ロード・エルメロイII世の事件簿-護りし者- 作:SEEDに出会えてよかった
オウガ「たっだいまーーー!って、あれ?」
オウガは今、やっと任務が終わりロードエルメロイII世の部屋に来ていた。
しかし、そこにはエルメロイどころか、恋人であるグレイすら居なかった。
オウガ「居ない…ハッ!!まさかそんな…グレイ…俺が仕事で帰ってこれないことに怒ってたのか…?頼む!ほったらかしてたのは謝るから!どうか帰ってきてくれぇぇぇぇぇ!!」
などと、オウガが1人でコントをしていると
フラット「あれ?オウガさんじゃないですか!いつ帰って来たんですか?」
スヴィン「お久しぶりです。オウガさん。」
オウガ「ああ…お前らか…久しぶりだな…たった今帰ってきた所だ…」
ザルバ「お前ら、悪いがグレイ達がどこに行ったか知らないか?」
フラット「グレイちゃん達ならさっき出かけましたよ。」
オウガ「なにっ!?どこだ!どこに行った!!」
スヴィン「た、確か、ファーゴ邸だったと思いますよ。」
オウガ「なるほど…これは…急がねばッ!!」バッ
グレイの居場所を聞いた瞬間、オウガはエルメロイの部屋の窓を開けて、その怪物級の身体能力で跳んでいった。
スヴィン「あの人、何食べて育ったんだろう…」
フラット「すごいよなぁ、あの身体能力。」
そして数分後、オウガはファーゴ邸の前に来た。
オウガ「着いた、ここがファーゴ邸。久しぶりにグレイに会える、気合い入れるぞ!!」
ザルバ「気張りすぎるなよ。」
すると、後ろから一台の車が来た。
そして、車から1人の男が下りてきた。
オウガ「あちゃー、こりゃ先回りしちゃった感じかな?」
エルメロイ「おい、なぜ貴様がここに居る。」
グレイ「な、何でここにいるの?オウガ。」
オウガ「ついさっき任務から帰ってきて、やっとグレイに会えると思ったら2人とも部屋に居ないんだもん。フラットとスヴィンに居場所を聞いて、文字通り跳んできたんだ。」
エルメロイ「はぁ…全くお前と言うやつは…やむを得ない、今回はお前の力も借りるとしよう。放っておいて邪魔をされても堪らんからな。」
オウガ「やった!グレーーーーイ!!」ダキッ
グレイ「キャッ!も、もう、オウガったら甘えん坊なんだから。けど、今はダメだよ?これから大事な仕事なんだから。」
オウガ「おっと悪い。じゃ、行くとしますか。ところで、ここで何があったんですか?」
エルメロイ「要件も知らずに来たのか…色ボケのバカ者め。」
ザルバ「バカなのは間違いないな。」
オウガはエルメロイから今回の要件を詳しく聞いた。
オウガ「なるほど。わかりやすく言うと、師匠の教え子のお父さんが殺されて、バラバラの死体で見たかったから、その犯人を見つけて欲しいと。」
エルメロイ「そうだ。分かったら行くぞ。ん?あれは…」
エルメロイはファーゴ邸の屋根を見た。
そこには特徴的な、丸い形の屋根があった。
エルメロイ「ロタンダか。」
グレイ「何ですか、師匠。」
オウガ「あのドーム状の屋根を持つ建物のことだよ。屋根は空を意味し、建物内は大地を表す。つまりこの建物が一つの世界をかたどっているんだ。」
エルメロイ「その通りだ。主人はさしずめ世界の神だな。」
グレイ「世界の神…」
エルメロイ「これだけ分かりやすいヒントがあって、連中はなぜ解けない…」
グレイ「師匠?」
エルメロイ「いや、いい。行こう。」
そして3人は屋敷の中へと入った。
3人が案内された部屋には、1人のメイドがいた。
「当館をお世話させていただいております、メイドのクレアと申します。お嬢様、ロードエルメロイ様がお見えになりました。」
そう言うと、クレアは部屋の扉を開けた。
その扉から1人の女性が出てきた。
おそらく彼女がメアリだろう。
するとその女性は、エルメロイに抱きついた。
メアリ「先生!よく来てくださいました!私もうどうしたらいいか…」
エルメロイ「情けない事を言うな。教えただろう、魔術師ならば困難な時こそ冷静であらねばならないと。」
メアリ「はい、先生。そちらのお2人は?」
エルメロイ「弟子のグレイだ。顔をはっきり晒さない非礼は許して欲しい。そして…」
オウガ「ガロウ・オウガです、よろしく。」
エルメロイ「こんなヤツでも一応現在の黄金騎士だ。」
メアリ「お、黄金騎士!?は、初めまして!」
オウガ「そう言う堅苦しいのはいいですよ。」
エルメロイ「さて、早速事件の概要を聞かせてもらおう。」
コンコン
するとドアがノックされ、1人の男性が入ってくる。
「そこは私がお話ししましょう。」
エルメロイ「あなたは?」
「会えて光栄ですな、ロードエルメロイと黄金騎士殿。私は、アーネストの友人で共同研究者のフェルナンド・リー。降霊術師です。」
エルメロイ「ほう、では降霊術で被害者本人から聞き出すと言う手は?」
リー「ダメで元々と試しましたが、残念ながらこの館には、結界が張られていてね。」
するともう1人、ガラの悪そうな男が入ってくる。
「そいつの言うことは信用しねぇ方がいいぜ。」
メアリ「アレック…」
アレック「なんせコイツが、アーネストおじさんを殺したかもしれねぇんだからな。」
メアリ「アレック!フェルナンドおじ様になんて事を!」
エルメロイ「キミは、ファーゴ氏の甥のアレックくんか?」
アレック「お、嬉しいね。俺みたいな落ちこぼれ魔術師をご存知とは。」
リー「キミ私を疑っておるのかね?」
アレック「魔術師にとって、共同研究者なんてのは、寝首をかく相手と変わらない。そうだろ?」
リー「確かにな、だがキミこそ、アーネストに大金を借りていたと聞いておるが?」
アレック「グッ…」
クレア「はい、アレック様は事件当日、その件で旦那様と口論をなさっていた様です。」
アレック「クレア貴様!!」
アレックがクレアに詰め寄ると…
オウガ「まあまあ、そうカッカしないで落ち着いて。」
先程までグレイの隣に居たオウガが音もなくクレアとアレックの間に割って入っていたのだ。
アレック「なっ!?お前、いつからそこに居た!まさか、高速移動の魔術か!」
オウガ「いや、これは『純粋な俺のスピード』だよ。悪いけど、キミらとは鍛え方が違うんだ。」
エルメロイ「オウガ!そこまでにしておけ。」
オウガ「へいへーい。」
メアリ「アレックやめて!クレア、あなたもよしなさい。私たちの話に割って入る資格は、貴方には無いはずよ。」
クレア「申し訳ありません。」
オウガ(メアリさん、その言葉、俺にも刺さるの分かってます?)
エルメロイ「君もアーネスト氏が亡くなられた夜は、この館に居たのか?」
クレア「はい、もちろん。」
メアリ「あの夜いたのは、私を含めるここにいる4人だけです。」
エルメロイ「なるほど。では早速だが、アーネスト・ファーゴ氏の亡くなられた現場を見せてくれ。」
そしてその場にいる全員は、事件の現場である部屋に向かった。
エルメロイ「ファーゴ氏の死体はこの中の5箇所と、館内の別の2箇所、計7箇所に置かれていたと聞いている。」
するとエルメロイは、辺りを見回す。
エルメロイ「天体を利用した魔術に適した通路の構造、やはり7代惑星か。」
グレイ「7代惑星?」
オウガ「確か、7つの星々が人体の各パーツに対応してるってやつですよね。前に先生に聞きましたよ。」
エルメロイ「その通りだ。あとはそれらをどう配置したかを見れば、おおよそ誰がどんな意図で用いたのかは、明白なはずだ。」
アレック「フッ、噂のロードもその程度か。んなことは魔術師なら、赤ん坊でも分かるさ。」
リー「そのような簡単な話で済むならば、わざわざ本家を通してあなたを呼びませんよ。」
突然、アレックが指パッチンをした。
すると扉にかけられていた魔術が解け、扉が開いた。
アレック「現場は、我々の魔術で保存しておいた。」
エルメロイ「拝見しよう。」
オウガ「グレイ、暗いから足元気をつけろよ。」
グレイ「うん、ありがとう。」
そして現場である部屋に入ると、そこにはファーゴ氏の切断された体がバラバラの位置に配置されていた。
ザルバ「なんだここは。気味の悪い場所だぜ。」
オウガ「グレイ、怖くないか?」
グレイ「大丈夫だよ、ありがとう。」
エルメロイ「これは…」
アレック「分かったかい?ロード。」
エルメロイ「ああ。キミたちが戸惑うのも無理はない。」
アレック「俺たちだってアニムスフィアの一門、天体科の魔術師だ。アンタの言ったような事くらい、真っ先に考えたさ。」
リー「この並べ方は、私たちの知る伝統のどれにも当てはまらない。現代の魔術だ。」
エルメロイ「現代魔術科なら、その事を解明できるかもしれない、と?」
リー「さよう。」
エルメロイ「微力を尽くします。」
メアリ「どうかお願いします、先生。」
その後、エルメロイとオウガとグレイは別室へと移動した。
グレイ「この建物、息が詰まります。何だか、檻みたいな。」
オウガ「檻?」
エルメロイ「キミがここを檻と表現するのは、言い得て妙だな。」
グレイ「師匠、あの人たちの中に犯人がいるのでしょうか?」
エルメロイ「事件当日は強力な結界が張られていたそうだ。外部の犯行の線は薄い。」
オウガ「フェルナンドさんはファーゴ氏の研究成果、アレックさんは財産、それぞれに動機がある。」
エルメロイ「そして父親が亡くなれば、その両方を相続できるのがメアリだ。」
グレイ「そんな…師匠はメアリさんも疑っているんですか?」
エルメロイ「あくまでも可能性の話だ。」
オウガ「少しでもその可能性があるのが、恐ろしい話だけどな。」
グレイ「では、容疑者はその3人だと…」
エルメロイ「いいや、もう1人いる。」
オウガ「ですよね…」
グレイ「まさか、メイドのクレアさん?でもあの人は魔術師ではないのでは?」
エルメロイ「世のバラバラ殺人の大部分は、魔術師ではない人間の起こした物だ。」
オウガ「それに、恐らくだけど、クレアさんはファーゴ氏に虐待されてた可能性がある。」
グレイ「虐待…」
オウガ「俺が止めに入った時、咄嗟の身動きが遅れていたんだ。服の下に怪我をしてる人の動きだ。虐待の跡を隠すためだろうね。」
グレイ「酷い…その事をメアリさんは…」
エルメロイ「当然知っていただろう。だが、止められる物でもない。」
オウガ「ですね…」
グレイ「どうしてですか?」
オウガ「魔術師にとって子供は所有物同然。クソッタレな話だけど、親に逆らえるものじゃないんだ。魔術師の家には、どんな悍ましい秘密もありえる。メアリさんに動機がないとは断定できない。」
グレイ「4人全てに動機がある…」
エルメロイ「そう、魔術師とは、予測もつかない超常現象を引き起こす存在だ。故に、『どのようにしたか』、には推測の余地がない。」
グレイ「けれど、『どうしてやったか』、は例外だと。」
エルメロイ「そう。そこに、謎を解く鍵がある。なんにせよ、まだ情報が足りない、少し出てくる。」
そう言うと、エルメロイは部屋を後にした。
グレイ「あ、待ってください、私も行きます!」
オウガ「グレイが行くなら俺も。」
後を追うように、2人も部屋を出る。
そして、エルメロイはメアリに直接話を聞きに来た。
メアリ「はい、健康上の問題はありませんでした。愛煙家でしたが、年齢よりも、若々しかったと思います。それに、お父様はよく言ってました…」
そんな話をしてる一方、この黄金騎士は
オウガ「ふあぁ〜…」
退屈していた。
オウガ「なあグレイ、今から別の部屋行ってイチャイチャしない?」
グレイ「ダメだよ?今はお仕事の途中なんだし。」
オウガ「はぁ、お堅いなぁ。まあそんなところも好きだけどさぁ…」
そんな話をしている間に、エルメロイとメアリの会話は終わっていた。
エルメロイ「あと少しでピースは揃いそうだ。」
グレイ「師匠、気になって居たのですが、広間の件は何が問題なのですか?」
エルメロイ「ああ、そうだな。整理しておこう。授業でも言ったが、人体のパーツは、7つの惑星に対応している。」
グレイ「はい。」
エルメロイ「例えば、火星なら頭、水星なら胸と腕、太陽なら心臓。広間には頭と胴体、首、腕、心臓、車庫には骨と髪の毛、倉庫には足があった。」
グレイ「たしか、並べ方がセオリーと違うと仰ってましたね。」
エルメロイ「そうだ。決定的だったのは、太陽にあたる心臓を広間の中心に置いた事だ。」
グレイ「中心だとダメなんでしょうか?」
オウガ「たしかこのタイプの魔術は、中心に術者がいて、その周囲に、いわば礼装の機能を果たす品々が置かれるんだ。だけど、部屋の中央には、死体の心臓があった。」
すると、グレイの持っている籠に入っている箱のような物が喋り始めた。
アッド『イッヒッヒッヒ!それじゃまるで、死体が魔術を使った見てぇだな?』
エルメロイ「ッ!!」
グレイ「どうかしましたか?師匠。」
その時だった
クレア「ロード!大変です!!」
そして3人がクレアに案内されて向かうと、そこに居たのは、いや、『あった』のは…
メアリ「アレック、そんな…!」
アレックの死体だった。
クレア「私が見つけた時には、もう…」
リー「第二の殺人とはね。これでは3文ミステリーだ。」
アッド『おい、匂うぜ!』
エルメロイ「アッドが反応したと言うことは…」
グレイ「はい、死霊の気配が、残留している様です。」
オウガ「ああ、俺も僅かに感じていた。ゲロ以下の匂いがプンプンするぜ…。」
リー「死霊だと!?」
エルメロイ「あの人骨と髪の毛は、死の領域を司る土星の象徴だ。まだ消えていなかった土星の魔力が、死霊を呼び出した。ネクロマンシーだ。あなたの専門分野でしたね?」
リー「馬鹿馬鹿しい、私が死霊を呼んだと言うのかね?」
エルメロイ「いいえ、だが、あなたの研究が応用されているのは間違いない。」
リー「私の?」
エルメロイ「中央広間に行こう。そこで、全てを明らかにする。」
その言葉通り、全員は広間へと移動した。
メアリ「先生、犯人は一体?」
エルメロイ「全て順番に説明しよう。まず、この館に仕掛けられた魔術は、やはり7代惑星を使った物だった。死体が七箇所に分けられていたのは、その為だ。」
リー「おいおい待ちたまえ、それはあり得ないと話しただろう?」
エルメロイ「そこが落とし穴だったのですよ。」
メアリ「落とし穴?」
エルメロイ「あなた達、アニムスフィアの一門は、天体魔術を扱う時に天動説に従う。そうですね?」
リー「その通りだ。地球を中心としない地動説に従った魔術など、まだまだ歴史の浅い技法にすぎん。」
メアリ「私たちの伝統には反する物です。」
エルメロイ「そう、それがアニムスフィアの美学だ。だが敢えてその信念を捨てた者がいる。それがアーネスト・ファーゴ氏その人だ。」
リー「何だと!?」
エルメロイ「彼にはあったのですよ。伝統、美学、信念、それらを捻じ曲げてでも、実現したかった夢が。」
エルメロイは、床の一部を押した。
するとボタンのようになっていたのだ。
そしてその中にあったのは、一つの美しい、宝石のような球体。
リー「そ、それは…!」
エルメロイ「太陽を象徴とする心臓は、館の中心に置かれ、そこから円状に水星の腕、金星の喉が続く。」
メアリ「太陽、水星、金星の次と言うことは…『地球』ですか?」
エルメロイ「そうだ。だが地球に対応する人体のパーツはない。対応するのは、『霊魂』だ。だから霊魂を納めた何かが、ここにあるはずだと考えた。」
すると、突然霊魂を納めた球体から光の筋が伸び、人体のパーツへと繋がる。そして、一体の怪物が現れた。
人の形をしているようで、全く違う生き物。
足は存在せず、腕は蜘蛛のように鋭く尖っている。
エルメロイ「やっぱりだ…!この館自体が、あなたを永遠の存在にする工房だったんだな!」
『ロォォドォォ…!』
メアリ「お父様…!」
『メアリ…私の娘…お前の命をくれ…!永遠にはまだ足りない!命が、血が、力がぁ…!!』
ファーゴだった怪物が、メアリめがけてその腕を振り下ろした、その時
オウガ「フッ…!!」
オウガが剣でその攻撃止めた。
アッド『オイオイオイ!コイツはやばそうだぞ!!』
メアリ「お父様、どうして…!」
エルメロイ「儀式が不完全だったんだ!一族の伝統にない、実験段階の技法だ。安定するはずがない。しかも目指したのは、単なる延命ではなく、『不老不死』だ…!」
リー「アーネスト…!」
エルメロイ「彼は他の魔術師と違い、次の代に夢を託すのではなく、どうしても自分自身で根源に到達したかった。だから、天と地を模して、世界をなぞらえた館の中に7代惑星に象徴される自分の体をばら撒いた!」
リー「何と言うことだ…!」
エルメロイ「そうすることで、この館と言う宇宙と同化し、永遠の存在となるつもりだったのだろう!」
グレイ「師匠、この方はもう…」
エルメロイ「分かってる…!頼めるか?グレイ、オウガ。」
グレイ「…はい!」
オウガ「もちろん。それが、俺の仕事だ。」
するとグレイとオウガは前に出た。
リー「おい、何を!」
メアリ「2人だけでは無謀です!いくら黄金騎士がいるといえど…!私たちも援護を!」
エルメロイ「必要ない。むしろ下がっておいた方がいい。巻き込まれるぞ!」
グレイは、アッドの入っているカゴを掲げた。
グレイ「アッド!」
アッド「おうさ!」
グレイ「第一段階 限定解除!」
すると、アッドの姿が大きな鎌へと変わった。
そして、グレイ自身も、どこか雰囲気が変わる。
リー「あれは!まさか、対死霊用に特化した、魔術霊装!?」
オウガ「グレイがアレを使うなら、俺も全力出さなきゃな。行くぜ、ザルバ。」
ザルバ「ああ。」
オウガは剣を抜き、天高く掲げた。
そして自らの頭上に円を描き、剣を下ろした。
すると円の内側から、眩い光を放つ黄金の鎧が召喚された。
狼の様な頭部、人の様に両足で立つ鎧。
魔術に関わる者で、この騎士の名前を知らない者は居ない。
メアリ「あれが…」
エルメロイ「そうだ、アレこそ…牙狼だ!」
そして、オウガとグレイは怪物へ向かって走り出す。
アッド『イーッヒッヒッヒ!!ご機嫌だね!食い放題だ!!』
グレイは攻撃を切り裂きながら向かっていく。
しかし
オウガ「こんなんで俺を倒せると思ってるのか?こんなんで根源に辿り着こうなんて、2万年早いぜ。はぁ、戦ってるグレイも可愛いなぁ。」
オウガは防御どころか、剣を抜くこともなく、堂々と怪物に向かって行った。しかも、恋人が戦う姿に見惚れながら。
一方グレイの鎌は、周囲の魔力を捕食し、少しずつ巨大化していく。
『滅ぼされるものか…我が永遠をぉぉぉ!!』
そしてグレイがアイコンタクトでオウガに合図を送った。
それを受け、オウガは遂に剣を抜き、構えた。
すると、周囲から光のような物が、オウガの剣に集まっていく。
そして十分に力を溜めると、オウガは剣を構え直す。
オウガ「闇に染まった貴様の魂…」
そして、切るべき相手を睨む。
オウガ「光を受けて闇へ還れ!!」
オウガは光の斬撃を怪物に向けて放つ。
すると、逃げようとした怪物の動きが止まる。
オウガ「ハアァァァ…!ハアァッ!!!」
オウガは駆け出し、怪物の胴体を真っ二つに切り裂いた。
それにより、怪物の姿は完全に消える。
グレイ「あっ…!」
グレイはフードが脱げていることに気づいた。その時
オウガ「大丈夫か?落ち着いてフードをかぶれ。」
オウガが自分のコートでグレイを隠したのだ。
グレイ「う、うん…ありがとう…///」
オウガ「どういたしまして。」
この時の2人の脳内は
グレイ(やっぱり、私の彼氏って、カッコいいなぁ///)
オウガ(やっぱり俺の彼女って、可愛過ぎるなぁ…)
真っピンクだった。
事件が解決したこともあり、3人は、館を去ろうとしていた。
エルメロイ「これで大丈夫だ。あとは本家に任せればいい。」
メアリ「何から何まで、ありがとうございました。」
エルメロイ「大したことしていない。それにしても、よくあのような未完成の魔術を試す気になったものだ。」
メアリ「お父様にとって、永遠を手に入れることは、悲願でしたから。」
エルメロイ「さて、あの場で伝えなかった推理が一つだけある。」
メアリ「先生?」
エルメロイ「メアリ、君は知っていたんじゃないのか?お父さんの儀式が、失敗に終わることを。君は優秀な魔術師だ。たとえ目的を知らなくても、父の目的を類推する手段は、いくらでもあっただろう。もちろん君に殺意があった訳ではない。だが、不完全な儀式で父が死ぬ事を止めもしなかった。違うかね?」
メアリ「だとしたら、どうなさいますか?」
エルメロイ「どうもしないし、こんなものは証拠一つ無い。ただの仮説に過ぎない。だが、『なぜそうしたか』には、些か興味がある。」
メアリ「お父様の永遠がもし実現すれば、私もきっと、永久に変わることは許されません。お父様に、この館と言う『檻』に一生縛られて、だから、永遠の物など無いと証明してあげたまでです。先生に教わった通りに。先生、本当に、本当にありがとうございました。お元気で。」
そして、エルメロイは車に乗り込んだ。
エルメロイ「永遠の物など無い、全ては変わりゆく。それは人も例外ではない、か。」
グレイ「師匠?」
エルメロイ「戻ろう、家に。」
グレイ「はい。」
オウガ「ああ。」
こうして、今回の事件は幕を閉じた。
初っ端から8000文字超え…しんど過ぎる…。
けどやっぱロード・エルメロイII世の事件簿ってめっちゃ面白いですよね。何よりグレイちゃんが可愛過ぎる。
あと、次回予告を頑張って書きましたが、あまりにもクオリティが低かったと思うので、これからも書くかは分かりません。
次の話の投稿はしばらく先になると思いますが、待っていて下さると嬉しいです。
読んでいただき、ありがとうございました!