シャドウ様を殺りたくて!   作:海老天 進司

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ネタはあるのになんか執筆が進まない……
もっと執筆スピードを上げたいなぁ……
なんて思いつつ…
細かいところは気にしないで楽しめるなら楽しんでいってください。
投稿遅れてすいません。海老進でした。


第1話 スライムは万物に成る

結果として、私は魔力を見つけることができた。

 

目が覚めたら周囲は魔力で満ちていたのだ。そのうえ転生していた。つまりは一度死んだということだろうか…?

 

その問題については深く考えてはいけない気がする。シャドウ様みたく魔力を見つけて転生の扉でも開いたのだろう。

 

だが、それはシャドウ様と同じ世界に来た可能性があるということ。この世界について調べる必要が出てくる。

 

しかし現在の私は生後数ヶ月の女児。意識がはっきりしたのは最近だし、大幅に行動が制限される。自由に行動ができるようになるまでは大人しくしているべきだろう。

 

しかし、魔力を手にしたということは大きい。意識が覚醒してすぐ、私はこの魔力に気付いた。

 

ふわふわと漂う光る粒子の姿は、前世の修行で精霊を探すためお花畑を全裸で走り回ったときの感覚にそっくりだった。

 

あの修行は無駄ではなかったのだ。その証拠に私は魔力をすぐに知覚し、そして今では手足のように操ることができる。

 

この感覚はキリストを参考にして全裸で十字架に貼り付けられた時に感じた……いや、改宗を繰り返し全裸で踊り祈りを捧げたときか……おそらく全ての修行がいきているのだろう。シャドウ様バンザイ。

 

もう既にに身体強化ができることは確認している。この世界がシャドウ様のいる世界でなくとも魔力を使っていくことができるかもしれない。

 

まあ、このありあまる時間を修行に使い、シャドウ様を殺せるようになろうではないか。

 

 


 

10年ぐらい経った。多分シャドウ様のいる世界だと思うけど確証には至っていない。

 

私の生まれた家は貴族だったらしく、魔剣士と呼ばれる、魔力で体を強化して戦う騎士を代々輩出する家系であった。

 

私はこの家の期待の子……ではなく、ごくごく平凡な魔剣士見習いとして育っている。

 

シャドウ様を殺すために表だって目立つことは不利益しかない。

 

手を抜いているとはいえ、魔剣士見習いの修行はなかなか役に立っている。この世界の魔力を使った戦い方を学べて、己の修練してきた武についてどのように生かすかを考えるいい機会となっている。

 

私と兄と父の3人、父が私と兄に指導して、私と兄が戦う感じ。3歳上の兄は筋がいいらしく、このままいけば将来家を継ぐのは兄になるらしい。

 

だから私は毎日「兄ちゃぁん、強いよぉ……」と言いながら兄にボコされている。

 

勝つわけにはいかない。シャドウ様を殺すために目立ってしまわないようにしなければならないのだから。

 


 

13歳になった。最近この世界がシャドウ様のいる世界だと確証に至ることが起こった。

 

近頃魔力が扱いにくいと思ったら、体の一部が黒ずみ腐り始めてきていた。この症状は明らかに<悪魔憑き>なのだ。

 

確証に至れたのはいいものの、<悪魔憑き>だとしたらだいぶ面倒なことになった。

 

15歳になったらシャドウ様と同じ魔剣士学園に入れるのはいいのだが、<悪魔憑き>のままだったら学園に入学できなくなってしまうではないか。

 

ひとまずの目標は<悪魔憑き>と気づかれずに治療をすること。

 

だが、治しさえすれば、この魔力暴走によって、この体は魔力に馴染み、より強く、より戦いやすくなる。

 

そうすればシャドウ様を殺すという目標に大きく近づけるだろう。

 

とはいえ、そんな簡単に治せるものでもない。この魔力暴走を完全に制御することができればいいのだが……、あいにく魔力が扱いにく状態だ。

 

元々10年ほどでは魔力操作を完璧にすることができなかったため、そんな状態でなくとも治すことは出来なかっただろうが。

 

方法として考えられるのは、魔力操作の腕を上げる、他の悪魔憑きを見つけて治して、その方法で自分を治すの2つだが、後者は明らかに難易度が高い、前者に関しても具体的な方法がない。

 

そんな悩んでても(らち)があかない。そう考えた私は眠りについた。

 

 


 

 

朝日が差し込み、小鳥さえずるいい朝……ではなく、月夜に照らされた真夜中に目が覚める。朝に起きていては自由に行動できないのである。

 

睡眠はすごい。頭の中が整理されて考えがまとまっていった。

 

スライムを活用するのである。この世界は魔力を流して武器を強化して戦うのだが、普通の鉄の剣だと魔力伝導率は10%、要するに9割の魔力は無駄になる。

 

高級品のミスリルの剣ですら50%。だがシャドウ様たちシャドウガーデンが使っているもの、魔法生物のスライムは魔力を使って自在に動くため魔力伝導率は脅威の99%で、それを使ったスライムソードを使っている。

 

私はそこに着目した。魔力伝導率99%であれば魔力操作がよくなるんじゃないかと。

 

そんな甘い考えだが、装備を整えることができ、その道中で私以外の<悪魔憑き>に会うことができるかもしれない。幸いこのシヤト領周辺には多くスライムが生息している。

 

森の奥の方に行けば、<悪魔憑き>を運んでる馬車とか盗賊とかもいるだろう。

 

思い立ったらすぐ行動だ。真夜中だから家族は寝ている。いつものように慣れた手つきで屋敷から脱出し、森へ向かう。

 

 


 

 

森に到着した私はスライムを見つけた。客観的に見るとかわいらしいのかもしれないが、魔物であることに変わりはない。実際、スライムでも人は死ぬ。

 

そっと剣を構えて、核を狙う。スライムは私に気づいていない。

 

集中……。

 

「はっ!」

 

と一突き。だが私の剣はスライムの皮膚で止まった。

 

魔力を使わねば、スライムすらも貫けぬないとは……。

 

だからといっても魔力を使うわけにはいかない。今回の目的はスライムであるが、ただ狩っているだけでは意味がない。

 

この世界では魔力に頼りきりの戦いになり、技術が磨かれにくい。

 

まずは危険性の低い獲物からである。徐々に魔力なしでの戦いに慣れなければない。

 

シャドウ様を殺すためには人と同じことをしているようではいけない。

 

それはそうと、先ほどの攻撃で一気に警戒体制に入ったスライムと対峙する。

 

魔力を使わずに貫くためにはどうすればいいか。答えは、相手の力を使うことだ。

 

スライムは跳ねながらも機会を見定めている。

 

スライムの軌道がこちらへと。そしてこちらに向かってくる瞬間に、一突き。

 

私の剣はスライムの体内へと入り込み、その核を貫いた。スライムが動かなくなったことを確認して、次のスライムを探す。

 

ある程度のスライムが集まったので別の場所に移動することにした。

 

そして別の種類のスライムを狩っていった。

 

ある程度の量を集めた私は屋敷に戻り、研究を始める。様々な種類のスライムに魔力を流し、硬度、流れやすさ、形の変わりやすさなどを調べていく。その過程で疑問を見つけては結論を探し出していった。

 

ふと、窓を覗くと朝日がちらり姿を見せ、空が赤紫色に染まっていた。朝だ。研究のための器具やスライムをしまい、あたかも今起きたかのように部屋を出る。

 

 


 

 

2日目の夜。今日は隠れ家となるような場所を探しに行く。昨日だけではやはりスライムを装備にできるようにはならなかった。

 

魔力を流したことにより形を変化させることはできたが、それを保つことが困難であったのだ。

 

新しい種類のスライムなども狩ってくることを考慮したとき、どうしても部屋に収まりきらなくなる。隠れ家があって損することはないだろうといった考えである。

 

廃村などがあればいいが、そう都合よく見つかるとは思っていない。

 

見つからなければ建てればよいだろう。ならばそれに適した場所を見つけなければ。

 

と、思っていたのだが、都合よく廃村が見つかった。一つ問題があるとすれば、大したことでは無いのだが、盗賊がいたことであろう。

 

殺してしまえば済む話だが……、<悪魔憑き>になってから命の奪い合いをしていない。

 

魔力が扱いにくく、少々の不安が残る。魔力を扱わない戦闘の鍛錬はしているが、あまり成果が出てない。だが、この程度で躓いていたらシャドウ様なんていつまで経っても殺せない。

 

この状態での殺し合いに慣れるためにもやるしかないだろう。

 

盗賊は先ほど襲撃に成功したようで、深夜にも関わらず灯りがついており、宴会をしているようだ。

 

ならば、まだ金品は使われていないと考えていいだろう。シャドウ様を殺すための資金はあるに越したことはない。

 

早めに勝負をつけたいが、不意打ちでは修練にならない。ならば。

 

私は宴会の中心に飛び込む。

 

「ご機嫌よう。早速ですがその命、頂戴いたします」

 

「な、なんだぁ、この女ぁ!」

 

修練とはいえへ殺し合い。多少舞い上がってしまっているが問題ないだろう。

 

「静かになさってください。耳障りです」

 

私が反応を示した男の首を切り落とすと、ようやく盗賊たちも武器を手に取った。

 

「てめぇ、やってくれたな。女だからって容赦……」

 

御託を並べる男の隙だらけ胸に一閃。想像よりは魔力をしっかりと扱えている。

 

やはり、人との殺し合いは楽しい。

 

どんどんと群がってくる盗賊たちを、鍛錬と同じような模範的な動きでその命を刈り取っていく。

 

少々血が騒ぎすぎてしまった。ボス格の男以外はすでに肉塊として土の味を噛み締めている。

 

「あら、もう1人なの?」

 

「て、てめぇいったい何者だ……?」

 

「どこにでもいる可憐な美少女ですけれど?」

 

「こんな奴がどこにでもいてたまるかよ!」

 

「あー、うるさいわね。耳障りよ。とっととかかってきなさい」

 

「舐めてんじゃねぇぇぇ!」

 

ボス(仮定)は怒りの形相で突っ込んでくる。

 

だが遅い。圧倒的に遅い。

 

斬撃をギリギリまで引きつけ。

 

「牛さんかしら?」

 

一歩横にずれるだけで攻撃は空へと標的を変えてしまう。同時に隙だらけの腹に魔力を込めずに身体操作により威力の増した拳が突き刺さる。

 

「ぐっ……!」

 

ボスAは蹌踉(よろけ)ながらも体勢を立て直す。

 

「この様子だと私は武器を使う必要がないわね」

 

地面に私の剣が落ちる。

 

「このクソアマぁぁぁ!」

 

全速力で切り掛かってくるが、こんな剣など避けるまでもない。

 

魔力を使わなくてもそれなりには戦えそうである。

 

「ねえ、お兄さん。知ってるかしら?足の筋肉って腕の筋肉の3倍以上はあるって」

 

今度は魔力を少々込めた膝蹴りが男の鳩尾(みぞおち)を襲う。

 

推定ボスの勢いもあわさって凄まじい衝撃が鳩尾にかかり、鮮血が夜空を舞う。

 

「ま、知らないわよね」

 

衝撃で吹き飛んでいったおそらくボスの元へ向かい、脳天に踵落とし。頭はU字に凹んでいた。

 

「意外にも戦えるものね。この状態でも」

 

さて、いい隠れ家も確保できたことだ。戦利品を漁ろうか。

 

美術品、食品はいらない。現金宝石貴金属あたりが多いとうれしいのだが……。

 

「馬車は1台しか無いのに400万ゼニーぐらいあるとは幸運ね。でもそう簡単に<悪魔憑き>は見つからないか……」

 

ひとまず死体の処理は後回しにして、屋敷からスライム等々一式を運ぶとしよう。

 

 


 

 

1ヶ月後。ようやくスライム装備が完成した。この1ヶ月間、様々なスライムを狩りにいろいろなところへ出向いたが、未だ<悪魔憑き>とは出会えていない。

 

だが、私の<悪魔憑き>は着々と体を蝕んできている。

 

結局スライムで魔力操作の腕は上がったが<悪魔憑き>を治すことはできなかった。もう、私以外の<悪魔憑き>を探す以外に治す方法はないだろう。

 

そう思っていた。

 

その夜、私は<悪魔憑き>に出会う。




書き切れた〜。最初の方は準備ターンなので悪しからず。次からはもっと早く投稿できるよう頑張りますので、感想、評価、お気に入りなどしてくださるとモチベーションにつながります!それでは、また次回。
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