「久しぶりクロア。しばらくの間見なかったから心配したのよ?」
目の前にはクロア、そして似た黒装束に身を包んだ2人の少女が佇んでいた。
「主さま?あの人は誰です?」
「私も気になるよ〜」
2人の少女がクロアに問いかける。いや……、私が聞きたいんだけれども。貴方たち誰なんだって。どういうこと?
当のクロアに関してはだんまりしてるから本当に何が何だかわからないんだけども。今まで何してたんだとか、彼女たちは誰だとか、聞きたいことはいろいろある……。
ただ、ひとまずは何かしら言ってくれないと……。
「その……」
クロアが言い淀む。後ろめたいことでもあるのだろうか。
「ご……、ごめんなさい!」
いきなり頭を下げてきた。
「え……?え?」
本気で困惑している。なんだ。何に対して謝っているのだ。
「主さま⁉︎」「ボス⁉︎」
2人の少女も同じく困惑している。
「勝手にいなくなって……」
「いいのよ。じゃあ、これからはまた……」
「でも、まだ一緒にはいれないんだ」
「え……?」
一緒にはいられない?わからない。私には彼女の言ってる意味がわからない。
私はそんなにダメだったの。私じゃ……、だめだって言うの……?
「どう……いう……こと……?」
「そのままの意味だよ。まだ一緒にいられない。まだ帰れない。アペルのためなんだ。だから、待ってて。いつか、必ず帰ってくるって約束するから」
「いつかって……?なぜ一緒にいられないの?私にはクロアの言っていることが理解できないの」
「ごめんね……。それでも貴方のことは慕っているから。安心して。2人とも、行くよ」
そのまま、クロアたちは飛び去っていった。ただ、私は追いかける気力もなく、ただ茫然とその場に立ち尽くすほかなかった。
それからどれほどの時間が経ったのかわからない。ただ、大火傷を負った少女がどうにか地面を這いつくばって私の近くまで来て話しかけるまで私の意識は闇に落ちていたようである。
私は、少女の治療をしながら寮に帰ることしかできなかった。
◆◇◆◇
「主さま?あの遺跡に関しての調査はよろしかったのでしょうか?」
「ん……?ああ」
なんとも気が抜けた返事であろうか。
「そして、彼女は一体誰だったのか……、お聞きしてもよろしい……のでしょうか?」
「私も気になるけどぉ……」
主の異変に気づいた彼女らは遠慮しつつも問いかける。
「アペル。私の悪魔憑きを治してくれた人。私の主だよ……」
「そうでしたか……」
「ボスのボスなの……。そうなんだぁ……」
それ以上は踏み込まない。彼女らはあくまでクロアに救われただけの身。
直々に部下であると認められているわけではないのだ。
「私だって……。一緒にいたいよ……。でも……それだと……アペルに迷惑が……かかっちゃう……から……」
クロアの瞳から雫がこぼれ落ちる。彼女自身、アペルと離れることは本望ではないのだ。
できることなら、前のように一緒に寮の部屋で寝て、側にいたいのだ。
だが、その願いは叶わないのかもしれない。叶うことなく終わるのかもしれない。そのこともわかっている。
一緒にいることがどれだけアペルに迷惑をかけてしまうのかが安易に想像できてしまうのだ。
故にまたも離れる選択をとるほかなかったのだ。
「大丈夫ですか?」「全然大丈夫じゃなさそうだけどぉ〜」
2人の少女はクロアの冷静沈着な面しか見たことがなかった。このような取り乱している姿など見たことがなかった。
だが、彼女らは知らない。今のクロアのメンタルの不安定さを、アペルと再会した時の心情を。
もとより、アペルと会うつもりなど微塵もなかったのだ。ただ、教団を調べる一環で掴んだ情報からあの遺跡で今晩に何かがあるということだったため調査に出向いていただけである。
何も言わずにアペルの元を離れたクロアにとってこの再会は、気まずいといった形容では足らないほどにきついものだった。
アペルの優しさを思い出してしまった。そして私とまた一緒にいたいと思っていることにも気づいてしまった。
感情で動くことは最悪の結果をもたらすと言い聞かせてなんとかあの場を離脱したのだが……。
神は非情である。さし示したように再会させ、両者共に心に深い傷を残していくのだから。
いつのまにか日付を跨いでしまっていました…。これでは本当に金曜日投稿かないですか…。申し訳ございません。
今回はなんかいなくなっていたクロアとアペルの再会の回ですね。不思議ですね。なぜ2人とも心に傷を負っているのでしょうか…?はてさて…と言ったところでございました。今回も感想のほどお待ちしております。ではまた次回にお会いしましょう。