俺には弟が居る。
術式は相伝ではない、だが寡黙に己を鍛える存在だ。
正直言えば御三家の者が呪具に頼り戦うなど情けないことこの上ない。
だが、俺の認識はすぐに打ち破られた。
アレは十一の時だったか。
奴は修練の為に表に出た時、恐るべき事に一級呪霊を討伐したのだ。
あり得ない、何を言ってるんだ?俺の頭の中は非常識すぎる報告に埋め尽くされた。
そもそも表に出たとは何なのだ?どうして一級呪霊と出会った?どうやって討伐した?
あらゆる疑問がグルグルグルグルと頭を巡り巡る。
そしてもう少ししたある日、当主補佐達から呼び出された。
俺は先に到着し待っていると悪びれもせず遅れてくる扇。
「随分と余裕を持ってるな扇」
「‥‥‥あぁ」
弟は無口とまでは行かないがかなり喋らない。
こうやって話すのもどれくらいぶりか。
「扇、直毘人よ此度呼んだのは他でもない
扇を次期当主候補とする事が決まった、良いな?」
「はっ!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥いらぬ」
「扇?」
「今、何と言った?」
「俺は‥‥‥‥‥‥当主を継がぬ‥‥‥‥‥‥」
な、何を言っているコイツは!?
俺は驚きのあまり扇の方へと振り向く。
だが奴は冷たい目で補佐達を見つめ、まるで‥‥‥いや今は言うまい。
「扇!!!」
「補佐、弟は突然の事に動揺を隠せぬとおもいます
一度此奴に何を言われたか教えるので少々時をください」
「む?うむ、此度の事は急だったか
よかろう、直毘人に任せる」
何とか少しだけだが時間は稼げた。
俺はすぐに扇を連れて私室に連れていき、向かい合って話をする。
「扇よ、何故当主を継がぬと言う!」
お前程の才が有るなら相伝術式で無くても継ぐ事は可能だろう!
なぜだ!相伝を継げぬかったからか!
「俺には‥‥‥‥‥‥足りぬ‥‥‥‥‥‥」
「何がだ!」
「‥‥‥‥‥‥力だ‥‥‥」
「お前は!この禪院の中で既に五指に入るほどだぞ!」
「変えねばならん‥‥‥‥‥‥だが力が足りぬ‥‥‥‥‥‥‥」
此処まで言われ俺は気付かされた。
扇は‥‥‥‥弟は禪院を変えようと言うのか!?
あり得ない、とは言えない。
扇はいつも何処か遠くを見つめ己を鍛えていた。
それはまさかこの禪院を変えるためにしていたのか?
今の禪院は悪しき風習と言うべき男尊女卑が強く、女は認めず呪力がなければ人と扱われず、禪院でなければ呪術師と認めない。
だがこの弟、扇はどうだ?
禪院の先を見てこのままでは世界に置いて行かれると思っているのだ。
此奴はどこまで見ているのだ‥‥‥
「扇よ‥‥‥お前は禪院をどう変えたいのだ?」
「‥‥‥‥‥‥力だ‥‥‥‥‥」
力、どういう意味だ?
いやもっと根本的に考えろ、扇の求める力とはなんなのだ?
俺は解っている扇の情報を纏め、求めるモノを考える。
武力や戦闘力と言うならそれこそ扇は既に持っている、ならば権力か?いやそれこそ有り得ぬ話だ。
ならば何故次期当主候補の話を蹴るのだ?
解らない、弟の‥‥‥‥濃く血の繋がった肉親の事が全く解らない‥‥‥
気付けば俺は涙を流していた。
何故だ?
「‥‥‥‥‥‥‥この世界は辛い‥‥‥‥‥‥」
「っ!?」
まさか扇の求める力とは心か!?
しかし何故心なのだ?
いや、禪院故に心なのか。
禪院は次期当主として言うのは如何なものかと思うが、非常に閉鎖的で利己的な縦社会だ。
相伝や強力な術式を持ち、高い呪力量を誇り、そして男でなければならない。
そうか‥‥‥弟は‥‥‥
今のこの禪院を壊し、才ある者が上に立ち他家と違い慈しむ心を持つ家に変えたいのか‥‥‥
馬鹿馬鹿しい妄言と呪術師なら言うだろう、弱者を守る意味が有るのかと思うだろう。
だが弟は他家と違う道を歩ませ、さらなる才ある者が集う家にしたいのか!?
武力だけでは人は付いてこない、だからこそ心か‥‥‥
大きいな、我が弟は‥‥‥
「扇よ‥‥‥お前の考え、禪院の次期当主として賛同しよう
共に禪院を変えよう!」
「兄上‥‥‥」
禪院を変えるため、弟の理想の為、汚名は全て俺が受け止める。
だから安心して突き進め弟よ。
直毘人
禪院を才ある者、力有る者がその能力を発揮出来る家に変えたいと弟が思ってると思い、弟に降りかかる火の粉は全部受け止めるなんて思ってる。
どけ!俺はお兄ちゃんだぞ!しそう。
扇さん嫁問題
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メロンパンを嫁にしてみない?
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メロンパンに呪われたロリだろ!
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梅ちゃん扇推しじゃん
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そこに天元がおるじゃろ、女じゃろ