ガチャ転生~SAO編~   作:気まぐれ荘

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鍛冶師との出会い

アインクラッド第五十七層、二〇二四年六月

 

ナイトとキリトはとあるプレイヤーの店に来ていた。店の名前は<リズベット武具店>、ピンクの髪が特徴的な少女の店だった。中に入ると、大きな揺り椅子でうたた寝をしていた少女がいて、キリトは申し訳なさそうに声をかける。

 

キリト「あの、君、悪いけど・・・」

 

少女「はっ、はいっ、ごめんなさい!あれ・・・?」

 

少女は周囲を見渡し、咳払いをし、挨拶を返す

 

少女「い、いらっしゃいませ。武器をお探しですか?」

 

キリト「あ、う、うん」

 

少女(あまり高レベルのプレイヤーには見えないわね。武器は片手剣と刀、レベルは足りるかしら?)

 

少女は店内を移動し、片手剣と刀のコーナーに案内する。

 

少女「片手剣はこちら、刀はこちらの棚ですね」

 

キリト「あ、えっと、オーダーメイドを頼みたいんだけど・・・」

 

少女「今ちょっと金属の相場が上がってまして、多少お高くなってしまうかと思うんですが」

 

キリト「予算は気にしなくていいから、今作れる最高の剣を作って欲しいんだ」

 

少女は呆然とキリトの顔を眺め、やがて口を開く。

 

少女「・・・と言われても・・・具体的なプロパティの目標値とか出して貰わないと・・・」

 

口調が多少ぞんざいになった少女は多少の呆れも含んでいた。

 

キリト「それもそうか。じゃあ・・・この剣と同等以上の性能、ってとこでどうかな」

 

キリトは剣を外し、少女に渡す。少女は受け取った途端 ー あやうく取り落としそうになる。固有名<エリュシデータ>、製作者の銘、無し。

少女は剣をキリトに返し、店の奥にある片手剣を持ってくる。

 

少女「これが今うちにある最高の剣よ。多分、そっちの剣に劣ることはないと思うけど」

 

キリト「少し軽いかな?」

 

少女「・・・使った金属がスピード系の奴だから・・・」

 

キリト「うーん、ちょっと試してみていいかな?」

 

少女「試すって?」

 

キリト「耐久力をさ」

 

キリトは自分の剣を抜き、カウンターに置く。そして、少女が打った剣を掲げ振りかぶる。

 

少女「ちょ、ちょっと、そんなことしたらあんたの剣が折れちゃうわよ!」

 

キリト「折れるようじゃだめなんだ。その時はその時さ」

 

キリトが剣を振り下ろす時に、今まで口を開かなかったナイトが声をかける

 

ナイト「キリト、だめだ。その剣が折れる」

 

キリト「え?」

 

ナイト「その剣はいい剣だ。折れるのは勿体ない」

 

ナイトが口にしたのは少女の腕を褒めるものだったが、少女にはそう聞こえなかったようだ。

 

少女「それはつまり、あたしの剣がヤワっちいって意味!?」

 

ナイト「む、そんなつもりは無いのだが」

 

少女「い、言っておきますけどね!材料さえあればそっちの男の剣なんかぽきぽき折れちゃうくらいのを幾らでも鍛えられるんですからね!」

 

キリト「ー ほほう。そりゃあぜひお願いしたいね。これがぽきぽき折れる奴をね」

 

少女「そこまで言ったからには全部付き合ってもらうわよ!金属取りに行くところからね!」

 

キリト「・・・そりゃ構わないけど。俺達二人のほうがいいんじゃないのか?足でまといは御免だぜ」

 

少女「むきーっ!」

 

少女は両腕をばたばた振り回しながら子供のごとく抗弁する。

 

少女「ば、馬鹿にしないでよね!これでもマスターメイサーなんですからね!」

 

ナイト「うちのがすまんな。その代わり剣の代金をふんだくってくれたらいい」

 

少女「そういうあんたは、どうするの?」

 

ナイト「俺は自分で鍛えた刀か、ドロップした刀しか使わないからいい」

 

少女「ふーん、まあいいわ」

 

ナイト「それと、俺はナイト。よろしく頼む」

 

キリト「俺の名前はキリト。剣ができるまでひとまずよろしく」

 

少女「よろしく、キリト、ナイト」

 

キリト「うわ、いきなり呼び捨てかよ。まあいいけどさ、リズベット」

 

リズベット「むか!」

 

パーティーを組むにしては、最悪の第一印象だった。

<その金属>の噂が流れたのは十日ほど前だった。五十五層の片隅にある村であるクエストが発見されたのだった。西の山には白竜が棲んでいて、その腹に貴重な金属を溜め込んでいると。

 

キリト「その話、俺も聞いたな。確かに素材アイテムとしては有望っぽいよな。でも、ぜんぜん出ないんだろ?今更俺達が行っておいそれとゲットできるのか?」

 

リズベット「色んな噂の中に<マスタースミスが必要じゃないのか>っていうのがあるのよ。鍛冶屋で戦闘スキルを上げてる人ってそうはいないからね」

 

キリト「なるほどな、試す価値はあるかもな。 ー ま、そういうことなら早速行こうぜ」

 

ナイト「その竜は五十五層にいる。俺とキリトはいいが、リズベットは準備がいるだろう」

 

リズベット「リズでいいわよ。・・・ドラゴン山自体はそんなに大きくないらしいし、日帰りできるみたいだからあたしも準備はすぐ済むわ」

 

外周部からはまだまだ明るい陽光が差し込んでいた。このまま順調にいくと日没までには帰れそうである。三人は途中で買い食いをしたりなど楽しみながら五十五層にある噂の村まで行くのだった。

 

リズベット「びえっくし!」

 

リズベットは圏内に踏み込み、気が抜けた途端、盛大なくしゃみを炸裂させた。

 

キリト「・・・余分の服とかないのか?」

 

リズベットの隣に立つキリトが呆れ顔で聞いてくる。

 

リズベット「・・・ない」

 

ナイト「これを着るといい」

 

ナイトもとうてい厚着には見えないが、大きなマントをオブジェクト化をさせて手に渡す。

 

リズベット「ありがとう。・・・あんたらは大丈夫なの?」

 

ナイト「予備がある」

 

ナイトも大きなマントを羽織る。すると元々女性よりの顔だったナイトは更に女性に見えてしまっていた。

 

キリト「精神力の問題だ、きみ」

 

キリトはリズベットを煽るようにニヤリと笑う。

 

リズベット「あんた、ほんとに男なの?」

 

リズベットはナイトにずっと思ってたことを聞く。

 

ナイト「ああ、俺はずっと心も体も男だ。それよりも長老の家に行ってフラグを立てるぞ」

 

ナイトは少しショックを受けたような顔で一際大きい家に向かって歩いて行ったのだった。

 

リズベット「なんか、悪いことを言ったわね」

 

キリト「意外と気にしてるんだ。多少ならいいが、あまり言わないでやってくれ」

 

キリトとリズベットは小声で会話しながらナイトの後を追う。村長の家でクエストの立て終わった頃には夕陽が雪に反射してとても美しい光景が広がっていた。

 

キリト「・・・まさかフラグ立てでこんなに時間を食うとはな・・・」

 

リズベット「まったくね・・・どうする?明日出直す?」

 

ナイト「いや、今から行く。ドラゴンは夜行性らしいからな」

 

リズベット「そうね、行っちゃおうかしら。キリト泣きべそをかくとこ早く見たいしね」

 

キリト「そっちこそ俺の華麗な剣捌きをみて腰抜かすなよ」

 

見合わせた顔を、二人してフンと背ける。そんな光景をナイトは微笑ましそうに見ていたのだった。

雪道を登ること数十分、一際大きな氷壁を回り込むと、そこがもう山頂だった。巨大なクリスタルの柱が伸びていて、残照(ざんしょう)の紫光が乱反射して虹色に輝くその光景はまさに幻想的の一言だ。

 

リズベット「わあ・・・、」

 

リズベットは思わず歓声を上げて走り出そうとした。しかし、その襟首をキリトに掴まれる。

 

リズベット「ふぐ!・・・なにすんのよ!」

 

キリト「おい、転移結晶の準備をしとけよ」

 

キリトの真剣な顔にリズベットは素直に頷く。

 

ナイト「ここからは危険だから俺達二人でやる。リズはドラゴンが出たらそのへんの水晶の陰に隠れるんだ」

 

リズベット「・・・なによ、あたしだってそこそこレベル高いんだから手伝うわよ」

 

キリト「だめだ!」

 

キリトの黒い瞳がリズベットの眼を射た。その途端、リズベットは自身を真剣に案じていることが解り息を詰めて立ち尽くす。何も言い返せず、再びこくりと頷く。

 

キリト「じゃあ、行こうか」

 

山頂にはドラゴンの姿はなく、代わりに水晶の柱に囲まれた空間にぽっかりと大きな穴が空いていた。

 

キリト「こりゃあ深いな。・・・落ちるなよ」

 

リズベット「落ちないわよ!」

 

唇を尖らして言い返したその直後、猛禽(もうきん)を思わせる雄叫びが氷の山頂に響き渡る。

 

ナイト「その陰に入れ!」

 

ナイトはリズベットを水晶の陰に隠し、刀を抜く。リズベットはドラゴンの攻撃パターンを伝えると、キリトは背を向けたままキザな仕草で親指を立てた。

戦闘は順調に進み、もうあと一、二撃程度で決着がつくだろう。リズベットっは水晶の陰から一歩踏み出す。

 

キリト「バカ!まだでてくるな!」

 

リズベット「なによ、もう終わりじゃない。さっさとカタを・・・」

 

その時、ドラゴンは、突風攻撃を行う。油断していたリズベットは宙に吹き飛ばされる。ダメージ自体は少ないが、着地をする地面がないのだった。

 

リズベット「うそ・・・」

 

リズベットは無意識にてを宙に伸ばす。その指先を、黒革のグローブに包まれた手が、ぎゅっと掴んだ。

 

キリト「掴まれ!」

 

キリトは様々な方法で落下ダメージを軽減させたが、衝撃。轟音。爆発めいた勢いで舞い上がった雪が頬に触れた。

 

キリト「・・・生きてたな」

 

リズベット「うん・・・生きてた」

 

お互いの無事を確認し、そのままの姿勢で数分横たわっていた。HPバーは赤色に突入していた。

 

リズベット「あの・・・ありがと。助けてくれて」

 

キリト「例を言うのはちょっと早いぜ」

 

上空に視線を向けるととてつもなく高い崖がある。

 

キリト「・・・ドラゴンが追って来ないのは助かったが、ここからどうやって抜け出したものか」

 

リズベット「え・・・テレポートすればいいじゃない」

 

転移結晶を使うリズベット、しかし、叫び声がむなしく氷壁に反響する。そんなとき、ナイトの声が聞こえてきた。

 

ナイト「おい、大丈夫か!?」

 

キリト「ああ、こっちは無事だ。それより、結晶が使えない。脱出の方法を知らないか?」

 

ナイト「無理だ。ロープも長さが足らない。すまないが、明日の朝まで野営してくれ。そしたら脱出できるはずだ」

 

ナイトはその言葉と共に顔を引っ込め声も聞こえなくなる。

 

キリト「しょうがない。そうと決まれば・・・」

 

以後原作通り

 

キリト「おはよう」

 

リズベット「・・・おはよ」

 

言葉を交わし、この後のことについて話し合う。その最中キリトが何かに気づく。

 

リズベット「どうしたっての?」

 

キリト「いや、ちょっと・・・」

 

キリトは雪をかき分け、一つのアイテムを掘り出す。アイテム名は<クリスタライト・インゴット>

 

リズベット「これ ー ひょっとして」

 

キリト「ああ・・・俺達が取りに来た金属・・・なんだろうな」

 

キリトは何かを考え始め、不意に声を漏らす。

 

キリト「そうか、この縦穴はトラップじゃない。ドラゴンの巣だ」

 

リズベット「え、ええ?」

 

キリト「ま、なんにせよ目標達成だ。これで後は」

 

リズベット「脱出出来ればねぇ・・・」

 

キリト「とりあえず、片っ端から試すしかないだろうな」

 

その時、リズベットはとあることに思い至る。

 

リズベット「ねぇ。ここ、ドラゴンの巣なのよね、ドラゴンが夜行型ってことは、帰ってくるんじゃ」

 

キリト「・・・」

 

二人は黙って見つめ合い、上を向く。その瞬間、黒い影が生まれた。

それはみるみるうちに大きくなる。それは、やはりドラゴンだった。

 

キリト・リズベット「き、来たーっ!」

 

ドラゴンに向けて武器を構えると、上から声が聞こえる。

 

ナイト「キリト、ドラゴンに掴まれ!」

 

キリト「は!?いや、そうか・・・そういうことか!」

 

キリトはリズベットを抱え、ドラゴンの尻尾の先端を掴む。その途端ドラゴンは甲高い叫び声を上げ、凄まじいスピードで急上昇する。穴の外に出たキリト達は尻尾から手を離す。

慣性に任せて宙を舞いう。飛翔は数秒のことだったが、その十倍にも感じられた。リズベットは感情が昇華していき、溢れる思いを叫ぶ。

 

リズベット「キリト ー あたしねぇ!」

 

キリト「なに!?」

 

リズベット「あたし、あんたのこと好き!」

 

キリト「なんだって!?聞こえない!」

 

リズベット「何でもなーい!」

 

リズベットは笑い声を上げ、キリトの首に抱きつく。やがて、地表が近ずいてきた。キリトは両足を広げて着陸姿勢を取り、減速しながら、山頂の端に停止した。

 

キリト「・・・今まで狩られまくって迷惑しただろうな。アイテムの取り方が広まればお前を殺しに来る奴もいなくなるだろう。これからはのんびり暮らせよ」

 

キリトはドラゴンに向け言葉を放ち、ドラゴンが巣の中に戻るのを見守っていた。ナイトも合流して、帰ることにした。

 

リズベット「たっだいま〜!」

 

キリトは屋台で食べ物を買い、ホットドッグを咥えながら店に入る。

 

ナイト「もうすぐ昼だ。ちゃんとした店で食わないのか?」

 

ナイトもキリトと一緒に店に入り、問いかける。

 

キリト「その前に、早速作っちゃおうぜ、剣」

 

リズベット「そうね、やっちゃおうかしら。じゃあ工房に来て。片手用直剣でいいのよね?」

 

キリト「おう。よろしく頼む」

 

カウンターの奥のドアを開けると水車の音が大きくなる。壁のレバーを倒すと、ふいごが動いて風を送り始める。直ぐに炉が真っ赤に焼け始める。インゴットを投下し、焼けると金床の上に置き、叩き始める。

何度目とも知らない槌音が響いた直後、インゴットが形を変え、剣が姿を現す。

 

リズベット「えーと、名前は<ダークリパルサー>ね。あたしが初耳ってことは、情報屋の名鑑には載ってない剣だと思うわ。ー どうぞ、試してみて」

 

キリト「ああ。・・・重いな・・・いい剣だ」

 

キリト達は剣が完成したことに喜んでいると、いつのまにかナイトはいなくなっていた。それに気づくと不思議に思った二人だったが、工房をでて店にお祝いをすることにしたようだった。

 




ナイトはアスナを工房に来させないように足止めを行っていたのでいなかった、ということにしました。この後店でキリト達と合流し、原作通りの出来事が起こりました。
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