感想、ここすきなど皆さんありがとうございます。頑張ります。
次で終わらせたいです(願望)
次走は10月5日に行われる凱旋門賞。
フォワ賞など前哨戦を使わずにぶっつけ本番なのは周りから疑問符がついていたが、「トウカイステージの頭の良さと素直さと乗りやすさなら前哨戦は要らない。ロンシャン競馬場で訓練してコースを知れば良い」主戦柴野騎手の意見が採用された。
本場40日前にロンシャン競馬場での訓練を始めたトウカイステージ。
「トウカイステージはロンシャンを知り抜いた」鞍上の断言と共に本場へ向かう。
ロンシャン競馬場。
1857年に開場された歴史ある世界で最も優雅とも言われる競馬場である。
スタート直後の約400メートルは平坦で、向正面では最大斜度2.4パーセントの上り坂が続く。3コーナーを過ぎてからは下りに転じ、1000メートルから1600メートル付近までは600メートル進む間に10メートルを下がるコース設計になっている。その後、競馬場の名物であるフォルスストレートと呼ばれる直線を250メートルほど走り、最後の攻防が繰り広げられる実際の直線は平坦となっている。
10メートルの高低差はJRAでもっとも勾配のある中山競馬場のほぼ倍に相当し、これだけで日本馬が弾き返されたほどだ。
何よりイギリスよりも深い天然芝は、高速化した日本馬場では必要なくなったパワーとスタミナを必須とする。
特に芝が濡れて重馬場や不良馬場となると、スピードと瞬発力に優れたサンデーサイレンスに埋め尽くされた近代日本馬にとっては走ることさえ絶望に近い。
そして、欧州のホースマンにとってホームグラウンドで自分たちが勝ち易くするために水を撒いても馬場を重くするのは嗜みだった。まあ、日本もジャパンカップなど自国開催の国際レースに来た外国馬の調教制限をしたりして日本の馬場に慣れさせないようにしているので、どっちもどっちである。
重要なのはそこではなく、ロンシャンの重い馬場はサンデーサイレンス血統、ひいては日本馬にとって鬼門だということだ。
つまりは、日本競馬で勝てば勝つほど勝てなくなる。ロンシャンとはそういう競馬場だった。
その日も、当たり前のように水を撒かれて馬場は重だった。
この光景にフランスを含めた欧州のホースマン達は安堵する。
所詮は高速馬場に染まり切った日本の馬。
ヘロド系のパーソロン系という枯れきったバイアリータークの父系。
バイアリータークの血筋が凱旋門賞の本命馬となっている光景は涙するほど感動的だが、目を引く血はノーザンダンサーとネイティブダンサーが僅かに入っているだけ、それ以外は枯れきっている。
端的に負けた血だ。
日本の今の主流はサンデーサイレンス。競馬後進国の日本でさえバイアリータークの血脈は敗れ去り歴史となったのだ。
競馬とは優れた血を残すためのもの。敗れ去った血を後生大事にしたことを後悔させてやる。
勝負根性は確かに素晴らしいが逆に言えば併せなければ良いだけだ。
フランスはイギリスとは違うのだ!
現代欧州競馬がどういうものか。敗れ去った血の結晶に教えてやる!
彼らは気付いてなかった。
柴野騎手が海外レースでは今迄あえて叩き合いを挑んでいたと。
彼らは知らなかった。
いかに現代欧州競馬がノーザンダンサー達スピード馬によって高速化していたかを。
何より──彼らは忘れていた。
本来欧州競馬の馬場に合致したスタミナとパワー優先血統とは、彼らが負けた血、敗れ去った血と評価した馬達が受け継いでいたのだと。
敗れ去った血の結晶。トウカイステージを知るまでは
『レッドロックキャニオンを交わして4角先頭トウカイステージ! トウカイステージ!
差を広げる! 差を広げる!
ザルカヴァが迫るが届かない!
届かないどころか! 差が広がる!
差が広がってしまう! 現在のヨーロッパの馬たちは過去の血脈に追いつけない!
スタミナが違う! パワーが違う!!
バイアリータークの血脈だ! 失われた血脈だ!
帰ってきた! バイアリータークの血脈が! ヨーロッパに! フランスに! ロンシャンに! 凱旋門に帰ってきた!
トウカイステージ! 圧勝だ!
奇跡の復活! バイアリータークの血脈が奇跡の復活を遂げました!
その名は極東からの偉大な再来者トウカイステージ!!』
凱旋門賞をバイアリータークの血脈が制したのはサガス以来24年ぶり。
サガスの時ですら消えゆく血脈最後の奇跡と呼ばれていたほどだった。
故に、この時フランスを含めた欧州ではバイアリータークの血脈はほとんど失われた血脈となっていた。
ヘロド系のドクターデヴィアスやインディアンリッジが奮闘するイギリスですら、マイルやスプリントでごく僅かな血脈が残っているだけの血脈だった。
フランスの実況が号泣した通り、まさに奇跡の復活だった。
…………当時実況中だった。 最強! トウカイステージスレより抜粋
「「「という訳で引退して欧州で種牡馬入りしてシンジケート結成しましょう。そして株売ってください」」」by欧州馬産界の皆さん
579:そして幻の舞台へ連盟
知ってたwww
581:そして幻の舞台へ連盟
ありがとうありがとうって内町オーナーと錦田場長に抱きついといてさあwww
583:そして幻の舞台へ連盟
バイアリータークの血脈復活に感謝する。だから欧州で種牡馬入りを望む。何の矛盾も無いなwww
585:そして幻の舞台へ連盟
トウカイステージは、ノーザンダンサーですら父母父父でネイティブダンサーが母父父父。他、ヨーロッパでは誰? だからな。
パーソロンも傍流も良いところだし、ヘロド系含めてヨーロッパで何でも付けられるんだwww
587:そして幻の舞台へ連盟
ガチで必要極まりない血統で笑うしかねえwww
588:そして幻の舞台へ連盟
殺してでも奪いに行く血統。それがトウカイステージだwww
「何を言ってるんですか。彼は日本馬ですよ。日本で種牡馬入りするに決まっているじゃないですか」by???
594:そして幻の舞台へ連盟
あなたは社大の代表さん!
595:そして幻の舞台へ連盟
サンデーの血筋飽和しすぎ問題で頭抱えている社大さんじゃないか!
596:そして幻の舞台へ連盟
サンデー薄めようと海外から種牡馬や繁殖牝馬輸入ガチャして爆死しかけては、サンデー系列の種牡馬の利益で埋める自転車操業社大さんだ!
597:そして幻の舞台へ連盟
トウカイステージが3歳年末の時には、引退させてシンジケート組ませて用意していたサンデー系の牝馬150頭以上に種付けさせる生活の準備整えていたほど追い詰められている社大さんが保護者面してる!
605:そして幻の舞台へ連盟
内町オーナーを守るようにして立ち塞がる吉沢さん!
606:そして幻の舞台へ連盟
生産者でもないのに立ち塞がる吉沢さんかっこいいぜ!
607:そして幻の舞台へ連盟
内町オーナーと錦田場長そっちのけで欧州馬産界と笑顔で激論交わす吉沢さんの姿は頼もしいな!
609:そして幻の舞台へ連盟
サンデーが覇権取った後の日本競馬で、無敗三冠取って凱旋門賞馬になったサンデーの血が一滴も入ってない馬を見す見す欧州に逃がすような吉沢さんじゃないぜ!
内町オーナー「いや、まだ現役で走りますよ。来年も走ってもらいますからね。それに引退したら北野牧場で種牡馬になります。余生は北野牧場で安らかにという約束ですし、私たちも望んでいます」
615:そして幻の舞台へ連盟
オーナー! 小声! 小声過ぎ! 良い事言ってるのに、聞こえてない!
617:そして幻の舞台へ連盟
特に来年も走るってところ重要なのに聞こえてないですよ。オーナー! そこ超重要なのに!
619:そして幻の舞台へ連盟
いや、小声なのは仕方ない。社大とケールモアスタッドの代表者達、笑顔なだけで凶器持って掴み合っているようにしか見えんwww
621:そして幻の舞台へ連盟
まあなあwww
「トウカイステージは夢を果たしてくれた。感謝の言葉もありません。
しかし、ロンシャンでも4角先頭とは少し芸がなさすぎる。そろそろ対策されてもおかしくなかった。此処は直線半ばで抜け出すべきだった」by解説者
628:そして幻の舞台へ連盟
あんた直線で号泣してただろwww
629:そして幻の舞台へ連盟
いけー! いけー! って解説放り出してたのにwww
633:そして幻の舞台へ連盟
よし行ける! 行けるぞ善吉! って絶叫してたのにwww
636:そして幻の舞台へ連盟
完璧だ! 道中完璧だぞ善吉! って咆哮してたのは誰だよwww
638:そして幻の舞台へ連盟
狙ってたんだなっ! だから今迄叩きあったんだなっ!! 流石は柴野善吉だっ!!! ってトウカイステージがゴール板通ると同時に万歳三唱してたのにwww
641:そして幻の舞台へ連盟
道中は後輩にして愛弟子の柴野騎手への絶賛で埋め尽くされていた丘部はどこ行ったwww
642:そして幻の舞台へ連盟
絶賛からの嫉妬までのタイムスパンが短すぎんよwww
644:そして幻の舞台へ連盟
様式美だよ最早www
…………
かくて、トウカイステージは凱旋門賞馬となった。
ドバイ・イギリス・フランスで合わせてG1・4勝の輝かしい成績。累計で祖父シンボリルドルフに並んだG1・7勝。
レーティングは138ポンドと超一流馬の数値を付けられた。
今年はしばらく休んでから日本に帰国し、検疫してから北野牧場で日本に慣れさせながら春まで休ませよう。そして、来年は日本で走らせてトウカイテイオーが届かなかった天皇賞の盾を手にする。
その予定に日欧生産界は阿鼻叫喚となったが、北野牧場生産馬で個人馬主である内町オーナーの所有馬トウカイステージには、社大生産馬のようなしがらみは勿論、クラブ馬のような縛りなどある筈がない。
当然、来年も現役続行となった。
天皇賞の盾をトウカイステージに乗った柴野騎手に掲げてもらいながら記念写真を撮るんだ。
夢とロマンに染まり切った予定を決めた陣営だが、フランスの牧場で休んでいる最中の11月頭に待ってくれの声がかかる。
ジャパンカップ・有馬記念に出て欲しいと要望が来たのだ。
前から願っていたJRAやファンだけではない。阿鼻叫喚から落ち着いた日本生産界と他の馬主から要望が来た。
トウカイステージがジャパンカップと有馬記念に出たら自分の馬では厳しい、このまま休養してくれて有り難い。
そんな風に言っていた彼らが要望したのだ。
「このままでは、成績が足らずに今年の日本競馬では新しい種牡馬が生まれない」と悲痛な声で泣きながら。
何故か?
牝馬が強すぎたことに尽きる。
そう、この年、トウカイステージが旅立った日本競馬は女傑たちに焼き払われていたのだ。
以下、この年のG1をトウカイステージが欧州の牧場で休養中に行われた秋天皇賞まで表する。
フェブラリーステークス:バレンディア(牝)
高松宮記念:バレンディア(ラストラン)(牝)
桜花賞:レジネッタ(牝)
皐月賞:キャプテントゥーレ(牡)
天皇賞(春):ダイワスカーレット(牝)
NHKマイルカップ:ディープスカイ(牡)
ヴィクトリアマイル:ウオッカ(牝)
優駿牝馬(オークス):トールポピー(牝)
東京優駿(日本ダービー):ディープスカイ(牡)
安田記念:ウオッカ(牝)
宝塚記念:ダイワスカーレット(牝) 2着ウオッカ(牝)
スプリンターズステークス:スリープレスナイト(牝)
秋華賞:ブラックエンブレム(牝)
菊花賞:オウケンブルースリ(牡)
天皇賞(秋):ウオッカ(牝) 2着ダイワスカーレット(牝)
酷かった。
牡馬が勝てたのは牡馬クラシック戦線とNHK杯のみで、それ以外は牝馬が制していた。特に、王道の古馬マイル中長距離はウオッカとダイワスカーレットが分け合っていた。
もしくは、1着と2着を奪い合っていた。
しかも、ウオッカとダイワスカーレットは、お互い以外には常に他馬に2馬身以上をつけて影すら踏ませなかった。
怪物女傑達打倒の期待を一身に浴びて挑んだダービー馬のディープスカイですら、秋天でハナ差で競り合う2頭に4馬身以上置いていかれていた。
子供扱いどころか、文字通り眼中にさえ入れなかったのだからどうしようもなかった。
自分たちと戦える牡馬は居ないと満天下に示してしまっていた。
文字通り牡馬たちを蹂躙しつくしていた。
そして、ディープスカイに来ていた種牡馬の話も、他のウオッカとダイワスカーレットに蹂躙された牡馬たちと同じく白紙となった。
生産界にとって不味いなんてものじゃなかった。
何だかんだ言って稼げるのは種牡馬だ。
かまど馬となる牝馬は大切だが、稼げる種牡馬の方が重要性は高い。
なのに「ウオッカとダイワスカーレットにボコボコにされた馬の種は要らない」とシンジケートが組めなくなった。
この頃の牡馬は牝馬に劣るとみなされ、牡馬そのものに対して種牡馬の道が閉ざされてしまっていた。
馬主たちは絶望していた。
牡馬の将来は種牡馬になれるかどうかで幸か不幸かが決まる(年100頭以上の種付けをしなければ)。
なのに、自分の馬は種牡馬になれない。
例年なら種牡馬になれるのに、ウオッカとダイワスカーレットのせいで、牡馬は牝馬に劣るとみなされてしまってなれない。
自分の可愛い愛馬の明るい未来は閉ざされてしまった。
こんな酷い話があってたまるか!
でも、もう強い牡馬は居ない。
日本にはもう一頭も──
──そうだ。
絶望していた馬主や生産界は思い出す。
そうだ。まだいる。
アメリカで『サンデーサイレンスの逆襲』と呼ばれている今年3歳最強ウィンターウィークはダート馬だから違う。
でも、まだいるんだ。
トウカイステージがいる。
海外で暴れた無敗三冠牡馬がいる。
あいつなら、あの化物牝馬たちに勝てる。
いや、あいつでなければ、もう誰もいない!
「ダイワスカーレットとウオッカと戦って、牡馬が強いんだと、強い牡馬が居るということをファンや馬主や一口馬主に示してくれ!
そうでないとせっかくダービーを取ったウチの馬ですら種馬として要らないとまで言われてるんだ!!
どうか助けてください!!!」
そんな切実極まりない叫びの数々を聞いたが、それは陣営の決断に全く影響しなかった。
日欧どころかアメリカやオーストラリアからすら熱心な種牡馬オファーが来ており、それらを全て蹴って北野牧場で種牡馬入りするのが決まっているトウカイステージからしてみれば文字通り他人事。口外はしないが気の毒ですね。の一言で済む。
陣営の決断に影響を与えた報せはただ一つ。
ダイワスカーレットが今年で引退する。同時期に届いたこの報せ一つだけだった。
その報せは、ダイワスカーレットとウオッカは来年も走る。だから、来年ケリをつければ良い。と考えていた陣営に爆弾を放り込まれたような衝撃を与えた。
ダイワスカーレットは牝馬。4歳での引退はごく普通のことだが、トウカイステージと互角に渡り合ったウオッカとダイワスカーレットを、良くも悪くもトウカイステージ陣営は『普通の牝馬』扱いしていなかったのが仇となった。
速やかに陣営は協議して意志を固めた。
有馬記念で先着したウオッカには勝ち越しているが、ダイワスカーレットには敗れたまま、このままではトウカイステージはダイワスカーレットに劣ることになってしまう。
ダイワスカーレットとは一度しか戦っていないのに!
ダイワスカーレットに勝ち逃げされてたまるか!
そして、ウオッカにも優勢ではなく決定的な勝利を!
かくて、トウカイステージの予定は変更された。
ダイワスカーレットへの雪辱とウオッカへの完勝を願う陣営の決断により、トウカイステージはジャパンカップと有馬記念に出ることになる。
内心の打倒ダイワスカーレットを見せず、生産界の要望に応えるためにと錦の御旗にして大手を振ってトウカイステージ陣営は特別扱いをしてもらった。
トウカイステージを日本に再び慣れさせるために。と、陣営はトウカイステージの帰還を喜び万全の調子を望む生産界やJRAの支援を存分に受ける。
海外からのジャパンカップ挑戦馬と同じ扱いにするという特例処置を受け、競馬学校内にある国際厩舎地区で5日間の検疫を終え、ジャパンカップに来る外国馬には到底望めない東京競馬場を使って好きなだけ調教して日本の馬場に慣れさせる特別扱いをして貰ったトウカイステージ。
そんな愛馬を、陣営は競馬場近くの施設を融通してもらい宿泊し付きっ切りで世話をした。
主戦の柴野騎手も施設に泊まり毎日乗った。
その結果、ジャパンカップ1週間前には、欧州馬場から日本馬場への適性変化を完璧なものにしていた。
「戦えます。十全に」何時も通りレース前の手ずからリンゴをトウカイステージに食わせる内町オーナーの言葉に嘘はなかった。
トウカイステージは日本に帰ってきた。
牡馬の名誉を守るために。否。
ウオッカとダイワスカーレットと戦うために。
三角関係の直接対決が再度起ころうとしていた。
この辺りでホワイトグリントがポニーが種付けしたってG1ホース産める存在だと確信されることになりそうですね。