アベリオンの大蛇 ※更新停止   作:お稲荷猫

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 番外編にしようかと思ったけど、本編に組み込みました。
 今回以降、白蛇→ヨル
      口だけの賢者orプレイヤー牛頭人→賢者
 と呼称していますので、混乱したらごめんなさい!


過去は苦いけど今は甘い

 アインズとの出会いから早くも1週間が経とうとしていた。

 心配事の一つであった高位スクロールを作成するための代用素材に関しても、すぐにアインズ自らが興奮を隠しきれずに説明に来た。我の抜け殻は想像以上の品質であったらしく、抜け殻の新旧を問わず、第10位階相当の魔法にも耐えうることが分かったからだ。

 この事実が判明したことで、今後も素材として抜け殻を提供する代わりに丘陵への人材派遣と竜王国や牛頭人の国への支援を行うという当初の話通りに事は進んだ。

 

 最近はナザリックから派遣されてきた者達が選ばれた亜人達に対し必要な教育を施しており、この地に住む亜人種を中心に国家を作り、やがては人間種との共存を目指すという目的のための第一歩を踏み出している。

 

 そうして、現在、数日前から始まった竜王国への支援の状況や新たに発生した問題の報告を受けるためにアインズとデミウルゴスはヨルの下を訪れていた。

 

「敵の戦力から見ても死の騎士(デス・ナイト)死の戦士(デス・ウォーリア)で十分に対処可能だった。今後も同様の支援を継続すれば、支援した国々が滅びることは無い……だったなデミウルゴス」

 

「はい、その通りでございます。ビーストマンの中に死の騎士(デス・ナイト)死の戦士(デス・ウォーリア)を倒せる強者がいないことは既に確認済みです」

 

「それであれば問題あるまい。徐々に戦線を押し上げて行けば、来年の春には落ち着くであろう。あの娘は何か言っておったか?」

 

 あの娘と言うのは、竜王国の女王を指している。

 竜王国の女王が竜王の血を引いているというのは有名な話で、母に当たる人間の女性と父である七彩の竜王(ブライトネス・ドラゴンロード)とは面識があり、女王とも賢者を通してという間接的な間柄ではあるが関係を持っていた。

 

「言われた通りにヨルの鱗を見せたらすぐに頷いたが……顔を真っ青にして怯えているように見えたぞ。仲がいいのではなかったのか?」

 

「仲はよい……と思っておる。我に人化の魔法を教えたのもあの娘であるからな。それより、他に何か聞いたり見たりはしていないか?」

 

 竜王国であったことを全て話してしまっても良いのだろうかとアインズは一考する。

 聞いた話が事実であれば、ヨルにとって気持ちの良いことではないはずだからだ。

 しかし、嘘をついてヨルの信頼を損なうことは避けたいと思い、素直に話すことを決めた。

 

「特になにもない……と言いたいところだが、王宮で奇妙な者を見かけた。真っ白な長髪で人間のように見えたが明らかに雰囲気が違った」

 

「……その者に関して何か話を聞いたか?」

 

「女王に直接訪ねた。明確な返答は得られなかったが……、ヨルが関係していることは分かった。あれは何なんだ?」

 

 ヨルは大きなため息をつきながら、「知ってしまったか」と小さく呟く。

 初めてアインズと話をしたときに伝えた『来訪者がもたらす影響』というのは、自身の体験談から導き出した一つの答えともいえる。

 アインズが目にした白髪の者こそ、自身がこの世界で初めて犯した禁忌の象徴ともいえる存在なのだ。

 

「以前、お主に話をしたな。我らの様な存在がこの地にもたらす影響について」

 

「確か、『その行動に悪意がなかったとしても、辺り一面を傷つけ全く予想していなかった事態を引き起こす』だったか?」

 

「その話だ。あの者達は我が犯した罪によって呪いを受けた者達なのだ。話せば長くなるが……聞くか?」

 

 アインズは即座に「可能ならば」と返した。

 この世界に来て驚いたことは多いが、ヨルに関わる事で驚かなかったことは今のところ一つもなく、新たな発見があるかもしれないと興味がわいていたからだ。

 一方で、ヨルは何とも言えない憂鬱な気分になっていた。

 自身が犯した罪を告白するということは、何度繰り返しても良い気分ではない。

 

「今から150年ほど前の事か……。いや、それよりも前の事かもしれない。ある男が我の下を訪れてな、流行り病に倒れた妻子の身を助けてほしいと懇願してきたのだ。我の存在は伝説の様な物であったのにも関わらず、その伝説にすがる思いで、危険と言われていたこの丘陵を一人で訪れたのだぞ?心から妻子の身を案じる男の姿に感銘を受けてな、我の血を少し与えたのだ」

 

世界蛇(ヨルムンガンド)の血か……、生態からして毒が含まれていると思うのだが……」

 

「薬と言うのは毒と同じようなものだ。それに妻子の命を奪わせるための毒を与えるわけがなかろう?我の思いとしては少しばかり生命力を与えるつもりだったのだ。だが、それが大きな過ちだった」

 

「すると、その血を飲んだ妻子が予想以上に回復したとかそう言うところだろうか?」

 

 ヨルは黙って首を横に振った。

 

「回復しただけならば良かったのだ。妻子が異変に気付いたのは子が人間であれば成年する頃の事だったらしい。男は歳を経るごとに老けていくのにも関わらず、妻は歳をとる様子もなく、子は成人を機に一切容姿が変わらなくなった。更に最悪な事に、子は既に結婚し命を授かっていた。我の血……いや、呪いは孫にも遺伝してしまったのだ」

 

「つまりあの白髪の者は―――」

 

「我の血によって長命になった妻子のどちらか……、あるいはその孫だろう」

 

 話を聞き終えたアインズは首を傾げた。

 世界蛇(ヨルムンガンド)の血にそのような効果があることに驚いたこと以上に、今の話のどこにも大きな問題はなかったように感じたからだ。

 

「話を聞く限りではめでたい話だと思うのだが。人間にとって不老不死は夢の様な物だろう?」

 

「一部の者はな、だが実際には違うのだ。自分の愛する者や親しかった者が先に死んでいく中、自分だけは容姿がほとんど変わらず、体が朽ちるその時まで生き続けなければならない。自死しようとしても傷が回復してしまう故死ぬことも許されず、周りからの好奇の目に耐える生活を強いられる……。アンデッドのお主や周りの者は皆、不死の存在故何とも思わぬだろうが……」

 

「周りが死んでいく中自分だけが……。そう言われると頭が痛いな……、確かに良いことばかりではないようだ」

 

「いや良いことは一つもない。話を聞いた我にできた償いは友に頼み、人目に付かない山奥にその者達が安心して暮らせる場を整える事だけだ。その管理を担っているのがあの竜王国の女王だ。最近は竜王国の資金難を支えるためにと織物を織って暮らしているそうだが」

 

「それであの王宮に姿があったのか……。つまりあの者達は人間ではないということだな」

 

「人間だ……、と言いたいが世間から見ればそうは見えないだろう。実際、帝国の魔導士が興味を持ち誘拐を試みたからな。まぁ、我が鉄槌を下してやったが……」

 

「……影響力は行使しないんじゃなかったのか?」

 

「少しばかり河川を氾濫させただけだ。人命を奪うような真似はしておらん」

 

 そう言うことではないだろうと突っ込みを入れかけたが、この世界蛇(ヨルムンガンド)であれば力を加減する事さえ容易なのだろう。このような出来事の後に、暴れるような真似をする者ではないことは出会ったばかりではあるが十分に理解している。

 

(ヨルが言っていた事はそう言うことか……。だからあのような様子で……)

 

 話から考えると、ヨルの行為は『善意』からの物であったが結果として、この世界にいてはならない存在を生み出した。だからこそ、行為の一つをとっても慎重になる必要があるということなのだろう。

 

「お主、まさか血の方に興味が言って我の話を聞いていなかったわけではあるまいな?」

 

「しっかりと聞いていた。ヨルの失敗を教訓とさせてもらおう」

 

 本当に聞いていたのだろうかと目を細める。とはいえ、アインズが誤った道を進もうとするならば、それを止めるのは先人である自身の役目だ。

 この世界にやたらな混乱をもたらさず平和な世界を維持する事こそ、彼らに対する贖罪なのだ。

 

「その言葉信じておくぞ……。さて、他に何か困ったことはあるか?」

 

「竜王国へ物資を送っているのは良いのだが、竜王国側が支払いを渋っているんだ。ナザリックとしては大きな影響はないんだが、無償で援助しているわけではない。確実に支払いを履行してもらおうにも、私達は名を公に出すわけにはいかないだろう?」

 

「確かにな……。であれば、その間の費用を我が代わりに払うとしよう。あの娘にも『後でしっかり返してもらうからな』と伝えておいてくれぬか」

 

「……やっぱり仲良くないんじゃ―――」

 

「仲は良いぞ。魔法の教え方が下手だからとか、事ある都度に資金を催促してきたこととか、綺麗な宝石がもっと欲しいとか、都合の良いように扱える蛇だなと思っている小娘に怒っているとかではないぞ」

 

 満面の笑みを浮かべながらそう答えるヨルの後ろからは黒い邪気が溢れ出ていた。

 

「デミウルゴス……。ヨルとの約束は破らぬように、それから金の事に関しては事前に相談するのだ……」

 

「かしこまりました、アインズ様」

 

 お金の恨みが何よりも恐ろしいのは知っているが、世界蛇(ヨルムンガンド)を相手にするくらいなら資金運用を見直した方がマシだ。しかし、ヨルを相手にそのような要請を送り続けられるあの女王は一体何者だというのか。

 

(竜王国の女王……。侮れないな……)

 

「とりあえず、話はそれくらいだが……。あぁ、そう言えば前に頼まれていた物を用意させたが―――」

 

「おぉ、これがそうなのか!こう言った物は高く売れるかもしれぬぞ?」

 

 デミウルゴスが異空間から取り出した小さな箱には液体が入った小瓶が並べられており、箱の表面には『化粧品サンプルBOX』と文字が大きく刻まれている。

 

「ヨルが化粧をするわけではないだろうと思っていたが、これ売れるのか?」

 

「美容に抜け目がない者を知っておってな?その者が使っているのを見れば、自然と使われるようになるだろう。お主等にとっても悪い話ではないはずだが、材料はどのような感じだ?」

 

「この地の素材で大体の物は作れるから問題はない。効能も王国で試験を終えているから問題はないぞ」

 

 側に控えているロケシュに指示を出し、用意していた一箱分の代金が入った袋を出させるとデミウルゴスが受け取る。

 デミウルゴスが中身を確認すると、袋には宝石妖精(ジュエル・フェアリー)が生成した宝石が入っていた。

 

「まだ聖王国との交易は始まっておらぬ故、宝石を現物支給という形になるが……。アインズからは問題ないと返答を受けておる」

 

「存じております。アインズ様、これらは全てエクスチェンジ・ボックス行きでよろしいでしょうか?」

 

「各宝石のサンプルは一つずつ残し、他は全て交換していい」

 

 デミウルゴスは「かしこまりました」と頭を下げ、袋を異空間へとしまう。

 

「さて、この後は別の来客がある故話はこの辺りにしよう。また次の報告会に……、暇だったら遊びに来ても良いぞ」

 

「では、その時はまた別の話を聞きに来るとしよう」

 

 机に広げられていた書類を回収し終えると、アインズ達は一礼してその場から消えた。

 

 この後は聖王国からの使者が来ることになっており、アインズ達への対応や丘陵からの報告も含め、最近は特に忙しい日々を送っている。

 

「ロケシュよ……。我はこれまで生きてきた中で最も忙しいぞ……」

 

「新しく始めたことが多いため、こればかりは……。業務を各族長にも分担させますか?」

 

「……いや、まずは先例を立てておかなければなるまい。誤った先例ができれば、修正するのも難しいだろう。今は頑張るとする」

 

「流石でございます、白蛇様!」

 

 褒められて良い気分がしない訳でもないが、それでも日々を寝て過ごしていた身としてはかなり堪えている。

 

(こういったものは確か『無為徒食』……。だったか?今になって賢者の言葉が身に染みる……)

 

 寝てばかりいてはいざというときに動けないぞと事あるごとに話していた賢者の姿が脳裏に浮かんだ。

 戒めという意味よりも、研究や実験の手伝いをして欲しい時にいつも寝ていた我に対する嫌味と言うべきなのだが。

 

「白蛇様、聖王国からの使者が参りました。指示通り、馬車で天幕の前までお越しになってもらいましたが」

 

「そうか、すぐに通すがよい」

 

 報告に来た見張りの兵士は頭を下げると直ぐに引き返し、聖王国から来た使者を連れて戻って来た。

 

「おぉ、ケラルトにレメディオス。久しいではないか」

 

「まだ一週間前の事ですが……、御無沙汰しております?」

 

「今日はケラルトの護衛でついてきただけだ。会いに来たわけじゃない」

 

 疑問調で挨拶するケラルトとは別に、辛辣な言葉でレメディオスは挨拶をした。

 二人の後ろには護衛の聖騎士と怯えた様子から新顔であろう老けた男性が続いている。

 

「まったく、レメディオスはつれないのう。まぁ、そこも良いのだが……。さて、今日ここに来たのは交易の顔合わせ……と言ったところか?」

 

「その通りです。それから、白蛇様が求められていた―――」

 

「ヨルでいい」

 

「……はい?」

 

 突然何を言っているんだと呆気に取られているケラルトを後に話は続く。

 

「白蛇様と言うのはやはり固い。ヨルでいい」

 

「で、ではヨル様が求められていた『ぷりん』の試作ができたのでそちらの確認も―――」

 

「おぉ、顔合わせの前にまずは『ぷりん』だ!はよう持ってくるのだ」

 

 ヨルのペースに乗せられてしまっているケラルトだったが、もうどうにでもなれと持ってきた特注の籠の中から、王宮の料理長によって作られた試作のプリンを取り出す。

 特注の籠は内側が鉄張りで外側を獣の皮で覆っており、冷気を外へ逃がしにくい設計になっていた。

 

「ヨル様の言っていたように、器から皿に移そうとすると形が崩れてしまうのでこのままでお召し上がりになられた方が良いかと」

 

「ふむ、そこは要改善と言うべきだが……。見た目は正にこの通りだ!後は味だ!」

 

 スプーンを取り出そうとしたケラルトだったが、この蛇はそもそもスプーンを持てないだろうと見えない内に籠へとしまう。

 

(てか冷たっ!スプーンまでこの中に入れたら冷たくなるのに一体誰が……!姉様か……)

 

 屋敷を出る際にスプーンがないと食べれないだろうと持ってきたのはレメディオスだったが、そのスプーンの行方までは確認していなかった。だが、食べる相手がヨルだと知っているならばそのような行為には及ばないはずだ。

 

(まさか、姉様はヨルの人化した方の印象が強く残って……?いや、何も考えていないだけかも……)

 

 思考を巡らしているケラルトを気にすることもなく、ヨルは器用に爪でプリンの器を掴むとそのまま口の中へとプリンを放り込み、器に残ったプリンも舌を使って綺麗に舐めとる。

 

「量……、少なかったかもしれませんね」

 

「まぁ、物足りないのは事実だが……。この味は間違いなくプリンなのだ!懐かしい味だ……」

 

 満足そうな表情を浮かべるヨルにケラルトやレメディオスもほっとした様子を見せる。

 

「ひとまずプリンの味は問題ない。次持ってくるときは量を『少し』ばかり増やしてほしい所だな」

 

「『少し』ですか……。満足いただけたのは幸いなのですが……、その……」

 

 口にするのを気まずそうにしているケラルトを見て、ヨルは素直に話す様に求めた。

 

「プリンにはそれなりの量の砂糖を使うのですが、聖王国では砂糖の生産は少なくて……」

 

「砂糖のためにお金が必要と言ったところか?」

 

「お恥ずかしい話ですが……」

 

「それならば問題はないぞ。ロケシュ、袋を」

 

 すかさずロケシュが懐からデミウルゴスに渡したのと同じ袋を取り出し、ケラルトへと手渡す。

 袋の中身を確かめたケラルトは入っていた宝石に驚き目を丸くすると、その中から一つ取り出した。

 

「これほどの宝石は見たことがありません。大きさ、透明感、色合いどれをとっても一級品です……」

 

「お主であればその価値がどれほどになるか分かるであろう。それを王国でも帝国でもいい貴族に売り払えば、良い資金源になると思うが?」

 

「売るのがもったいなく感じてしまいますが……、確かにこれだけの宝石を売ることができれば当面の予算が……!ゴホン、失礼しました」

 

 小国故の資金難は聖王国も竜王国も同じようなものらしい。双方とも亜人との戦いを繰り広げてきたことから、軍事費に過剰な量の予算が投じられていたのが背景にあるのだろう。その点で言えば、聖王国はまだ良い環境にあると言える。

 

「交易共通金貨の在庫がまだない故、当面の間は宝石での支払いが続くことになるのは話を通していた通りだ」

 

「(一生宝石のままでも構いません)もちろん話は通してあります。この者が代表して取引をすることになりますが、口が堅いのは保障致しますので何なりとお申し付けください」

 

 背後で怯えていた男が前に出て頭を下げる。

 その様子を見る限りでは本当に口が堅いのかどうかは疑ってしまうが、ケラルトが推薦するほどであれば信頼を置くに値するだろう。何より、下手な人物を派遣するようなはずがない。

 

「分かった。ロケシュ、この事は見張りの兵士にも連絡をするように」

 

「かしこまりました」

 

「さて、後の取引に関してはこのロケシュとの間でうまく進めてほしい。我に一々面会していては恐ろしいだろうからな」

 

 茶化すつもりで鋭い鳴き声を上げると商人の男は更に怯えた様子で身を竦めた。

 以前であれば剣に手を付けていたであろうレメディオスも、ヨルがどのような性格であるかを理解しているため警戒するような様子はない。

 この蛇はこのような場面で悪戯できそうな者を見れば、すぐにいじめようとするのは知っているからだ。

 

「それはさておき、ケラルトよ。これをカルカに届けてもらえぬか?」

 

 先ほどデミウルゴスから受け取った化粧品が入った小箱を爪に乗せて渡す。

 受け取ったケラルトは表面に書かれている文字が読めないために、何が入っているのか分からず首を傾げた。

 

「カルカの生誕祭があることをレメディオスから聞いて……いや、見せてもらったからな。我からのプレゼントだ」

 

「それはありがたいのですが……、中身は何ですか?」

 

 この蛇であれば、プレゼントと言って獣の牙でも入れているのではないかと思い、ケラルトは疑いの目を向ける。

 

「お主が思うようなものではないぞ?ただの化粧品だ。説明は中に入っていると思うが……、読めるか?」

 

「化粧品ですか?外の文字は読めませんが……、中の文字は王国文字ですね。これならば読めます」

 

「ならば良かった。これからもよろしく頼むと伝えておいてくれ」

 

 意外にまともなプレゼントに驚きつつもケラルトはカルカに代わって礼を述べると、小箱を手に一礼してレメディオスや供の者を連れてその場を後にした。

 商人の男は護衛の聖騎士と共にロケシュの案内の下、話をまとめるためにケラルト達と別れ場所を移した。

 

(それにしてもあの蛇、カルカ様の秘密を一体どこで……?)

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