ナイトはPoHの計画を止める為にコンソールを調べていた。すると、ナイトは最後に調べた時にはなかった項目が追加されているのを確認する。
ナイト(PoHが隠蔽でもしてたのか?)
しの項目には管理区の地下にコンソールがあることが解った。管理区の地下に行くには<ホロウ・エリア>のボスを全て倒す必要がある。等の条件もあったが、ナイトはそれを全然満たしていたのだった。
ナイト「フィリア、管理区の地下にコンソールがあることが解った。今から向かう。準備はいいか?」
フィリア「うん・・・別に準備することはないんだけど・・・管理区の地下に行く前にナイトとゆっくり話したくて・・・」
ナイト「俺と?」
フィリア「だ、ダメかな?」
ナイト「いや、構わない」
フィリア「ナイトとゆっくり話す機会は探索ばっかりで、意外と少なかったから」
ナイト「<ホロウ・エリア>はアインクラッドより落ち着く場所がないからな」
フィリア「ナイトと会う前は、管理区すら入ることが出来なかったし・・・不安で一杯だった。けどけど!今はナイトのおかげで今は私も前に進めてる!」
ナイト「俺は何もしていない。それは、フィリア本人の頑張りによる結果だ」
フィリア「そ、そうかな・・・?」
ナイト「ああ。例えば、戦闘だって最初よりも動きが良くなっている」
フィリア「・・・もしかしたら、気持ちの問題かな」
ナイト「気持ち?」
フィリア「私、ずっと自分が偽物かもしれないって思ってたし・・・ナイトと一緒にいても、この人は私とは違うんだなって・・・そういう暗い気持ちを持ってた。
だけど今は、私もちゃんとナイトと同じ人間なんだって、そう思えるようになった。でもね、そしたら今度は別の気持ちが沸いてきて・・・」
ナイト「別の気持ち・・・?」
フィリア「・・・同じ人間なのに、どうしてナイトはこんなに強くて、どうして私はこんなに弱いんだろうってそんな気持ち・・・」
ナイト「フィリアが言う強さとはなんだ?」
フィリア「心の強さ。<ホロウ・エリア>に迷い込んだ時、私はずっと怖くて怯えていたのに、ナイトはワクワクしていたり」
ナイト「ワクワクしてたか?」
フィリア「気づいてなかったの?ナイトってば新しいエリアに行くたびに顔が喜んでいたよ」
ナイト「そうだったのか・・・知らなかった」
フィリア「フフッ・・・それにね、オレンジカーソルのエラーのことだって諦めかけていた時も、解決する方法がないか探し続けてくれたでしょ?それに、ナイトのことを裏切ったのに、私を受け入れてくれた」
ナイト「・・・だから、俺が強いと」
フィリア「うん・・・正直凄いなーって。管理区の地下に行くって決めた時も、私は怖くて・・・不安で・・・だから、ナイトに勇気をもらいたかったんだ」
ナイト「勇気か・・・」
フィリア「あっ、別に励ましの言葉が欲しいとかそういのじゃないの、
・・・こうして傍にいてくれるだけで、もっとナイトと色んな場所に行きたいとか、色んな思い出を作りたいって思えるんだ。
だって、現に今も管理区の地下に行く勇気が湧いてきたもん!」
ナイト「そうか。力になれて良かった」
フィリア「よーし、ナイトに沢山勇気をもらえたから大丈夫だよ。管理区の地下にレッツGO!」
ナイト(明るいな。これが本来のフィリアの姿なのだろうな)
ナイト達は地下深くまで潜って行った。しばらく進むと広い空間が出てくる。一旦そこで休憩を取ると、ナイト達は目の前の大扉を見る。
ナイト「この先が、ラストダンジョン・・・」
フィリア「あいつがどうやって、こんな場所を攻略出来たかはわからない・・・」
ナイト「PoHは高位のテストプレイヤーだったみたいだからな。特殊スキルを得ていてもおかしくない」
フィリア「でも、あいつが行けたなら私達だって・・・」
ナイト「絶対たどり着けるさ」
フィリア「そうだよね・・・うん。わかった!絶対阻止!だね!ナイト!」
二人がダンジョンに入ると。
システムアナウンス「<ホロウ・エリア>実装テスト、最終シークエンスを開始します」
フィリア「この音声も久しぶりに聞いたかも・・・」
ナイト「油断せずに行こう」
ナイトとフィリアは順調にダンジョンを進む。ダンジョンは思ったより大きくなく、すぐに最奥部に着くのだった。最奥部はとても広い部屋と大きな機械だけだった。
フィリア「ナイト!あれがコンソールだよ!」
ナイト「ああ、ようやく終わるな」
ナイトが部屋に足を踏み入れると、突如警報音がなる。二人は武器を構えて警戒していると、部屋の中央に何かが出現する。
フィリア「うそ・・・!アレって、ナイト・・・?」
フィリアの言う通り、部屋の中央にはナイトが佇んでいた。しかし、顔に生気はなく、まるで人形のようだった。
ナイト「俺の<ホロウ>ってとこか・・・」
フィリア「そんな・・・コイツの強さも・・・ナイトと同じってこと!?」
ナイト(さすがに秘剣は真似されてないと思いたいが)
ナイトとフィリアが立ち尽くしていると、システムアナウンスが流れる。
システムアナウンス「テスト完了後<ホロウ・データ>のアップデートが開始されます」
ナイト「俺と<ホロウ>・・・勝った方が生き残る・・・そういう意味だよな」
ホロウナイト「・・・」
ホロウナイトが顔を上げ武器を構える
ナイト「フィリア・・・援護を頼む」
フィリア「任せて・・・!」
ナイトとフィリアも武器を構える。
ホロウナイトが一歩踏み出す。その動きは俊敏で最高速度をあっという間に出し、その勢いで刀を振るう。ナイトは刀を振るい受け止める。金属音が鳴り響き、火花が散る?
ナイトはすぐさま蹴りを入れ後退させる。すぐさま追撃を行い、鋭い斬撃を繰り出す。ソードスキルも繰り出しながら素早く動き続ける。
ホロウナイトは全てを冷静に対処する。フィリアに向けて刀を振るいながら、もう一振の刀でナイトに牽制をおこなう。
フィリアはナイト達の戦いについていけずに、援護は少ししか出来ない様子だった。
フィリア「ナイト・・・!ごめん・・・」
ナイトは後ろに大きく跳びフィリアの横に並ぶ。ホロウナイトは追撃も行わず、武器を構えるだけだった。
ナイト「フィリア、お前に頼むことがある」
フィリア「何・・・?」
ナイト「それは・・・だ。わかったか?」
フィリア「任せて!」
ナイト「なら、行くぞ!<絶刀>起動」
ナイトが<絶刀>を起動すると、体に纏う光が更に大きくなっていた。
ホロウナイトも<絶刀>を起動する。ナイトとは違い、纏う光は赤く、小さい。
ナイト達は駆け出し、中央でぶつかる。金属音が連続で鳴り響き、所々に打撃音がなる。フィリアは隙を見つけるために集中を続ける。
フィリア「見えた・・・隙!」
フィリアはホロウナイトに向かって短剣を投げる。死角から放たれたそれは、ホロウナイトの体制を崩すことに成功する。
ナイト「ありがとうフィリア。今から見せるは我が秘剣。我がホロウよ貴様に受け止められるか!」
ナイトは刀を上段に構える。空気が張り詰め、それは一瞬だった。
ナイト「一歩超え、二歩無間、三歩絶刀!「無明三段突き」!」
少し離れた場所から三歩でホロウナイトの懐に入る。体制を崩したホロウナイトに避ける術はなく、ナイトの高速の突きはホロウナイトの胸を穿ったのだった。
ホロウナイト「・・・」
ホロウナイトは最後まで何も言わずに消えていった。しかし、その表情は少し嬉しそうに見えたというフィリアだった。
システムアナウンス「<ホロウ・データ>のアップデートが高位ユーザー権限により停止されました」
ナイト「・・・これでアップデートは阻止された・・・はずだよな?」
フィリア「・・・うん。そうみたい」
ナイト「・・・正直、何度も危ないと思った」
フィリア「そうだね。さすがは<剣聖>・・・ナイトの<ホロウ>やばいくらい強かったし」
ナイト「秘剣まで真似されてなくて良かった」
フィリア「あはは・・・あれを使われたらさすがのナイトもやられちゃう?」
ナイト「多分な」
フィリア「ナイト・・・カーソルがオレンジになっちゃったね。私と一緒・・・だね」
ナイト「自分を倒してオレンジになるのは複雑な気持ちだ」
フィリア「それでも私は・・・少しでもナイトと一緒で嬉しいかな・・・うん」
ナイト「何か言ったか…?」
フィリア「・・・ううん。大丈夫」
ナイト「最後の仕上げだ。コンソールはそこにある」
フィリア「・・・だね」
ナイトはコンソールを操作してシステムを弄る。システムアナウンスがながれ、ナイトとフィリアのカーソルが緑に変わる。
ナイト「よし、これでオレンジ解消だ」
フィリア「ナイト・・・ありがとう・・・」
ナイト「感謝されることは何もしていない。フィリアは悪いことをしてないからな。それじゃ帰るか」
フィリア「うん。管理区に戻るんだね」
ナイト「いや、俺達が帰るのはアインクラッドだ」
フィリア「アインクラッド・・・そうか、私も元々はアインクラッドにいたんだよね。・・・でも、私が行ってもいいのかな?」
ナイト「まだ言ってるのか、いい加減にしないと怒るぞ」
フィリア「うん・・・ごめん」
ナイト「よし、そろそろ行くか。フィリア・・・っとその前に少しだけ」
フィリア「どうしたのナイト?」
ナイト「いや、これで大丈夫だ。それじゃ・・・帰るか」
フィリア「うん!」
ダンジョンを抜け、管理区に戻ってくる。フィリアはどこかソワソワしている様子だった。
ナイト「いよいよアインクラッドだな、フィリア」
フィリア「うん・・・でも・・・なんか変な感じがする。引っ越す前の家に戻るっていうか・・・そんな感じ」
ナイト「またすぐに慣れる」
フィリア「そうだね・・・もう現実のことなんてしばらく考えてなかった。絶望の中から・・・引っ張り上げて支えてくれたのはナイトだよ」
ナイト「俺は何もしていない。全部フィリア自身で解決したんだ。それに、俺の仲間達は全員いい人だ、すぐに仲良くなれる」
フィリア「ナイトが話してくれた人達だよね」
ナイト「ああ」
フィリア「うん・・・大丈夫。ナイト、人を見る目はあるし仲良くなれると思う。それに・・・ナイトの傍にいたいし」
ナイト「最後の方が聞こえなかった・・・もう一回言ってくれ」
フィリア「・・・何でもなーい!」
フィリアは満面の笑みでこちらに顔を向ける。その目には少し涙が溜まっていた。その涙は何を思ってだろうか
フィリア「向こうに行ったら、ナイトとまた冒険したいな〜」
ナイト「解った。新しいクエストにでも行こう」
フィリア「いえーい!」
ナイト達は第七十五層<コリニア>に転移したのだった。
フィリア「・・・ここが・・・」
ナイト「七十五層の町<コリニア>だ。紛れもなくアインクラッドだよ」
フィリア「アインクラッド・・・ホントに戻ってこれたんだ・・・」
ナイト「それじゃあ、フィリア・・・君にこれを言おう。おかえり」
フィリア「・・・!うん!・・・ただいま!」
フィリアとアインクラッドに戻れたことを祝っていると。
?「いたっ!ようやく見つけたわよ、ナイト!今までどこに行ってたの!?」
ナイト「ゲッ、ミト」
ミト「ゲッ、とはなによ!あんたねぇー!・・・そうだ、そんなことよりも。ナイト大変よ、明日七十五層フロアボス攻略会議があるわ」
ナイト「っ!速いな。まだ三週間も経ってないだろ?」
ミト「ええ、それだけの事が起きたってことよ。私、他にも行くところがあるから今日はこれで、後で詳しく聞くからね!」
ミトは走って去っていってしまった。ナイトは険しい顔になりながらフィリアを見る。
ナイト「聞いただろフィリア、ここで俺とはお別れだ」
フィリア「嫌よ!・・・私もボス攻略に参加する!」
ナイト「・・・そう言うと思っていた。フィリア、絶対に俺の傍を離れるなよ?」
ナイトはこれからの展開について思い出し、更に真剣な顔になるのだった。