ナイトがキリトと合流したのはアリ谷だった。ナイトはキリトの酷い顔を見て問いかける。
ナイト「何があった?」
キリト「俺が・・・関わったせいで・・・サチが、皆が死んだ・・・」
ナイトはキリトの言葉で気づく。
ナイト(そうか、月夜の黒猫団。そういえばこの時期だったか)
月夜の黒猫団、SAOでキリトが最初に入るギルド。少人数ながらもそこそこの実力があったがダンジョンのトラップで全滅した。サチ、キリトが守ると約束したが、その約束が果たせなかった少女。キリトの心に深い影響を及ぼしている。
キリト「なあ、ナイト・・・俺はどうすればよかったんだろうな?」
キリトは酷くカスれた声でナイトに問いかける。ナイトなら答えをくれると信じて。
ナイト「知らん。それにお前がそれを聞いても自分を罰し続けるだろ?」
キリト「それは・・・」
ナイト「なあキリト、お前はどうしたい?」
キリト「俺は、生き返らせたい。サチを、皆を!だから、噂程度にすぎない蘇生アイテムを狙ってレベリングしてる」
キリトはようやく覇気のある声を出し始める。ナイトはその言葉を聞き口を吊り上げる
ナイト「なら、そろそろ休憩は終わりだ。行くぞ」
キリト「えっ?・・・てっ、ナイト、ちょっと待てよ!」
キリトは少しの間フリーズすると、アリ谷に向かうナイトを慌てて追いかけるのだった。
クリスマスまで残り四日になり、ナイトはレベル71、キリトは70と更にレベルを一つ上げ、70の大台に乗せた。
ナイト「これまで調べた情報から、<背教者ニコラス>が現れるのは第三十五層のダンジョン<迷いの森>でほぼ間違いない。残りの時間、お前は寝ろ」
キリト「なっ!そんな時間はない!少しでもレベルを上げないと!」
ナイト「無理だ、そんな時間はない。その分寝る時間に当てる。最近あまり寝れないんだろ?」
キリト「なんで、それを・・・」
キリトは罰が悪そうに顔を背ける。結局キリトは折れてしまい、渋々部屋へと戻る。
キリト「サチ・・・」
キリトはサチの名前を無意識のうちに呟き、ベットで横たわる。気づけば零時まで残り二時間となり、ナイトとキリトは転移門に向かう。
ナイト「キリト、道中の雑魚は俺に任せろ。お前は少しでもニコラスに集中しろ」
キリト「わかった。ありがとう」
ナイトとキリトは順調に進み、目標のエリアの一つ手間まで到達した。
キリトが最後の数十メートルを進み始める瞬間。
ナイト「誰だ!」
ナイトが刀を構え、キリトも少し遅れながらも構える。すると、出てきたのはクライン達風林火山だった。
キリト「・・・尾けてたのか」
クライン「まあな。追跡スキルの達人がいるんでな」
キリト「なぜ俺達なんだ」
クライン「ナイトが全部のツリーの座標を買ったっつう情報を買った。そしたら、念のため四十五層の転移門に貼り付けといた奴が、どこの情報にも出てないフロアに向かったっつうじゃねえか。
俺は、こういっちゃなんだけどよ、お前ェらの戦闘能力とゲーム勘だけはマジですげぇと思ってるんだよ。だからこそ死なすわけにはいかねえんだよ、キリト!ナイト!」
クラインは伸ばした手でまっすぐキリトとナイトを指差す。
クライン「二人で攻略とか無謀なことは諦めろ!俺らと合同パーティーを組むんだ。蘇生アイテムはドロップした奴のもので恨みっこなし。それで文句ねぇだろう!」
キリト「・・・それじゃあ・・・それじゃあ、意味ないんだよ・・・」
キリトはクラインの言葉がキリトの身を案じる友情から来ていることすらわからない程に追い詰められていた。キリトが身を震わせるのを悲しそうに見てるクライン、その瞬間ナイトが呟く。
ナイト「クライン、お前らも尾けられたな」
クラインがその言葉の真意を確かめようとした時、三十人はゆうに超えるパーティーが現れる。クラインの横に立っていた風林火山のメンバーが彼等を知っていたようだ。
風林火山のメンバー「あいつら、<聖竜連合>っす。フラグボスのためなら一時的なオレンジ化もいとわない連中っすよ」
キリトが背中の剣を抜こうとすると、クラインの叫び声が、キリトの手を止める。
クライン「くそっ!くそったれがッ!行けっ、キリト、ナイト!ここは俺らで食い止める!お前らは行ってボスを倒せ!だがなぁ、死ぬなよ!俺の前で死んだら許さねぇぞ!ぜってぇ許さねぇぞ!」
ナイト「行くぞキリト」
二人はクラインに背を向けると、礼の言葉ひとつ口にすることなく、ワープポイントへ足を踏み入れた。時計が零時になると同時に鈴の音が響いてくる。
ナイト「上を見ろ」
ナイトの言葉通り上を見ると、奇妙な形をしたモンスターに引かれた巨大なソリが見える。ソリから黒い影が飛び降りてきて、盛大に雪を蹴散らす。
ナイト「これが、<背教者ニコラス>か」
その言葉が合図となるように戦闘が始まる。ニコラスを倒すと、時間にしてはそれほど経っていないが、だいぶ長く感じたナイトは、横目でキリトを見る。
ナイト「キリト、こっちに蘇生アイテムはない」
キリト「ああ、俺にあった。名前は<還魂の聖晶石>、効果は死亡してから約十秒ならば、蘇生することができる・・・」
キリトは説明文を見ると口から、声にもならない叫び声が漏れる。聖晶石を力いっぱいに雪の上に叩きつけ、ブーツで踏みつける。
ナイト「キリト、帰るぞ」
ナイトの声で我に返り、聖晶石を拾い上げ、元のエリアに戻る。
クライン「・・・キリト・・・」
キリト「それが蘇生アイテムだ。過去に死んだ奴には使えなかった。次にお前の目の前で死んだ奴に使ってやってくれ」
クライン「キリト・・・キリトよぉ・・・お前ぇは・・・お前ぇは生きろよ」
キリト「じゃあな」
四十五年の宿屋の一室でキリトはこれからのことを考えていた。途中でキリトは椅子に座ったまま、何も見ず、何も考えずに朝を迎えた。
以後原作通り
サチ「・・・私にとって君は、暗い道のむこうでいつも私を照らしてくれた星みたいなものだったよ。じゃあね、キリト。君と会えて、一緒にいられてほんとによかった。ありがとう。さようなら」
メッセージが終わった時にはキリトは静かに涙がこぼれおちる。その部屋の扉で体を寄せていたナイトは満足気な顔をして部屋を後にするのだった。
黒猫編完!
いやーやっぱりサチはヒロイン力高めだよね!
結構好きなキャラの一人です