでは、私達を置いていかないで欲しい……自分1人で生きていくだなんて、そんな悲しい事をママとパパに言わないで?」
俺が思っていたより、両親の心は広く、俺への愛は深かった。
親が子に持つ感情とはここまで大きな物なのか、と実感した。
思えば、俺が機能面で乏しい家族用PCで有名塾の生徒名簿をハッキング・年齢を改ざんして受験用データを取得、テストを目の前で受けた高校進学用全国模試で3位を取った時から、薄々「私達の子供はきっと何か大きな事を考えている。」と勘づいていたのだろう。
その愛に俺は涙を流した。
その後、俺は朝田詩乃の住む宮城県仙台市に引っ越したい事を伝え、すぐに家族全員で引っ越した。物件は俺が探し、朝田詩乃の家の近くにした。
長くなったが、ここまでが俺の人生の
事件のある2021年まで後2年だ。それまでにポカッてうっかり終わらせないよう頑張るとするかな。
俺は、朝田詩乃に寄り添いたい。その為だけにこの舞台に立った。しかし、まだ何も始まっていない。幕が上がり、
ここからだ。ここから
「初めまして。北海道札幌市から引っ越してきました。柊 出雲と申します。」
今日から俺は、朝田詩乃の……詩乃ちゃんの暮らす街の、誌乃ちゃんの過ごす小学校の、詩乃ちゃんと同じクラスに転入した。
「皆さん、仲良くしてください!」
最後になるが、俺の物語へようこそ。お代は結構。君の人生の色になれるよう頑張るよ。
【小説情報】
リメイク版とリメイク前で出雲くんの性格変わりそう……と心配の方はご安心を。暫くは落ち着きのある出雲くんになると思いますが、詩乃ちゃんと会ったらはっちゃけるんで。
それと、Rー18ver.もいつかリメイク版を出すので、首を長〜くしてお待ちください。
※Rー18ver.Rを投稿開始しました。☆告知あり☆の書いてある回に行けばURLがあります。