※人化は人によって好みが分かれるとのことで、11/20に追加タグとして『ときどき亜人化』が追加されました。
人化系が苦手な人は注意です!
地面に生える雑草が風と共に揺れ動き、わずかな小動物が駆け回るアベリオン丘陵。
普段であれば何もない静かな場所であるが、今日だけは違う。
鎧がこすれる音と共に規則的な足音が鳴り響き、その先頭を走る旗手の手には聖王国の旗が高らかに掲げられていた。
「カルカ様、間もなく『門』に到着します」
『門』とは、この丘陵に亜人達の領域を示す様に建設された巨大な壁の事である。これが初めて確認されたのは150年ほど前の事であり、丘陵に派遣された第一次調査隊がその存在を報告した。
この門と聖王国の国境沿いに広がる城壁の間は中立地帯として機能しており、亜人達もよほどのことがない限り、この地域に姿を現すことは無かった。したがって、この地域に亜人が姿を現した場合は速やかに戦闘に備えるよう体制が整えられたのだ。
そして今、聖王国軍はその中立地帯へと進軍し、敵の門の前まで迫っていた。
「私が判断を間違えたために、このような事態に皆を巻き込んでしまうなんて……」
「何をおっしゃいますか!あの時、姉様に追わせるよう進言したのは私です!それに姉様も日頃からこうなった際の覚悟は決めていました……。決してカルカ様のせいでは―――」
「それでも二人の進言を受けて判断したのは私だわ。それが聖王女としての、私のとるべき責任だもの」
追撃に出た聖騎士達が亜人に捕えられた。
その報告を受けた時、誰もがその耳を疑った。歴代でも最強と名高いレメディオスが亜人の手に落ちることなど誰も予想できなかったからだ。
カルカは直ぐにでも助けを向かわせようとしたが、ケラルトがそれを諫めた。情報も不足し混乱している今、迂闊に行動を起こすべきではないと考えたからだ。
ケラルトも、既に姉様は生きていないかもしれないという不安から体が震えたが、もしそうなれば自身がカルカを支えていかなければならないと心を奮い立たせた。
姉様がいなくなったことが南部に知られれば奴らはここぞとばかりに北部に対し行動に出るかもしれない。そうした対処に時間をかけている間、姉は亜人の手によって辱めを受けているかもしれない。そんなことは決して許さないと、溢れる怒りに促されるまま即座に行動を開始した。
ケラルトによる南部への政治工作と、聖騎士達の救出を名目とした軍の編成は驚くほどの速さで進められた。
カルカもこれらの事案を直ぐに了承したが、自分の判断により招いた事態に大勢の民を巻き込んでしまうことへの罪悪感に苛まれていた。
「姉様を……、いえ、国宝の類だけでも回収することができれば、すぐに撤退しましょう。長居することはできません」
今回集めることができた兵士達は約2万だ。しかし、これほどの軍を長期間拘束するために必要な物資を用意することはできていない。レメディオスや聖騎士が見つからなかったとしても、時期が来れば撤退せざるを得ないのだ。身内を救いたいがために多くの民を犠牲にすることはカルカの意思に反すると。
そうしたケラルトの心情を理解しているカルカは、「ケラルト……」と呟くと、そっと体を抱き寄せた。
少しすると馬車が止まり、扉がノックされる。
「聖王女様、目的地に到着しましたのでこれより作戦を開始します」
「分かりました。私も兵士と共に立ちましょう」
扉を開けると、傷が至る所に付いている鎧を着た将軍が膝をついてカルカを迎えた。
カルカが姿を現したことで周囲にいた兵士達も「おぉ!」と思わず声を漏らす。
この展開はすでに打ち合わせ済みの事であったため、大きな混乱や反対が起きることはなく、将軍は拡声の魔道具を持って用意された指揮台に昇る。
『門』にはいつもの様に見張りをしている亜人の姿はない。これは神が与えた絶好の機会だと、将軍の魔道具を持つ手に力が入る。
「皆の者!この戦いで亜人共に我らの力を示すのだ!攻撃開―――」
そう言いかけた矢先、地面が揺れた。高所にいるがゆえに、揺れを感じやすかったのもあるが、そうでなくても感じ取れるほどの揺れだ。そして、動揺した兵士達の目には異様な物を目にした。
門の奥に広がる丘陵。
その風景が切れる場所から迫りくる白い岩の様な物の姿を。
それは迫るにつれて全貌を明らかにし、誰もが目の前に現れた存在に震えた――。
そこに現れた巨大な蛇の姿に。
時は少し遡り、場面は白蛇の寝床へと移る。
「なんで誰も起こしに来ないのだ!すっかり寝坊してしまったではないか!」
「白蛇様の睡眠を邪魔するなど我々にはできません!」
「今日という日の重要さを知っているなら叩き起こさぬか!いや、こんな慌てる羽目になるなら昨晩は無茶しすぎるべきではなかった……」
呼び出したロケシュに対し、責任転嫁ともいえる怒りをぶつける。
だが、これが理不尽な行為であることに気づくと、すぐに怒りの矛先を自身へと変えた。
全ての原因は、久々に楽しい時間を過ごせたため、夜遅くまで目を覚ましていた我だ。幸いにも、騒がしくなつた聖騎士達の声で目を覚ますことができ、最悪の事態を避けることはできそうだ。
本来の予定であれば、聖王国軍が到着する前に境界で待機し、彼らを出迎えるつもりであったのだが……。
「ともかく、我は先に向かうぞ!ロケシュはそこの聖騎士達を連れて直ぐに来るのだ!あぁ、そこの騎士よ!レメディオスを介抱してすぐに起こせ!」
「わ、私ですか!?」
「なんだ、介抱の仕方も知らないのか?それならば我が知識を……」
「い、いえ結構です!そのような問題ではありませんので!」
「ならば四の五の言わずにさっさと動くのだ!ロケシュ、お前は打ち合わせ通りにするのだぞ!余計な軋轢を生んだら承知しないからな!」
言いたいことを全て言い終えると、これまでに見せたことのないほどの素早さで寝床を飛び出した。
その姿は白蛇に長らく仕えてきた亜人達でさえ見たことがなく、誰もが呆然としていた。
「……はっ!人間共よ、お前達も早くするのだ!遅れることがあれば白蛇様にお叱りを受ける!」
「わ、分かった。お前達、早く装備を整えるんだ!テントは――」
「そんなものそのままにして、直ぐについてこい!誰か、
グスターボもロケシュの慌てように直ぐに聖騎士へと指示を伝える。
当のロケシュは指示を伝えた矢先、次の指示を伝えるために、そのまま天幕を飛び出した。
(あぁ、なんということだ!これで亜人達に死者でも出ようものなら、どう事態を収拾すればよいのだ……。我の馬鹿者!お楽しみも大概にしろとあれほど反省したではないか!)
過去の記憶を振り返りながら、自身の愚かな行為に呆れる。
だが、そうであったとしても昨晩の行為のすべてを否定はしない。知識とは実践することで初めて価値を持つのだと、不思議な達成感を感じていたからだ。
(しかし、あの
門に近づくにつれて、大勢の人間がいる事が空気の感触から感じ取れた。
ある程度の距離まで近づくと、一度勢いを弱めて体裁を整える。
これまでの経験から人間と話し合う際には第一印象が重要であると理解していた。
弱そうに見えれば舐めてかかられる。こう言った場合は、自身の強さを隠さずに全てを見せることが、事を穏便に済ませる最良の手段だ。
あえて地面を揺らしながら、堂々たる威風を醸し出し丘陵の先へと進む。
麓に見える聖王国の軍は展開を終えており、あと一歩遅ければ門に対し攻撃が始まっていただろう。
門の背後には亜人達が姿を隠していた。
「白蛇様だ!白蛇様がおいでになられたぞ!」
「白蛇様ー!」
隠れていた亜人達が声を上げたことで、門の外にいた人間達が警戒するのが分かる。
その中の一部が魔法を我に放とうとしていることも。
(全く余計な事を!しかし、これほどの圧を出していても攻撃をしようとするとは……、恐怖故の事だろうが仕方ないのう)
周囲の空気を吸い込み、肺を膨らませる。
『全ての者に告げる。我の指示なく動くことを禁ずる。その場に跪くのだ』
鼓膜が震えるほどの声が響くと、一帯の空気が震え人間や亜人を問わずその場にいた全ての生物が即座に跪いた。
スキル≪幻獣の叫び≫は『
門の前で止まると、側にいた亜人数体に命令し門を開かせる。
『人間の代表となる者は立ち上がり、我の前に来るのだ』
その声に従うように、人間達の奥から金髪の女性が抵抗する様子を見せながらも我の前へと歩いてくる。
「ふむ、お主が代表者……、いや聖王女カルカ・ベサーレスだな?なるほどなるほど、レメディオスの思っている通りの人間だな』
「……ッ!その通りです……。その言からすると、レメディオスは生きているのですか」
「そう緊張するでない。……とはいえこのような状態では仕方ないよのう。少しうるさくなる故、耳を塞いでおくのだぞ?」
堂々としながらも微かに体を震わせているカルカを後に、再び息を吸い込んで声を上げる。
『全ての者に告げる。我の指示なく動くことを許す。しかし、この場で争いを起こすことを禁ずる』
声が響くと同時に、自由に動ける状態になった聖騎士や神官が直ぐにカルカの下へと走り出す。そこには当然、ケラルトの姿もあった。
聖騎士達はカルカの前へと立つと剣を抜こうとするも、触れようとした瞬間に不思議な力によって弾かれる。神官達もメイスを取り出そうとしたが、同様に弾かれてしまった。
「だから言っておるだろう。争いを起こす様な真似すらできんぞ。我はこの場に争いに来たのではなく、話し合いにきたのだからな。まずは落ち着くがよいぞ」
そう言いながらいつものように体を巻き、頭を地面へと近づけリラックスする。
「話し合い……ですか」
「左様、話し合いだ。正確には謝罪と誤解の訂正に来たとでも言うべきであるな。でなければ、お主等のことをここまで丁重に迎えることもあるまい」
「そうですね……。それではお話を聞かせていただけますか」
すると側にいたケラルトがカルカの肩を叩き、耳元で囁く。
「カルカ様、良いのですか」
「良いも悪いも、この場でこの方に歯向かうことなどできない。従うほかないわ」
二人が話し終えるのを確認すると同時に、咳ばらいをして話を進める。
「まずは我の正体を明かしておこう。我はこの丘陵を統べる
「承知しました白蛇様。私は―――」
「あぁ、お主と側にいる者は名乗らんでもよいぞ。レメディオスの記憶を見せてもらっておるからな。そちらの者が聖王女カルカ、そして神官でレメディオスの妹であるケラルトだな」
「姉様の記憶を……?姉様は無事なのでしょうか!?」
レメディオスの事を口にしたことで、ケラルトは思わず声を上げた。
このような場面であれば、姉妹の血でつながるレメディオスの安否が気になるのは当然だろう。本当であればレメディオスや聖騎士をこの場で引き渡したいところなのだが、先行してきてしまったため無理だ。
「安心するがよい、お主等の聖騎士達は誰一人として死んではおらぬ。怪我はしているかもしれんが、命に関わるものではないだろう。我の名をもって保障しよう」
その言葉を聞くとカルカとケラルトは安堵の表情を浮かべる。
思ったよりも物分かりが良い事に好印象を持つが時間も惜しいため本題へと入る。
「さて話はここからだ。率直に述べる故、質問は後にせよ。まずお主達に対する亜人の攻撃、これは全て我とあの者達との間の誤解が原因で起きてしまったことだ。今は誤解が解けた故、今後亜人達が攻撃を仕掛けることはない。そして、これまでの件について支配者である我が代表して謝罪させてもらおう」
もたらされた情報量があまりにも多かったためか、カルカとケラルトは混乱のあまり固まってしまう。いや、その二人だけでなく、話が聞こえていた全ての人間が訳が分からないと言った表情で固まっていた。
「……大丈夫かのう?」
「……はっ!はい、大丈夫です!」
いや、決して大丈夫ではないだろう。側にいるケラルトさえも未だ状況を飲み込めずに首をかしげている。
「混乱するのも分かるぞ。我とてお主等の立場であれば、このような話を理解しろと言われても無理だ。だが、これは事実であるぞ」
「えぇと……。つまり、亜人達は二度と聖王国に攻撃を仕掛けてこないということですね」
「そう言っておるだろう。それから我はお主達に賠償をしたいのだが……、欲しいものあるか?財宝、食料、なんでも申すがよい」
なんでも欲しい物を言え。そう言われたカルカはケラルトとどう答えるべきかと話を始めた。
それが当然の反応だろう。目の前にいるよくわからない蛇がよくわからない事を言い始めた上、賠償として欲しいものをなんでも言えなど、あまりにも出来すぎている。
(とはいえ本音なのだがのう……。……長くなりそうだな)
魔法を唱え、記憶の中にある人間達が座る椅子、そして机を用意する。
突然、何もない空間から現れたそれらの立派な品々に、その場にいた誰もが驚きのあまり目を丸くした。
「お主達も立ったままでは疲れるだろう。そこへ座るがよい」
「こ、これは……。ありがとうございます……」
「うむ、よいよい。欲しい物があればなんでも申すがよいぞ。限りは問わぬからな」
「……一つお聞きしても良いでしょうか」
椅子へと座ったケラルトが声をかけてきた。
レメディオスと違いただ睨みつけるのではなく、こちらを見定めるような視線を送っている。
「良いぞ、なんでも聞くがよい」
「ここまで我々を優遇……と言っても良い対応をなさるのでしょうか。正直に申しますと、私は―――」
「怪しいと思っておるのだろう。その反応は当然だ。だが、我がこのような対応をする理由は簡単だ。こちらが起こした問題である以上、下に出るのは当然だということ。そして、我は単純に人間が好きだからだ」
「人間が……好き?」
「レメディオスにも同じ視線を送られたが……。蛇が人間好きではおかしいか?」
「し、失礼しました……。あまりにも意外だったもので……」
「我は心の奥底から人間が好きだぞ。理由を語るには長くなるが―――」
話を続けようとした矢先、遅れて来たロケシュ達が丘陵の奥から姿を現した。
命じておいた通り、亜人達に武装をさせている様子もなく、真意が伝わっていた事に安堵する。
よくやったと褒めてやりたいほどだ。
「ちょうどよい。あの者らを返しておこう」
ロケシュに向かって顔を振ると、それを合図に荷車から聖騎士達が降ろされる。
ただ一つの問題があるとすれば、レメディオスが未だに目覚めずに若干うなされていたことだ。
(介抱しろと言っておいただろうが!なんということを……!)
「姉様!姉様、大丈夫ですか!」
「あぁ……、昨晩少しお仕置きをしただけじゃ。決して悪いようにはしてない故、安心してほしいのだが……」
「……一体何があったのかお聞きしてもよいでしょうか」
カルカの視線が明らかに敵意に近い物へと変わっていた。
身から出た錆ではあるのだが、ここは素直に話しておくのが良いと思い重々しい口を開く。
「その者が剣を抜いて立ち向かってきた故、我も仕方なく、そう仕方なく!手を出したのだ。ほれレメディオス、起きぬか」
ケラルトの膝でうなされているレメディオスの顔を尻尾で優しく突っつくと、それに気づきレメディオスが目を覚ました。
「ケラルト……、カルカ様まで……。それに……ッツ!!」
二人の後に我と目があったレメディオスは、意識を覚醒させると猫が警戒するように起き上がり、側にいたケラルトやカルカを護るように前へと立つ。
誰から見ても我を恐れているのは間違いなかった。
「貴様!まさか二人にまであのような真似を!」
「あのような真似とは……?姉様詳しく……」
「ま、待つのだ!それ以上言うのではない!」
(すっかり記憶処理を忘れていたのだ!これは非常に不味いのだ!)
自分でしたことではあるが、こうなっては秘儀を使うほかない。
未だ完成系ではないものの、意を決して人間へと変化する魔法を唱える。
突如、白蛇の体がまばゆい光を帯び始めたことで、カルカ達は警戒する姿勢を見せるも、あまりの眩しさに目を開けていることもできなくなる。
光はやがて粒となり空中に広がると、一点へと集まり始め、徐々に人の形を形成し始める。
そしてさらに強く光を放つと、爆発音が鳴り響き白い煙が辺り一帯を覆った。
「カルカ様!ご無事ですか!」
「コホッ、コホッ!私は大丈夫……コホッ!」
「姉様!あの蛇はどこに……!」
レメディオスが周囲を警戒するも煙が濃すぎるため状況がよく分からない。しかし、煙が晴れ始めると、蛇がいたところで丸くなっている物があることに気づいた。
その正体は煙が晴れるにつれて明らかになる。
「も、申し訳ないのだ!この通りなのだ!」
「お、お前。まさか……」
白い長髪で全身が覆われている少女が頭をこすりつけていた。
あの白蛇が消え失せた後にいたことから、この少女があの蛇であった可能性は高い。
すると少女はすさまじい速度でレメディオスへと飛び掛かった。
「レメディオス!許してほしい、この通りなのだ!だから黙っていてほしいのだ!」
「うわっ、巻き付くな!離れろ!」
レメディオスに飛びついている少女は、瞳が赤く顔や腕の一部に鱗の様な物が見えること。そして、下半身が
あまりにも変わり果てた白蛇の姿にその場にいた誰もが固まった。
レメディオスは必死にはがそうとするも、その体からは想像できないほどの強い力で掴まれているため、身動きすることさえできない。
そこへケラルトが歩み寄ると、ためらわずに白蛇の首のあたりを両手で掴む。すると「ふぎゃ!」という情けない声と共に、白蛇の掴む力が緩んだ。
「蛇は首のあたりを掴むと良いと聞きましたが、その通りのようですね。カルカ様どうしますか?」
白蛇は手をバタバタさせながら暴れており、その様子にケラルトは満足そうな笑みを浮かべる。
しかし、尋ねられたカルカの顔は果実のように真っ赤に染まっていた。
「ケ、ケラルト。ひとまずその子の姿を何とかして頂戴……」
カルカの様子に白蛇は自分の姿を確認する。本来であれば一緒に生成されるはずの下着はどこかへと消え失せ、素肌があらわになっていた。
途端にそれまでの行いが恥ずかしく感じられ、顔に熱がこもり赤くなる。
「な、なにを見ているのだ!無礼者!は、早く手を離さぬか!」
「オス……なのか?ケラルト、蛇に性別はあるのか?」
「お前はナニを見て言っておるのだ、レメディオス!」
「なっ!こら、引っ張るな!」
何とかケラルトの手から離れると、周りの聖騎士達や亜人達に殺気を放ちながら、レメディオスをグイっと引っ張りその側へと隠れる。
『全員その場にひれ伏すのだ!!』
その後、ロケシュが用意していた服を我にかぶせたことで事なきを得たが……。
もはや、尊厳は完全に失われた。それだけではない、亜人達に対してもだ。
これからどのような顔をして、皆を相手すればよいというのか。
「……ロケシュ、この状況何とかできぬか。というかこの服はどうした」
「以前練習にお付き合いした際にサイズを確認致しましたので、ご用意しておきました」
「……お主も後で『お仕置き』だ」