アルア=ゾルディック 作:セイヘキ ✕ ト ✕ ソウサク
(念は)初投稿です。
ひとえに人の人生とは、綿菓子の様に軽く扱われることが多々ある。
俺の人生もそういうものだった。
まあとはいえ、朝昼晩食事が取れて雨風凌げるとこはあったし、年に1回とはいえ遠出もしたし、娯楽も充分とは言えなくても無いわけではなかった。
それこそ、短めの漫画2つ分を全巻揃えられる程度ではあったし。
割と真っ当な生活・・・・・・とまでは言えなくとも、超原始的な範囲で考えればそこそこ満足できる生活を送らせて貰っていた。
一応学校にも行かせて貰ってはいたし。義務教育はともかく、まさか高校に行けるとは思わなんだ。
・・・・・・なんて。まあ頑張って特待生で学費安く入れたのは高校までだったが。友達も・・・・・・少ないが居たには居た。
それなりに、人間と呼べる生活はしていたように思う。
その分の代償もまあ酷かったが、これを不幸と評するかどうかは余人の考えに委ねよう。
とりあえず、そういうどうでもいい事は置いといて。
そこからしばらくしたら、俺のことを見てくれてた家族はあっという間に姿を消した。
結構ショックだった。あんな情けなくても親なので、離ればなれになるのはキツかった。
しかし、それと引き換えにと言うべきなんだろう。
今までの暮らしからは想像も出来ないくらい豪華な暮らしが俺を待っていた。
勿論タダじゃない。
変な大人の相手をして、しばらく身を任せていればその内興味を失った。後に残るのは、豪華な暮らし。今まで満足に出来なかった食事も、娯楽も全部出来た。まあ生憎俺は豪勢な暮らしに合わず庶民派だったから、結局使い道はそこまで金の掛からない趣味や続きを読みたかった漫画を買う事くらいであったが。
ああでも、1回試して見たくてサブスクとやらには入ったかな。
最初の1ヶ月で殆ど見るもの見ちゃって、後はほぼ使ってなかったけど。死ぬ前に解約しとけば良かったな。
そんなこんなでいい暮らしをしていた訳だが、突然の宣告と共に再び家から追い出されたかと思ったら、今度は直接ヤベー奴らに捕まってしまった。「流石に死んだかー」とか思ってたら、死ぬよりも辛い目に遭わされたのは記憶に新しい。今でも鮮明に思い出せる。おうち返して・・・・・・
あ、もう家なかったわ。
とまあ散々な目に遭ってきた訳だが、最終的に肉塊にされそうになったので、流石にそれは冒涜に過ぎるだろってことで自ら命を絶った。具体的には溺死しようとして近場の海に飛び込んだ。
だが、ここで問題発生。俺は泳げちゃったのである。そういえば俺は学校でも水泳の授業がある時はいつも成績上位だったような気がする。というか、水泳部に誘われてたので間違いなく優秀であった。
さてどうするかと考えてたら、ちょうどいい感じの鮫くんが俺の体目掛けてタックルしてくれたので、運良く意識を失って事切れる事が出来たのである。これぞ異世界トラックならぬ異世界ザメだな!がはは。なんて言う間もなく、俺はそこで貴重な・・・・・・貴重か?まあその生涯を終えた。
──────そう、終えたのだ。
だからこそ、俺の意識・・・・・・いや魂はとっくのとうに無くなっていて、もう話すことも眠ることも何もかも出来ない状態で死んだままになるかと思っていた。
だが蓋を開けて見れば。
なんか眠くなってくるし、身体全体がふわふわ浮いているような感じするし、顔も上手く動かせない。てかまず身体全体の感覚がほとんど無え。どうなってんだ。と天に抗議するも全くの無反応。すわここは天国かなんて思うが、こんな待遇が天国なんて考えたくは無い。
どうしたもんかなと思考を回したくても上手く頭が働かず、最終的に深い微睡みに落ちてしまったのだ。不覚。
その時に、「天秤」という言葉が聞こえたような気がするが、もう既に意識は暗転していた。
最後に、心の温もりとも呼べる暖かさを感じて。
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「おぎゃあ!おぎゃあ!おぎゃあ!?」
「はーい、よく頑張りましたね〜。
キキョウ様ー、可愛い男の子ですよ〜」
「あ、あぁ.........!私の子.....!ようやく逢えたわ・・・!」
目に眩しいくらいの光が差し込むのが分かって上手く瞼を開けれない。辛うじて薄目で辺りを確認すると、おそらく分娩室のような所に居るというのが分かる。
おいおいマジか。
と言いたいが、マジのようである。
あの余り散らかした時間で拝読した、ラノベや二次小説で山程見た展開に驚く。と同時に期待を膨らませずには居られない。
そう、俺は転生したのだと。しかも、割と良いとこのお坊ちゃんとして。である。
今度こそ。
人生イージーモードが確定した俺は、心做しか浮かれていた。
己を愛しそうに撫でてくる母親に抱かれつつ、こんな産声幾らでも上げてやると言わんばかりに大いに喚き、自身の存在を世界に知らしめていたのだ。
・・・・・それがダメだったのだろうか。
「あ"あ"!!?返して!!!返して!!!!その子は私の子なのよ!!!!折角私が産んだ、掛け替えのない我が子だと言うのに!!!どうしてお前のような賊に渡さなければならないと言うのですか!?!!あ"あ"あ"!!?!待って、待っでぇえ!?!?連れていかないで、お願いどうか・・・・・・その子を盗らないでぇ!!!!!ぁア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ!!!!」
(まてままてまてまてぇ!!!いやいやそんなことあるかよ!?どんな展開だよ、おれの人生ロケットスタートにも程があるだろ!?!?)
母親の悲痛な叫びも虚しく、俺という赤ん坊は産まれて早々最低な輩に盗まれてしまったようである。いや、そんなことあるかよと言いたいところだが、転生とかいうやべーもんを体験してしまっている以上、これよりも驚く事では無いなと我ながら納得してしまった事に驚いている。
そんな思考をグルグル回すも、結局状況が好転する訳でも無く。俺は見事に、母親の元から堂々と盗まれてしまったのである。ええ.........??
(お、おかーさーん!!やだーー!?!?たーすーけーてー!!!)
とりあえず前世でも今世でも分かったことは、俺は自分から命を絶とうとすると、碌なことにならないということである。
あー〜〜〜。早く柔けぇ〜布団でゴロゴロしながらお菓子食いて〜!
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「あ、あぁ...」
掠れて消え入りそうな声で我が子が連れ去られて行った方を見つめる奥様を発見した私は、すぐさま旦那様へ連絡をかけた。しかし、いくらあの方が強いとは言っても、この惨状を見るとすぐには追いつける相手では無いだろう。
目の前には、血だらけで横たわり、中には臓物が飛び散っている者まで居るゾルディック家の使用人たち。
それらの命が失われたことは、普通ならば気にかける事なのかもしれないが。今私は、かつて同僚だった者たちである彼女らが、奥様だけでも守り切ったことを誇りに思った。
しかしやはり、キキョウ様の御子息を守れなかったことには力不足を感じざるを得ない。いくら私が離れている所に居たとはいえ、みすみすあんな輩どもにゾルディックの御子を奪われるなど、全くもって許せることでは無い。もちろんあの塵どもにも思う所はあるが、それ以上に自分が情け無くてしょうがない。
「奥様、我々が必ずや御子息を取り戻します。さあ、肩を。そのお身体で無理をしてはいけません。今、残っている女性の使用人達を集めています。すぐに処置をしましょう」
「...っ、そう。そうね...」
奥様の身体をなんとか支えながら、あまり身体を揺らさないように気を遣う。まだ体調は優れないようだが、それも当然。むしろ出産のすぐ後で、御子様を攫われてここまで気丈に振る舞えるのは、さすがゾルディック家当主の妻と言えるだろう。
しかし、如何ともし難い。早く奴らの居場所を割り出し、その素っ首切り捨てなければ気が収まらない。
「これは....」
あの後、奥様を医療班に受け渡してから、素早く誘拐の現場の方へ戻ってくる途中で。私は、先程奥様の悲鳴を聞きつけて向かった際に使った通路を再度見に来ていた。
「すみません。確かここにいくつか賊の死体があったと思うのですが」
通路を清掃中だった使用人の中から近くの一人に声を掛ける。ここには私が殺した賊どもが5、6人ほど転がっていた筈なのだが、もう片付けてしまったのだろうか。我が家の使用人としては優秀だが、少し困るな...
「ああ、バラバラにされてはいましたけど、一応証拠なので霊安室に保管してあるハズですよ。もっとも、調査が終われば焼却されると思いますので、あんな奴らに
「かしこまりました。ありがとうございます」
ふむ。袋にでも詰めて、腐らないように冷却だけして床に転がしてある状況ですか。まあ多少雑ですが、“念”の使用には問題ないでしょう。
さて。長い髪を後ろ手に纏めて、覚悟を決める。
愚物供、逃しはしませんよ。必ず、その身を捕まえて、内臓という内臓を抉り出してやる。
ああ、待っていてください。この私が絶対に、今度こそはその御身を救い出して見せます。
───────────様。
to be continued.......
兄弟の絡み考えるとボーイズラブタグが一応必要かなとも思うんですが、そこまでぐちゃぐちゃ(物理)はしないし、それ主軸の作品ではないのでつけるかどうか迷ってるのでアンケなり取るかもです。ガールズラブ()にはなるかも。なぜなら作者が見たいから。
あ、感想とか高評価、ここすきとか貰えたら嬉しいです。糧にして生きていきます。と言っても見どころはまだ先だと思いますが.......