感想、ここすきなど皆さんありがとうございます。頑張ります。
新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
ホワイトグリントの凄まじさとは「史実では、黄金世代すら1年で売上2000億減・来客数100万人減と衰えていく競馬人気をどうしようもなかったのに。止めるどころか再度ブームを起こしてアメリカにまで火を点け燃やしている」事に尽きます。
スペちゃん難易度ルナティック過ぎる。
三冠の季節
1998年10月25日 京都競馬場
『一番外からホワイトグリントだ! ホワイトグリントは正攻法でやって来る! 白毛が弾んでホワイトグリントだ!
ホワイトグリントだ! 外からホワイトグリントやって来る! 内でエアデジャヴー粘っている! 間からファレノプシス!
間からファレノプシス! だが外からホワイトグリント! ホワイトグリント先頭に立った! ホワイトグリント先頭に立つ! 三冠だ!
メジロラモーヌ以来の三冠だ!
秋華賞始まって以来の三冠だ! メジロラモーヌが叶わなかった! 無敗三冠だっ!
内でファレノプシスが突っ込む! しかしホワイトグリント牝馬三冠獲ったぁぁっっ!!
ホワイトグリント獲りました無敗牝馬三冠! 左手が上がりました沙藤徹三!
クラシックに出れなかった父オグリキャップに捧げる三冠!
姫君は女王へと戴冠いたしました!
これで10戦10勝! 桜花賞、オークス、秋華賞と制し、無敗の三冠女王の誕生です!
三冠の歴史に、また一つ新たな名が刻まれました!
刻まれた女王の名はホワイトグリント!
初めての無敗の三冠牝馬です!
初めての白馬の三冠牝馬です!
陛下が還幸なされた京都の地! その京都競馬場に無敗の牝馬三冠馬が誕生しました!』
完璧だった。完璧な差し切りだった。
アメリカから帰国して検疫の後は北野牧場で放牧して休養しつつ鍛錬して直接秋華賞に乗り込む陣営の選択が正しかったと誰の目にも明らかだった。
他馬と駆引きして射程圏内の位置を取り維持して秀でた末脚で真っ先にゴールした。
余裕さえある勝ちっぷりだった。
笑顔が無いのは珍しいが流石はホワイトグリントだった。
何故かゴールと同時に沙藤騎手がヤッベェという顔をした謎があるが、完璧だった。
警備を厳重としたため3万人弱しか客が入れなかったとは信じられない大歓声だった。
両陛下に、馬上から最敬礼する沙藤騎手に併せて頭を下げるところは大歓声と拍手が轟いた。
その後も、陛下を乗せてコースを一周。
白馬に乗った陛下が馬上から皇后陛下に相乗りを誘い、それを受けて一緒に乗る場面でも大歓声と拍手が巻き起こった。
そして、更にコースを二周。
とてもとても楽しそうに満面の笑顔で手を振る両陛下を乗せてコースを周る白馬に、京都の人々は「ようやく陛下がご帰京なされた!」と歓呼の叫びを上げ続けた。
「本当に素晴らしい馬です。乗せていただいてありがとうございます」
一周予定のところを皇后陛下と相乗りして三周周った陛下。
宮内庁担当者が引き攣るなか、「三冠馬だから予定を変更して陛下は三周周ったんだな!」と、粋な計らいと認識した観客は歓声を上げ拍手し続ける。
そんな中、陛下の感謝の言葉に灼熱した北野オーナーが「もしよろしければホワイトグリントの産駒のうち一頭を陛下に献上させてください!?」とかなんとか言ってしまって宮内庁担当者から凄い目で見られてしまった。
そういえば織田信長とか豊臣秀吉とか佐藤達次郎とかそういうことやってたな。と発熱したまま絶叫してしまったのだ。直ぐに(あ、ヤベェ!?)と真っ青になったりしたが。
「本当ですか。喜んで、ありがとうございます」と満面の笑顔の陛下に引き戻れないところに突入したと腹括った。
その後、宮内庁担当者に愚痴愚痴言われたが、後悔はしてない。
どっちかというと「抜け駆けはダメですよ。私たちは宮内庁に断わられているのに。直訴は反則です」と嘆く周りの馬産家に謝り倒した方が大変だった。
だが、誰もが笑顔だった。
入らない客を周囲の公園に作った特設会場に入れる事が出来て、陛下の馬主資格(特別枠)を準備し始め、ホワイトグリント感謝料を始めたJRAも含めて皆が笑顔だった。
紛れもなくイベントとして秋華賞は完璧だった。
「ホワイトグリントが苛ついてますか」
「ええ。まさか此処まで不機嫌になるとは」
「普通に勝つと駄目なんて、本当にシロはシロですねえ」
「まったく、ホワイトグリントですわ」
馬に取っては完璧なはずなかった。
秋華賞から3日後、瀬戸内厩舎応接室で、オーナー、調教師、主戦は顔を突き合わせていた。
「すいません。ボクがグリントに苦痛を味あわさせるのを優先しなかったばかりに」
「いえ、そんなことはありません沙藤騎手。陛下の前で走るのですよ。緊張するのが当然です」
「しかし、グリントを蔑ろに……」
「テツ、無理言うな。ホンマ仕方ないんや。わしが騎手でも普通に走って勝つ以外出来んわ。サディスティックに苦痛を味あわせるなんて無理や」
当たり前といえば当たり前だが、両陛下の観戦に緊張を極めた沙藤徹三。
逃げて高速ラップ指定調教をして苦痛を味あわせる。というドマゾ用レースなんてする余裕なんてある筈がない。
普通にレースした。
普通に中団後ろに付けて、普通に直線前に外に出て、普通に鞭無しで直線末脚ダッシュ。で3馬身圧勝。
端的に言って、併せ馬と同じことした。
物凄く見応えはあるが、ドマゾであるホワイトグリントには物足りないレースになってしまった。
だって、苦痛の限りを味わえなかったもの。
特に前走パシフィッククラシックステークスがホワイトグリントに取って素晴らしいレースだった落差が酷かった。
苦しさも辛さも痛みもそこまで無かったのだ。
満面の笑顔になれないくらいのものでしか無かった。
ハードトレーニングに遥かに劣るものでしか無かった
加えて、レース中に鞭が無かった事と、レース後のご褒美である沙藤による芸術的かつ神速の激痛一打が、陛下を乗せる予定があったために無かったのは事態を決定的なものにした。
レース≒苦しい辛い痛い≒気持ち良い。がホワイトグリントの中でひび割れると同時に、沙藤とレースそのものに対しての疑問さえ芽生えていた。
ひんっ(レースのごしゅじんが、苦しくて辛くて痛くてたまらない気持ちよさをくれなかった!? どぉいうこと!? なぜ? どうして? ごしゅじんっなんで? 私悪いことしたっ!?
それとも、まさか、ううん、そんなことあるはずが無いっ!? ごしゅじんがっ、そんなことないっ!?
でもっ、ごしゅじんっ、まさか──裏切った?
いや、そんな、ううん、もしかして
──レースって、気持ち良いものじゃないのかな?? じゃあ、レース走らずにハードトレーニングだけすればいいんじゃない???
でも、みんな勝つと嬉しそう。
いや、それも、そもそも、レース走らなければ悲しむこともないよね。
レース、が、気持ちよく、ないのなら、もう、いらないんじゃ???)
そんな感じでプルプル震えるホワイトグリントに跨り3本指を立てたのはキツかったし、そんなホワイトグリントに両陛下を乗せるのは勇気が必要だった。
特に後半は陣営全員に。
もっとも、流石というべきか父譲りの乗馬の調教する必要ないほど人に従順で賢く操作性抜群の馬、ホワイトグリント。
馬術部部長だった陛下と相乗りした皇后陛下に絶賛してもらえる乗り心地を提供した。
竹優で無ければ人を振り落とすどころか嫌がりさえしないのだ! そう、竹優でさえ無ければなんの問題もなく人を乗せてくれる馬! それがホワイトグリント!
それはそうと、沙藤とレースに対して不信感程では無いが疑問を持ってしまったのは間違いない。
よって、体力が有り余っていたため、秋華賞の翌日からハードトレーニングを行い信頼を回復している最中だ。
普段は沙藤の姿を見ると駆け寄ってきて顔中を舐めまわすホワイトグリントが、悲しそうで寂しそうな目でのそのそ寄ってくる。
あまりの衝撃に、最初にやられた時に沙藤徹三は崩れ落ちそうになった。
今もやられるたびに心の柔らかいところが踏み抜かれている気分を味わっている。
「かといって、思い切りの鞭をやるわけにはいきません。アレはレースのご褒美ですから」
芸術的かつ神速の激痛一打は、[マゾヒスティックパワー]発動時かレース後のご褒美のみ。
これを崩すわけにはいかない。
崩した場合、ホワイトグリントはレース無しで叩いて! 叩いて! と要望してくるに決まっている。
レースで走ってもらうためには、普段やるわけにはいかない。
だから、とにかくハードトレーニングだ。
ハードトレーニングで気持ちよくなってもらおう。
そんな感じの事を話し合うと沙藤はホワイトグリントの調教に戻って行った。
向き合ってのハードトレーニング以外にホワイトグリントの心を解きほぐす方法が無いのだから。
「そういえば陛下にグリントの子供を献上されるとか」
重い空気を振り払うように、瀬戸内は陛下へ献上する予定の馬について話を振った。
「はい。そういたします。そして、陛下へ献上させていただくのですから重賞を勝てるような馬ではないと格好がつかないのではないかと思うんですよ。
何年かシロの産駒を見て極めて成績が良いならば、陛下に種付け馬を決めていただく。違うのならば、これは。という馬を献上いたします」
「ははは、重賞馬とは難しいですな」
「ああ、やはり、錦田場長もそう言ってたんですが、難しいですか」
「はい。産駒に一頭でも重賞馬がいればその馬は名牝です。多くても10頭くらいしか残せない中の一頭が重賞馬になるのは、ハッキリ言って奇跡的ですね。それほど希少なのです」
「うーん、では重賞勝てるような馬は不可能だと認識すべきでしょうか」
「そのほうが良いでしょうね」
「では、一番気性の良い馬にしましょう。なら大丈夫でしょう」
「ああ、それなら良いですなぁ」
ホワイトグリント産駒の恐るべき成績を想像だにしていない瀬戸内と北野は笑い合う。
もっとも、一番驚くべきことは、ことこの件に限ってはそこではなかった。
ははは、と当たり前だがデビューまで北野牧場でその馬が育つのだと疑っていない笑い合う北野オーナーたち。
まさか、「とても気性が良い同い年の彼にして下さい」と種馬を指定して貰って産まれた馬が、乳離れして少し経つと「馬が大丈夫なら、是非連れてきてくださいとのことです」との宮内庁担当者によって、元江戸城に引っ越しするなんて想像さえ出来るはず無い。
他の元江戸城に宮内庁などの所属で飼われている馬と違って、陛下の馬だから「何時でも好きに可愛がって良いんだ」と多忙極まりない皇族の方々に、可愛がられて世話されるなんて人間の想像力を超えている。
馬術部部長だった日本で一番偉い馬術家に、手ずから調教される。というか普段から乗ってもらえるなんて想像するのは無理言うな。
御料馬というより皇室のペットと認識されてるなんて、駒牽の儀式に招待されるまで理解して居なかった。
あまりのことに将来倒れ伏すことが確定している北野オーナーだが、この日は入厩したばかりのもう一頭の預託馬に会いにも来たのである。
持っていくと、ホワイトグリントにやってしまうため別にして応接室に置いていたお土産を手に取る。
「そうだ。ニシキダクロスには会えますか。場長からお土産があるんですよ」
「勿論です。食わせたって下さい」
「確か、マイラーなんですよね」
「マイルから中距離の馬ですね。2400は厳しいでしょう。しかし、良い馬です。タマモクロスは良い子を出しましたわ」
「なるほど、再来年の桜花賞と秋華賞も楽しみです」
北野牧場で産まれた父タマモクロス産駒のホワイトグリント2歳下の牝馬は当たり前のように瀬戸内厩舎に預けられ、沙藤徹三をその背に来年デビューする予定である。
そして、土産をやってニシキダクロスを撫でた後応接室に戻り、話はまた戻った。
「次のエリザベス女王杯は、少しはホワイトグリントに苦痛を味合わせることが出来れば良いんですが。──厳しいでしょうな」
「仕方ありません。両陛下だけでなくエリザベス女王陛下御臨席のエリザベス女王杯です。沙藤騎手が緊張してホワイトグリントをサディスティックに責め立てられなくとも責めやしませんよ。
──しかし、沙藤騎手がサディスティックに責め立てなくとも大丈夫ではないですか?」
「と、いうと?」
「エアグルーヴとメジロドーベルも居ますし、全力で走らせ鎬を削りながら脚を溜めて末脚勝負に持ち込む事で存分に苦しませ痛くさせながらゴールすればいいのでは? 何時ものプランで、苦痛を味わえるのではないでしょうか?」
「いや、なかなか難しいですな──無理でしょう」
「それはまたどうしてです?」
「沙藤の緊張以外にも理由は2つあります。まず、ホワイトグリントは現在の日本競馬で最強クラスです。だから、相手になるのは最強クラスだけになります。
そして、エアグルーヴは札幌記念でグラスワンダーに完敗したように衰え始めています。未だに強いですが、最強クラスではなくなってしまいました。
メジロドーベルはそもそも実力が最強クラスではない上に、本質的にマイラーです。マイルならホワイトグリントとまだ渡り合えますが、中距離のエリザベス女王杯では無理でしょう。
端的に相手不足になります。これが1つ目ですな」
「……なるほど、1つ目で大分致命的ですね。もう1つは?」
「これが一番ですが。
おそらく、どいつもこいつも緊張するからです。両陛下だけでなくエリザベス女王御臨席のエリザベス女王杯。これで硬くなるなというのは無理です。皆、馬に乗って無心で乗るのが精一杯でしょう」
「……つまり?」
「どいつもこいつも全力を出せません。そして、同等の相手と全力でぶつかり合わなければ、ホワイトグリントは真っ当なレースで苦痛を感じません」
瀬戸内の言葉に北野オーナーは天を仰いだ。
「……レースを嫌がるようになりますか。ホワイトグリントは」
「それでは収まらないでしょう」
「……と、いうと?」
「沙藤を信頼しとりますからな。あと一回は大丈夫でしょう。ただ、あと二回、いや三回、レースで苦痛の快楽を味わうことが出来なければ……どうしようもありません。レースを気持ちよくないと見切るでしょうな。沙藤が乗ってもレースを一生懸命走ることは金輪際無くなります。
そして、そもそも沙藤が乗らねば、レースだと認識せず調教としか認識しないホワイトグリントですからね。
お終いですわ。
競走馬としての線が切れます。
──引退でしょうな」
同じく諦観の念で天井を見上げながら瀬戸内が呻く。
「そんな……」
あまりのことに天を仰いだまま北野の膝が折れる。
言葉に出してあまりの衝撃に瀬戸内の膝も折れた。
無敗の三冠牝馬が体に異常はありませんが引退します。
周囲のバッシングも凄まじいだろうが、何よりも自分たちが嫌だ。
肉体的な衰えは勿論、フケ(発情)もまだ来てないのだ。ホワイトグリントはまだまだ走れるのに、引退してしまう。
レースが気持ちよくないから嫌。というホワイトグリントにとっては深刻極まりないが、自分たちの腰骨が砕け散るような理由で。
一応、手はある。あるのだがはっきり言ってやりたくない。とてもやりたくない。
あぁ
(オグリ……お前さんは、プール以外は本当に手ぇかからなかったなあ。無茶なローテーションを断れんかった弱い頃の儂らを許してくれ。
そして、無茶なローテーションをノーと言えるだけの格が厩舎に備わったかと思えば、凄まじく手ぇかかる馬のお陰で同じようなことをしようとしてるんや。馬鹿な人間を笑うか? それとも慰めてくれるか?
何でお前さんの手のかからなさが遺伝せんかったんやろうなあ。性格も良いし気性も良いし精神力もある。内面はお前さん譲りなのに
──何で、お前さんの娘はドマゾなんや)
白い天井が涙でにじむ。
そんな瀬戸内ではなく、同じく天井を見ながら北野は呻く。
「…………何か手はありますか?」
「ジャパンカップの登録をそのままでお願いします。レースが気持ち良いもので無いのでは? と疑わせたまま間隔を空けるのは不味いです。最悪、ジャパンカップに出ます。
面子も揃っていますし、陛下御臨席では無い。全力で走らせ鎬を削りながら脚を溜めて末脚勝負に持ち込むか、ドマゾ用レースをして、存分に苦痛を味あわせられます。
ローテーションを考えると、欠片も出たくありませんが」
「秋華賞とエリザベス女王杯はまだ三週間ありますが、エリザベス女王杯とジャパンカップの間は二週間ですよ。1ヶ月で3レース出走は、大丈夫なのですか?」
「出るのは、エリザベス女王杯で全力でぶつかり合えず苦痛の快楽を得られなかった場合ですから大丈夫でしょう。その場合、体力的には元気が有り余ってるでしょうから。獣医による念入りなチェックとケアを念入りにしつつ挑みます」
「その場合は北野牧場のスタッフに来てもらいます」
「お願いします」
即答した瀬戸内はゆっくりと顔を正面に戻した。
「ま、ジャパンカップに出る必要は無い可能性はあります。ホワイトグリントが満面の笑顔になるほどエリザベス女王杯で苦痛を味わってくれるかもしれません」
そうですねと同じく顔を正面に戻して相槌を打つ北野。
両者の顔には「「絶対無理だろうなあ」」という諦観一色だった。
「とりあえず、不機嫌だけでも何とかしましょう」
「と、いうと?」
「切り札を用意しておきましょう。オグリキャップを呼べるか大栗オーナーに聞いておきます。従四位貰ってからの一連のイベントは笠松競馬場で終わりましたし、オグリのスケジュールは空いているはずです。近場の施設を借りてシロとオグリを会わせましょう」
「それは良い! しかし、オグリを呼ぶとJRAが東京競馬場に連れていきそうですな」
「その辺も調整します。あと3週間弱。タイトなスケジュールになるでしょうがやります」
「よろしくお願いします」
というわけで、切り札を切ることにした。
1998年11月15日 東京競馬場
『ホワイトグリント抜ける! 鞭なくトップスピードに入った!
内からホワイトグリントがエアグルーヴを交わした! メジロドーベルが伸びてくるが!
ホワイトグリント先頭!
ホワイトグリント先頭!
伸びていく! 伸びていく!
差し込んだホワイトグリントが伸びていく!
世界のホースマンよ見てくれ! これが日本近代競馬の結晶だ! 府中の直線に白い閃光が輝きましたっ!
ホワイトグリントやりました!
圧勝です! 圧倒的なパフォーマンスを見せました!
10万人が見守る東京競馬場に白馬が戴冠!
恐れ入った! 恐れ入りましたホワイトグリント! 並み居る女傑達を物ともせず、阪神3歳牝馬ステークスに加えて牝馬三冠、そして女王杯も制覇!
初の牝馬戦線完全制覇馬です!
初の牝馬四冠馬の誕生です!
11戦11勝無敗の七冠馬が誕生いたしました!
阪神3歳牝馬ステークス、桜花賞、オークス、CCAオークス、パシフィッククラシックステークス、秋華賞、そしてエリザベス女王杯!
牝馬戦線を完璧に制しました! アメリカのオークスを制しました! アメリカ西海岸最大のレースに制しました!
紛れもなく歴史に残る偉業です!
ルドルフに並ぶ冠をクラシック期に戴冠した女王の誕生です!
その偉業を成したのは白馬です!
1万頭に1頭しかいないと言われる白馬!
日本競馬史上5頭しかいない白馬が偉業を成し遂げました!
彼女は、もう、ただのオグリキャップの娘ではありません!
これからは、オグリキャップこそが彼女の父と呼ばれるでしょう!
彼女は、ホワイトグリント!
白い閃光にして白き雪の女王ホワイトグリントです!
ホワイトグリントの物語に、11戦11勝無敗の7冠馬にして牝馬戦線完全制覇の1ページが新しく記されました!
エリザベス女王ご臨席の記念すべきエリザベス女王杯は記録揃いのレースとなりました!
……しかし、ホワイトグリントも緊張するんですね。またも笑顔がありませんでした』
【そうですね。前走といいこのレースといい、笑顔がありませんでしたね。やはり、鞍上の沙藤騎手の緊張を感じ取っているんでしょう】
『ほう、そうなんですか』
【ええ、馬というのは乗っている人間の感情を割と感じ取りますからね。主戦である沙藤騎手の思いを感じ取ったのでしょう】
『両陛下と女王陛下が観戦されてますからね。緊張するのは当然でしょう』
感極まったのかゴールと同時に天を仰いだ沙藤騎手。
緊張のあまりだろう。ガクガク震えながらホワイトグリントから降りて陛下達にお辞儀してしまったのは止むを得ない。
つられて頭を下げるホワイトグリントに、警備を厳重とした東京競馬場リミット一杯10万人が拍手と大歓声を上げる。
他の騎手全員が降りて一同揃って陛下達にお辞儀した時には、大歓声と拍手が轟いた。
またも見事な差し切りでホワイトグリントは勝利した。
そして、ホワイトグリントにはまたも笑顔が無かった。
グリントギャルと呼ばれる女性たちを含めたファンの一部は、ホワイトグリントの瞳が死んでるとか、ホワイトグリントが悲しそうで寂しそうと語り合った。
ホワイトグリントの表情が変わるのはこの後、競馬場に来ていてファンサービスしていた両親と一緒になってからである。
ちなみに、後年放映されたウマ娘アニメ7話は、スペシャルウィークVSセイウンスカイ菊花賞によるスペシャルウィークの敗北を主とした話だった。
他の話の軸として、ホワイトグリントのURAを挙げた大臣参加の帰国慰労会(却って緊張して疲れが全然取れないため、スペエルグラススカイキングが共謀してオグリが囮になって早めに終わらせ、トレセンでグリントと一緒にパーティー)と、エリザベス女王杯出走全ウマ娘による陛下とファンと関係者とライバルへの感謝の最敬礼エリザベス女王杯特殊エンドによって構成されていた。
満面の笑顔で偉業を絶賛しつつも、内心ホワイトグリントとの格差を叩き込まれたスペシャルウィークの曇りポイントが少し溜まっただけのBGM作画演出すべてが最高峰の神回にして平和回。
そうファンに評価されることになる。
後年のファンも、否、当時の誰もが順風満帆と見ていた七冠馬ホワイトグリント陣営。
そんな彼らが引退の危機感に怯えていたと知る者は、ホワイトグリントがドマゾだと公表された未来にも少ない。
だって、陛下達のせいで引退の危機だったと言うようなものだもの。当たり前だけど箝口令だよ。
スレでホワイトグリント産駒の話題を出すと荒れるのは、産駒のうち一頭の住所が元江戸城なんてトンデモが居るからでもあります。
宮内庁は激昂してます。「こんなことするとどいつもこいつも陛下を引っ張り出すだろ! クソ野郎が!」と本気で北野オーナーに激昂してます。が、まあ、大丈夫です。エリザベス女王陛下とか偉い人馬主やってますのでこの時は大丈夫です。