洗脳?
ナイトは気がつくと暗闇にいた。
ナイト(ここは・・・?確かSAOがクリアされて・・・)
ナイトは記憶を辿るもここにいる理由が分からない。可能性としてはSAOで死亡した、というのだろう。するとどこからか声が聞こえる
?「・・・すか・・・ますか、聞こえますか!」
ナイト「誰だ!どこにいる」
ナイトは体が動かないので声を出す。すると光の固まりが現れ、妖精の形をとる。
?「私は転生の神ユリ様からマスターに送られたアルと言います」
アルと名乗る少女の妖精はナイトの目の前に移動し、手紙を取り出す。そこでようやく体が動かすことが出来、手紙を受け取る。内容としては
ナイト「簡単に言うと、前世で死んだ原因の奴がこの世界に侵入した。神様はこの世界に深く干渉できないから俺に解決して欲しいと・・・報酬としてアルと一つ能力をくれると・・・」
アル「そうです!私は一応マスターが作ったAIという風に世界に認識されるようにしました。そして、能力としては<あらゆる病気を治す>というものです」
ナイト「あらゆる病気?」
アル「ええ、例えば風邪とかインフルエンザなどといった病気から脳腫瘍や糖尿病なども治すことが出来ます。そしてこの能力は他人にも使うことができ、相手の体に触ることで治すことが出来ます」
ナイト「それはまた便利な・・・状況は解った。それで、侵入した奴の情報をくれないか?」
アル「侵入した者は前世の名で東堂司、現在は貴方の年齢の十歳年上で村上遥斗(むらかみ はると)という名で生きています。
前世で強盗殺人やスピード違反などの様々な犯罪をしており地獄に送る予定でしたが逃げられてしまい・・・現在は東京にいますが、拠点を転々としているらしく詳しい位置がわかりません」
ナイト「情報ありがとう。それで・・・ここはどこなんだ?」
アル「そうでした!ここは私が用意した空間です。外部と時間の流れが違い、外では数分しか経ってません。現在マスターは<アルヴヘイム・オンライン>通称<ALO>に囚われており、体は須郷伸之(すごう のぶゆき)に操られています」
ナイト「所有権を取り返すことは?」
アル「余裕です。今から取り返しますか?」
ナイト「いや・・・意識はしっかりしていて、体は完全にではなく抵抗できるようにしてくれ」
アル「了解しました。それでマスターはこれからどう動くんですか?」
ナイト「アスナが囚われている鳥かごがあるだろ?あそこの入口で誰も入れないようにする」
アル「なるほど・・・ではマスター、この空間を解除します。この空間は何時でも作れるので必要でしたら言ってください。それと、私はマスターの部屋のパソコンにいることにするのでALOから解放されるまで話すことは出来ません」
ナイト「構わない。それじゃあ・・・また会おうアル」
アル「はい!また会いましょうマスター!」
ナイトが意識を取り戻すと須郷伸之ことオベイロンが隣に居た。
オベイロン「くっくっく・・・英雄キリト君でもボクの下僕であるコイツには勝てないだろう。おい!行くぞ!」
オベイロンはナイトを蹴り移動を始める。ナイトが着いていくとアスナが囚われている鳥かごに近ずいた。
?「ナイト君!」
ナイトに叫ぶのは囚われたアスナだった。ナイトはオベイロンに操られたばっかりでアスナとナイトが会うのは初めてだった。
アスナ「須郷さん!彼に・・・ナイト君に何をしたの!」
オベイロン「い〜や、僕の下僕として働いて貰ってるんだよ。コイツに意識は無い。従順な人形さ!」
オベイロンはナイトの頭を叩く。ナイトに反応がないことからアスナはそれか本当の事だと感じる。
オベイロン「それはそうとティターニア、君は一体いつになったら僕の伴侶として心を開いてくれるのかな」
アスナ「いつまでまっても無駄よ。あなたにあげるのは軽蔑と嫌悪、それだけだわ」
オベイロン「やれやれ、気の強いことだ・・・」
オベイロンは片頬を釣り上げて笑うと、アスナの顔に向かって右手を伸ばしてきた。
ナイト(それは許容できない。アスナに触れていいのは仲間だけだ)
ナイトはオベイロンがアスナに触れる前に手を叩き落とす。
アスナ「え?・・・ナイト君!」
アスナはナイトが動き意識が戻ったのかと喜ぶが、言葉を発さず身動ぎもしないことから完全には戻ってないと推測する。
オベイロン「貴様ァ!この僕をよくも!僕がだれだか解ってるのか!」
オベイロンはナイトに叩かれたことに怒り、ナイトに暴行を加える。ナイトは抵抗しないため、傷が増えていく。
アスナ「辞めて!須郷さん!」
オベイロン「まあいい・・・そうだティターニア。君は僕を拒絶するけど、それも時間の問題だ」
アスナ「ー 馬鹿なことを、気は確かなの?」
オベイロン「ふふ、そんな口を利けるのも今のうちだけさ。すぐに君の感情は僕の意のままになるんだから。
・・・ねぇ、ティターニア見えるだろう?この広大な世界には、今も数万人のプレイヤーがダイブし、ゲームを楽しんでいる。しかしね、彼らは知りゃしないのさ。フルダイブシステムが娯楽市場のためだけの技術ではないという事実をね!
冗談じゃない!こんなゲームは副産物にすぎない。フルダイブ用インターフェースマシン、つまりナーヴギアヤアミスフィアは電子パルスのフォーカスを脳の感覚野に限定して照射し、仮想の環境信号を与えているわけだが ー もし、その枷を取り払ったらどういうことになるか」
見開かれたオベイロンの瞳にどこか逸脱した輝きが宿り、アスナは本能的な恐怖を感じた。
オベイロン「ー それはね、脳の感覚処理以外の機能・・・すなわち思考、感情、記憶までも制御できる可能性があるってことだよ!・・・そしてコイツがその試作品ってことさ!」
オベイロンはナイトを指さして言う。その言葉は狂気的な感情を孕んでいた。アスナはその常軌を逸したオベイロンの言葉に絶句するしかなかった。
アスナ「・・・そんな、そんなことが許されるわけが・・・」
数回呼吸を繰り返してから、どうにか言葉を絞り出すアスナ。
オベイロン「誰が許さないんだい?すでに各国で研究が進められている。でもねぇ、この研究はどうしても人間の被験者が必要なんだよ。自分が何を考えているか、コトバで説明して貰わないといけないからね」
オベイロンは、せかせかした歩調でアスナの周りを歩き始めた。アスナは恐怖した目で、ナイトは冷めた目でオベイロンを見ていた。
オベイロン「脳の高次機能には個体差が多い、どうしても大量の被験者が必要だ。だが脳をいじくり回すわけだからね、おいそれと人体実験なんかできない。それでこの研究は遅々として進まなかった。
ところがねぇ、ある日ニュースを見ていたら、いるじゃないか、格好の研究素材が、一万人もさ!」
アスナ「まさか・・・」
再びアスナの肌に怖気が走った。オベイロンが何を言わんとしているのか、その先がようやく想像出来たのだ。
オベイロン「ー 茅場先輩は天才だが大馬鹿者さ。あれだけの器を用意しながら、たかがゲーム世界の創造だけで満足するなんてね。
SAOサーバー自体には手を付けられなかったが、あそこからプレイヤー連中が解放された瞬間に、その一部を僕の世界に拉致できるように細工するのはそう難しくなかったさ。
いやあ、クリアされるのが待ち遠しかったね!全員とは行かなかったが、結果三百人もの被験者を僕は手に入れた。現実ならどんな施設でも収容できないほどの数さ、まったく仮想世界さまさまじゃないかい!
三百人もの旧SAOプレイヤー諸君のお陰で、たった二ヶ月で研究は大いに進展したよ!」
アスナ「そんな・・・そんな研究、お父さんが許すはずがないわ」
オベイロン「無論あのオジサンは何も知らないさ。研究は私以下極少数でのチームで秘密裏に進められている。そうでなければ商品にできない」
アスナ「商品・・・!?」
オベイロン「アメリカの某企業が涎を垂らして研究修了を待っている。せいぜい高値で売りつけるさ。 ー いずれはレクトごとね。
僕はもうすぐ結城家の人間となる。まずは養子からだが、やがては名実ともにレクトの後継者となる。君の配偶者としてね。その日のためにもこの世界て予行演習しておくのは悪くない考えだと思うけどねぇ」
アスナ「そんな・・・そんなこと、絶対にさせない。いつか現実に戻ったら、真っ先にあなたの悪行を暴いてあげるわ」
オベイロン「やれやれ、まだ理解してないのかい。実験のことをぺらぺら喋ってあげたのはね、君がすぐに何もかも忘れてしまうからさ!あとに残るのは僕への・・・」
不意に言葉を切ると、わずかに首を傾け沈黙した。すぐに左手を振ってウインドウを出し、それに向かって言う。
オベイロン「今行く。指示を待て。 ー という訳で、君が僕を盲目的に愛し、服従する日も近いということが解ってもらえたかな?しかし僕も勿論、君の脳を早期の実験に供するのは望まない。次に会う時はもう少し従順であることを願うよ、ティターニア」
猫撫で声で囁くと、アスナの髪に触れかけたのでナイトがオベイロンの手を払う。オベイロンはナイトを睨み、ドア目掛けてせかせかと歩いていった。
アスナ「キリト君・・・助けて・・・」
アスナは無意識で呟いたようだがナイトにはハッキリと聞こえる。ナイトは入口に立つとピクリとも動かなくなった。アスナはそれを見て少しだけ安堵するのだった。