襲撃の後落ち込んだ表示をしているノーチラスをユナが気にしながらメモに書いてる場所へ向かう。途中で調子を取り戻したノーチラスは覚悟を決めた様子だった。目的の場所には衛士隊長が先に着いており、こちらを見ると近ずいてきた。
衛士隊長「君達か、証拠品は持ってきてくれたようだね。 ー 確かに、ご苦労だったね」
ノーチラス「箱の中身について話してくれてもいいだろう。おそらくは、それを運んでいたせいで僕達は暗殺者に襲われた」
衛士隊長「・・・そうか、それはすまなかった。もはや、話しておくべきなのかもしれませんね。この箱の中身は大量の金貨 ー 黄金色の鋳貨(おうごんいろのちゅうか) ー と呼ばれているもの。そう言えばわかりますか?」
ナイト「何故それを運んだら襲われる?」
衛士隊長「おおかた、汚職の片棒を担いだとでも思われたのでしょう。そういう目的でこれを使うものは多い。もはや今となっては詳しいことはわかりませんが、あの金貨は<大地切断>前のものだと言われてます」
<大地切断>とは、簡単に説明すれば、アインクラッドは空中に浮く城だが、浮く前の地上と繋がってた時期のことを言う。とてつもなく昔の事なので現在も残ってるものは少なく、とても希少なものなのでコレクターもいるとかどうか。
衛士隊長「表向きは古美術品ということになっていて、そういったものを好む貴族が買い取る。だが、それともうひとつ隠された使い途があります。 ー いうなれば<領収書>です。当時の技術で製造されたものなので、現在の技術では複製出来ないのを利用して証明書 ー 領収書とする。というわけです」
ユナ「でも、それと汚職と何の関係が?むしろ、ちゃんと領収書を出してるんだから汚職とかそういうのとは逆なんじゃ・・・」
ナイト「そうか、賄賂か。貴族は衛士の上役 ー そういうことだろう?」
ナイトの賄賂、という言葉にユナとノーチラスも理解したようだ。
衛士隊長「そうだ。具体的にいえば、<頼み事>によっては罪をもみ消せるんです。だから、この辺の者は皆この金貨をほしがるんです。今となっては、この悪習が形を変え根付いてしまって・・・。貴族に金を払って得たものだけでなく、遺跡で拾ったものでも罪を揉み消せてしまうんです。もっとも、軽犯罪ならともかく、重犯罪であれば大量に必要になります。君達のように身元の保証が無い者なら尚更多く必要になります」
ナイト「その賄賂を衛士もしてるんだな?それも大勢」
隊長「そうです。今回押収された大量の<鋳貨>ともなれば、変な気を起こす部下がいても不思議ではありません。それを警戒し、こうして受け取りに来たんです。そして、だからこそ旅の者 ー この町の悪習に触れてもなければ、直接的な利害関係もない君達の力を借りたいんだ」
ナイト(オレンジカーソルから復帰出来るってことか)
隊長「君達に頼みたいことは城内にある<不脱の監獄>には、この何倍もの量の<鋳貨>が残されているとされていまして。部下に見張りをさせているのも不用意に人が迷い込まないようにするのもありますが、あれを狙う者を近づけさせないという理由が大きいです。・・・正論だけではいかないことがあるのも事実です。ですが、汚職がはびこるこの状況をどうにかしたい。どうか、力を貸してほしい」
ユナ「まかせてよ!」
隊長「そうか、ありがとう」
ノーチラス「さっきの暗殺者について知っていることを教えてくれ。あなたの仕事を手伝う以上、次もまた襲ってくるだろう。だから、今は少しでも情報がほしい」
隊長「彼等は「法で裁けぬ悪人を消す」を行動原理とする暗殺者の集団で<怒れる者達>を名乗っている。ゆえに、標的となるものの多くは不正な方法で罪を揉み消す貴族や衛士、彼等は恐るべき情報網を持っていてね、我々現場の衛士ですら知り得ない不正の情報を得て、それを元に始末をしている。君達も気をつけてくれ。<怒れる者達>はどこからともなく情報を聞きつけ先回りしてくる。そんな話をした後で申し訳ないが、次の仕事です。先程、君達が証拠品を受け取った衛士がいただろう。彼は信頼できる部下の一人でな、この命令書を彼に渡してほしい」
ナイト(ふむ、なにか違和感があるが。情報が足りないか)
ユナ「じゃあ、吊橋にレッツゴー!」
吊橋で命令書を渡しその場から離れ、少し人気のない場所に移動した。
すると、ユナが慌てて走り出す。
ユナ「・・・!?大変!誰か倒れてるよ!はら!あそこ!」
ノーチラス「・・・!こいつは確か!」
ナイト「さっきの暗殺者だな」
ノーチラス「随分深手を負っている。・・・しかも、毒まで受けているみたいだ。このままだとじきに死んでしまうだろう」
ユナ「助けよう、回復結晶と解毒結晶があれば助かるはず!」
ノーチラス「待ってくれ・・・!念の為に聞くけど・・・本気で言っているのか?このNPCは僕たちを殺そうと襲ってきた敵だ。もし敵でなかったとしてもNPCなんだ。貴重な結晶を・・・僕達プレイヤーの命を分け与えるような真似をしてまで助けるなんて。それに回復した途端襲って来るかもしれない」
暗殺者について言い争ってるユナとノーチラスを脇目にナイトは、ため息を着きながら結晶を取り出し使用する。手がピクピク動き、目を開く。ノーチラスはナイトを ー 信じられない ー とも言いそうな目で見つめる。ユナは逆にとても嬉しそうにナイトを見ていた。
暗殺者「うう・・私・・・は・・・?」
意識がハッキリするとこちらを見て慌てて飛び下がりながら
暗殺者「悪・・・は・・・消す!」
ユナ「待って!落ち着いて、私達に戦う気はないよ!それよりも、まだ動いちゃダメ!。さっきまで死ぬところだったんだから」
暗殺者「ふざけるな、悪人が何をいう」
ノーチラス「本当だよ、こそのナイトは敵であるあんたを助けるために貴重な<結晶>を二つも使ったんだ」
暗殺者「だとしても・・・汚職に手を染める者を、裏で悪事に加担する者を・・・捨て置けはしない!」
ユナ「あのコインの使い途は知らなかった。私達は悪事に加担するつもりはないよ」
そういい武装を解除し、両手を上げる。すると、暗殺者の敵対アイコンが消えた。
ナイト「怪我をしていた理由を話せ」
暗殺者「襲われた・・・奇妙な風体をした謎の男にな。おそらくは、同類だろう。我々以外にもそうした組織があるとは知らなかった」
ノーチラス「暗殺者だと?」
暗殺者「袋を頭に被った男だ、私が油断したのもあるが、奴の短剣には毒があったようで不覚をとった」
ユナ「あなたが無事で良かった」
暗殺者「理解出来ないな、私はお前達の敵だ。それを無事で良かったなど」
ユナ「ごめんね、つい。私はユナ!あなたのお名前は?」
暗殺者「名前などない。我々は闇の世界に生きる者、名前など不要だ」
ユナ「じゃあ、あなたは、エラッサね!」
エラッサ「変な奴だ。まあいい、好きに呼べ。ー 返礼だ。貴重な結晶で助けられたことは事実。仮を作りたくない」
エラッサも気が抜けたようで、最初にあった警戒心も少しづつ薄れ仲良く談笑に励んでいた。しかし、ナイトだけは険しい顔をしていた。
ナイト(袋を被った男か。ラフコフのメンバーがここに来ているのか。このクエストは荒れそうだな)
気がつけばユナがリュートで音楽を奏、歌っていた。