アルア=ゾルディック   作:セイヘキ ✕ ト ✕ ソウサク

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※11/14 全体的に少し文章を修正しました。


連続投稿は3話目で終わりだと思ったか?
まだまだァ!!!



オラッ!4話目だっ!嬉しいか!?くらいなっ!







カシコク ‪✕ ‬テ‪‪ ✕‬ ニューゲーム

 

 

 

 

 

燃え盛る部屋の中で、炎に対面するクロロとフィンクスとサラサ・・・・・・とその他諸々の子達。

 

 

 

そして、それを見つめる………俺だ。

 

 

 

諸事情は分からないが、何か原作において重要なイベントが起きた可能性が高いであろうこの場面で、俺は思ったりも冷静に、場面を俯瞰して見ていた。というより、あまりにもパニクり過ぎて現実を冷静に受け止めきれず、思考がフラットになったとでも言うべきか。

 

 

原作に無い………あるいは、連載されたそれを認識する前に、俺が死んだせいで知れなくなったイベントかもしれない。という事に思い至り。

 

 

その瞬間には既に混乱のあまり頭がショートしており、逆に周りからは動揺ひとつ見せずに冷静沈着、なように見えるというおかしな状況が起きていた。

 

 

 

「テメェ!?なんで来た!?」

 

 

 

あれ、もしかしてこれ。俺が放火の犯人として疑われたりするパターン?おいちょっと待て。それはいくら何でも理不尽すぎないか、神よ。

 

 

 

「そうだよ!?ここは危ないよ!!早く逃げて!!!」

 

 

 

違った。普通に心配されてるだけだった。

そういや俺3才だったわ。

 

 

 

「えっと、サラサに呼ばれたから。事情は来る時きいたよ」

 

 

「うん!私がよんだ!はなした!」

 

 

「だから、何か力になれるなら……」

 

 

「いやいやいや・・・・・・」

 

 

 

 

とまあ、落ち着いているというより、こんな場面でも冷静な奴なんて、普通に怪しい訳だが。何故だか結局疑われることは無かった。馬鹿では無いとはいえ、相手は子供だ。火事の犯人だと思われなくて良かった。一番まずいのは、ここで内ゲバが発生することなのでね。(ていうか皆そんなの気にして無いと思うよ)

 

 

緊急事態、というのもあるが。何より俺が、普段はボロを出さない為に口数を出来るだけ減らして、ミステリアス度を普段から上げていたのも功を奏したんだろう。その影響で、1番この場で鋭いであろうクロロを誤魔化すことに成功した。(なにを?)

 

 

要は、普通の子どもじゃないとバレなくて運が良かったという話だ。

焦っているクロロの隣に居たのが、あのフィンクスだったのも不幸中の幸いだろうか(失礼)。

 

 

 

ちなみに、助力を申し出たのは、勿論この状況を解決するためだ。一度は面食らったが、改めてこの場面で俺自身の有用性を示せば、今後の活動にも多少無理が効くようになるだろう。ピンチはチャンス理論である。

ここでアピールしておけば、今後俺が意味深ムーブをしてても咎められにくいだろう。ほんまか?

 

 

 

 

え?実際問題解決出来るのかって?それは…………おおん。

 

 

 

 

………いや、てか熱っっっつい!!!この部屋暑っ!!!

 

 

 

うん!考えるのは後だね!

よーし!一先ず詳しい情報収集からだ!(誤魔化し)

 

 

 

さてと。まずはサラサに強引に連れてこられたわけだが。

そのサラサに明らかに期待の視線で視られている、俺がここに居る原因となったであろうクロロの方を、何か策でもあるのかと見てみる。

対処方法が既にあるのなら楽だが⋯⋯⋯そういう訳では無い様子。

 

 

俺を呼んだのも特に関係ない?

じゃあつまりマジでサラサの独断だったんかい!!!!何してくれてんの!?!?でもある意味よくやった!!!でも良くない!!!

 

 

これじゃあお荷物1人増えて、クロロの負担増えるだけじゃねえか!?

 

 

それがわかったのか、フィンクスや他の子供達も苦そうな顔をしている。クロロだけは面食らったような顔をしていたが。

 

 

「とにかく、ここはもう危ないから、小さい子たちは一緒にすぐに避難を」

 

 

──────と、クロロが言いかけた時。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラガラガラガラッッッ!!!!!!!!

 

 

 

 

 

………うぇ?

 

 

 

なんて悠長な話をしていたせいか、下へと降りる方に続く階段が、焼け落ちて崩落してきた屋根の瓦礫で埋まり、あっという間に逃げ道が塞がれた。

 

 

 

「おおう………」

 

 

 

いやどんなご都合展開!!!!!

この場合は悪い方のだけど、こんなことある????

 

 

 

神様さぁ!!!

もしかしてなくてもトラブルへと俺をエンカウントさせようとしてないか!?!?!?

 

 

 

「ご、ごめん弟。私………弟のこと、巻き込んじゃった……」

 

 

「きにしないで」

 

 

ま、まあ少なくとも俺関しては。火事にすら気づかなかった間抜けなので、別にサラサにここに連れてこられたことは恨んじゃいないし、むしろ感謝してるが……

 

 

 

まさかこんな展開に出くわすとは。もうこれワザとだろ神様。

 

 

 

 

ん?てか待てよ。これ俺らが急いで階段降りてきたせいで崩れてたりする…………?

 

 

 

 

・・・・・・・・・(汗)

 

 

 

い、いや。さすがに違うだろ。うん。俺らちっちゃいから軽いし。いくら焼け落ちそうな床でも、直接踏みしめた訳でも無いのにあんな派手に崩れるわけ…………?

 

 

 

・・・・・・・チラッ バコン!!!

 

 

 

 

 

よし!!!!見なかったことにしよう!!!!!

 

 

 

 

 

 

「そ、そんな………これじゃあ外に出られない……!」

 

 

「おいおいマジか。冗談じゃねえぞ……!!」

 

 

「わ、私たち………

もう助からない、の……?」

 

 

「・・・・・う、うぇぇぇん。ぐすっ………」

 

 

 

そうだね!!!!!現実逃避は良くないよね!!!!じゃあ何処に逃げるんだよって話だよね!!!!!

 

 

 

と、とりあえず何とか出来ないもんだろうか。

今も瓦礫は燃え続けているし、そもそもフィンクス意外のメンツではあの瓦礫は動かせないだろう。

 

 

そもそもフィンクスだろうが火傷して使いもんにならんだろうし、念を使える俺はそもそも体格が足りない。

あと多分、今もオーラのおかげで耐熱と耐火が少しあるだけなので、あの瓦礫の山を直接触れてどかそうとしたら、多分普通に焼け死にENDする。

で、まごまごしてるうちに、全員炎に巻かれて本当にジ・エンドだ。

 

 

うーんやばいね、控えめに言って。

 

 

 

 

「ごめん、2人とも。さっさと避難させれば……。いや、もっと早く。僕がここを放棄して逃げる指示を皆に出していれば………!!!」

 

 

「おい、やめろよクロロ。らしくねえ。自分の指示を後悔するんじゃねえよ!」

 

 

「ふ、フィンクス………でも、僕のせいで皆が……」

 

 

 

おっーとぉ?これは不味いのでは?クロロのメンタルがあぶない!!!

とはいえ、どうしたものか。

 

 

 

慰めの言葉がどうとかそういう次元ではもう無くなってしまった。一刻も早く脱出しなければならないが、要のクロロは情緒不安定で頼りになりそうにない。今この場で1番役に立ちそうなの、サラサと俺ってマ?

 

 

 

と、俺がサラサの方へ視線をやった時。何を思い出したのか、唐突に首を凄い勢いで振り、クロロへと話しかけるサラサ。うわビックリした。

 

 

「そうだ!!!でも、言ってたじゃんクロロ!!!クロロが、弟なら何とかできるかもって言ってた!!!自分で!!!」

 

 

 

その食い気味なサラサの言葉に、クロロはハッとしたのか、少々の時間フリーズする。何か、思い当たる節があったのだろう。それはそれとして今そんな問答してる場合じゃない気がするんですけども。

 

 

今も絶賛後ろで炎が煌々と煌めいてごうごうと燃え盛ってるんですけど。

 

 

 

一瞬紫の光が煌めいたその光景は、まさに終末の炎といった様ようで……………

 

 

 

 

──────って、ん?あれって……

 

 

 

 

 

 

「いやいや、なんとか出来るったってよお。そいつまだ3才にもなって無いんだぜ、サラサ。お前より年下なんだぞ。分かってんのか?」

 

 

 

「弟はすごい弟だから!!!」

 

 

「はあ!?」

 

 

「だとしても、僕はこんな危険な場所にまで来て欲しくないよ!

仮に解決出来る算段を思いついたとしても、もう手遅れだ!この子にどうこうできる問題じゃない!!!」

 

 

 

そう言われ、少しムッとする。なんかやっぱ舐められてね?俺。いやそりゃ3才なんだから当然なんだけども。

 

 

 

さすがに前世成人までいった人間が、いくら子供の肉体だからとはいえここまで舐め腐られるのはいただけない。あとここで逃げるとわざわざ来たのに恥ずかしいし。

 

 

いやモチロン、根拠も無しで言っている訳ではなくて、ちゃんと勝利への道筋は描けてはいるよ。ただ、それも一人では難しそうだから、一つ作戦を立てる必要はあるけど。

 

 

何よりここでビビり続けてたら、将来フィンクスフェイタンコンビに、この先一生マウントを取られ続ける気がする。そんな電波を受信した。いやさすがに、当事者でそんな事はしないか。⋯⋯⋯ともかく。

 

 

 

非常事態ということや、最近は念が形になって来たというのもあり、この頃の俺は浮かれていたのだ。なんとか出来るやろ、と。

お前ら賢くてニューゲームな俺を見とけよ、と。

 

 

何が賢くてニューゲームじゃ、ただの馬鹿である。と未来の自分がツッコミを入れている話はやがてするとして。

 

 

結局この時ばかりは、舐め腐りキッズ共に負けず嫌い心の感情を刺激されたイキリベイビーとして、俺はやらかしてしまうのだった。

 

 

 

・・・・・・まあ、どっちにしろこの時は他に選択肢なんて無かったと思うけれどね。

 

 

 

 

「できるよ」

 

 

「………?」

 

 

「んお?」

 

 

 

「なんとかできる」

 

 

「「「「「えっ」」」」」

 

 

 

もはや失言がどうこうなんて考えていられる場合では無い。ここで、全員纏めておっ死んじまえば、元も子もないんだから。

 

 

別に適当言ってるわけじゃない。俺の推測が正しければ色々と対抗手段はあるはずだ。特に大事なのは、ただ一点。

 

 

あれが()()()なのかってことだけだ。それさえ分かれば、いくらでも、やりようはある。

 

 

 

 

「───詳しい話を聞かせて」

 

 

 

 

 

そうして俺は、今世での1番最初の山場へと挑むことになるのだった。

 

 

 

 

 

 

いけるか? できらァ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

 

──────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどね・・・」

 

 

 

ごうごうと未だ音を立てる部屋の中心から少し距離を取り、俺は顎に手を当てて考え込む。さながら事件の情報を聞き、脳内で纏める探偵のようである。

 

 

尤もこれからするのは犯人探しではなく謎解きだが。

いや?寧ろこっちが本分なのか?*1

 

 

 

 

消えない炎。

 

 

 

皆の話を聞いてまず引っかかるのは、クロロとリティの証言だった。

 

 

以下回想。

 

 

 

 

 

 

 

「占いの本?」

 

 

 

「そう。みんな信じてくれないから、しょうめいしようとしてちゃんと準備したの!そしたらクロロが近くに居たから、せっかくだし一緒に見てもらおーって思って………でも、けっきょくあんな風に……」

 

 

そう発言したミナは、何処か落ち込んだ表情だ。責任を感じてるのかも知れないけど、ぶっちゃけ()()は子供達のせいとは言えないと思うし。しょうがないよ。

 

 

「そっか、ありがとう。

ねえクロロ、占いの方は当たってたりする?」

 

 

「え?うーん………⋯確かに最近占いが流行ってるみたいなのは聞いてたけど。

ああでも!そういえばマチが言うにはさ、結構よく当たってるんだって」

 

 

「へえ」

 

 

 

あのマチが……ね。子供の頃から既に勘が良いかは、どこかにはっきり記述があった訳じゃないけど。

 

「昔から(前からだったっけ?)」発言とか、皆の様子からして。

子供の頃から、かなりの精度の勘があっても不思議じゃない。

そのマチが言うんだから、まあ本当に思い込みとかじゃなくて実際当たるんだろう。

 

 

なーんて。こうやってかくいう俺も、マチの勘を過信しちゃってるわけですけどね。

そこは子供時代の幻影旅団の中でも、(おそらく1番)念適正の高かったマチを信じよう。さっきから推測ばっかりだなお前ぇ!?

 

 

で、でもほら。レンコのオーラを見破ってたのはマチだけだから……(震え声)

 

 

「そうなんだよ!!聞いて弟!なんとその噂の占いの本はね!!!どんな未来も当てちゃうんだって!!!実際にその本の通りに行動すると、悪いことに会わなかったり、良いことが起こるんだって!!!」

 

 

と、場違いなくらい元気な声でサラサが言う。真横に居たから耳が痛てぇ!!!

 

 

「なるほど。ところでその弟って呼び方何?」

 

 

「だって名前無いと呼びづらいじゃん!!!!」

 

 

「そうだけど」

 

 

そういや俺まだ名前無かったわ。余りにも今までの人生で違和感無くて忘れてたわ。最年少って判別つきやすくて便利!

どうもネームレスです。

 

 

「で?それでその話が何に繋がるんだ?」

 

「フィンクスはちょっと黙っててね」

 

「あ゛!?」

 

 

 

サラサ辛辣で草

というのは置いておいて、それで?

 

 

 

「でね!でねぇ!なんとぉ〜〜!そのすごーい占いの本を見つけたのがぁ〜?」

 

 

「あ、えっと………わたしです……」

 

 

おずおずと手を挙げるリティ。

……あー、何となく展開が読めてきたぞぉー?

 

 

「そうか……。何となく嫌な感じはしてたけど、そんな噂がある代物だったんだね、あの本」

 

 

「そうだよ!てか言ったよ私達!でもクロロが信じなかったんだもん!」

 

 

「あはは、ごめんごめん。流石にいわく付き過ぎる話題だから流してたんだ。………でも、そうすると」

 

 

と、考え込むクロロ。しかしまだ納得がいっていないのか、どうも歯切れが悪そうだ。

………ま、そりゃそうだ。今のクロロの手持ちの情報じゃ、どうやったって真実には辿り着けそうに無いもんね。

 

 

 

──────こりゃあ仕方ないっすね。自分で気づいてくれた方が、色々とこの先の展開楽だったけど。

 

どっちにしろこれが原作イベじゃないなら、俺が解決すればいいだけの話。原作イベならば、既に解決していて、真っ先に語られない程度のことなんでしょ?なら、これ以上付き合うことも無い。

 

背に腹はかえられぬ、いのちだいじに。

 

 

 

助け舟、出しますか。

 

 

 

 

「ううん。やっぱり分からないな。

結局の所、今の状況と殆ど繋がりがないし。無理矢理こじつけで理由は思いつかなくも無いけれど、だからと言ってこの状況がどうなる訳でもないし………

 

なんだかさっきからずっと雲を掴むような話だね………答えが出かかって居るようで出ないような………」

 

 

「ふむぅ、分かったよ」

 

 

「オイオイ、クロロがわかんねえならこの場じゃ誰も………

 

…………は?」

 

 

「ん?何?」

 

 

唖然としたフィンクスの顔が面白いけど、時間も無いし、あえてこのまま触れずに進行しよう。いや顔の表情固定されたまんまかよ、おもろ。

 

 

「─────わかったよ。この火事のカラクリが」

 

 

「ええ!?ほら!やっぱりスゴい!弟!やるじゃん!」

 

 

「何言ってやがる!冗談言ってる場合じゃねえぞ!!!!」

 

 

「えっーと………ちなみにそれは、冗談で言ってるとかではなく。

本当に謎が解けたってことで、良いんだよね……?」

 

 

 

 

不安そうなクロロ。まあ、俺の推測が正しければね。十中八九いけるじゃろ(ゼノ風)

 

 

 

 

「うん、任せて。とりあえず、皆は万が一失敗した時のために備えて欲しいんだけど、頼める?

 

 

火事は俺が止める──────

……………ので。……多分」

 

 

 

 

 

めいびー?

 

 

大丈夫大丈夫!!!いける行けるって!!!そこでひよんなよ!!!!思い切って行ってみせろよ俺!!!上手くいくって!!!!大丈夫大丈夫!!!

 

まあ5段階くらい保険は掛けるけど!!!!

 

 

 

 

 

「ねえ、フィンクス」

 

 

 

「あ?なんだよ」

 

 

 

「投げるのってさ、得意?」

 

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

 

ここまでの回想僅か0.5秒。

 

 

 

 

 

とまあ、だいたいこんな感じであった。

テキパキと準備を進める皆の姿を眺めながら、俺は指示出しを続ける。

 

 

途中でフィンクスやクロロに水をぶっかけられたが、これはいじめとかじゃない。別に、考えすぎたせいで俺の頭がオーバーヒートしちゃったからって冷水を浴びせた訳でもないんだけど。

 

 

 

ずぶ濡れになった頭で、考える。これで本当に良いのかとか、実際上手くいくのかどうかとか。もっとうまい手段があったのでは?とかね。

 

 

 

 

でも、そんなのは全てが解決してから反省会を開けばいい事だ。

俺は所詮どれだけ知恵を回しても人間なのだから、思いつくことも、出来ることにも限りがある。ならば、せいぜいダサくとも生き汚く足掻いてやろうではないか。

 

 

 

 

皆の顔を見渡して、改めて覚悟を決める。 失敗すれば、死ぬのは俺だけじゃない。ここに居る、俺の案に乗った全員だ。

 

 

集中しろ。今、俺の双肩には彼らの命が掛かっている。

 

 

 

「すっーーー、はぁっーーーーー」

 

 

 

 

・・・・・・よし。

 

 

 

 

 

 

 

準備は完了、いざやるぞ。

 

 

 

ああ、そうそう。

 

 

 

──────“凝”を怠るなよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの子に言われた通りに、準備した物を手元に持って、全員でその様子を見守る。

 

 

近くには、万が一火の勢いを止められなかった場合に、すぐに炎の海から救出出来るよう、僕とフィンクスが水バケツを持って待機している。

サラサ達は部屋の前で、例のものを持ちつつ、すぐに逃げられるような位置に居る。

 

 

 

既に建物自体が軋み始め、段々崩れそうな気配を感じている。まだ全体に燃え移ってはいないようだが、時間の問題だろう。

 

 

本来ならば全員すぐさま逃げるべきだ。しかし、皆がみんな。この場所を守りたいという義勇の心と、連帯感があり。

そして、勇気を出してこの場でこの火災を解決するという選択をした、1番の勇敢な年少の子を心配して、離れることはしなかった。

 

 

 

 

それでは肝心のあの子はどこに居るのかと言えば、間違いなくこの場で1番危ないであろう場所。即ち、火元の中心に現在進行形で近づいていた。みんなでずぶ濡れにした彼の姿はしかし、それでも炎の勢いが凄いのか、とても熱そうにしていた。

 

 

 

もちろん本当はそんな危険なことはさせたくは無かった。チラリと横を見れば、木が腐っていたのか、他よりも少し早く焼け落ちた床が見える。

それが、穴の大きさはそれぞれ違いはあれど、あちこちに存在する。

明らかに危険だ。

 

 

 

だがそれを言えば、ここに居る全員は既に危険を冒しているのだろう。今更危険だなんだという話であり、あの子を止める理由にはなり得なかった。せめて今自分に出来ることは、分かりきった忠告をすることだけ。

 

 

 

「足場に気をつけて!!!何箇所か焼け落ちてる!!!いつ床が抜けてもおかしくないよ!!!!!!」

 

 

「うん!!!!そっちも!!!床気をつけて!!!」

 

 

 

僕よりずっと小さい子に、僕は最も危険な場所を任せて、いったい何をしている?何故、他の方法が。解決法が思いつかなかった?

 

 

今日初めて、僕は優秀である筈の自分の頭脳を恨んだ。

 

 

 

 

 

(フィンクス………分かってるよね)

 

 

 

(ああ、もしあのガキが少しでも失敗したような仕草をしたら、すぐに回収して一目散に逃げるぞ。こんな所で焼け死んでやる義理はねえ)

 

 

 

アイコンタクトで、この場で1番の年長であろうフィンクスとの意思疎通を図る。

 

 

なんやかんや、ギリギリまで残ってくれている彼は良い奴だと思う。何時もは色々とやりつつも、やはり彼の根は悪人では無いのだ。

今度、何か面白そうなガラクタや玩具でも見つけたら、譲ってあげようと思うくらいには、僕は心の中で彼には感謝していた。

 

 

実は精神の奥底では、どこか心細かったのかもしれない。

 

 

 

 

「じゃあ、やるよ。見失わないように、しっかり見てて」

 

 

 

「うん、頑張って………!!!」

 

 

 

「………熱っちいから、やるなら早くしやがれ」

 

 

 

 

「頑張れー!!!弟ー!!!!」

 

 

 

 

そのサラサの応援の声を皮切りに、あの子は徐々に近づくのを止め、思いっきり炎の中に飛び込んだ。

 

 

「………っ!?!」

 

 

思わず悲鳴のような声が出そうになるが、必死に抑える。おそらく何かを掴んだあの子の思考を邪魔するノイズは、出来るだけ少ない方がいい。僕は自身の役割を完全には放棄しないよう、片手で口を抑えた。

 

 

隣のフィンクスも、声こそ出さないし口も抑えてはいないが、今にも飛び出してしまいそうな表情だ。しかし、危険なのは百も承知だ。歯を食いしばり、何時でも動けるように身体に力を入れている。

 

 

ある意味でこの状況では、僕より彼らの方が、冷静さは上なのではないかと思えた。

 

 

しかし、僕らの居場所が燃やされ。家族とも言える人が目の前で燃やされかけているのに、冷静さを保っていられようか。

ぶっちゃけ僕は、この焦燥を窘める気には到底なれなかったし、慣れなかった。

 

 

 

あの子が手探りで何かをする。あの場所は、おそらく元となった占い本を探しているのだろうが、もう既に、その影も形も跡形もなくなっているはずだ。少なくとも、ここからでは見ることができない。

 

 

とっくに燃え尽きていると思っていたのだが、もしかするとまだ残っているのだろうか?

 

 

それこそ、オカルトと言えるべきだ。

彼は、「自分の考えが正しければ、本が燃え尽きてさえいなければ何とか出来る」と言っていた。

そんな訳が無い、とその時は咄嗟に思ってしまった。

 

 

しかしあの子のあの必死さ。

もしかすると本当に燃え尽きずにまだあったのかもしれない。そして、何とかする算段をこれから実行しようとしているのかも。

 

 

だがそれで、本当にこの状況が解決するのだろうか?見てから1発本番の一か八かだとも本人は言っていた。

ならば本当に、任せきりにして良いのだろうか?

 

 

 

いや、それを考えるのは後だ。彼が出来ると言った。

そして今は一分一秒を争う。

 

 

 

であれば、これは。僕は今、誰に言われるまでもなく窮地の決断を迫られている。

 

 

 

どうする?手伝いに行くべきか?

しかし⋯⋯彼は「ここで待っていて欲しい。絶対に生きて戻るから。それでも戻って来なかった時や、助けを求めた時だけ助けに来て欲しい」と言っていた。

 

 

 

 

 

助けに行くか。行かないべきか。隣で、フィンクスが歯を食いしばった音が聞こえた。

 

 

 

 

 

天秤に掛けた。後ろの皆と、彼一人。

 

 

未だ階段は使い物にならないが、最悪怪我を覚悟で穴から飛び降りれば、下の階に降りることは可能だろう。その後無事に脱出できるか、落ちる時にそもそも火達磨にならないかという懸念点は置いておいて。

 

 

 

しかし飛び降りるという行為は、ただでさえ臆病なリティが了承するだろうか?仮に彼女がどうにか覚悟を決めたとしても、そもそもこの面子では無事に全員が着地できるかどうかも心許ない。

 

 

僕かフィンクスが抱えて落ちてもいいが、その場合どちらかは犠牲になるだろう。

 

 

 

やはり、どうにかして瓦礫を退かすか?難易度は高いが、あれさえどうにかなればまだ何とかはなる。だが、ただでさえ退かすこと自体が困難なのに、間に合うのだろうか。

 

 

 

 

 

どうする?どうすれば、どうすればいい──────?

 

 

 

 

 

 

 

悩んで、悩んだ挙句。僕は─────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、クロロ。ちゃんと、()()の名前を見つけてね。

──────信じてるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 

───信じる。という選択を取った。

 

 

 

 

 

 

あの子が、いや〇〇〇が手に持っていたそれを投げる。そして、数瞬の後にくぐもった声と肉の焼ける匂いがする。

 

 

 

 

判断を、間違った?いや

 

 

 

 

 

紫の光が、視界全体を、部屋中を、建物全体を、走る。

 

 

 

 

 

奥の方で、宙に浮きながら光を発している、怪しげな魔本が見える。

 

 

 

 

相対するは、しっかりと2本の足で立って床を踏みしめている、あの子。

 

 

 

 

 

ああ、その姿を見て僕は──────

 

 

 

 

 

 

 

それに気づいた、次の瞬間。

 

 

 

 

 

生暖かい風のような何かに、僕の体は包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇──────!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⋯⋯ギィッ。

 

 

 

 

 

本のカバーに、本の頁の独特の匂いが充満する部屋。この部屋は、普段俺が入り浸っている例の場所の次に、お気に入りの部屋だ。

 

 

 

 

目の前に木造の机がある。俺は持ってきた本と共に、そこへ行く。

 

 

 

腰を下ろして、脳の覚醒を促す。

もう何度もやった動きだ。考えるには、集中するにはこれが1番良い。

 

 

 

 

本を開き、続きのページから読み込み始める。その最中にも、脳内思考は加速する。最近はもう本の内容を理解しながら読みつつ、頭で別のことを高速で考えるのをよくやるようになった。そんな事出来るのかと不思議に思うだろうが、これが出来てしまっている。

 

 

 

以前は俺も、そんな超人みたいな脳の人間居るわけねぇだろ!!!

という事を言う人間でした。

 

 

しかし癖なのかは分からないが、日々有り得ない量の本の文章を読んできた事により、段々とこれが常態化しているのだ。

 

 

⋯⋯⋯習慣とは怖いものである。あるいは、まだ幼い脳の吸収力と言うべきか。

 

 

 

これが、いわゆるマルチタスクというやつなのだろうか。

 

 

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

 

 

全宗教会に蔵書されている本は全部読んでしまった。以前にやることが無いとは言ったが、まさかあんな大量の本を全て読み込んでしまう程時間が有り余っているとは思わなかった。

 

 

 

全宗教会とは別のこの建物は、俺が居る部屋以外にも、いくつか部屋があり、その中にはもちろん子供たちが何人も集まるような大きな部屋もある訳だが。

こんな感じの本ばっかりが置いてある部屋も存在する。

 

 

一応この部屋がそれなりに大きい上に、管理する司書的な人も居て。

巷では半ば図書館みたいな扱いになっている。

 

 

のにも関わらず。まさかここでさえ、この最後の一冊で全本制覇もとい読破するとは。

 

 

というか、出来るとは。

 

 

うん、まあ本を読む子供なんて俺以外だとクロロとパクノダくらいしかいないからね。最近はその2人も他のものに夢中のようだし。

 

 

ああいや、冒険活劇系ならシーラも読むみたいだけど。大抵シーラは原作通りで、今は例のディノ・ハンターに出会ったのか、それしか読んでいないみたい。他の子も似たようなものかそもそも読んでないとなると、順番待ちが存在しないのだ。

 

 

結果、俺一人が色んな本を読み放題借り放題な状況になっているというわけだ。

 

 

出来るだけ正体がバレたく無い俺としては、皆んなと読むタイミングが被らないのは大変助かる。

 

 

「諸外国の成り立ち」とか「被虐民と政治」なんて本を読んでるってバレたら、まあ色々と気まずいからね。誤魔化すのも一々やってたらキリがないし。

 

 

一応カバー用に「幻獣大図鑑」とか、「世界のお菓子」とかも借りてるんだけど。

 

今思えばそれらすらも、俺の年齢で読むのはちょっと早いのかもしれないなって。後者はともかく前者は、恐竜図鑑とか借りるノリで行けないかなとか思ってたけどダメだったっぽい。

 

 

前に司書さん(仮)に訝しげな目で見られた。まあ完全に内容を理解してるとまでは流石に見抜かれてないだろうけど。

 

 

あの火災事件から、周囲の俺を見る目が段々変わってきて、ちょっと俺の正体がバレないか日々ビビり散らかしている。

 

 

いやほんと、転生してから苦労しかしてなくない?俺。

もうちょっとこう、なんかいい事あれよ。

 

 

 

 

お?HUNTER × HUNTER世界のネガキャンか?

い、いえ違います決してそんな訳では!!!!

 

 

 

 

 

⋯⋯⋯一人で何やってんだ俺。

 

 

 

 

まあそれでも前世よりはマシか(当社比)

 

 

 

 

 

とにかく、大分知識に関しても追いついてきた感じするし。

そろそろチャージ期間も終わる頃かな?

 

 

 

原作もどうやらもうすぐ始まるようだしね。

いやー、一時はどうなる事かと思ったけど。

 

 

結局、ほぼ俺の予想通り且つ。原作でも同じであろう時期にスタートしてくれそうで助かる。

 

 

何か俺が居ることでのバタフライ・エフェクトでも起こるんじゃないかと戦々恐々だったけど。なんもなかったね。

 

 

 

強いて言うなら、先日の事件がそうだった可能性はあるけども。

あれが、俺がいる事によって生じたものなのか。それとも元々原作であったエピソードなのかを判別する方法が無いため、なんとも言えないのだ。

 

 

まあ、俺が居ないとあの建物は全焼してただろうし。

もし原作にあったら、何かしら作中で言及くらいありそうな事件だったから、オリジナルイベントだと思いたいけど。

あの場の面子じゃ、クロロが居てすら対処できなそうだったしね。

 

 

 

とすると、やっぱりあれは俺向けの本番に向けての前座イベントだったのだろうか。…………うーん、わからん。

 

 

 

ていうかあの本が怪しいよなやっぱ。流れてた噂と言い、それを信じた子供達が、実際に本目当てにゴミ拾いに行って、集落から離れて郊外に近付いていたことと言い。

 

 

どうも、仕掛けられた事件にしか感じない。

 

 

………ん?

噂が流れ始めたのは2ヶ月前くらい。俺がクロロ経由で、内緒で対外防犯対策を講じ始めたのが2ヶ月半くらい前…………

 

 

──────もしかして、さ。

この事件が起きたのって、間接的ではあれど俺のせいだったりする?

 

 

 

人攫い共が、あんまり子供達をさらえなくなって。

やり方を変えた……とか?

 

 

いやでもそれはそれで、原作と乖離しそうで怖いな……(今更)

 

 

 

でもならなんで、あれ以降特に目立った動きが無いのだろうか。

 

 

 

結局事件を収めたから、やり方も従来の物に戻したとかか?

 

 

 

そもそもあれ、“念”宿ってたし。

しかも偶然じゃあ説明つかないくらいの量。

てことはあの時にも思ったけど、ほぼ間違いなく念使いが敵にいるってことになる。

 

 

ただ、それにしてはやり方がおざなりなんだよな。

奴らの仲間にしろ、依頼された工作員にしろ。

 

 

流石に、失敗したからヘマした奴を始末する。というような、軽い捨て駒ってことは無いはず。

 

 

 

この時期はまだそこまで環境がインフレして無いだろうし。“念”を、それもおそらく、“発”を使えるやつが捨て駒ってわけは無いだろう。

 

 

逆に念使いがポンポン捨て駒になるような環境ならもうお手上げだよね。どんな魔境だよ、俺に出来ることなんかありません。

 

 

 

 

さて、そういった線も無いことを考えると………

 

 

俺が解除した本の“念”そのものの性質か。あるいは“発”の何らかの代償で、その念使いが行動やらなんやらを制限されたという線が妥当か?

いや、むしろ濃厚だな。

 

 

それなら、色々と説明がつく。

 

 

 

奴ら、本来なら破られる筈のない念での工作を、たった3才の子供が解除するなんて思いもしなかったんだろう。

ましてやそれによって、その念使いの工作員が反動か何かで続きの仕事が不可能になるような状態、あるいは何かを負った(可能性が高い)状況になるなんて。

 

 

そんなこんなで工作の続行が出来る訳もなく、あえなく以前のやり方に戻した──────というのが実情。って感じのが有り得そうだな。

 

 

 

 

 

んーーー

 

 

 

人屑(奴ら)

まあ勿論アイツら以外にも人攫いグループは居るだろうけど、そのグループが原作で登場してたのの仲間であると仮定して。

原作のやり取りを見るに、そこまで過剰な戦力は無さそうだったし。

 

 

 

性格的にも正面突破はして来なさそうだし、あれから一向にアクションが無いのを見るに、一旦事件が落ち着いて、安全が確保出来たと見ても良いんだろうか?

ああ、もちろん今まで通り警戒は続ける必要あるんだろうけど。現状ひとまずはって話だよ。

 

 

 

で、このまま大人しくしておけば、原作のどおりのイベントが起きていく感じになるのか。

 

 

まあ、目に見えた違和感が発覚するまでは、今まで通り原作に向けた対策をしつつ、いつも通りに過ごすで良さそうだな。

 

 

少なくとも、念使いが大量に居る集団ではない事が分かっただけでも収穫だ。あえて音沙汰無くして、他の念使いが姿を隠したか撤退した可能性はあるけど。それならそれで、時間稼ぎが出来るから問題は無いしね。

 

 

いやまあ、あいつらの気質的に、他の補欠要員の念使いとか居なさそうだけど。

 

 

 

究極、俺は原作の時期さえ過ぎてしまえば。

後はまあ、彼ら幻影旅団にも念能力を教えても良いと思っているから。

そこまで時間稼ぎが出来ればいいんだよね。

 

 

俺だけならともかく、ポテンシャルに溢れた幻影旅団の皆が居るならば、念も使えないその辺の屑チンピラ人攫い程度、容易に蹴散らせると思っているので。

 

 

幻影旅団の皆が“念”を使えるようになった時点で、実は俺視点ではもうゲームセットなんだよね。新手の念使いとかさえ現れない限り、まあ詰むことは無いだろうし。そういったイレギュラーは俺が対処しておけばいい話。それ以外は、原作同様、皆が何とかするだろうからね。

 

 

 

 

さてさて、今後の方針が大まかに決まったところで。

一旦頭の中の情報を整理して、席を立つ。ちょうど、最後の本。「大陸間弾道ミサイルの研究」を読み終わった所だ。

 

 

こんな知識いつ使うんだよと思われるだろうが。

 

 

いや俺も思ってるけども。

そうは言っても知識はあるに越したことは無いのでね。こういうのはいつか何処で役に立つか分からないものなのだから。

故に、これはきっと無駄じゃない・・・・・・よね?

 

 

 

きっとおそらくめいびー。

 

 

 

 

気づいたら、いつの間にか日が暮れていた。危ない危ない、もしクロロにでもあったらお説教を食らっちゃうからね。

さっさと片付けて退散しよう。

 

 

 

 

本を元の場所に戻し、珍しく1冊残っているディノ・ハンターを借りて擬似図書館を後にする。

 

 

ちなみにウボォーギンなんかは、読んだ後の本をその辺に放り出して神父さんによく怒られていた。

 

 

え?ウボォーが本読んでるのが意外?

俺もソーナノ。考えてみれば納得は出来るんだけどね。

 

 

言うてあの人も、頭はキレる側だから。

イメージは全くなかったけど、本くらい読んでも可笑しくはないのかも?

 

 

冊数はそんな多いわけじゃないし⋯⋯難しい本でも無いらしいから、バラフライエフェクトからの“ クレバーウボォーギン”ってわけでは無いと思うよ。流石にね?

 

 

とはいえ大人になって幻影旅団として活躍してからは、あんまり読んで無さそうだけども。

 

 

 

ということで、ウボォーさんの二の轍を踏まないようにしつつ、部屋を出て廊下を歩き──────だした所で。

 

 

 

 

「あ!」

 

「あ」

 

 

 

 

5冊ほどの本の山を抱えたクロロと遭遇した。

別に何かが気まずいわけじゃない筈だが、あの事件以降は、なんだか接しずらい日が続いていた。今は別の意味で遭遇したく無かったが。

 

 

 

 

てか普通にいっぱい借りてる人居たわ。

前言撤回しなきゃ⋯⋯(´・ω・`)

 

 

 

 

なんか、妙にニッチでえらく偏った内容の本ばっかり読んでるな⋯⋯

 

 

 

まあ、わざわざ無理に触れる意味も無いか。

と、その場を後にしようとした時………

 

 

 

 

「あ、あの!!!」

 

 

 

 

呼び止められた。いや何?俺クロロに何かした覚えなんて無いんだけど。

 

 

あれ、もしかしてあれですか?

「お前最近調子に乗ってるらしいじゃん??ちょっとツラ貸せよ、へっへっへっ」とかいうヤンキー漫画みたいな展開に………?

ヤンキー漫画読んだこと無いけど。

 

 

 

いやいやまさか、クロロ君に限ってそんなわけ

 

 

 

 

 

「ありがとう!!!」

 

 

「ふひぁ!?!?」

 

 

おおう、いきなり大声で攻撃されたからビックリしたわ。

サラサと言い、急に人の鼓膜を破壊するのが最近のトレンドなんですか?違うよね?

 

 

「あ、う、うん。どういたし、まして?」

 

 

とはいえ、まあ彼が言わんとしていることは分かる。

 

 

ここは色んな感情を汲み取って、きちんとそのお礼を正面から受け止めてあげようではないか。大人の対応というのは大事だからね。

え?この場合はそう言わない?じゃあ何さ。

 

 

 

「そ、その。約束はちゃんと覚えてる……かな」

 

 

 

「うん、ずっと覚えてた」

 

 

 

や、約束………?なんだっけ………?

 

 

 

や、やばい。

普段から念と念と念とお菓子と念と原作と原作キャラのことしか考えてないのがバレる……!

 

 

 

「……あはは、ほら!

今度一緒にドントル語のビデオを観る約束だったでしょ?」

 

 

 

「うん、そうだったね」

 

 

 

そうか………?そうかも。そんな約束していたような気がする。

 

 

じゃ、要件はそれだけですか?なら俺は行きますねー(((

 

 

 

「それとね、君の名前が分かったんだ」

 

 

 

ふーーん。俺の名前がね。それはけっこ………

 

 

 

 

 

 

 

──────ファッ!?!?!?

 

 

 

 

 

 

思わずといった様子で本を落とす。

マジか、あれ解読出来たんか。多分あれ、パドキアの地方語とかだから、もう暫くは解読は無理だと思ってたのに。

 

 

 

「そっ、それは、、、どんな、名前だったの………?」

 

 

思わず、気になると言った感じで、落とした本を拾いながらクロロを問い詰める。

流石に人生2週目の俺でも、生まれてこの方今まで不明だった今世の名前が分かるとなれば、多少なりとも動揺するらしい。

 

 

驚いている自分に、俺自身が驚きだ。

 

 

 

「うん。今から言うから、しっかり聞いてね」

 

 

 

そう言うと、手持ちの本の山を床に置いたクロロは、あの時の紙を取り出して、1つ咳払いをして、まるで世紀の発表かのように、大げさに真剣な表情をして見せた。

 

 

 

「……ふ、あは。なにそれ。

そんなかしこまんなくてもいいのに」

 

 

「いや、緊張するよ?だって、君がこの先の人生でずっと名乗るであろう、大事な魂みたいなものなんだから」

 

 

 

 

─────────

 

 

 

 

魂、か⋯⋯言い得て妙だね。

 

 

 

 

 

「あはは!確かにそっか!」

 

 

それがなんだかおかしくて、でも嬉しい気持ちもあり、俺はその発表を静かに待つ。

 

 

………おれは、どこかで何か。気を張っていたのだろうか。

 

 

ただ、それが。

今。何となくだが、ようやく解けたような気がする。

 

 

 

それが何だったのか。今はもう良い。

 

 

どことなく。

ひとまずここまで辿り着けたという、一種の安堵があったから。

 

 

 

やがて間もなく、俺の今世での記念すべき初の名前は、親ではなく、使用人でもなく、兄弟でもない。

遠い街の友人の口から読み上げられるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「君の名は─────────

 

 

 

 

 

 

 

 

──────アルカ。アルカ=ゾルディック

 

 

それが、君の持っていた紙に書かれていた、君の名前だよ」

 

 

 

 

 

 

──────俺は、拾い上げた筈の本をもう一度取り落すはめになった。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continued..........

 

 

*1
世間の探偵、犯人探しやり過ぎ問題。いやそも謎解きも探偵の本分では(ry









このあと、きちんとオリ主視点と事件後の後日譚、という名の周囲の反応を別で描写するので、1度ここで終わります、区切りいいので。


今回に限らず、今頃皆どんな気持ちで読んでるんだろうな〜って想像しながら書くのが最近の楽しみです。



それから連続投稿は一旦ストップして、普通(当小説比)の投稿スピードや間隔に戻りますが、暖かい目で見守りながら作者の亀更新にお付き合い下さると幸いです。
早ければまあ1週間後くらいには投稿出来るんじゃないかな…


何しろプロットはあっても着地点決めてないから、何時エタるかも定かじゃないのでね………


感想や評価、ここすきなど貰えるととても有難いですし、モチベも増えますので、“ください”(承認欲求モンスター)


誤字報告、推薦等もありましたら大変助かります。そちらも気が向いた時にでもしてやってください。



これからも本小説をどうかよろしくお願いします。



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