ジョジョノ奇妙ナ学園ボツ案シリーズ 見たい方だけ見てください 作:エア_
でもそろそろ承太郎さんに戦闘してもらわないと困る上に、6人の会話を纏め上げるのが難しいため没に
束がそう叫びながら入ってきた直後、あたりは先ほどよりも静寂を強くした。それもそのはずだ。今作戦の方針が決まりそれからという所に邪魔が入れば誰だってそうなる。しかし問題を起こした本人はそんな事関係ないと笑顔のまま千冬飛びつこうとした。
千冬は飛んできた束にタイミングよくエルボーを腹に食らわせ、両肘を固めてそのままバックブリーカーを決めた。ジャージ姿の千冬が放ったバックブリーカーに一同唖然とする。
「・・・・・・それで、なんのようだ束。しょうもないことならこのままロメロスペシャルを食らわせるぞ」
「愛が痛いッ! 愛が! 愛がいだい!!」
流石にこのままの体勢でいるのは疲れるためか、束を解放すると先ほどの狼狽した態度などどこへいったのかと思わせるほど冷静な表情で未だ地に両手をついてる彼女を見下ろした。
「さっさとしろ。こっちは急いでいるんだ」
「だ、だから。紅椿が良いんだってちーちゃん。紅椿は束が作り上げた展開装甲を持つ第四世代型なんだから」
「・・・・・・何?」
承太郎だけが驚愕した表情をした。そう、実は既に周りの人間は第四世代については知らされていたのだ。
さて、第四世代型についての補足を入れておこう。
そもそもISとは本来宇宙への探索を目的としたMFS(マルチフォームスーツ)なのだが、軍事目的として転用が行われ、しまいにはスポーツの一環としてその姿を変えていった。そのことからISには自己進化プログラムが組み込まれており、その操縦者の戦闘経験に沿って自らの姿形を変える「形態移行」を搭載されている。
その過程の中で、IS自体の世代進化が現れたのだ。
兵器としての運用で作られた本来の目的から完全にそれた初期型IS「第一世代」
後付武装を用いて戦闘のバリエーションを多彩にする実用型IS「第二世代」
搭乗者の意思と接合させた特殊兵器を搭載した試作型IS「第三世代」
現在この三種類のISがこの世の中には存在しているのだ。学園で使っている打鉄やラファール・リヴァイブ。そしてシャルロットが使用しているそのカスタムⅡは第二世代。そしてセシリアの【ブルーティアーズ】、鈴音の【衝撃砲】ラウラの【AIC】など、精神力を酷く用いるISは第三世代の分類になる。ちなみに第一世代といえば、白騎士事件での不明ISはまさしく第一世代である。
では、第四世代とはいったいどのようなものをさすのだろうか。
第四世代の定義というものがIS業界では一部存在していた。
それは『装備の換装無しでの全領域・全局面展開運用能力の獲得』自律支援装備を有し、展開装甲が標準装備となっている、というものだ。
つまりどういうことか、それは『あらゆる戦闘場面においてその場に応じた戦闘を従来の装備だけで運用出来る能力が必要』だということ。昔の兵器を例にあげれば、銃剣なんかはその原型とも言える。近距離及び中距離に適した剣と中距離及び遠距離に適した銃をあわせた全距離をカバーした兵器。それをISで行ったのが、
理想型IS「第四世代」なのだ。
今目の前の天災は、新たな火種をこうも簡単に投げつけてきたのだった。
「・・・・・・てめぇ、関係者以外が入ってくるんじゃあねぇ」
しかし、そんな事承太郎にとってはお構いなし。凄みを利かせ、彼女をにらみつけた。
「喋りかけるなよ暑苦しい。今まで無視決め込んでた癖に話しかけんなよ。それに生みの親である私ほど関係している人物はいないと思うんだけどね」
「てめぇの存在なんざ知ったことじゃあねぇんだよこのうすらとんかち。今ここでの関係者はこの旅館にISの研修に来たIS学園の人間のうち、専用機を持つ限られた人数のことを言ってんだよ。さっさっと失せろ。このスカタン」
承太郎と束の視線が火花を散らす。片やISの生みの親、片や現世界最強有力候補No1。互いの険悪なムードが辺り一面を覆い隠した。仮にも天才であるのに間違いがない束に頭の回転が鈍いという意味のうすたとんかちと罵れる辺り、流石は承太郎といったところじゃないだろうか。そして、そんな空気に耐えられなかったのか、それとも純粋に疑問に感じたのか、一夏がふと思い出したように声を上げた。
「た、束さん。承太郎のISって、俺みたく近接オンリーだけど、全距離に対応してるし、第三世代みたいなの必要としてないし、第二世代みたいに後付け兵器も不必要って事はつまり箒の紅椿と同じで第四世代ってことですかね?」
「何言ってるのいっくん。こいつのISが全方向に対応できるからって、自律支援兵器も展開装甲も持ち合わせていないから第四世代じゃないよ」
「そ、そう言えば私たちと2対1をした時、空条さんとスター・プラチナそれぞれが相手をしてましたわよね。これで
「それに、スター・プラチナの登場自体が空条の中から展開されて行ってるから、実は【憑依型】って、第四世代と考えてもいいのかもしれないわね」
一夏と束の会話に続き、セシリアと鈴音がそう付け足した。その内容に束の顔が歪んだ。まさか自分がやっとの思いで作った完成型が既に別の人間が完成させているなどと思っても見なかったのだろうか。それともまた別の意味で驚いているのだろうか、それは彼女以外誰にも分からないでいた。
「んな事どうでもいいだろうが。今の問題は、ユーロから正式な要請がオルコットに言い渡された。どこの国の代表候補ですら決まってねぇ篠ノ乃にやらせるわけにはいかねぇだろうが」
しかし、当の本人の“んな事”発言に周囲の彼を知る人間は流石だなぁと改めて思った。
さて、箒の件で正論を吐いた承太郎だが、そこで一夏はどうなのだと言う人間も勿論いるだろう。だが、彼は既に世界初の男性操縦者ということもあり、彼の国籍は日本ではあると同時に自由国籍を持っているのだ。そのことにより今の所属は日本の“IS学園”となり、彼はIS学園代表候補となっていたのだ。ただ、未だに彼には言い渡されていないだけで彼の一言で好きな国に所属することが出来るのは確かだ。
承太郎は既にユーロ代表という地位についており、自由国籍はジョセフとその友人のシュトロハイムの都合、何よりもパートナーのラウラとの連携の関係からドイツに在籍していた。
さてヨーロッパの代表候補生及びユーロ代表で占めているこの会議に当然ヨーロッパIS委員会も口出しをしてくるというもの。自分たちを主軸にしたいというのもおかしくはない。アメリカに恩を売っておこうと考えるのは間違いじゃないからだ。だが、そこでさらに口を出したのが我等の承太郎だった。彼の権限はまさに鶴の一声と同等の権限を持っていた。その事により、いまだにヨーロッパからの主導権の譲渡は求められていない。いや、彼にいわれたのにそれをすれば二度と議会に顔向けできないだろう。なんせ【空条承太郎自身から活を入れられる】のだから。
「そこの奴よりかは箒ちゃんのほうが作戦の成功率は上がるに決まってんじゃん」
「てめぇの勝手な決まりなんざ端から興味ねぇんだよ。もし篠ノ乃が失敗した時のリスクは考えてんのか? そしてその時の尻拭いをするのが攻撃力しか持ってねぇ一夏だ。オルコットと篠ノ乃、場数は間違いなくオルコットのほうが上、なら作戦遂行率が高いのは明確だろうが。俺は態々
「じゃあ成功したらそのISを貰うよ。そこまで私に啖呵を切ったんだ。それくらい賭けてもらわないとね」
高圧的な態度を取る二人に千冬は頭を悩ませる。苦悩が続く、それはさすがの彼女にも堪えるものがあった。
承太郎は箒とあまり関わりを持っていない。精々放課後の自主トレ(という名の一夏の手伝い)か、あの一夜限りだ。対してセシリアのほうは専用機を持って長い上、さらには自分と一戦交えた間柄なのだ。実力も分からないつい最近専用機を貰った生娘(実践という意味で)と専用機を長く持ち、代表候補生としての責務を全うするために今まで努力を怠らなかった実力のあるエリート生。はたしてどちらを選ぶだろうか。もちろん、承太郎はセシリアを選んだ。
「それなら、負けた時の言い訳でも考えておくんだな。とりあえず、俺は出られねぇ。後は任せるぜ」
その言葉を境に、彼はその場から消え去った。それはまるで束と入れ替わるように消え、入れ替わるようにそこで先ほどまで啖呵の切りあいをしていた彼女が千冬に話を通していた。既に周りの人間など蚊帳の外。天災と現最強。その会話にあの代表候補生の皆もついてはいけなかったのだ。
結局、束の言い分が通り、箒が一夏とともに空を駆けたのは、承太郎が消えて数分とかからなかった。
☆
「承太郎殿」
「・・・・・・どうした、ラウラ」
「一夏が作戦を決行しました・・・・・・箒と共に」
岩場にて、承太郎は
「作戦室にはモニターが存在します。教官はそこで状況を見守るとの事です。行きましょう」
「視なくても分かるだろうが・・・・・・作戦は失敗するだろうよ」
手に取っている貝殻を眺め、それをスケッチする。その工程をやめない彼に、ラウラは何もいえなかった。自分自身も同じく、この作戦が成功すると思ってないのだろう。しかし、彼女は表情を変えはしなかった。
「それでも、敵の兵装がどのような物なのかは確認できます。それなら」
「ここからでもスター・プラチナを使えばよく見える。お前たちの協議用とは違ってこいつは完全な観測用だからな・・・・・・まぁ、このパワーで観測用なんてのも虫が良すぎるがな」
「ですが先生方も心配されております。顔を出すだけでも」
食いつくラウラに流石の承太郎も観念したのか、いつもの口癖を呟きながら三度目の別れを岩場にいる海洋生物にした。名残惜しそうに見えるのはまず間違いない。ゆったりと歩みを進め、本部へとむかう二人。ラウラはふと、あの時の千冬と箒へ睨んだことを思い出した。何故あの時彼女たちを睨んだのだろうか。聞きたくてたまらなかった。だが、それと同時に別の想いが頭をよぎった。
――――承太郎殿が、自分如きに教える筈もない――――
体が凍りついたように凍えてくるのが分かる。嫌な汗が体から流れるのを理解する。拒絶されるかもしれない。もう既にされているのかもしれない。心がそれを否定したいのに嫌なイメージが自分の首を締め上げる。
否定されるに決まっている。
お前は彼を裏切ったのだ。
死んでも償いきれはしない。
ネガティブな感情が自分の本音を露呈してゆく。孤独に陥った時と同じ感覚だ。何も見えない暗闇、何もかもを失い、ついには光にさえも拒絶されたあの空間。3畳程の小さな監禁室よりも小さなあの部屋で、来る日も来る日も体を抱えて怯えながら生きているのか分からない生活をしていたあの頃と同じ感覚が彼女を襲った。
ラウラの足取りが覚束なくなったのをいち早く感知したのは承太郎だった。続いてスター・プラチナが彼の後を追うようにセンサーで彼女の容態の悪化を知らせた。
[一時的な精神ショックと判明]
「わかってる・・・・・・いったいどうしちまったんだ。ラウラ」
心底心配になった承太郎はその覚束ない歩みを続ける彼女を抱え、歩む速度を変えずにゆったりと本部へと向かった。突然の事に慌ただしくなる彼女だったが、そんな事今は聞いてる暇はないと承太郎はさっさと本部へ足を運んだ。
「・・・・・・やれやれだぜ」
そう呟きながら承太郎は最近情緒不安定さを露見させている相棒に少しは正気に戻ってくれよと心の内に願う。
☆
本部に着くと同時に、一夏達は敵機ISと接触を果たしていた。既に臨戦態勢をとっており、緊迫した空気が本部の部屋を包んでいた。
映像に映っているのは敵機ISが一夏を撃ち落しているちょうどその時だったのだ。セシリアはその映像に悲鳴を上げ、鈴は声すら上げられずにただただ見つめることしか出来ず、シャルロットは口を手で覆い、涙を流していた。
「すぐに救援班を結成する。オルコットと鳳は回収班、ボーデヴィッヒとデュノア、そして空条は護衛班となって織斑、篠ノ乃両名を救出したのちに海域から緊急離脱を行え。我々は、織斑が帰投次第緊急治療を行えるように救護班を徴収しておく。一応言っておくがこれは一刻を争う。即刻出撃しろ」
『了解!』
セシリア等はすぐに外へと向かって走り出した。承太郎はラウラを千冬に渡し、事情を説明した。そしてすぐに3人の後を追うように珍しく走り出した。
浜辺にはもう彼女達の姿はない。空にはもう点となりつつある三機のISのみが、承太郎に居場所を教えた。
「スター・プラチナッ!」
彼の叫びと共に、スター・プラチナがその姿を現す。いつ視てもISとはことは慣れたその人間味のある姿。見慣れている承太郎だからこそ、何も考えることなく、そのまま飛翔することが出来る。だからこそ、ちょうど訓練が一区切りで終わっていた女生徒達は目を点にしながらその珍しい後姿を眺める事しか出来なかったのだ。
承太郎が飛翔した。その背中に得手であるスター・プラチナを控えさせ、彼はこの大空を飛び上がった。彼が飛ぶのはセシリア&鈴音との対決依頼じゃないだろうか。もっとも、その時は飛んでいたというより、歩いていた。というのがしっくり来るのは彼の空の飛び方がそうだったからだろう。
青空がどこまでも続くこの世界に承太郎は飛行機絡みえていた空とはまた別の感覚を覚えていた。一夏が落ちたことへの焦りを紛らわせるように感嘆とした声を上げる。だが、すぐにその表情を険しくした。
[空条! 一夏を発見したわ。これからすぐに本部へ戻るわよ!]
[ジョジョ、この海域にはもうあのISはいないみたいだから、鈴達の護衛に専念しながら離脱しよう]
どうやら、既に回収が終了したようだ。承太郎はその二人の言葉に、短く答えると、スター・プラチナのハイパーセンサーをフル活用させた。数光年先の星を観測するために作られたこのセンサーを惜しむことなく使い、周囲を見渡す。そしてあの敵機ISがシャルロット達から離れていっているのを確認した。
一先ずは安心だとため息を吐くが、彼女達と合流するまで警戒は怠らなかった。
「ジョジョ~!」
シャルロットの声が空に響く、それと同時に承太郎の耳にもそれが届いた。それを確認すると、すぐに皆の下へと彼は走った。
「一夏の容態は?」
「意識不明の重体! どうしよう、一夏が、一夏がぁ!」
「箒さんもずっと独り言を呟くだけで何も出来ません。はやく本部まで行きませんと」
「あのISは見当たらないわね。もしかして未だ待機中ってわけ?」
それぞれが言葉を返してくれる。今にも泣きそうなシャルロット、警戒を一切やめない鈴音、未だ俯いたまま呟き続ける箒を心配そうに見つめるセシリア。承太郎は彼女から一夏を受け取ると、スター・プラチナに運ばせ、本部へと急いだ。皆も後から追ってはくるが、スター・プラチナの速度には追いつけていない様子で、彼女達がつく頃には、千冬が待機させていたであろう救護班が帰りを待っていた。
「意識無し、重体だ。おそらくISの熱線攻撃にやられたんだろう。詳しくはわからねぇが、急いでくれ」
「分かりました。さぁ、織斑君をこちらへ」
これもよかったんだけど、何か違うかなと思いました。
こっちのほうがラウラの病み度は半端ないです。まじでヤンデレ